2013年6月27日木曜日

美的好奇心で見る『貴婦人と一角獣 展』

乃木坂駅から直結。
国立新美術館へ。



フランス国立クリュニー中世美術館所蔵
貴婦人と一角獣展


背景を知らなくとも
この暖かみのある赤と落ち着きのある青のコントラストには
何度か振り返った人が多いのではないだろうか。

展示室は2階。
タペストリーが制作されたと思われる1500年代も
室内はあまり明るくはなかったであろうし
明るい照明は作品保護のために避けられているはず…

ほの暗い会場であることは予め承知してはいたが
最初の広間で
触覚・味覚・嗅覚・聴覚・視覚・我が唯一の望み
の6点が、一続きパノラマのように見られることを
どこかで期待していた。

一点ずつ説明とともに区切られていた。
五感、そしてそれらを超えた六番目の精神ともいうべきものは
つねに一体であるはず。
バラバラのようでいて
それは言葉で区切っているだけのことで…

一巡のあと
再びこのスペースの中央に立ち
私自身がゆっくりと周った。

ようやく見えてきた。

古い記憶の中
そんな状態での展示を見たのかもしれない。
かつてパリに滞在中、毎日美術館巡りをした。

ちなみに
フランス国立クリュニー中世美術館
本国のWebサイト によると、日本にこれらの作品を貸し出している間、置かれていたスペースは改修中であるらしい。

メインの作品と同じように印象的だったのは
「算術」という作品。
算術は、美を表す比率を論証するための学問、
というようなことが記されていた。
どこか数学には美的好奇心が漂う、とは
昔から感じていたことだったから。

かつて大切にされたものや思想は
このような作品の形で後世まで残り
ジョルジュ・サンドらの文学者により価値が見出され
フランス国の至宝とされ
異国の私にも見ることができた。

一角獣にまつわる歴史も深い。
さまざまな動物も植物も、
常に人と共に生きてきたことが作品から実感できる。
一角獣というものは現存しないが
人の美的好奇心が産んだものだと思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿