2014年3月31日月曜日

桜の香り


桜満開。
今日は風が強くて、人が多くて。
あの柔らかな
幻のように漂う香りに触れるには
夜の静かな空気を待とうとおもいます。

愛らしい桜餅と出逢いました。



桜色のうっすらとしたお餅が葉と花に縁取られています。
香りが命の桜餅。

桜の香り成分の一つ、クマリンを
調香セミナーで紹介され
アクセントとして使ったことがあります。
かれこれ一年前のこのとき
少量でインパクトある香りゆえに
使い方が難しいと言われましたが
香料なんてすべてそうです。
難しいからこそ使って変化を観察したいと思い
あえて選択。香りに「無難」は無いのです。
春の初めの期待感を感じてもらうためにつくった
「Kisa ragi」と名付けたその香りは
香料に特に既成概念を持たない
とある10代後半の男性には好まれていました。

桜といえば、チェリーも思い起こします。
このチェリーの愛らしい香りを生かした近年の秀作の一つは
ゲランのラ・プティ・ローブ・ノワールでしょう。
コチラ でご紹介したように今春新作も出ています。

2014年3月30日日曜日

香りとファッションの美学展/石川県能登島ガラス美術館にて開催

2013年春に栃木・蔵の街美術館にて開催された
「香りとファッションの美術館」が、その後、長崎でも巡回展が開催、今年2014年春は石川県能登島ガラス美術館にて開催されます。

タイトルは
香りとファッションの美学展
香水瓶が魅せる美の世界。
まさにガラスの美術館ならではの企画です。

液体の宝石ともいうべきフレグランスの魅力を
視覚的に伝えるのはそのボトル。
ルネ・ラリックやエミール・ガレが活躍した20世紀初頭のものから
現代に至るまで約240点の香水瓶。
背景となったファッションの変遷も
同時に感じ取ることができるでしょう。

監修者であり香水評論家である平田幸子氏のメッセージによると開催は4/19から。初日には平田氏の講演も。
能登島の次は兵庫県姫路へ巡回とのこと。

能登島は日本海に突き出た能登半島の中央部。
近くでは加賀温泉の一つ、和倉温泉も楽しめます。
初夏の小旅行にもお勧めです。

参考情報
石川県能登島ガラス美術館 展覧会情報

2014年3月28日金曜日

優美な柑橘の調べ…はっさくベルガモットマーマレード

愛すべきベルガモット。
主産地といわれるイタリア・カラブリアにいつか行ける日まで
その本物フレッシュの香りは体験できないかも…
と思っていました。

数年前に、広島・瀬戸田でも栽培されていることを知り
いつか味わってみたいと想像を膨らませていたところ…

このほど
フルタヨウコさん が瀬戸田の旬のベルガモットをつかってこんなステキなマーマレードをつくられました。果物料理の著書を出されてからほぼ一年目。


はっさくベルガモットマーマレード。

原材料:武蔵野市産無農薬はっさく
広島県瀬戸田産無化学肥料ベルガモット
北海道産ビートグラニュー糖、以上。

はっさくのツンツンした酸味が
一瞬柔らかなフローラルなトーンとともに
あの甘く優しいオレンジを想わせる香りに包まれたかと思うと
最後に確かなベルガモットの深みある余韻で満たされます。

そのままでももちろん。
珈琲、紅茶、
きっと白ワインにも
ナチュラルチーズにも合うでしょう。

このフレッシュな香りが主役で
甘味は脇役といっていいほどのちょうど良さ。
たいせつにたいせつに
この希少な春の香りを味わっていきたいと思います。


2014年3月27日木曜日

『10皿でわかるフランス料理』から楽しむ地域文化史と香り


日本が北は北海道から南は沖縄まで
異なる地域文化の集まりであるように
フランスもアラブ、スペイン、イタリア、
ドイツ、イギリス、北欧など、
隣接地域の影響を受けながらも独自に発展してきた食文化の集合体。
改めてそのような多様性と可能性を
美味しい料理のなりたちと共に楽しめる本。

著者がオーナーシェフを務める「レストラン・アイ」のページより。
松嶋啓介著「10皿でわかるフランス料理」発売!!


食べることは生きることの基本、ゆえに文化の根幹。
この本を一読した今
深々と回想したこと三点を記録しておきたいと思います。

まずは、著者松嶋氏の食への情熱と探究心が、立場は違えど発酵学・醸造学の専門家である小泉武夫氏の食文化論を彷彿とさせるものであったこと。小泉氏が中学生の頃に憧れて自ら鶏を育ててまでつくろうとしたフォアグラ(『食に知恵あり』p221)がなぜそう簡単には得られないものであったかのか……秘密は、松嶋氏の新刊第二章「ラングドック」に記されています。そのルーツははるかエジプト文明にまで遡るのでした。

次に、第七章「ノルマンディー」で言及されている、"restaurant"(レストラン)という言葉の語源。この本質的な意味を深く理解された松嶋氏ゆえに「レストラン・アイ」なのかと納得しました。料理同様、言語も文化の痕跡です。
私自身はコチラの本で初めて知ったのですが、restaurant(レストラン)とは、1760年代に肉をベースにしたブイヨン・レストラン(体力を回復させるスープ)を出していた店に由来し、この料理名から体力を回復させる場所としての「レストラン」が生まれたのだそうです(『フランス語のはなし』p206)が、まさに食の本質そのものではないかと改めて思います。

第三に、第十章「コルシカ」より
香りをこよなく愛したナポレオンの独創性。
松嶋氏にとってコルシカ島上陸の第一印象は「香り」だったそうですが、それほど様々な植物の香りに満ち溢れたコルシカ島に生まれたナポレオンゆえに、"4711"はここまで愛されたのかもしれないとコチラの写真を回想。おなじみの"4711"ですが、ナポレオンがブーツにさしこんで携帯できるように創らせたという細長いボトルの復刻版だそうです。爽やかな柑橘系のオーデコロン。そういえば、丸かったパンを携帯できるようにバゲットにしたのもナポレオンだったと書かれていた本を読んだ記憶も…。

一冊読み終えて改めて…
先日「レストラン・アイ」でのパーティーのお土産にいただいた、まろやかな香りの保存食に込められた想いが伝わってきました。秘密は第五章「ロワール」に発見。豚肉という食材を地域の香りで美味しく活かす文化。一読位では到底味わえない素敵な本を、これからも時折噛みしめるように読んでいきたいと思います。


2014年3月24日月曜日

とろける花束・Roseに続きSakuraを味わう

いよいよ桜の季節を感じます。

ハーゲンダッツ30周年フレーバー 。先月、梅の開花を楽しみながらまずはRoseをいただきましたが、今週はSakuraを。


淡い桜葉の余韻ただようサクラソース。
サクラパウダーふんわりの
クリーミィなアイスクリームには
サワーチェリーのアクセント。

薔薇香る美味しさ・バラ科のフルーツと共に
のRoseでは…


プラムソースやストロベリーのフレーバーが
薔薇の優雅な香りを華やかにひきたてていました。
一方のSakuraでは
あくまでも繊細に
可憐な桜の気品がチェリーの酸味とともに感じられ…
二種類からは
冷たさよりもやさしさを楽しめたような印象です。

2014年3月22日土曜日

贈りたくなった『二十四節花』

花を愛した友へ。
さりげなく
季節の挨拶とともに。

『二十四節花』


ちょうど
春分の日に見つけた
素敵なおかきです。

二十四の季節と花。
想像するだけでも香ってきます。

まだこれから
しばらくは生きられそうな自分の命に感謝を。
そして心に花を。

2014年3月21日金曜日

香りの専門誌 "PARFUM" 169号(春号)発刊


香りの専門誌 "PARFUM" 169号 (春号)が20日に発刊。
創刊から43年目に入りました。




存在そのものが光、女性のきらめきが
春を感じさせる表紙。

色とりどりの花の魅力が
ボトルからも香りからも十分に楽しめる
パルファム プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケからは
新たにグリーンのボトル、ローオードトワレが新登場。
シスレーからは、その神秘的な紫が挿し色となったボトルに
どんなエキゾティックな魅力の香り?と好奇心をひかれる
新作オートロピカール。
その他、春の光によく似合う新しい香りの情報満載です。

映画評論家 橋本光恵氏による連載、「香り立つ女優」。
今回のクローズアップはジャクリーン・ビセット。
私自身も個人的に大好きな女優の一人。
そのきっかけとなった映画『ベスト・フレンズ』のことも
文中に詳しく触れてあり…
あらためてこの女優の独特の眼差しの魅力を回想。

4冊の本が紹介されている"BOOKS"。
今回私は
香りに美を感じる心に現代との共通点を多く感じられる
『平安時代の薫香 香り文化の源流を王朝に求めて』、
昨秋ノーベル文学賞を受賞した82才の作家の最新作
『ディア・ライフ』、
この2冊のご紹介文を執筆しています。

華やかな花々、新緑、青い空。
春の風景に似合う香りも忘れずに。


2014年3月19日水曜日

『サイレント・ニーズ ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る』by Jan Chipehase with Simon Steinhardt を読む


3月。
外的な変化を受け入れながら
ここ数年間の自分の行動を記憶のあるうちに振り返り
これからという新しい時間のために新しい行動を模索していた。

まさにそのようなタイミングで出逢った一冊。


サイレント・ニーズ
ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る
Hidden in Plain Sight: How to Create Extraordinary Products for Tomorrow's Customers
著者 : ヤン・チップチェイス
著者 : サイモン・スタインハルト
訳者 : 福田篤人
発行 : 英治出版株式会社


「サイレント・ニーズ」。
このフレーズが私に響いた。

観察。
自宅を中心に半径1kmという範囲ですら
24時間ずっと見ているわけではなく
全てを見ているわけではない。
ちょうど昨日。
最寄駅付近にある某パン屋が
朝の開店時刻を1時間早くしたという掲示を見たが
(変更は少なくとも2度目)
朝の駅へ向う人とその行動観察の賜物かもしれないと
思った。
なぜそう感じたか。
このパン屋が
新規店舗として選んだ場所、
段階的に変更した開店時刻に
「この地に住む人のサイレント・ニーズ」を
読んだかもしれないという
これまでの予測に響いたから。

観察から得られた情報には鮮度があり
素早く洞察に結びつけるには
複数の角度からの切り込みが要る。

時には観察者自体がいつもとは全く異なる行動をとり
その実体験から得られる新鮮な感触を
ひらめきにつなげる必要がある…
まさにそんなことを考えて
ささやかながらの勇気をもち
自分のテーマに切り込もうとしていた矢先ゆえ
この本は私の追い風となった。

本文中
zeitgeist(ツァイトガイスト、著者いわく、直訳すれば「時代精神」)
platzgeist(プラッツガイスト、著者いわく、いわば「空間精神」)
といった、あえてドイツ語のことばを紹介する部分があり
あらためて
著者Jan Chipchase氏はどこの国に生まれた人だろう、
と氏名を英語のまま検索したところ、
英語Wikipediaでわかったことは
彼の母はドイツ人、父はイギリス人、妻は日本人。
ロンドンで生まれ育ち、
日本に10年間住んだことがあり
現在はアメリカ在住。
彼はすでに、少なくとも3言語の間を生きている人だった。

ドイツ語のことばの紹介があった章の中で
何度も読み返して深く記憶に響かせた部分があるので
*以下に引用する。


「無音」が本当にいっさい音の無い状態であることはめったにない。私たちの耳が
周辺の雑音を無視できるように鍛えられてきたというだけだ。…
〈本文p173より〉


2014年3月18日火曜日

記憶が重なり浮かぶ色・「シャガール展」

日曜日の夕方。
静岡駅北口からほど近い静岡市美術館へ。

シャガール展/静岡市美術館


やはり。チケットのブルーを見て回想。
シャガールの絵、という記憶の中で
私が最も強く思い起こす色。
熱い情感の赤とは対象的に
静かに、祈るような青。

シャガールが描いた、パリ・オペラ座の天井画。
ジゼル、火の鳥…
真上に見上げて、オペラ座で開催された演目の数々を想像。
そして、
メッス大聖堂の薔薇窓から射す光で揺れるブルー。



会場を一巡、
最後にもう一度
吸い込まれるように凝視してしまった3点。


左上の青は「花」。
親子のようなシルエットが左下に映る。
花を抱いているようにも見えるし
花にまつわる記憶の一端かもしれない。
右上の赤は「ラ・ペ通り」。
この燃えるような赤は
体感の記憶の中にかすかに見えた。
右下の「天蓋の花嫁」。
どこかで何度も目にした記憶がある。
幸せの中に悲しみがある。
今の中に、忘れられない記憶がある。

バレエ「ダフニスとクロエ」の背景画、衣装デザインを手がけることになったとき、シャガールは、この物語の舞台であるギリシャに赴き、感じる色とその表現を深く探求したという。

記憶を重ねて浮かぶ色。
複雑な心象にあえて重ねられるゆえか
色そのものに不思議な透明感がある。

わずか1時間強の滞在で時を忘れた。

いつかニースにあるシャガール美術館にも行ってみたい。

この展覧会は次回名古屋、愛知県美術館(4/17~6/8)へ。


2014年3月17日月曜日

満月と笑顔とピンクの花たち

おめでたい場に招かれて。
主役は3年間の達成感を笑顔に変えた卒業生たち。

かれらの色とりどりの華やかな装いと笑顔が
最も引き立つようにと
お祝いの気持ちをこめて私は黒・白・シルバーの装い。

贈られた花束はピンク。
薔薇、カーネーション、ピラカンサ。


この花束を片手に
帰りの新幹線ホームに立てば、頭上にほぼ満月のあかり。
月光と花と私。この幸せな瞬間。




今朝はさっそく朝の太陽の光が射す中で撮影。
可憐なフリル、繊細なレースは
このような花の存在から生まれたのかもしれません。

そういえば
モノトーンの装いとともに
私一人がわかる位に纏っていたのは
"Tentation Dentelle"/JARDIN DE FRANCE
というレースのテキスタイルの魅力を表現した香りでした。

2014年3月15日土曜日

春の初めのひとやすみ・リヨン風サラダ

春の嵐のような
風雨を抜けてたどりついた高層ビル。
用事を済ませて時計をみると午後8時半。
歩いていたフロアに
大きく"Huit"(フランス語で"8")と書かれた
気軽にワインを楽しめそうなお店を発見。

ひとやすみ。
冷えた白ワインにあわせて
ポーチドエッグやレバーの入ったリヨン風サラダ。


サイドのポーチドエッグをとろーりからませて
ちょっと苦味のきいたグリーン野菜、
クルトン、ベーコンと一緒に。
鶏レバーの栄養タップリ感にもじんわり満たされて。
こういう、惜しみなく大地の恵みが盛り込まれたサラダに
これから始まる春のエネルギーを感じます。

この8という名のお店は
気さくな雰囲気でフランス郷土料理を楽しめる、
と記憶にシッカリと刻みます。




雨の中
麻布十番から
高くそびえるこのビルを目印に歩いてきたのでした。
またいつか
このビルを訪れる時は
美味しいサラダとワインを思い起こすことでしょう。

2014年3月14日金曜日

フレグランスを贈る

今日がホワイトデイ、というせいなのか
昨夜はいくつかのショコラショップは大盛況でした。

美味しいチョコレートも
いただいた人はもちろん嬉しいとは思うのですが
相手によっては、
相手との関係性によっては
フレグランスもおおいによろこばれることでしょう。

服やアクセサリー同様
人のイメージに直結するフレグランスは
いかに相手を日頃から観察し
似合うイメージを描けるかということも重要なのですが
フレグランスのプロに
基本的なアドバイスを受けることもできます。

例えば
カフェデパルファムを参照する、
または
香水評論家による香水診断 を試してみるなど。

あまり難しく考えることはなく
香りから相手のイメージにつながるかどうか、
相手にこんなイメージをプラスしたらより魅力的に感じるかどうか
という贈り手の感覚に委ねてもよいかも。

フレグランスを贈るということは
その香り自体を贈ることに加えて
そのイメージの提案というサプライズも贈ることになります。

ホワイトデイに限らず
春はさまざまな変化のタイミングをとらえての
プレゼントのチャンス。
イメージをより豊かにする
身につける見えない魅力、フレグランスも選択肢に。


見えるままを楽しむ・「アンディ・ウォーホル展: 永遠の15分」

夕方、麻布十番で用事を済ませると
ちょっと歩けば六本木ヒルズ、ということで
森美術館へ。

この美術館は
火曜日以外、22時まで開館。
有難い。

18時半から約2時間近く。
外は風雨の夜、
地上53階で
たっぷりと
見えるままを楽しんだ。

「アンディ・ウォーホル展: 永遠の15分」




アンディ・ウォーホルがどんな人だったのか
全く知らなくてもいい。
展示された700点以上もの
多様な作品を見るだけで
わかるから。

作品展示とともに
彼の残した言葉も随所に掲げられているが
これまた作品との連動で共感できたフレーズが多かった。



絶滅危惧種といわれる生き物を描いた作品のうちの
サンフランシスコ・シルバースポットという名の蝶、
100個のキャンベルスープ缶、
花シリーズのひとつ。
以上、私がポストカードとして買ってしまったものたち。
ポストカードになってしまうと実際のサイズとは違うので
あくまで記録として。

サイズや色は表現のキーとなる。
その試行錯誤の面白さは
どんな人にも感じられるだろう。

においまでも再現したかに思える
シルバーファクトリーの空間も圧巻。

タイムカプセルと称した中にも
興味の共感をほのぼのと感じるぬくもりがある。
彼の日常品の中にあった香水瓶も
ピカソの『アヴィニヨンの娘たち』が掲載された冊子も
たとえば私も大事にとっておくものだから。

これはアジア巡回展最後の東京展。
生き物としての自分すら素材としてフル活用した
アンディのエネルギッシュな表現に
同じ人間ならば必ず笑いや驚きを感じるはず。

2014年3月12日水曜日

ヘアケアとローズウォーター


「ローズウォーターと過ごす冬」でも書いていたように
この冬はかなりローズウォーターには助けられました。

無添加の芳香蒸留水は
「化粧品」の原料になることはあっても
これ自体が「化粧品」や「医薬品」ではないので
多くの人に対する一般的な作用を明言することもできませんし
使用の際は品質自体も吟味の上、冷蔵庫保管が必須。

皮膚に使用する場合
個人差を考慮し各々皮膚に合うかを確認して
自己責任のもとで試す必要はもちろんありますが…。

この数年間私がスキンケアとして
・クレンジングでの拭き取り
・化粧水前の鎮静
・洗顔代りのリフレッシュ洗浄
などの目的を試してきた結果
少なくとも自分の皮膚に対しては
既成の化粧水、保湿剤を補って
皮膚を清潔に保ち、収れん、整肌の効果を強化してくれる素材
であると感じるようになりました。

この冬も
朝の洗顔の代わりにローズウォーターで拭き取りをすることで
皮脂をとりすぎず皮膚の乾燥に悩まされることはなかったようで
穏やかな状態を保つことができました。
もうすぐ80才になる母もこの方法を喜んでいます。

さて。このように顔面の皮膚に貢献してくれるのならば
頭皮、髪はどうだろう?と考えて実験してみました。
洗髪(というかむしろ頭皮を洗う)時に使用するのです。

結論からいうと、日常的な汚れ落ちという点では成功。

以前から
市販シャンプーの強すぎる洗浄力(皮脂を取りすぎでは?)と
強すぎる残り香(通りすぎた人からシャンプーそのままの香り?)
にはチョットためらいを感じており
これを毎日使っていていいのだろうか?と感じていたのです。

理屈で考えると
頭皮だって清潔に保たれるのは好ましいにしても
汚れだけでなく皮脂を毎度毎度取られすぎると
本来皮膚をまもるために出している皮脂をもっともっと出さねば
ということになってなおさら頑張ってあぶらっぽくしてしまうやも…
という仮説が浮かびました。(私が皮膚ならそうします…)

実際に化粧品製造に携わる方からも
「本来日々の頭皮や髪自体の汚れは水、湯だけでもかなり落ちる、
ただし整髪剤やタバコなど外的要因の汚れは落ちにくい」
ときいたことがありました。

具体的には…
洗髪前、ローズウォーターを頭皮、髪の生え際などにスプレーし
よくブラッシングします。その上でぬるめのお湯で頭皮をよく
洗うだけ。皮脂をとりすぎないのでコンディショナーはなし。
髪をしぼるときにチョットきしきししますが
シャンプーで洗ったときよりも乾きやすく軽い。
これを3日毎日続けてみましたが、
頭皮がベタつくとか不快なにおいがすることはなかったです。
ごく自然な健康な皮膚のにおいに
かすかに薔薇の香りがする程度。

とはいえ、
シャンプー、コンディショナーを使ったときのような
乾いたあとの髪のまとまり、スタイリングは期待できないかも。
そして真夏や激しいスポーツ後のような発汗時には不向きかも。
そのときこそ市販のシャンプーは有難いでしょう。

しかし、さほど多く汗をかかない寒冷期、乾燥期、
外的要因で汚れるリスクのない休日や自宅中心で活動するときなどは
ローズウォーターとお湯での洗髪で十分かなとも思います。
というわけで今は
毎日洗髪はしますが
毎日は市販シャンプーを使っていません。

そういえば昨年発売されたシャネルの
休日リラクセーション化粧水にも
ローズウォーターが配合されていたのを思い返します。

これからも
素材としてのローズウォーターの可能性を
試していきたいと思います。


2014年3月9日日曜日

さりげなくて嬉しいCHOCOLAT


春の大掃除の真っ只中。
パリみやげをいただいた、と家人から。


約6センチのスクエア。
さりげない手のひらサイズの小箱。
チョコレート色のリボンとともに
箱の中の香り高さを期待させてくれます。

4粒のチョコレート。
1粒で疲れが癒されるだけでなく
豊かな味わいの満足感。

今読みかけの本『シェイクスピアの香り』の上で撮影。
表紙を取った装丁の上で。

ちょうど1年ほど前
表参道のこのお店で
シトロンの香りのショコラ・ショーをいただいたことを回想。

日本にもお店はあるのですが
はるばるパリからおみやげとして届けられたあたたかさに
ここ数日のいそがしさも忘れてしまうのでした。
Merci beaucoup.


2014年3月8日土曜日

艶々オレンジはほのかにフローラル・ミネオラ

みごとに艶のあるオレンジ色の果皮。
その爽やかな果皮の香りは
どことなく優しい花のような印象も。


近づいてみます。
すこし頂点がデコポンのようにふくらんで、やや楕円の回転体。
横にすると、オレンジ色のレモンのよう。


皮も薄く、種もほとんど無いので
写真のようにカットして輪になっている果皮の一端をカット、
開くようにして食べてもジューシーな美味しさを漫喫できます。

グレープフルーツとマンダリン(または果皮の色によりタンジェリンと呼ばれることもあるようです。マンダリンという種類が日本やアメリカに様々な交配を経て入ってきた歴史が長く、それぞれ名前も別々につけられているようですので、いろいろな解釈があるのでしょう。)の交配種ということで、確かにグレープフルーツのような淡い苦味、軽やかな酸味がほどよく効いて、心地よい甘さと香り。

果皮が
剥く前の外側から
ごくごくかすかに
キンモクセイのような優美な花の香りを漂わせてくれることで
大好きになりました。

ミネオラ、というのは
どうやら地名のようです。


2014年3月7日金曜日

「人が着てこそ」のフレグランス

3月とはいえ肌寒い。
コートを着て某百貨店フロアを歩く。

約8センチ×6センチ?
「新しいドルチェの香りです」
香りが吹き付けられたこのような紙を渡された。


こうした紙は
大概白にブランドロゴのみというものも多い中
フルカラーの写真。
深緑の葉に囲まれた白い花々と白のドレスの女性が印象的。
ドルチェ(甘い)と名乗りつつ、
この女性の雰囲気はかなり強いインパクト?
とおもいきや、トップノートは比較的親しみやすい。
よくあるタイプに一見似ている。

しかし、これは紙だけではわからない。
私自身の肌のにおいと合わせてみよう、
と左手の内側にそっとつけつつ
私の手のひらのにおいが残るコートのポケットへ。

数時間後。
やはり香りは複雑に変化している。
生きた皮膚のにおいと合わさると格段に柔らかくなる。

光を感じさせる強さと余韻の柔らかさのコントラスト。
いきなり鼻に近い部分に纏ったりせず
ウエストやウエスト付近にある手首、脚の内側に纏い
何枚かの服越しに体温で漂わせて。

肌のぬくもりとにおいに合わせたコートのポケットからは
かすかにほのかに
大人の女性の上品さがこぼれてくる。
この、ほとんど気づかないくらいの残り方で
私には個人的にはちょうどよい。

トップノートをつけられた紙だけでは
実は似合うかどうかはわからない。
せめて手首の内側にすこし、直接皮膚につけてから
1時間くらい、その香りの変化を待ってみないと。

日本での発売日は3/1。
ブルーベル・ジャパン株式会社
カフェデパルファムのページより
ドルチェ&ガッバーナ ドルチェ
オードパルファム


美しさは強さである、と考えるひとに。
そして
フレグランス自体の香りだけで判断せず
肌に着こなす香りの不思議な魅力を発見したいひとに。

2014年3月6日木曜日

猫と紅茶とベルガモット

年末の12月よりも
年度末の2月〜3月のほうがいそがしく……。

そんな疲労困憊の日々に
私を和ませてくれたのは
ダイニングテーブルの上にまあるく落ち着く白猫。
(陶器でつくられた大きな招き猫の置物です)
チラリと眺めるだけで力が抜けます。

猫が大好きな私は
2匹の猫がブランドロゴの側に描かれた
Janat というフランスの紅茶のファンでもあります。

とりわけ感動したのは「オリジナル アール グレイ」。
開封したときのあの紛れもなく爽やかなベルガモットの香り。
スリランカ産の茶葉自体の香りと合間って絶妙です。
1923年以来ずっと
カラブリア(イタリア)から輸入したベルガモット精油を
つかって製造されているとのこと。
一杯目はもちろん、二杯目さえも美味しくいただけました。

ベルガモットという柑橘は
なぜかイタリアというブーツの爪先にあるカラブリアが主産地で
日本ではなかなか見られないのですが
ジャム作りの達人である知人いわく
果皮はまぎもなくベルガモット精油そのものの香りのようですが
果実はレモンとグレープフルーツの間という感触だそうです。

そういえば、と今日の日付で思い起こしましたが
ちょうど1年前も香り高いフィレンツェの薔薇紅茶で癒され
記事に書いていました。

2014年3月4日火曜日

アート オブ パフュマリー "ESXENCE "・今春はミラノにて

香水ボトルデザイナー、ピエール・ディナン氏の講演が行われたニュースをきっかけに知ったイベント、ESXENCE

2009以降6回目となる今春は、ミラノ、トリエンナーレにて
3月20日から23日の4日間に渡って開催されるとのこと。

公式ページを開くと
プロモーションムービーでその雰囲気を確認できる。

このイベントでデビューする新たなパフュマリーブランドを含めて
出展ブランドの多くは日本ではあまり知られてはいない。
圧倒的にフランスからが多く、他イタリア、UK…。
オランダやギリシャなどからもあり、それぞれ興味深い。

服飾ブランドでも美容ブランドでもない
香りそのものをアートとして追求するパフュマリーブランドからの
香料素材の新たな活かし方、
表現に加えて素材そのものの発見、
ボトルや演出との共感覚表現…
香りを愛する人にはたまらなく魅力的なイベントなのだろう。

年に一度の映画祭のように
こうしたイベントがこれからも盛況でありますように。


2014年3月2日日曜日

ナッティなクッキーとHarissaと

ちょうど1週間前。
家人がサンフランシスコ〜サンタ・クルーズの旅から元気に帰国。
素晴らしいおみやげとともに。

まず、ざっくりとした茶色の紙袋に入った
手のひら位の大きさの豪快なクッキーたち。
このクッキーが抜群に美味しくて。

チョコもナッツもココナツも惜しみなくしっとり凝縮。
甘さと香ばしさのバランスもグッド。

なんというのでしょうか、
いまだかつてクッキーというものに
ここまで美味しいと感じたことはなく
これを食べただけですっかり元気に。

あまりの体験に驚いて調べたところ
コチラ
サンタ・クルーズのPacific Cookie Companyのものと判明。

確かにサンタ・クルーズのあるカリフォルニアはナッツの産地。
しかも上記サイトをみると
いかにフレッシュな美味しさを大切にした作り方をしているかと納得。


さてもう一つ。
香りの素晴らしさに感動したのは
真っ赤な唐辛子ソースのHARISSA。
サンフランシスコで買ったとのこと。
同じくおみやげのオリーブとともに。


パッケージには
HARISSA
Ingredients; hot roasted pepper, cayenne pepper, garlic, olive oil, spices
…と記載。

まずは茹でた野菜と豚肉をHarissaディップでいただきました。
様々なスパイスの香りが一瞬にして溶け合い、
辛さがマイルドに感じるほど。
スープに混ぜても抜群に美味しくなりました。
クミンとか、コリアンダーとか。そんなスパイスたちを感じます。

いつかパリでいただいたクスクスにも合いそう。
これでチーズとパンでもあればワインにも。
HARISSAは、調べてみると北アフリカ発祥のソースのよう。
さすが多文化混合のアメリカ。


ナッティなクッキーとHARISSAと。
おかげで疲労困憊の一週間も
なんとか元気で過ごせたのでした。