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2016年12月21日水曜日

今年の8冊 / Merci pour les 8 livres de l'année 2016.





本との出会い、それは著者との出会い。
La rencontre avec le livre, c'est celle avec l'auteur.
The encounter with the book, it's to enconter the author.


季刊誌 " PARFUM " 
では毎号"BOOKS"ページに於いて、数冊の新刊が紹介されています。
今年私は、毎号2冊の紹介文を書きました。
合計8冊を改めて紹介します。
Le magazine trimestriel « PARFUM » introduit des nouveaux livres
dans chaque numéro de page « Livres ».
Cette année, dans cette revue, j'ai écrit sur 2 livres chaque numéro.
Ici, au total 8 volumes.

The quarterly magazine  « PARFUM »  introduces several new books 
at the issue "BOOKS" page .
This year, I wrote about the two books every time. 
Here, total 8 volumes again.

1.《On Designing 》by Anni Albers / 日本語版『デザインについて』



2.『ワインは楽しい!』/LE VIN C'EST PAS SORCIER



3.『「失われた名画」の展覧会』/ 池上 英洋 著 
の紹介含む記事



4.『なぜ花は匂うか 』牧野 富太郎 著/平凡社



5.『美女の正体』下村 一喜 著/集英社



6. 探求者67年の物語・『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き』



7. 歴史は語り手次第・『マリー・アントワネットの嘘』著 : 惣領冬実 文 : 塚田 有那



8.『地中海の光に輝く 南イタリア イラストガイドブック
世界遺産の街をめぐる旅』/青木 タミオ・中橋 恵 著/メイツ出版
の紹介含む記事


青木民夫先生。私の中学時代の美術の先生です。


今年の8冊に感謝を込めて。
Merci pour les 8 livres de l'année 2016.
Thanks for the 8 books of the year 2016.

…written by Sawa Hirano 《SAWAROMA》at Tokyo.

2016年8月19日金曜日

再掲「ボーボリ庭園とMon JASMIN NOIR L'EAU EXQUISE」/ 2013,1,29

☆以降は、2013年1月29日にsawaromaブログ記事として投稿したものです。こちらで紹介の本の完成に携われた恩師と先日再会できたことで、改めて御紹介したく再掲(一部修正加筆)します。
なお、当時の記事では写真が見られなくなっているため、写真のみ新たに掲載いたしました。




「ボーボリ庭園とモンジャスミンノワール・ローエキスキーズの香り/2013,1,29」
http://sawaroma.blogspot.jp/2013/01/blog-post_29.html


先日、文化学園大学での
「ファッションとアロマ」今期最後の講義にて
2012年発売のフレグランスを数点紹介。

心地よい、と好評を得たのが
昨年春に発売されたブルガリのモンジャスミンノワール・ローエキスキーズ。

よく晴れた日に清々しい空気の中を植物をながめたりしながらリラックスして歩いているときのような気分になれるのが嬉しく、私は季節を問わず楽しんでいました。
さわやかなトップノートと残り香の上品な清楚さが、初めて会う人との緊張感もほぐしてくれるため、ここ数ヶ月は仕事での打合せの場でも活用。

そしてこの香りは
イタリアはフィレンツェにあるボーボリ庭園の
イメージにインスパイアされてつくられたということを知りました。

フィレンツェといえばかつて訪れた忘れられない街。
当時は庭園散策まではできませんでした。
はっきりと憶えているのはヴェッキオ橋の上から見た街の色彩。
この香りのイメージのような素敵な庭園があったなんて。

どんなところだろう、と書棚からこの本を手にとりました。





私の中学時代の恩師である美術のA先生主宰「アトリエビーナス」さん、
つまりA先生の著書。美大志望の学生さんと毎年イタリアに研修ツアーに
同行していたご経験が生かされた一冊。あたたかいタッチのイラストを
描いているのも「アトリエビーナス」出身のイラストレーターさん。
2008年に発刊されました。私が編集メンバーを務める香りの専門誌でも
ご紹介させていただいています。


「ボーボリ庭園」発見。86ページ。

…14世紀に建てられたピッティ宮殿の後方に広がるイタリア式の広大な庭園。
古代ローマやルネッサンスの彫刻が多く置かれ、人口の洞窟やヴィオットローネ(松と糸杉の並木道)、イゾロット広場(池に囲まれた島のある広場。オレンジやレモンの木が植えられていて中央には噴水あり)、衣装美術館、磁器美術館などがある。公園は奥に行くにつれて高くなっているので、見晴らしの良い場所が数カ所あり天気の良い日にゆっくりまわりたい場所…(本文より引用しています)

次回フィレンツェに行くなら是非こちらを訪ねたいと思います。
モンジャスミンノワール・ローエキスキーズの香りの記憶とともに。



モン ジャスミン ノワール ローエキスキーズは現在も人気の香りとして健在です。


2016年夏、イラストガイドブックの2冊目として新刊もデビューです。

『地中海の光に輝く 南イタリア イラストガイドブック
世界遺産の街をめぐる旅』/メイツ出版
http://www.mates-publishing.co.jp/?p=20976




2016年8月6日土曜日

探求者67年の物語・『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝き』



『レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密   天才の挫折と輝き』
著者 / コスタンティーノ・ドラッツィオ    訳者 / 上野 真弓
発行 /  株式会社河出書房新社





ついに7月末、日本語版発刊。
以前から楽しみにしていた一冊。
ローマ在住32年である訳者の上野氏いわく
「これは、物語のように綴られた美術エッセーである」。
そして、著者いわく
「彼の人生は、常に新しい目標のために前進することの繰り返しだった」。
彼の作品に未完のものが多いのも腑に落ちる。

約一週間をかけてゆっくりと読み進めた。
まさに彼の物語。his story が historyの語源であることに納得する。
多く登場するイタリア人の長い名前はなかなかすぐに覚えられず、著者が巻頭にまとめた登場人物を何度も参照した。最初にレオナルドの能力を見出すのは父親であるが、そのあとの流れが当時の時代背景と共に感慨深い。妥協せず好奇心を優先する彼は幾たびも挫折を伴いながらパトロンを変え、場所を変え、観察と試行錯誤に明け暮れる。

そんな彼の考察が絵画作品にどのように反映されたか、
巻頭の絵画作品の写真を何度も見返しながら考えさせられた。
そして、人体を30体以上も解剖してその構造と機能の関係を
探究したといわれる彼が晩年、ローマ滞在中の手稿に書いた
「もし健康でいたいなら、この規則を守れ。…」
で始まる短詩も実に興味深い。

レオナルド・ダ・ヴィンチ。
もうすぐ没後500年を迎える。
幼少期に愛読した「世界名作全集」に登場した伝記の中で、特に忘れられないインパクトを私に残してくれたのはこのレオナルドだった。
人体の解剖に没頭したり、空中飛行の研究をしたりとその探究心は尽きることがない様子が綴られており、画家であるという前に一人の好奇心旺盛な観察者、探究者としての魅力にあふれていた。小学生の私の心に「人間というものは、ここまでできる可能性がある」とエールを送られたような気がしたことも憶えている。

大人になってから読んだ香水の歴史の本の中で、レオナルドがオレンジ花の芳香成分を油脂に吸着させて得る方法を試みていた、という記述を見つけたときも、まさに彼らしい探求の一例だと納得していた。


少なくとも私には宝物の一つになるだろう一冊。
著者、訳者、そして
1452年から1519年まで生きたレオナルド・ダ・ヴィンチに感謝を込めて。
26歳のときに訪れたミラノとフィレンツェを
この本を読んだ上でいつかまた訪れたい。

…東京にて、《SAWAROMA》より