2011年4月30日土曜日

手製本だからこそ…の美篶ノート・Handmade notebooks by Misuzudo

I met notebooks by Misuzudo 8 years ago. I bought many of them, wrote on them,and keep all of them.These notebooks written on by me and only for me are now my treasures.These look like precious BOOKS I want to read many times in my lifetime.

美篶堂のノートに出逢って8年。これまで購入し、書き込んだノートで捨てたものは一冊もない。大切なメモやアイディアなど、自分しか読み返さない内容を閉じ込めたノート…はいつの間にか私にとって生涯何度も読み返したくなる本のような存在になっていた。






上の写真の3冊はすべて8年前に購入したもの。下からみすずノート小口染め、その上に2冊のA6横型ノート。ともに美篶堂の定番である。私はこれらのノートのおかげで様々な香り(キャンドル、フレグランス、トリートメント用等のブレンド)を考えることができた。





2番目の写真に写っているノートは自分だけでなく友人にも何度かプレゼントした。奥の3冊は文庫本よりやや小さいサイズのリサイクルノート(リサイクル紙を使用)、手前の2冊は手のひらサイズで一枚ずつ切り離せる。趣き豊かなテキスタイルで端正につつまれたノートは、スペースをとらずメモできた。幾たび重要な講演や打ち合わせのメモに用いたことだろう。すでに出版され、活字となってしまった言葉にはないライブな真実の言葉を数多く書き込むことができたことを嬉しく思う。

この美篶堂御茶ノ水ショップに併設されていたギャラリーについては次回のブログで綴りたい。


2011年4月28日木曜日

美篶堂に感謝を込めて・1 (端正な手製本との出逢い)

美篶堂の店主、上島明子さんに会いに出かけたのは今週火曜日。新緑のまぶしい湯島聖堂の木々を眺めながら、約8年間和みの場として通った美篶堂ギャラリーで明子さんと珈琲をいただきました。

明子さんとの出逢いは2003年5月。リビングデザインセンターOZONEでの催事会場にて。ひときわ澄んだ優しい声で「これはみすずノート、こちらは…」と色とりどりの商品を前に説明されていました。

丁寧につくられたものというのは、その清々しい佇まいで静かに使い手との出逢いを待つのでしょう。私はひと目で魅かれて手にとりました。布張りの端正な本、新しい紙の匂い、整った小口にうっすらと流れる線。

たとえ走り書きのメモで自分にしか読めない文字であっても、このノートに綴っておけば一生私の宝物になる…そんな予感は的中。その後8年に渡り私は大切なことをメモするためのノートとして何冊も美篶堂のノートを入手しました。ゲランの調香師、ジャン=ポール・ゲラン氏、数々のフレグランスボトルをデザインしたピエール・ディナン氏等の来日講演でのメモにはじまり、アロマブレンド考案メモも美篶堂ノートにおさめられています。これからも愛用し続けるでしょう。

2003年秋に御茶ノ水のショップがオープンしたときのことを、当時の私のコラム「手製本」でも綴っています。

8年目の初夏、5月5日をもって御茶ノ水の美篶堂ギャラリー&ショップはクローズされます。美篶堂さんのサイト上で明子さんもご挨拶されていますが、あと1週間、多くの方が新緑の中に佇むこの一角に立ち寄られますように。


2011年4月26日火曜日

光の軌跡を香る空気の中で… "as it should be" RITSUE MISHIMA

知人である調香師の女性より、その方が空間演出に携わられたという展覧会をご案内いただいた。場所は日本最古のギャラリーといわれる資生堂ギャラリー。
「あるべきようわ 三嶋りつ惠展」"as it should be" RITSUE MISHIMA は、まさに新緑の季節にふさわしい。

光も風も、水の流れも速すぎて、実は輝くような一瞬一瞬のかたちをあるがままに見つめることは難しい。その「あるべき」かたちを透明なガラスの曲面で見つめることができた。

薄暗い階段を降りていく。どこか清々しい空気が漂う。神聖な場所に降りたと感じたとたん出会うかたち。うっすらと射し込む光が柔らかくかたちを映し出す。歩くたびに穏やかに流れる風とともに感じる気配。静かにゆっくりと知覚される、様々な動きの一瞬。

ある場所でふと、私がかつて「透明感」というイメージの形容詞がわりに用いた天然香料の香りに出会う。ああやはり。名前はあえて書かない。ギャラリーを訪れた人のお楽しみのために。

私に見えた輪郭は、私の目がとらえた光の軌跡。
深く、ゆっくりと呼吸したくなるような空気の中で。




2011年4月24日日曜日

"Different" は褒め言葉・「ファッション・ビジネス」のこれから

桑沢デザイン研究所STRAMD第9回土曜特別公開講座「ファッション・ビジネスにみる価値創造の"これまで"と"これから"」を受講。講師はIFI(財団法人ファッション産業人材育成機構)ビジネススクール前学長で、1968年に『ファッション・ビジネスの世界』を翻訳、日本に初めて「ファッション・ビジネス」の言葉と概念を紹介した尾原蓉子氏。16才で米国留学されてからこれまでのみずみずしい感動体験をたくさん分けていただいたような気持ちで満たされた。特に印象的だったお話を4点抽出し、それぞれの☆以降に私個人のコメントを記しておきたい。

1,船で感じた地球のかたちと自立心
…14日かけてシアトルに。船上で日本が線になり点になりついに消えたとき、「地球が球である」という再認識と「家族からは完全に離れたところにきた自分が頼れるのは自分しかない」という覚悟を実感された。…☆地平線から立っている地の曲面を体感できる感性は素敵。私も生まれて初めて海外(フランス)に渡ったときはたった一人。やはり初めて誰にも頼れないことを覚悟したと共感。困難を想像できる未体験に挑戦してこそ人は強くもなれる。ファッション業界のこれからを託す学生にはぜひチャレンジ精神を、と改めて思う。

2,"Different"は褒め言葉
…米国では周囲からよく自分の着ているものを"That's so different!"と言われて当惑したが実はそれは最高の褒め言葉であると知り驚く。…☆私自身も中学時代に人と違う意見や行動というだけで敵視された経験があったので、16才の尾原さんが国による受け取り方の違いに衝撃を受けられた感覚は想像できる。違うということは特別の価値があるからこそ恐れられもすれば褒められもするのではないか。これほど情報過多な現代、「他とは違う」ものは特定の人達の感性を必ず刺激する。そうした感性に届くような告知方法とともに、新たな市場を形成していくプロセスそのものをデザインすることがこれからのファッションに求められるのではないかと思う。なお、違うということは偏屈や天邪鬼を指すのではなく、これまでと同じでなくてもよいのだと気付くことから始まるようにも感じる。

3,「モード」と「ファッション」は違う意味
…「モード」はパリから入ってきた高級オートクチュール、「ファッション」は大衆向けのもの…という暗黙の区別があったとのこと。…☆前者は仏語、後者は英語で本来同意であるのに、特に当時(1960年代)における服飾文化のイメージには地域によって圧倒的な違いがあったことを実感。この二種の言葉のうち、確かにいまや英語のほうがよく使われているようだが、これから本気で服飾文化を背景から学んで未来に向かいたい学生には、フランス語も勉強してほしい、興味を持ってほしいと願う。

4,ファッションは「変化のビジネス」
…尾原さんがアメリカで学ばれた考え方のひとつ。ファッションは「変化のビジネス」であり、唯一変化しないことがあるとしたらこれが「変化し続ける」ことである、ということ。…☆そもそもファッションの意味は流行であり、その時代ごとを映すものであるから然り。今考えていることも実はもう古い。未来は今の無意識の中にある。時が流れると人も景色も変わる。今日素敵と思ったものが明日はそう思わなくなるという現実に敏感になるには、日々の空気感に敏感になることだろう。嗅覚を鍛える、香りを意識することはまさにこれを日々実感することではないか。

「これから」を考えるには「これまで」を知ることは大切と改めて感じる。昨年自らが連載する雑誌で書評を書いた本をもう一度読み直したくなった。服飾史家である中野香織さんの著書「モードとエロスと資本」である。母校のフランス人教授がこう語っていたのを思い起こす。「歴史を学ぶということは、今の状態が当たり前に存在しているわけではない、ということを知るためです」と。




2011年4月23日土曜日

りんごのしずく(秋映・シナノゴールド・シナノスイート)

バラ科の植物、りんご。

大好きなりんごのストレートジュース。濃縮果汁還元ではなく、搾ったままのストレート。それだけでもそのフレッシュな香りと味わいに期待してしまいます。縁あって信州の3種りんごそれぞれのストレートジュースを味わうことができました。いずれも甘味と酸味のバランスがとれた上品なフルーツテイストであることは共通していますが…その上で、まずは予備知識を入れないうちに私の主観(五感)で感じたことを書いてみます。


まずは秋映(あきばえ)。
きっと皮ごとジュースにされているのでしょう。ほのかにピンク色。口にふくむとああ懐かしい、やさしいすりおろしりんごの味。香りの印象は「ノスタルジック・マイルド」。人に例えるならば、一緒にいて心落ち着く穏やかな声と言葉の持ち主。

次にシナノゴールド。
淡い黄金のしずく。芳醇です。かすかに梨のような香りに始まるとろみを感じさせるような味わいから一瞬、多種のフルーツが盛り合されたフルーツバスケットを想像。後味にふわりと残る余韻から清純な花の香りも感じられ…まさに「ルミナス・インプレッション」。一度目が合うと忘れられないオーラを感じさせる、気品に満ちた人。

最後にシナノスイート。
淡黄色にほんのりピンクが入った少女の肌のよう。フレッシュな甘さが初々しく感じられて、名称に「スイート」が入っているのも納得。ふわりと新鮮なピーチの香りがよぎる愛らしさ。甘さと爽やかさと可愛らしさのバランスが絶妙なこの香りは「ラブリー・タイム」。人生の中で幾たびか訪れる貴重な時間。そしてそこに存在する人。

…などとまずは私の五感と想像の世界から表現してみましたが、これらのりんごはそれぞれのルーツを持っています。

秋映は、「千秋」と「つがる」から。
シナノゴールドは、「ゴールデンデリシャス」と「千秋」から。
シナノスイートは、「ふじ」と「つがる」から。

バラもそうですが、香り高いものに対するヒトの執着と努力は素晴らしいと思います。こんなにも多品種を作り出してしまうのですから。


2011年4月22日金曜日

交響曲第9番(ベートーヴェン)・歓喜は苦難の中に

今日、演奏会に出掛けた。春のこの時期に第九を聴くのは3回目。

ベートーヴェン(1770~1827)の交響曲第9番(初演は1824年5月7日ウィーンにて)といえば第4楽章の合唱が有名だが、私はそこに至る第1~第3楽章が特に好きであり、この流れがあってこそ「歓喜」の合唱につながる、と聴くたびに思う。


私は高校時代に2年続けて第九の合唱にソプラノとして参加した。その息子が志望し入学した高校では、毎春プロのオーケストラ&ソリストと共に在校生がコーラス参加する「第九演奏会」が実施され、保護者は招待される。高校時代には年末に歌っていた第九を春に聴く…何かそのほうが私の心にしみとおってきたのは、厳しい冬を乗り越えて迎えた後だからかもしれない。

第1~3楽章を目を閉じて聴いていると、私は様々な情景を想像する。きらめく朝の光や水の流れ、そよ風や鳥のさえずりばかりではない。不安の立ち込めた空気の中に次々と襲いかかる出来事…でも朝がくるとまたいつものように歩いていく…束の間の笑顔の後の悲しみ、迷い…
そして、第4楽章のバリトンのソリストが最初に歌うドイツ語の意味は
「おお 友よ、この調べではない!もっと快い、喜びに満ちた調べに、ともに声を合わせよう」。
この部分のみベートーヴェン本人の作詞であるという。後にシラーの詩が続く。

この曲を聴覚なしで作曲したベートーヴェンの、苦難の中に時々きらりと幻のように見える歓喜への思いを感じ、聴くたびにいつもうっすらと涙する。苦難の中にこそ歓喜は見える。そういえば、「喜び」という意味の名前 "JOY" というフレグランスがフランスのジャン・パトゥから発売されたのも1929年、世界的に大不況の只中だった。

参考文献:
「ベートーヴェン作曲/交響曲第9番 第4楽章 "合唱"」
編著(株)河合楽器製作所・出版部

2011年4月20日水曜日

ローズマリーの香りから…元気と若さと記憶力

"invigorating"…「元気づける、心身を爽快にする」という意味の英語。この名のブレンド精油を使ったことがあります。リフレッシュ感に溢れたこの香りにはローズマリー精油もブレンドされていました。低血圧で朝ボーッとしがちな私も、ローズマリーの香りを嗅ぐと身体がシャキッとして脳が冴えてくる気がします。この体験から、頭の回転をよくするために血行を良くすることって大切だなあと実感したものです。

ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」第4幕第5場でオフィーリアがローズマリーの小枝を手に、ハムレットにこんな言葉をかけるシーンがあります。
「これがローズマリー、ものを忘れないようにする花…」

文献で調べた結果、このシソ科のハーブは薬用植物として古代のエジプト~ギリシャ・ローマ時代から活用されてきたようですが、集中力や記憶力との関連性も見出されてきたようです。確かに、物忘れが多くなった…としょげていた人に朝室内に焚く香りとして勧めたところ、まず気分が良くなりシャキシャキ行動できるようになったと喜ばれたこともありました。

ローズマリーは、その芳香成分のみを水蒸気蒸留法で抽出した精油の価値はもちろん、葉そのものの存在も素敵。濃い緑の細い葉がフッサリと密集した小枝は見た目もすがすがしく、こんなふうに一輪挿しにして飾りながら育てるのも楽しいのです。




料理用に販売されているローズマリーの小枝を、毎日水を取りかえ、適度に日光にあてて(高温多湿の場所は避ける)置くと白い根が出てくることがあります。ある程度出てきたらハーブ用の土に植え替えて増やすことができそうです。
肉料理としては、例えばチキンやポークにオリーブオイル、塩とこの葉を少々散らし焼いたり煮たりすれば、肉独特の臭みが消えるばかりかフレッシュで食欲をそそる香りも楽しめます。

私のアロマトリートメントのお客様には施術前の足浴湯に、よくこのローズマリーの小枝を1本入れていました。清々しい香りとともにひときわ温まったと喜ばれたものです。中世ヨーロッパの僧院医学のエピソードとして、後に「若返りの水」と呼ばれたローズマリー主成分のハンガリアンウォーターが伝えられていますが、これが老いた王妃の手足の痛みばかりか皮膚の状態も改善させたということから、ローズマリーのお風呂も疲労回復と美容に良さそうです。

精油は強くてインパクトのある香りです。適量で香らせれば森林浴のような清々しさを提供してくれるでしょう。ですがフランスの医師兼アロマテラピー研究家であったジャン・バルネ氏によるとてんかん症の人には大量使用しないようにとのこと。極少量用いると痙攣を鎮め、多すぎると刺激が強すぎて発作を引き起こす可能性もあるそうです。程よく香らせて、日々若々しい気分で過ごしたいものです。


参考文献:

「スピリットとアロマテラピー」
ガブリエル・モージェイ 著/前田久仁子 訳
フレグランスジャーナル社 発行

「アロマテラピー検定テキスト2級」
社団法人 日本アロマ環境協会 発行

「アロマテラピー実践辞典」
モニカ・ヴェルナー 著/林真一郎 監修
畑澤裕子 訳/(株)東京堂出版 発行





2011年4月19日火曜日

眠っていたものを意識した翌日、あるブログを読んで腑に落ちる

昨日、地震でいつ止まるかわからない新幹線の中で改めて意識したことがあった。自分にはまもるべき人物があり、たとえ当のその人物から嫌われようともどう思われようと(忘れ去られることも含む)、取り続けなくてはいけない行動の責任を感じるという意識。

その意識の背景をゆうべずっと考えていた。そして思い至ったのは、生き物としての本能的なものかもしれないということ。少なくとも自分よりもずっと若く自分より長く生きるであろう同じヒトという種がその生命のパワーを発揮しないうちに散ることがないように、と。わかりやすい対象の筆頭は我が子。

同時に自分は何故今この職業に、と考えた。香りはヒトがより良く生きるために不可欠という、ゆるぎない信念がいつしか自分の中に育っていた。20代の頃からそんなものは贅沢だ、不要だ、おせっかいだと思われようが、マイノリティと言われようがこの仕事を続けているのはそこに起因していたのかと。

そんなことをぼんやり考えながら、日頃から愛読している服飾史家の中野香織さんのブログを読んだ。一回読んだだけで私にはタイムリーな共感が満ちてきて、予定外にこのようにブログまで書き始めてしまった。

4/17中野香織さんのブログタイトルは
ー真の強さを引き出す、「あなたなしでは生きてゆけない」ー

私が目を引きつけられた文章は、ブログの中で中野さんが引用されている内田樹氏のお言葉。
「自分をほんとうに強めたいと思うなら、限界を超えて強めたいと思うなら、『私は誰かの支援なしには生きられない』『私の支援なしには生きられない人がいる』という二重の拘束のうちに身を置く必要がある」

引用してくださった中野さんの視点に感謝したい。昨日から考えていたことが何か腑に落ちた気がする。私には自分を強めたいという確たる意識があったわけではないけれど、この二重の拘束に常に身を置いて生きている自覚はある。その答えが今の職業なのであるとしたら、ひたすらセンサーを研ぎ澄ませて邁進するのみ。


2011年4月17日日曜日

イディールのボトル・記憶に残る曲線美

身近に「車はシトロエンが好き」という人物がいます。彼から昨日見せられたミラノサローネ2011に出展のシトロエンプロトタイプ画像に一瞬、目を奪われました。UFOというタイトルも不要な位の存在感。この曲線のタッチ、どこかで見たことが…と思っていたらデザイナー名を知って腑に落ちました。

オラ・イト。2009年秋に日本でも発売されたゲランのフレグランス、イディール(IDYLLE)のボトルデザイナー。

何ともロマンティックな香りでした。絶妙なタイミングで陥る恋とはこういう気分かもしれませんね。想像力で脚色された実像と自分との空間に漂う空気が一瞬変わり、忘れられない記憶となる…あるいは心に秘めていた想い人から花束を差し出されたときの戸惑うような嬉しさ。そういうとき、女性は花のように光り輝くのではないかと思うのですが、まさにそんな女性を私もすぐにイメージしました。当時の大学での香水鑑賞会でも20代前半の女性たちに、改めて女性美を感じたと好評だったことを憶えています。

"IDYLLE"とは「純愛、ほのかな恋」を表すフランス語。
神話の中で、幽閉された美しいダナエを愛したゼウスが黄金の雨に姿を変えて
忍び込み、その雨を受けた彼女は受胎する…そんなエピソードにインスパイアされたというこのフレグランスは、恋する全ての女性に捧げられています。さて、そのボトル。黄金の雨の雫のようでもあり、喜びを映す女性の涙のようでもあります。流れるような曲線、そのものが女性を表現しているかのようですね。









どう見えるかなんて自由です。でもこのボトルは、初めて見たときから私には忘れられないフォルムとなり、繊細なラブストーリーを予感させる香りの一つのアイコンとして記憶されています。その証拠に入手直後に上記のように撮影してしまったのですから。

デザイナー、オラ・イトのWebサイトはこちら


香りへの意識調査より・香りと若々しさの関係は?

昨日、友人からこんなニュースがあると教えていただきました。
「香りを意識する女性、少数派だが「5歳若く見える」−女性400名の意識調査」…確かにこれまで日本に暮らしてきて、自分のように「香り」を表現の優先上位に置くタイプは、まだまだそんなに多数派ではないと思ってはいましたが…興味深い内容です。

私はこの分野の科学研究者ではありませんが、この記事についてコメントしてみたいと思います。幼少期から誰に教わるわけでもなくフレグランスを好んで使用し始めた私は、香水やアロマテラピーについて学び、美観・ファッション・リラクセーションに活かす仕事に携わっています。

香りにまで気を配る人は少ない、ということですが、確かに人の情報の大半は視覚からと言われているので、とりあえず見た目を綺麗にすることを重視しようとするのでしょう。特に清潔感を始め身綺麗にしようとすることは大切です。見た目情報は記号としてもわかりやすく、見せ方ノウハウ情報も豊富にありますよね。そちらに重きを置くことが優先されるのかもしれません。

ただ、魅力というのは実はそれだけではなく、自分が鏡で見たように他人は見てくれません。自分では全然似ていないと思っている芸能人に似ているなどと言われてビックリすることはありませんか?おそらく、誰でも「好ましいと思うイメージ」というものを独自に持っていて、そのイメージを見えたものから感じるとプラスその人なりの想像力を発揮して好感度をはかるのではないだろうかと思います。イメージとの合致。想像力。実はこれらが、不意に遭遇した香りに強く影響を受けて記憶に残る要因ではないかと私は感じています。すれ違ったときのほのかな香りで魅きつけられたという経験はないでしょうか。

見た目だけでなく、自分が発するにおい、香りに気をつかうということは、日々心地良い香りを探求するライフスタイルにもつながります。その過程で香りによって気分よくストレスも軽減させていられるとしたら、やはり内臓の鏡といわれる皮膚への負荷が軽減するのでしょうね。嗅覚は、脳の中でも身体の調子を無意識のうちに整えようとする部位に直結していますから。

若々しい、ということで言えば、香り以前に常に…今の自分を少しでもより良い状態で…と身だしなみに気を配る人は気分から若々しいようです。このような気遣いイコール脳をフル回転させることになりますし。フレグランス使用率もファッションに人一倍こだわる人に高いようです。以前仕事でお話をうかがった某アパレル会社社長さんも「できるものなら我が社のブランドの香水を開発したい。何故ならば、香りは美の究極だから。」とおっしゃっていたことも思い返します。

2011年4月16日土曜日

モヒートは夏の香り・ミント&ライムのベースはラム

ミントつながりで思い起こしたカクテル、モヒート。
初めていただいたのは夏の夕暮れでした。
暑さに疲れた身体に束の間の涼風を送ってくれたこのカクテルは、キューバが発祥。サトウキビを原料とする蒸留酒、ラムをベースとしています。

ミントの葉とフレッシュライムジュースにシロップを加え、軽くすりつぶしてからラムとソーダ水を注いでステア(かき混ぜる)して作られます。淡いグリーンカラーが涼感をプラス。

ミントは、ペパーミントあるいはスペアミント。ピリッとメントールの効いたペパーミントよりもマイルドな香りのスペアミントが使われることも多いようです。私が見たことのあるバーテンダーさんはスペアミントを使用されていました。どちらもそれなりに美味しいのではないかと思いますし、ペパー&スペアのブレンドも試してみたい気分になります。ミントの葉をつぶすときにあまり強い力をかけてしまうと苦味エグミも出てしまうので要注意、とはいうもののワイルドに飲みたい人はそんなことなどお構いなしなのかもしれません。パイレーツが好んだという話も聞いたことがありますし。

ミントと共に欠かせないのがライム。緑のみずみずしさにクールな青い風がそよぐようなイメージを彷彿とさせます。ベースのラムも香り高くアルコール度数も高く…一陣の風とともに身体に染み渡るスピリットのあたたかさが、夏の身体を癒してくれそうです。

3年前の夏、このモヒートにインスピレーションを得て商品開発された美味しいソフトドリンクがありました。その名は「水出しミント ジュレップソーダ」。
キリンの「世界のキッチンから」シリーズのひとつ。期間限定でしたからその期間中は何度も買って美味しくいただきました。モヒートのレシピ通りではありませんが、盛夏真っ只中、アルコールの飲めない人にもモヒートの雰囲気を味わえるように工夫された飲み物でした。

この飲み物が発売された2008年夏の車内広告をこちら「世界のキッチンから・これまでの広告」の中でご覧いただくことができます。淡いグリーンの涼し気なカラーの広告はこの商品のみです。



2011年4月15日金曜日

ペパーミント・爽やかな涼風と回復のイメージ

我が家には特にピンチのときにはなにかとペパーミント精油にお世話になっている人物がいます。彼は4才からサッカーを始め、今年で14年目。これまで体操、水泳、スキーなどもそれなりに楽しんできましたがずっと続けているのはサッカー。楽しいから、といってハードな練習にも幾たびの怪我にもめげずジュニア~ クラブチームから高校部活まで続けています。

そんな彼はケアの一つとして私によくアロマトリートメントをリクエストします。足の疲れの回復によく使用するのはペパーミント精油。昨夜も練習後に足がじんじん重いというので足浴後、ペパーミント精油1%希釈(ベースはスイートアーモンドオイル)でパンパンの足裏からふくらはぎ、腫れぼったい甲からスネ周辺まで手のひらを密着させて塗布しました。途中から眠りかけていましたが、水分補給をした後は熟睡。翌朝「すっきり!足軽くなった。」と元気顔。

彼が5才のとき、疲れで風邪気味なのと食べ過ぎのせいなのか嘔吐で苦しんだことがありました。吐く行為自体も辛そうでしたが周辺が汚れるのも辛そうなので消臭とリフレッシュのためにと、私はペパーミント精油を含ませた水で絞ったタオルで汚れを拭き取っていたのです。すると「なんだかいいにおい、楽になってきた」と呟く声。その後その部屋を芳香拡散器でペパーミントを淡く香らせたところスヤスヤ眠り発汗。水分補給にペパーミントのハーブティーを大人が飲むよりかなり薄めにいれて勧めたところ嫌がらず飲み、翌日は普通の食事がとれるようになったのです。

小学生のとき。夏の暑い日に練習でクタクタになって帰るやいなや、私に「クールバスクリンみたいな感じのお風呂にして」とリクエスト。ペパーミント精油中心のブレンドのバスソルトを作ったことを思い返します。彼の好きな精油はラベンダー、カモミール、レモングラス、ローズオットーなど他にもたくさんありますが、胃腸の不調や足の疲れの回復にはとりわけペパーミントにお世話になってきたと思います。

海外のホテルでは、部屋にペパーミントティーのティーバッグが設置されていることもあると聞きます。旅先で不慣れな時間の中で緊張した胃腸をリラックスさせてくれるとしたら嬉しい心遣い。ミントと一口に言っても様々な種類がある中、ペパーミントはペパー(胡椒)の名の通りシャープな清涼感が印象的。鼻づまりで辛いときにも風のように通り抜けていくような頼もしさ。一時の涼感とともに疲れを回復させてくれるイメージはこの夏も重宝しそうです。



2011年4月13日水曜日

「アロマリフレッシャー エチケットC. ミント」・夏に向けて

初夏に向けて新緑の眺めが楽しみになる一方、この夏は電力不足の中猛暑をいかに乗り切るかを考え始めている人も多いはず。そんな日本の人たちに、心強い味方の一つになりそうな新商品を発見。衣服などの臭いを抑える消臭スプレー、「アロマリフレッシャー エチケットC .ミント」が来月5月6日、ポーラから発売されるという。今朝の日本経済新聞朝刊で発見したので追ってネットでも記事を探してみた。

配合される「カキタンニン」からは、加齢臭対策の柿渋石鹸を思い起こす。
消臭するだけでなく、ペパーミント、ローズマリー、シトロネラなど天然精油10種も配合されて清涼感のある香りの余韻も楽しめるというのが嬉しい。実際私は、担当するアロマテラピー講義の中で毎年5月にこうした精油を用いたエアフレッシュナー制作実習を行っている。梅雨に向かうこの時期、一吹きで空気をリフレッシュできるスプレーのおかげで爽やかに過ごせたという声をよく聞いている。

この商品は、皮膚に使用するのではなく、衣服やカーテンなどに吹きかけて使うもの。こうした商品はこれまでも使ったことがあるが、ホテルに泊まったときには本当に有難く感じた。夜のうちにスプレーしておくと朝にはかなり臭いがとれていて嬉しかった。飲食店での食べ物のにおいやタバコのにおいがコートや上着についてしまうと実に厄介。その臭いがついたものを着てしまうと、どんなに自分が清潔でフレグランスでいい感じに香っていても無意味なのだ。

ポーラといえば日本の誇る化粧品会社の一つ。ロングセラーのフレグランスもあるときく。箱根のポーラ美術館には私も数回訪れ、その企業としての美意識にも好感を寄せている。こうした企業が天然精油10種をバランスよくブレンドし、ほのかに香る爽やかな夏の風を再現してくれたとしたら…と期待。数種の配合精油のうち、ネーミングに「 ミント」を使用しているところにも、たとえ衣服を着る本人がフレグランスを纏っていたとしてもそれを邪魔しないさりげない爽やかさが感じられて好印象。

2011年4月10日日曜日

不意に桜の香り…一瞬のタイムスリップ

良く晴れた日曜。私は早朝から東京の自宅を出発、電車で神奈川、埼玉を通り、ふたたび東京に戻ってきた。電車内から見えるあちこちの桜。今日がこの地域一帯における、この花のピークと感じた。

様々な桜をあれほど見ても感じなかったある衝動に不意打ちされたのは昼下がり、とある小学校の校庭の前を通りかかったときのこと。何本も並んだ大きな桜の木の上で花が今を盛りと咲き誇り、穏やかな風に揺られて少しずつ花びらを舞わせていた。「ああ、綺麗。」と意識するより前に、呼吸とともに届いた感覚は私の脳裏に一つのシーンを描く。




広々とした庭に向けて開け放たれた平屋の木の建物。
幾重もの衣を纏った長い髪の女性。
衣擦れのかすかな音。
ゆっくりとした人の動作。
花びらの流れで見える微風。


想像上の…昔の日本のどこか?
現代の風景ではないと思うのに、なぜ日本と思えるのかはわからない。
いにしえの時代にほんの一瞬、タイムスリップした。
数日前、知人がつぶやいていた歌を思い起こす。

世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

この歌は平安時代の歌人、在原業平によるもの。…この世に桜がなかったならばどんなに春の心は穏やかでいられるだろうか、いや、あるからこそこんなにも心が騒ぎ、浮き立つのだろう…。桜の花の満開が花吹雪となってこぼれ落ちるか落ちないかのある一時、ふわりと舞う香りは、こんなふうに平安時代の人の心を騒がせたのだろうか。

2011年4月9日土曜日

職業名・たとえば調香師の場合

20年位前に買った単行本サイズの「香水」。昭和40(1965)年初版のこの本は貴重な写真もエピソードも多く盛り込まれた私の宝物の一つです。著者は堅田道久(1919~1992)という、香りの道ひとすじ35年を生きた男性。東京大学農学部卒業後、資生堂入社。南仏グラースの香料会社に約2年間留学、パフューマーのジャン・カール氏に師事。フランス、イギリスおよびアメリカの香料技術者協会の正会員となり、パリとニューヨークにおいて「香道」について講演…本の奥付に記されたこのような経歴を見て迷わずその内容を読みたいと入手したことを憶えています。

上記の経歴には、卒業された大学や勤務された会社、どこで何を誰のもとで修行したか、具体的な仕事実績(講演など)が記されただけであり、その職業名を一言で表現したような名称は見当たりません。

この本の50~51pに「調香師という名のいわれ」という見出しで興味深いエピソードが綴られています。NHKテレビ「みんなの職業」という週末の主婦向け番組に堅田氏が出演されることになったとき、プロデューサーから「先生のご職業を何とお呼びしたらよいでしょうか」と尋ねられたそうです。どんな職業かをある一定の文章量で説明することはできても、一言でわかりやすく言い表すとなるとなかなか難しく…堅田氏からはまず調香技術者、調香家、調香研究者といった名称を提案したものの、プロデューサーからは「…どれもあまりサッソウとした名前とはいえませんね…」との反応。堅田氏は外国語から、コンパウンダー、パフューマーの2語も提案。香りに調和を保つように配合されたものをコンパウンドというのでそれを行う人間としてコンパウンダー、パフューマーは文字通り芳香をつくる人、香りの創作、調香をする人を示すと説明をつけて。プロデューサーの反応は受け手感覚で正直です。コンパウンダーはなんとなくボクシング用語みたいでピンとこないし、…と難航。

そんな中プロデューサーがこんな独り言を言ったそうです。
「調香の先生ですから、調香師ではどうですか。…」
パフューマーという名称も無難とのことで候補に挙がっていたそうですが、結局堅田氏が出演されたとき、アナウンサーからは「本日の調香師は…」と紹介され
これが日本で呼ばれた「調香師」第一号になったとのこと。この本の中でも特に忘れられないエピソードです。漢字でのバランスもとれた呼びやすい名称はテレビ放映がきっかけなのでした。

参考文献
カラーブックス827) 香水
著者: 堅田道久
発行: 株式会社 保育社

2011年4月7日木曜日

オレンジ・スイートの香り(安・暖・甘)

今私の手元にシシリー産オレンジ・スイート精油があります。
オレンジ色の果皮から得られる精油です。
一滴をコットンに含ませて、拡がる香りを軽く吸い込みました。

無駄な力が抜けていく、まさにリラックスを感じさせる安心感。
ふんわり暖かい空気に包まれたような心地良さ。
甘くジューシーな美味しさを想像。
安・暖・甘のイメージです。

レモンと同じく、アロマテラピー初心者に好まれるオレンジ・スイートの香りは、「甘くて美味しそう」というイメージのせいか比較的小さな子供にも好かれるようです。なんといっても子供が好きな甘いものには糖分という栄養がありますから。大人でも、疲れたときにこの香りをかぐとほっとしてお腹が空いてきたりするようです。

オレンジ色の果皮をもつ柑橘類はたくさんあります。果実はどれもそれぞれに美味しく甘く、独特の芳香があります。私は秋から冬にかけていわゆる温州蜜柑はもちろん、たんかん、伊予柑、カリフォルニア産オレンジなど色々な種類を美味しくいただいています。伊予柑の香りに近いのはオレンジ・スイート精油よりマンダリン精油かもしれませんね。ちょうど今週は清見オレンジをいただきました。3月に取り寄せて果皮を乾燥させ、今でもほのかなその香りを楽しんでいるブラッドオレンジ…オレンジピールにしてチョコレートと共に頂こうかなどと思案中。

最近オレンジ精油が洗剤によく配合されるようになりました。油汚れをよく落とすからとのこと。でもあまり頻繁に洗剤でこの香りを使ってばかりいると、せっかくのリラックスイメージが、家事や掃除のお仕事イメージになってしまうのが残念。時々ならば、お掃除タイム自体をリラックスムードにしてくれるとは思いますが。香りとの程よい距離感、大切です。いつも新鮮な気持ちで香りと向き合うためにも、旬の香り、自分のその時ごとに選んだ香りを使うことを大切にしたいもの。今夜はこのブログを書いている途中に地震を感じましたが、落ち着いて対処できました。いつ地震が来るかわかりませんが…束の間でも香りのおかげでゆっくりと安眠できるような気がします。

2011年4月6日水曜日

サルヴァトーレ フェラガモ インカント ブルーム・きらめく春風さながらに

4月を迎え、新入社員ふうの人たちのスーツ姿をよく見かけます。
初々しさとぎこちなさ。黒をはじめとするダークカラーが圧倒的に多いのですが、きちんとした中にも明るくフレッシュな印象が漂う新鮮さは大切。

青い空と白い雲。満開の桜からこぼれるピンク色。
初々しい人たちと春の光を浴びてきらめくカラーをながめていたら、昨春デビューのフレグランスのパッケージと香りを思い起こしました。
サルヴァトーレ フェラガモ インカント ブルーム。
香調はフローラル・フルーティー。清潔感と透明感が通り抜けていく春風さながらに…フレッシュな甘さから次第にシックな女性らしさへと変化するこの香りは、この春初めてフレグランスを使うという10代後半から20代の女性にもお勧めです。私自身もハンカチに含ませてバッグに入れて楽しんでいる香りの一つでもあります。
咲き始めの花が光を浴びて開花する…そんなイメージは4月のフレッシュな人たちに似合いそうです。ダークカラーのスーツからのぞく光沢のある白ブラウスに緊張しがちな顔の表情が明るく反射、唇の淡いピンク色にも映えて…笑顔の挨拶とともにすれちがった瞬間、ふわりとこの香りが舞ったとしたらきっと素敵でしょう。

オーデトワレ発売から約一年、今春3月にはソリッドパフュームもデビューしました。先月3月23日のブログでもその発刊をご紹介した"PARFUM春号(157号)"に、このソリッドパフュームが「そよ風のように舞う香り」として掲載されています。

2011年4月5日火曜日

帽子と靴はフィット感、香りはフェイド感

3/14のブログ「非常時に役立ちそうなファッションアイテム」で書いたとおり、早速私もこれらのアイテムを見直し、今日ようやく帽子と靴を購入。

帽子といえば以前は大好きでいくつも持っていたのですが、仕事の内容もスタイルも、ヘアスタイルもファッションも変化する中最近は気に入ったものになかなか出会えずにいました。頭の形と髪型にフィットするかが第一関門なのです。あらかじめ型がまるかったり角ばっていたりするのはまず好きではなく…そんなものをかぶっても動いているうちにどんどん帽子が浮いてきて飛んでいってしまいそうで気になってしまいます。リボンや花飾りなんていうのも不要。とにかく私の頭と髪の延長上にある位の違和感のなさ、を目標に探し回りました。
幾つもいくつも試着して…結局選んだのは頭のサイズにあわせられる絞りが内部にあり、頭部もツバも柔らかく角度を変えられる濃紺の帽子。ソフトワイヤーが入っています。どちらかというと濃茶系の髪のせいか、はたまた白シャツを良く着るせいか、茶にも白にもよく合う紺色が好きなのです。UVカット効果もあり、クシュッと折りたためて形もフレキシブル。ファッションのシルエットに合わせてツバの大きさを変えたりできるだけでなく、携帯もできます。

靴。細いヒールではなく長時間歩ける(いざという時には走れる)しっかりした底のある靴。ちょうど愛用していたウォーキングシューズが替え時でした。数年前に気に入って何度か試したことのあるブランドのシンプルな定番の黒にしました。甲部分はメッシュになっていて、あとはとにかく足の形そのまま。ヒールも黒で余分なデコボコなしでスッキリ。遠目にみると足そのものが黒く厚みをもって丈夫になったかのようなフィット感。帽子と同じく、カンタンに脱げてしまっては困りますから。視覚的にもいかにもカジュアル、スポーティーではないので服装にも合わせやすそうです。厚めの靴下を履くことも想定して余裕のあるサイズにしました。もし長時間立ったままなんてことになったらそれこそむくんで靴がきつくなったりしますから。

眼鏡はすでにスタンダードな形のものを常備しています。先日出張した静岡では震災直後眼鏡を買う人が多かったとききました。いつ東海地震がくるやもしれないと思った人たちが、人前で恥ずかしくない眼鏡を用意して緊急時に備えようとしたのだとか。さすが。

最後に香り。携帯するなら、緊張や体調で温度湿度の状態が変わりやすい皮膚そのものにつけるより、髪先やハンカチ、スカーフにつけて自分の動作とともに軽くはかなくフェイドアウトする位に香るものを。ずっとしっかり強く残ると自分の嗅覚も疲れますから、これはしっかりフィットよりもそこそこ消えて行ってくれる香り方でかつ気軽に付け足せるフェイド感が欲しいところ。…といったらアルコール希釈タイプではなくソリッドパフュームですね。これも2種類位あるとメリハリになりそうです。出張時にも携帯したところ重宝しました。



2011年4月4日月曜日

私にとっての万能オイル

一泊の出張から帰宅。今回も持参したのは、私にとっての万能オイル。
疲れ、イライラ、カサカサ、ムズムズ…こんなあれこれの不調を感じたときに一本これがあればそのオイルで対応します。

朝早い新幹線のため、ゆっくりスキンケアできなかった目元や手先や髪先のお手入れに。車中でこのオイルびんを取り出し、手をウエットティシュで拭いたあとオイルを数滴手にとります。手のひら全体から爪まで丁寧に馴染ませたあと、あまり力が入りにくい薬指で目頭とこめかみプッシュ。ふわりと香りが鼻に抜けます。呼吸がおちつき目の周りが楽になったと思ったら今度は長い髪先を手ぐしでゆっくり梳きます。軽く手に馴染んでいたオイルが髪先に移りしっとり感をプラス。

夜。一日の仕事を終えてホテルの部屋。マイペースでゆっくりとケア。シャワーを浴びてから半乾きの髪に朝のように手に馴染ませたオイルで手櫛。その後はバスタオルを敷いた上でむくみを感じた場所や足裏に、手のひらにたっぷりととったオイルを丁寧に塗布しながら徐々に手のひら全体で加圧しながらほぐしていきます。おかげでむくみもほぐれ熟睡へ。翌日も笑顔で仕事へ。

きっと人によって最高のリラクセーションを提供してくれる相性の香りは違うと思います。だから誰もにとっての万能ではないかもしれない。でも私にとっては
入手し得る最もフレッシュなダマスクローズの精油を0.5%濃度でホホバオイルに希釈したローズオイルは万能オイルなのです。日常はもちろん、旅にも非常時にも。1滴で50~100個の薔薇パワー。


2011年4月2日土曜日

A quel parfum?…選択の決め手は香り

今朝みた旅番組。舞台はパリのカフェ。女性がマカロンを注文するとこんなフランス語が返ってきました。

"A quel parfum? framboise,chocolat…"

フレーバーを尋ねています。イチゴ、チョコレート等からどれを選択するかということですね。アイスクリームを注文するときにも同じ質問をされそうです。

parfum(パッファン、とでも音表記しておきます)と言えば日本では主に香水、特に香料濃度の高いフレグランスを示す言葉として使われています。一方フランス語でこの言葉は、もっと広く「良い香り」を示す意味で使われています。食べるものの香りであれば、肯定的イメージの良い香りであることが前提とされるわけです。

日本語ならば、「イチゴ味のアイス」と言うところを、フランスでは「フランボワーズの香りのアイス」と表現するわけです。イチゴを感じさせるのは味ではなく香りなのだと。言葉の中できちんと香りを意識しているフランスという国の一面を改めて感じます。