2012年6月29日金曜日

"Manhattan Story" (Akiko Grace)を聴きながら

今日は意外に風がない。
聴取快感を求めてひさしぶりに聴く。
2009年春のライブで初めてその音を聴き、即日購入したCD。



セピア色のフォトに魅かれた。
うっすらとディスクにサインされた日付。

この年の春から夏にかけて、何度聴いたことだろう。
そして、特に一曲目の Libido ~Mediterranean Sundance は
その後何度もライブでも。

スピーディーで繊細。
波のように有機的に音が流れていく…
聴いているうちに、いつしか疲れも忘れた。
気がつくと、香りのように記憶の中で響いている。

極度の疲労から皮膚に発した蕁麻疹が
このCDの風のように流れる音をきいていて
消えていたこともある。
軽やかなのに深く、触覚の奥にも伝わったかのよう。

ゆうべの日経新聞夕刊にグレースさんの連載記事。
J.S.バッハの直筆譜を眺めるのがお好きとのこと。
こんなことが書いてある。

…まるで音の媚薬のありかをしるした宝の地図が、
世紀を超えて演奏者によって封印が解かれるのを
待っているかのようです。…
(From The Backstage 2012,6,28 日経新聞夕刊11面)

バッハの直筆譜からこう感じる彼女は
来る7月9日、日経ホールで行われる日経ミューズサロン〜
クラシック・オン・ジャズ」公演でも、バッハの名作を
モチーフに即興演奏するという。

見えるものから音を感じたり
香りから音を感じたり。
そんなグレースさんと出逢い
本物の香りを本物の音へと表現いただいたときのことを
コチラ にも綴っている。



2012年6月28日木曜日

緑になる前の白…変化を予感させる存在感

一週間に
魅かれて撮影。




生い茂った濃い緑の中にあってひときわ白っぽく繊細な存在感。

この有機的な形から私が想像したのは

…緑の中にたたずむ透かし柄の服を着た女性
…肉眼では見えない、物質の分子構造
…小さないきもの(例えば虫たち)の住居

一週間前には白っぽく見えたものが
今みると緑の前兆を思わせる。

背景あっての見え方。
まるい蕾のようなものが開くのかどうかもわからない。
でもただの白ではなく、変化の予兆たっぷりの存在感。
こんなイメージを香りで表現できたら面白い。

考えてみれば、白は柔軟なカラーである。
透かし、映し、染められる。
刻々と流れる時間の経過によって
いかようにも明度は変わる。
そして、暗いところではひときわ目立つ。
少なくとも人の眼には。

2012年6月26日火曜日

空高く…東京スカイツリー・ ブレンド エッセンシャルオイル

先日、爽やかな女性からいただいた香り。




思わず、空を仰ぎ見たくなる。

シトラスとミントの明るい調和に程よい湿度。
このリアルな上空を思わせる空気感は
ひんやり複数種のミントと
まっすぐ天高く伸びるサイプレスや高野槙の存在感から。

身につける香水のように装うのではなく
これは…
ある一瞬、自分自身が深く吸い込みたくなるような
クリアで爽やかな香り。

東京スカイツリー公認ライセンス商品のひとつ、
ブレンドエッセンシャルオイルはコチラの商品。

夏の蒸し暑さにひとときの涼を与えてくれそうで
お気に入りのうちわにもつけてみたり。


2012年6月23日土曜日

Bulgalia's Essential Oil Industry (ブルガリアの精油産業)講演より

2010年秋に発足、コチラ においても触れた、日本調香技術普及協会主催の講演会で懐かしい方に再会。

講師のヴァルチャン・ヴァルチャノフ氏(ブルガリア共和国大使館商務参事官)は3年前、私がブルガリアに行く前にお会いし取材させていただいた方
当時も、ブルガリアにとってローズ精油は国にとっての重要な産業であり、その栽培に適した気候条件と土壌に恵まれた上に350年にわたる栽培、抽出、蒸留への開発努力の賜物であるということ、ローズ天然香料輸出国の筆頭であるフランスからはその品質で圧倒的に高い評価を得ていることをうかがっていました。

ちょうど2009年といえば、日本ブルガリア外交復興50周年の年であり、この年にスタートしたブランド「パレチカ」は今も健在。

本日のご講演テーマは
Bulgalia's Essential Oil Industry (ブルガリアの精油産業)。

有名なダマスクローズのみならず、ラヴェンダー、ディル、マツ、クラリセージ、ペパーミント、カモミール、…などの精油生産でも有名なブルガリア。そうです。ちょうど私がブルガリアを訪れたのは7月初旬でしたからラヴェンダーの最盛期で、素晴らしい香りに包まれたことをおぼえています。そのときの様子は、コチラの旅行記
でもご覧いただけます。

現在もローズ精油輸出相手国の筆頭はフランス、次に日本、ドイツ、アメリカ、スイス、中東…とのこと。オーガニックローズ精油はほとんどがアメリカ向け、というのもなかなか興味深いところ。

農業としての栽培のプロ、蒸留技術のプロ、複数の蒸留所から集められてきた抽出したての精油を熟練技術でブレンディングするプロ、品質チェックのプロ、管理のプロ…とこの産業に関わる人材そのものがまさに宝であり、その高品質への真摯な姿勢ゆえに他国からも支持を得ているとの話、聴いているだけでもすがすがしくなります。

1キロのローズ精油を得るために、3トンの花が必要。
1滴0.05mL中に約100個分の薔薇の花の香り。
濃厚かつ、ほどよく高い持続性。
素晴らしい自然の恵みを受けた薔薇の花は、いかに人間の手によってもそんなに急激に大量生産はできないのです。だからこそ貴重。

農業国の誇りを持つ国は、香りにも妥協しない。
そんなことを、かつて訪れたブルガリア
でいただいた食事を思い起こしながらも感じたひとときでした。


2012年6月22日金曜日

"PARFUM" 162号(夏号)発刊

香りの専門誌"PARFUM" 夏号が6月20日に発刊。
好奇心あふれるまなざしが夏の光をまっすぐとらえて。
もうすぐ夏本番を感じさせる表紙です。



今号は、創刊40周年アーカイブ3回目。
コチラ でもご紹介しておりました「匂いを讀む」。’90年代後半5年間にわたり"PARFUM"に連載いただいた吉本隆明氏(2012,3月に亡くなられました)と編集長平田氏との対談ページが掲載されています。

100回目を迎えた「芸術と香水」では
時を旅する詩人、と題してセルジュ ルタンスをクローズアップ。
彼は2007年、フランス共和国文化芸術勲章コマンドゥール受勲。

新たなフレグランスの紹介も魅力的です。
新作香水にみる原点回帰 にてご紹介のセルジュ ルタンス新作、"L'eau froide"( ローフォアッド)や、2010年春デビュー以来人気を誇る "eaudemoiselle"(オードモワゼル) のニュータイプ、ジバンシィ・オードモワゼル フローラル。二種のPR担当者へのインタビュー記事が見開き2ページにて。

5月から始まった「平田幸子の香りスクール」も次回8/20との予告。場所は原宿、メナードビレックサロン内。香り好きな方はぜひいらしてください。



2012年6月21日木曜日

Color of rain

夏至。原宿にて。



ぽつり、ポツリとおちてきた雨が
生い茂った緑の中に見えたような気がした。
近づいてみる。


まさに雨の色。
繊細な淡いブルーの花びらの上にも小さな雫。

こんなふうに透明感のある色に出逢えるのも
雨の季節だから。
真夏が来る前の。

2012年6月20日水曜日

夏が来ると…BASIA

蒸し暑くなってくると、何故か毎年聴きたくなる音楽。




バーシア 。東欧ポーランドに生まれ、アレサ・フランクリンやスティービー・ワンダーというアメリカのアーティストを好んで聴き…バンド活動でロシア、東欧諸国、アメリカ…と巡り結局はイギリスへ。

このひとの歌い方にはどことなく、南の風を感じる、と思ったらブラジルのボサノヴァにも影響を受けているようであるし、とにかく無国籍感が自由で開放的で心地よい。

歌詞の英語はもちろん彼女にとっては外国語。
熱いようでいてどこかクールなのはそのせいか。

彼女の伸びやかで張りのある声と合間った繊細なピアノやギターの流れ、重厚で魂にズンズン響くようなベースのリズムが一体化して独特の空気を醸し出す。
ファーストアルバムは'80年代末発売。当時大学生の私がどんな思いでこのCDを買ったのか全く憶えていないけれど、今となっては有難い。

2012年6月17日日曜日

ふしぎな花

ついつい、鮮やかな色、配色の植物には目が留まる。
「おや?…」


やや紫がかった鮮やかなピンクの花、と思いきや
真ん中に小さな、全く異なる容姿の白い花。
寄生?と疑うくらいのふしぎな存在感。

花と思ったピンクの部分はもしや葉?
改めてよく見ると葉脈のようなものが…。

全く知識がないので
まずはこの姿を記録しておこう。

植物はゆっくりと動き、ゆっくりと環境に合わせて変化するのだから
この植物の歴史にもそれなりの秘密があるのかもしれない。
花にみせかけて実は葉だったり…なんてありそうなこと。



2012年6月16日土曜日

Elegance of a pattern tells me about…(風情ある一つの模様が教えてくれたこと)

ひと目見たときから気になっていた模様。




最初は紙袋。黒地だったが魅かれた。思わずこんな細かな柄のブラウスを想像してしまうほど上品な風情があった。そして、青紫色の外箱を見てしまったらもう気になって仕方がない。ついにその模様だけをアップに撮影。

長野県小布施町にある小布施堂、その栗鹿の子のパッケージにつかわれている模様である。

よく眺めれば眺めるほど、人の栗へのあたたかな愛情が感じられ、植物としての栗のかわいらしさ、神秘的なたたずまいが静かに伝わってくる。

ついつい調べてしまったらコチラ 発見。
小布施で栗の栽培が始まったのが1367年。 なんと以来600数拾年小布施人は栗を愛でてきたとのこと。江戸時代には幕府への献上栗として、御林守という役職者によって厳重に管理され…今に伝わるお菓子の大切な主役だったとは。この模様が私に語りかけてきたのはそういうこと?

小布施町。素敵なところ。
風情を生かしたこんな宿泊施設 もある。英語表記もあるので、異国の客人にも喜ばれているはず。

栗鹿ノ子。
栗と砂糖しかつかわれないこのお菓子の主役はまさに栗。
香り豊かな栗が、きめ細かな栗ジャムにつつまれて。
今朝はヨーグルトと共に。




2012年6月15日金曜日

Colors of leaves

4月。見かけたのは黄緑色の愛らしい葉。まるで花びらのよう。


5月。雨上がりの陽射しを受けるフレッシュグリーン。


6月。初夏のそよ風を受けて日一日と濃くなるグリーン。


緑色々。
太陽と空気を受けながら
植物は私たちの眼に映る色を変えていく。



2012年6月14日木曜日

花と出逢う夕暮れどき

夕暮れどきに歩く。
五感を解放して、先入観から自由になれる貴重な時間。

まず、紫の花穂をもつ細長い植物が風に揺れているのが見えた。
目を留めていると、犬の散歩中の男性から
「それは、桔梗草というのです」
と教えていただく。
鮮やかな紫の小さな花だった。

そして次に出逢ったのはこちらの花。



深緑の葉にまもられて艶やかに。
香りよりもその星のように咲き誇る姿が印象的。
黄色味の濃いものから白っぽいものまで。五瓣の花たち。


そして…
ふと、妖艶な甘さが鼻をくすぐる。
ほんの一瞬の香りだったが、私を振り返らせたのはこの白い花。
マグノリアのような、ジャスミンのような、妖しくも清楚な香り。


名も知らない、初めて出逢う生き物に
同じ生き物である自分の五感で対峙する。
そんな時間は、ささやかながら大切にしたい。

2012年6月13日水曜日

良く生きるために脳を知る

五感。
その情報を処理し行動へと出力しているのは脳。おびただしい数(1兆を超えるともいわれる)の神経細胞を内包する脳の仕組みを知ることは、脳を最大限生かすことにもつながる。

この仕組みを知らずして自分はアタマが悪いなどと決めつけるのは、脳に失礼。生きているかぎり、諦めてはいけない。

私が脳について強く興味を持ち始めたのは、香りを感じる嗅覚のしくみを学んだときから。嗅覚を意識する日々の中で記憶と想像力とが交錯するうちに生まれるヒラメキは、まぎれもなく脳の複雑な仕組みからであろうと推察した。

嗅覚は、生命維持、種族保存に関する本能的な中枢である「大脳辺縁系」に直結し、その情報に基づき、身体の機能調節に必要な指令が発せられるという。

*この大脳辺縁系には、記憶を司る「海馬」がある。約4000万の神経細胞からできている。そして「扁桃体」。アーモンドのような形状で、内臓感覚や五感などのすべての感覚情報が送り込まれ、感覚刺激に対して過去の体験や記憶から自分にとって有益か有害かの価値判断を行う。その判断によって快不快の情動反応を起こす。

嗅覚がこのように重要な部位に直結しているということは、それほど重要な感覚であることを示唆しているように思えてならない。

1999年、私が初めてアロマテラピーの概念を専門学校で指導しはじめたとき、脳についての解説の参考にした良書が発刊された。吉成真由美著『やわらかな脳のつくり方』(新潮社)。今は絶版となっている。吉成さんはアメリカの大学や大学院で脳科学や心理学を学んだサイエンスライター。科学的な内容が平易な表現で説明されていた。

そこで2007年に吉成さんが、脳科学者でアイオワ大学精神医学教室教授であったナンシー・アンドリアセン博士との共著でまとめた本を入手。




ナンシーさんは、脳の画像を用いた、精神疾患、特に統合失調症や脳と心の仕組みの研究の第一人者であり、PTSDの概念を世界で初めて提唱した人物でもあると紹介されている。彼女の他の著書も読んでみたい。

100ページにも満たないこの本には重要なことが書かれていた。まだまだわからないことは多いようだが、日々驚くべき発見と研究が続いているのが脳科学。
アロマテラピーを深く学びたい人は、いずれ必ず脳科学に興味を持つはず。そのときにはぜひこうした本を読んでほしいと思う。


『NHK 未来への提言 ナンシー・アンドリアセン 心を探る脳科学』
著者:ナンシー・アンドリアセン+吉成真由美
日本放送出版協会 2007年発行
p15より引用


2012年6月10日日曜日

薔薇の香りで梅雨を乗り切る

雨の土曜日。
洗濯しなければならないものはたくさん。
乾燥機はない。あっても使えないデリケートな衣類多。
そして数時間後には仕事で外出、帰宅は遅い。

そんな条件が重なってしまうと私は、ダマスクローズのローズオットーの力を借りる。

まず洗濯。
すすぎの最終段階の水がはいる時、ローズオットーを数滴、洗濯槽の水に滴下。
干しているときに洗濯物からほのかに香る薔薇。

干し終えたら、予めルームフレグランスとしてローズオットーを希釈して作り置きしているものを洗濯物付近に数回スプレー。

この状態で換気扇をオンにし、14:00頃に外出。
帰宅は深夜12:30。

玄関を開けてまず感じるのは、柔らかな薔薇の香り。
生乾きのいやなにおいはしない。
疲れて帰宅した気持ちが優雅な空気に癒された。

翌朝。熟睡とともに目覚めたら
ほんのりとまろやかな樹木のような柔らかさとともに
薔薇の残り香。
しかも…私の実感としては
起きてすぐに頭が回転してくれるのも
薔薇の香りとともに眠った翌朝ならではの現象。

ダマスクローズのローズオットーの香り成分は
研究者によると数百種もあるという。
常温自然揮発だけでも十分に香りが拡がり
時間経過とともに穏やかに変化していく。

デオドラント効果は明らかに感じる。
同時に深いリラックス効果。
紀元前から人に愛された香りのパワー。

梅雨の疲れた週末を
ストレスフリーで過ごせるのは有難い。

監修して4年目になる『パレチカ』。希少価値が高く、まだまだ知らない人も多い。だが、本当に心から香りで癒されたいと思う人、天然の花の香りの素晴らしさに触れたいと願う人には丁寧に伝え続けていきたい。



2012年6月9日土曜日

セザンヌのパレットー セザンヌ パリとプロヴァンス展より


セザンヌ パリとプロヴァンス を観てきた。

木漏れ陽がゆるやかな曲線によって陰翳を描く昼下がり。
国立新美術館の展示室の横に拡がるカフェ。









絵から感じられるのは、彼が選んだアングルの面白さ、湿度や光、柔らかさ、硬さ、匂い。そして描く対象への彼の記憶と愛着の変遷。

油彩でありながら透明感あふれるサント=ヴィクトワール山。きらめくような緑への彼の想いを感じて遠くから何度も見入っていたら、展示室でセザール自身が知人あての書簡で書いたというこんなフレーズを見つけた。

"Le vert étant une couleur des plus gaies et qui fait le plus de bien aux yeux."
(緑はもっとも快活な色のひとつであり、人の眼に良い。)

ピンクのポスターに使われている『りんごとオレンジ』。
甘酸っぱい香りが、湿った空気となって絵から漂う。

セザンヌは人の肖像も多く描いている。
その描き方の変遷が興味深い。
初期は人も風景の一部ととらえていたというが、年月を経て、妻や彼の晩年の身の回りの世話をしてくれたという庭師への心の距離感が絵に表れている。

晩年、死の直前まで絵筆を持っていたというセザンヌ。
その絶筆のパレットが展示されていた。
白の絵の具が最も多く残っていた。

6/11まで。



2012年6月8日金曜日

気分転換・消臭・虫除け…エアフレッシュナーの効果

医療資格を目指す専門学校で、植物の香りによってどんな快適性がもたらされるかを学ぶ講義を提供している。

その講義の中での実習の一つが、エア・フレッシュナー制作・使用。
柑橘系のレモン、オレンジ・スイート、グレープフルーツ、ベルガモットをはじめ、ユーカリ、ティートリー、ローズマリー、ペパーミント、ラベンダー、ゼラニウム、ジュニパーベリー、イランイラン…あたりまで精油を体感し特徴について学んだ後、これらの精油をブレンドして約1%に希釈したエア・フレッシュナーを制作、自宅での使用体験を経ての考察を学生に課した。

知識は体感することによって腑に落ちるものであり、さらに深く学びたいと思う好奇心につながる。同じような事例が複数出てくると、それはもっと詳しく検証する価値があるのではないかという研究テーマの発見にもつながる。そういう意味で、こうした実習はきわめて大切。

学生からのレポートによれば、その効用の可能性を実感できたものとして多数挙げられていたのは「気分転換」効果。
疲れているときにも一瞬嗅いだだけで次の行動に移る元気が出たり、高ぶっていた気分が落ち着いたりしたという。
さらに、玄関がさわやかな空気になったと自分が感じただけでなく家人にも喜ばれたり、犬を飼っている人はいつも感じていた犬のにおいが薄らいだ、と「消臭」効果を挙げた学生も複数いた。
そして、ある精油に蚊が嫌がる香り成分があると学んだ学生たちがつくったエア・フレッシュナー。網戸にスプレーしたらその夜はいつもはりついている虫が皆退散するところを目の当たりにしたらしく、精油によっては「虫除け」効果があることを実感したという。

「気分転換」も「消臭」も「虫除け」も、日々の快適性にとって大切なポイントであることをこの実習で改めて実感する学生も多い。せっかく活かせる嗅覚をきちんと使って、より自分にとって快適な状態を作りたいと願うモチベーションにつながればと思う。




嗅覚意識の効用

集中して仕事をしていると数時間などあっという間に過ぎてしまう。いわゆるお昼ご飯を食べる時間帯とされるタイミングを過ぎてしまうこと多々。

空腹を明確に意識するギリギリまで仕事をすすめてしまう。水は飲む。でも望んでもいない甘すぎるお菓子でごまかしたりせず、ある程度区切りがつくまで仕事をすすめ、自宅にいる場合は自分で料理したものを出来たものからいただく。そうすると、そんなにたくさん食べなくても満足できることに気付く。

必要なだけ食べる。身体が要らないものは食べない。

こうした食事の感覚。嗅覚を強く意識する生活の中で鋭くなってきた気がする。科学的根拠は?と言われてしまえば証明するのは難しいが、脳の中で嗅覚情報に直結する大脳辺縁系が生命維持のために働き、食欲などの中枢にもなっていることを学ぶと「気のせい」だけであるとは言い難くなってくる。

食べ方については、量だけではなく質に関しても改めて発見したことがある。

不自然に甘過ぎるもの、塩辛過ぎるもの、油分が多いものは避けてしまう。
そういうものを口にしてしまったときは非常に身体に負担を感じ、疲れる。

甘いお菓子は確かに美味しいものなのだろうが、私にはほんの少しで十分。フルーツであればそのままでも十分に甘く感じる。豆腐なんて丁寧につくられたものならばそのままでも豆の香りとともに美味しく食べられるし、味噌汁は昆布や鰹等ダシをきかせれば塩分はほどほどで十分。結局、精製された砂糖、塩、油をいとも簡単に摂取できるということの危機感を自分の本能から教えてもらっているような気がする。同じ理由からアルコールも気分がちょっと高揚する程度で十分。

もちろん、身体の状態によって必要量が変わることも実感している。エネルギー消費が激しい日はいつもより多く食べたくなる。女性であれば月経周期によって違うことは明らか。本能感覚に敏感になるためにも、視覚や聴覚以外にもっと嗅覚を意識し、鍛えることが大切と実感し、こうしたことこそが理想的な体型や体調づくりに必要なのではないかと思う。



2012年6月6日水曜日

ベスト・ファーザー「イエローリボン賞」オリジナルアロマ

本日夕刻。先月オープンしたばかりのコチラ にて。


日本メンズファッション協会 主催の2012年度 ベストファーザー 第31回「イエローリボン賞」発表・授賞式が開催されました。

今年の受賞者はこちらの方々。
政治部門: 達増 拓也さん (岩手県知事)
経済部門: 喜田 哲弘さん (大同生命保険株式会社 代表取締役社長)
学術・文化部門: 中村 勘九郎さん (歌舞伎役者)
芸能部門: 田辺 誠一さん (俳優)
恵 俊影さん (タレント)
スポーツ部門: 中村 俊輔さん(プロサッカー 選手 横浜F・マリノス所属)
みなさま職業人としてはもちろん、お父様として、その生き方が笑顔にもファッションにもさりげなく表れていて素敵でした。

さて、受賞者の方々に副賞として贈呈されたのが天然の香りでブレンドされたオリジナルアロマ。公益社団法人 日本アロマ環境協会 認定アロマセラピストの佐佐木景子さんがブレンド制作・監修されたそうです。清々しいベルガモット、頭をスッキリとさせるローズマリー、天高く真っ直ぐに空にのびる潔いサイプレスの香りをメインに、スパイシーなブラックペッパー、元気が漲るレモングラス…まさにこの季節、そして溌剌とした男性のイメージにも重なる香りの精油がブレンドされていて、会場で私も体感。スッキリ爽やかな香りに、夕刻なのに軽やかな気分になりました。

イエローリボンというのは国際的なシンボル。イギリスでは古来、黄色は身を守るための色とされ、アメリカに渡って「黄色いリボン」となり、「愛する人の無事を願うもの」の象徴となったそうです。ー "BEST FATHER BOOK"より。

授賞式出席者のドレスコードも、イエローのワンポイント。
仕事のご縁で出席させていただいた私は、白のブラウスにイエロースカーフをネクタイ風にゆるく結んで。こんなイベントをきっかけに日本の父親世代がますますおしゃれに素敵な人生を…願います。



2012年6月5日火曜日

ブルガリアの薔薇クイーン

6月第一週の週末といえば…
ブルガリア郊外、バラの谷といわれる一帯でのバラ祭り。

この写真は、数年前のバラ祭りのときのもの。
ブルガリアにて、ダマスクローズ栽培~ローズオットー抽出を手掛けて創業100年を超えるエニオ・ボンチェフ社社長より提供いただいたカットの一枚です。




中央にたたずむのは薔薇クイーンなのでしょう。
周りの子供達とおそろいの、淡いローズカラーのドレス。
髪には薔薇の花。
背景は薔薇を育んだブルガリアの山々。

6月といえば、花嫁になる人も多いことでしょう。
純白のドレスも素敵ですが
薔薇の季節にちなんでこんなローズカラーのドレスも素敵。

もしくは、花嫁を祝福する周囲すべての人が
胸に薔薇の花をさして…というのも綺麗かもしれません。

花嫁の髪にうっすらダマスクローズの香りが漂えば…
まさに薔薇クイーン。

参考情報
パレチカ


クレンジングの香り

メイク落とし、と一般に呼ばれるクレンジング剤。
私は自分のためには季節により、テクスチュアと香りを変えている。

たとえば…
夏はジェルタイプ、シトラス系の香り。
冬はスイートアーモンドオイルベース、普段は無香料、ひどく疲れたときにはローズオットーをブレンドして。

とはいうものの、皮膚の状態によっては夏にスイートアーモンドオイルベースやミルクタイプを使うこともある。

クレンジング方法によっては敏感な顔面の皮膚にダメージや負担を与えることになるかもしれない。強くこすったりしなくても容易に落ちることがベスト。

クレンジングをしなければならない時間帯はたいてい、疲れている。すぐにでも横になって眠りたいことも多いだろう。でも、しなければならない。しないと皮膚へのダメージはもっと多くなる。ではそれは、心地よいものでなければいけないと思う。スキンケアが義務にならないためにも、そのストレスを軽減するためにも皮膚に心地よい触感、そしてふんわり優しく漂う香りは大切なファクターであり、少なくとも私にとっては必要。
化粧水以上に、クレンジングのプロセスの心地よさは重要と感じる日々。




2012年6月3日日曜日

Hydrangea and Ladybird (アジサイとテントウムシ)

ちょうど一週間前に撮影。
私は、こんなに素敵なアジサイの姿を初めてみた。


完全に開花したアジサイより
ひとつひとつの萼からささやくように開き始める陰影たっぷりの姿。
あえて近くから、光がさほど多く入らない角度からの撮影で見えたもの。


近くから眺めた視界にはこんな小さな命もいた。


テントウムシのこども。
はっぱごと風にゆられていた。

息子が2~3歳の頃、新緑の季節には毎朝散歩のたびにこのアジサイの葉を見つけては、「アジサイさん。アジサイさん。」と指さしていた。私がそう教えたのかどうかすっかり忘れてしまったが、彼は咲いてしまったアジサイよりも「準備中」のアジサイが好きだったようだ。その可愛らしい声は今も忘れない。なんだかこの写真のおチビなテントウムシに面影を重ねてしまう。

2012年6月2日土曜日

香水と百貨店

香水を買うのは百貨店、という人も多いかもしれない。
百貨店それぞれ、香水の扱い方が違う。

百貨店の化粧品売場、といえば昔のイメージでは
色々な香水の匂いが混濁していて…と思い起こす人も多かった。

でも、先日訪れたJR大阪駅直結・三越伊勢丹は違っていた。


いわゆる化粧品の集まったフロアの空気はさほど「香水」濃度は高くない。

確かにブランドごとのカウンターを訪れるとそれぞれの香水は置いてある。
あくまでもこのフロアは、多種多様なスキンケアからメイクのための化粧品、もちろん香水も含むが総合的な女性のための「化粧品」としてのエリアであり、余裕のある空間と整然としたディスプレイが風通しよく眺められた。
さらに下に降りると、
「花・フレグランス・傘…」
と記されたフロア。
必ずしも化粧品を扱っているわけではないブランドも含めて、様々なブランドの最新香水が陳列。その一方には花。ずいぶんリッチな空間。カップルでギフトを選んでいる客もチラホラ見られ、こうしたニーズには応えているなと思う。

これまで百貨店で香水といえば、化粧品売場の中か、婦人服飾雑貨売場のゴチャゴチャした迷路のような空間をぬうように探していたのに、こちらではこんなに見晴らしよくて嬉しい。

なんとこの百貨店では、バッグと靴のためのフロアもある。
その下がようやく食料品。

女性のために幾重にもフロア数が重ねられたその上…8階だったろうか。完璧に男性のためのフロアがあった。服はもちろん、化粧品もフレグランス、雑貨も、男性好みのワインや珈琲、チョコレートも…。

かなり贅沢な空間は魅力。売場面積あたりの売上では苦戦しているかもしれない。でも大人にとっては嬉しい。肝心の品揃えはまだまだ工夫の余地ありかなと感じたものの、大阪に来た時にはまた寄ってみようと思う。



2012年6月1日金曜日

花に人の美をたとえる・Flora BY GUCCI GLAMOROUS MAGNOLIA

淡いブルーの液体。
このひとしずくと、清潔な人の皮膚が醸し出すのは
みずみずしく、柔らかな花びらのオーラ。



衣服で隠される皮膚の数か所へ。
ウエスト部分、肘、膝、足首の内側などに纏い
しばらくすると、体温でゆっくりとほのかに立ち昇る香りは
魅惑的なマグノリアやピオニー、柔らかなローズ、軽やかなフリージア。
花々を引きたてるのはシトラスとグリーンリーフの清々しさ。



花と光と風薫る…春から初夏への最新フレグランス
にてご紹介したフレグランス。

モナコに嫁いだグレース・ケリーは、クール・ビューティーといわれた物静かな優雅さをたたえた女性。このシックなスタイルにインスパイアされてつくられたのがグッチの「フローラ」プリント。
このエレガントな手描きのタッチからは、たとえばグレース公妃、といった人の精神と物腰が醸し出す美が花にたとえられているように感じます。

仕事のご縁でいただいたこの香り。多忙で我を忘れがちな時こそ力になってくれる気がしました。さっそく試したところ、トラブルが発生してもイライラすることもなく、ごく自然にふるまうことができました。そして夜。疲労困憊しているはずの時間帯に、ごくほのかにこの香りのラストノートが私の呼吸に柔らかく届き、笑顔で帰路につけたように思います。