2013年4月30日火曜日

薔薇の季節に寄せて・『palechkaパレチカ』Webサイトリニューアルオープン

いよいよ明日から5月。
薔薇が美しく咲き始める季節です。

2009年より私が監修者(ブランドディレクター)として携わる
『palechkaパレチカ』のWebサイトが、新パッケージのNEWパレチカ発売日にあわせて本日リニューアルオープンいたしました。

発売に先駆けて
香りの専門誌"PARFUM"Webサイト上
パルファムインタビュー記事のコチラで、香水評論家である平田幸子氏からの3つの質問に回答しています。

3つの質問は
1,なぜ新鮮なローズの香りにこだわるのか、
2,新鮮なローズだけで創る香りならではの難しさと良さ、
3,2013年4月30日発売の香りが2012産ローズオットーである背景と
新パッケージひと箱まるごとをライフスタイルの中で楽しめる工夫について。

素晴らしいフレグランスを創り出す調香師。
その美意識を刺激したといわれる天然香料の中でも
ひときわその奥深さへの賛辞が多い薔薇の香り。
香りの美学の原点に触れたい人へ
ぜひ体験いただきたいと思います。


2013年4月29日月曜日

"Je ne sais plus l'âge que j'ai."… " VOTRE BEAUTÉ "最新号表紙より

春から夏へ。

キラキラ輝く太陽の季節がやってきます。

フランスの美容雑誌 " VOTRE BEAUTÉ "最新号の表紙には
まさにそんなキラキラの光の中でクールに微笑む美女。
フランス語を読まない人にもそのようなイメージは確かに伝わります。

Le nouveau VB daté mai est en kiosque!

しかしこの表紙には
フランス語で現実的なフレーズが並ぶのです。

Jambes-sexy(セクシーな脚)
CHEVEUX(髪)
anti-UV(紫外線対策)
SANTÉ(健康)

そして思わず笑ってしまったのが
au secours(助けて)。
しかも続くこのフレーズ、
"Je ne sais plus l'âge que j'ai."
(もはや私はいったい何歳なのかわからない)。

「何歳なのかわからない」ことと
「助けて!」がどう結びつくのでしょう?
いろいろかんがえられますが
想像していた自分の状態と
現実に向き合ったときに感じた自分の状態とのギャップ?

想像よりも老けていたら悲痛な悲鳴、
想像よりも若々しいならば嬉しい悲鳴。

どちらにしても気になります。
現実的で直接的なフレーズの見出しは
誌面中身をちゃんと読んでみたい気持ちに駆り立てますね。

しかし、この

"Je ne sais plus l'âge que j'ai."
ジュ ヌ セ プリュ ラジュ ク ジェ。
(もはや私はいったい何歳なのかわからない)。

便利なフレーズかもしれません。

事実としての年齢に縛られず
ムリに若返ろうとか、背伸びする必要もなく
そのときごとにこうありたいと描くイメージから
鏡に映る自分の姿がかけ離れてさえいなければ
他人から何歳に見られようと気にすることはないでしょう。


2013年4月26日金曜日

リンゴ+ジャガイモ+ニンジンのローズマリー風味


昨日の記事 でご紹介した本に触発されて
私のまわりにたくさんあるリンゴさんたちを活かしたいと思いました。

ちょうどローズマリーの生ハーブもストックがあり
ジャガイモとニンジンとの組み合わせがひらめきました。



ジャガイモとリンゴは約2センチ角
ニンジンは5ミリの厚さで1センチ角。
ひたひたの水に塩をひとふり加えて煮込みます。
煮たってきたらローズマリーの葉をひねりながら入れ
同時にオリーブオイルを丸い円をひとつ描くように少量たらします。
オイルはニンジンの栄養分はもちろん
素材の芳香成分を溶かし出し
味をまろやかにしてくれます。

あとは弱火でユックリ水分がなくなるまで。
火をとめてからも余熱で蒸らします。

ジャガイモにリンゴの旨味がとけこんで
ニンジン本来の香りもリンゴの芳香でまあるくなって
ほのかにスパイシー。

魚のバジルオイル焼きの付け合せとして
とても美味しい一品でした。
きっとたくさんつくって冷製にしても
翌朝美味しくいただけるでしょう。

リンゴの芳香は偉大です。

2013年4月25日木曜日

美観美香な果物を活かす・『果物のごはん、果物のおかず』フルタ ヨウコ著/誠文堂新光社

果物。
鮮やかな色、愛らしい形とともに
その独特な芳しい香りは
単なる甘味を越える素晴らしい美味しさを感じさせてくれます。

生でそのまま食べたり
お菓子の材料にされるほうが多いかもしれませんが
実はこの色、香り、酸味、甘味を上手に活かすと
肉や魚も美味しいメインディッシュになりますし
忘れられないコクと香りのお惣菜がつくれるのです。
このことを私は
フランスの家庭に滞在していた時期はもちろん
フランス料理をはじめとするヨーロッパの料理を体験して感じました。

さて、このような果物の魅力を
卓越した感覚を持って紹介されたのが
料理家、編集者としてご活躍のフルタヨウコさん。
ちょうど今週出版された本のことを
ご自身のWebサイトのコチラ でも紹介されています。




鮮やかなフルーツの外観の魅力を見事に生かした写真の数々は
フルタさんご本人によるもの。
やわらかな線で描かれ今にも香りが漂ってきそうな
波多野光さんのイラストとともに
この本はまず十分に視覚的な幸せを提供してくれます。

フルタさんのお料理を
パーティーやイベントのときに体験するたびに思います。
まずは視覚的な美しさ、面白さでひきつけられ
口にすると…そんな期待にみごとに応えてくれるのです。
まさに美観美香(味)。




大好きな林檎のページを
赤や黄色のリンゴたちとともに撮ってみました。
『ポークジンジャーのりんごソースかけ』。
美味しそうです。できれば紅玉がお勧めとか。

リンゴの酸味はお肉に爽やかな食感を与え
甘味は深いコクをしみこませてくれますね。

多少カタチが不揃いでも箱にいっぱいの果物を入手できたら
こんなに楽しい世界が待っています。

2013年4月21日日曜日

香りは人の着こなし次第で変わるものー『エセントリック・モレキュールズ』が提供するフリースタイル

つける人で香りが変わるUKで話題のフレグランス「エセントリック・モレキュールズ」日本上陸

この記事中、ブランドPR監修を務めるファッションジャーナリスト、ティム・ブランクスと、創始者でありイギリスのブランディング会社「This Company」のディレクターでもあるジェフ・ランズの会話が実に興味深い。

香りというものは
10人の人がいれば10人の感じ方がある。
さらにその10人の皮膚の状態、身体の状態、体温、服の着方も10通り。
人為的にフレグランスを身につけないこの時点で
すでに10×10の、人の匂いが存在することになる。

この前提をよく理解し、個の匂いの魅力をベースにフリーに着こなしてほしい、というのがジェフとティムの考えたフレグランスの在り方。

イメージモデルも設定しなければ、男性用、女性用、ユニセックスなどというフレーズすら用いない。このフレグランスに出逢って新たな自分の魅力を発見できた人から人へと伝わることが本望とのこと。

そして私が個人的に感激してしまったのは
かつて調香レッスンで出逢い
最も印象的で心魅かれていた合成香料、Iso E Superが
モレキュール01の香りとして使用されていたこと。
この合成香料の第一印象を私は当時、「哲学 静かな…」と記録。
数ヶ月前のIso E Superの試香紙、いまも柔らかく深い余韻が香る。
この香りは
共に存在する有機的な香りを引き立ててくれることは間違いない。

合成香料、服にたとえると合成繊維。
合成繊維は確かに人の着方をよりフリーに
ボディラインをより美しく描くことに確かに貢献している。

改めて、現存する多くのフレグランスについて振り返る。
本来どんな香りも人肌の上に乗せられると変化するはず。
体温、皮膚独自の匂い、その人のおかれた環境、行動、
そしてその皮膚の上にどのように服が重ねられたかによって。

たとえば服の上、髪の上から無造作に振りかけて
試香紙につけられた香りとほとんど変わらないような香り方を
プンプン周囲に発散させているような状態は
決して「香りを着こなしている」とはいえず
単なる「香害」となるおそれがある。

服の着こなしを鏡でチェックするように
自分の香りにも感覚を研ぎ澄ませた配慮を。
「香り」の存在すら感じさせないほど
場の雰囲気に溶け込む「素敵なオーラ」となるように。

2013年4月20日土曜日

蕾におもう

ツツジのつぼみに出逢う。
昨日までの陽気から一転、肌寒い週末の空気の中で。



開きかけた花も躊躇するほどの冷気。
周囲では次々と芽はふくらみ、つぼみへと。

すべての芽が順調につぼみとなり花開くとはかぎらない。
ツツジという種として何としても生き延びるために
一輪でも多く花を咲かせるために
絶え間なく芽ばえ、つぼみとなる。

生きているとはそういうことなんだろう。
芽ばえるものが絶えないから未来へ続く。
私の中に渦巻くアイデア、
いくつ形にできてきただろうか。
まだまだつぼみがたくさんある。
ひとつ咲いたかなと思ってもしおれるのは時間の問題。
次々に芽吹くものたちにエネルギーを注ぎたくなる。
結果、失うものももちろんある。でも生きている。

春先から体調がいまひとつだったことで
仕事以外の外出を控えていたけれど
このツツジのつぼみに出逢えて
私の身体の中でもいろいろなものが生まれ変わっている兆候を感じる。


このつぼみが綺麗な花弁を開かせますように。

昨年4月の記事、純白のツツジに魅かれてを思い起こし、あたたかな初夏の光を想像。

2013年4月16日火曜日

黄色いリンゴ

先週末。
4月に入ってあたらしいことばかり続いて
好奇心がよろこぶとともに少々疲れ気味だったとき。

母から電話。
「黄色いリンゴ、美味しいから送ります。」


ほんとうに
こんなふうに黄色いリンゴが届きました。

酸味程よく、口当たり軽く、爽やか。
ほのかな芳香も心地良くて、疲れが飛びました。

晩夏から晩秋の収穫期はもちろん
春先もリンゴを美味しく食べられたことに感謝。

小さいころから
食欲がないときもリンゴならば食べられた嬉しさを
改めて思い起こして母に感謝します。

コチラのリンゴ専門サイト中収穫期別のページを見ても、黄色いリンゴはいくつもあって、母が送ってくれたものがどれなのかはわかりませんが、そんなことはどうでもいいと思うほど、愛らしいリンゴさんでした。

2013年4月14日日曜日

『フレグランス香調トレンドセミナー2013春』(日本調香技術普及協会)受講録

日本調香技術普及協会 主催の『フレグランス香調トレンドセミナー2013春』を受講しました。

最新フレグランスを休憩を挟んで8種、調香師の方々の解説をききながら、特徴的に使用された香料とともに鑑賞。
8種の選択ポイントやトレンドについては、香水のマーケティングにおける専門家の方にお話いただきました。

フレグランス愛好者である一般の方々にはもちろん
香りの分野に様々な立場でお仕事に関わっている方々にも
非常に興味深い内容になっていると思います。

たとえば私は
毎年大学で担当する講義の中でも
最新フレグランスを紹介、解説する機会をつくっていますが
そのときの選択基準やフレグランスの評価の仕方についての
考え方の違いを知ることができ、視野が拡がっています。

さて、今回の8種から4種をとりあげて
改めて周辺情報とともに感想をメモしておこうと思います。

ローズガーデンズ モーニングローズ/ニコライ・バーグマン
私の第一印象は「洗いたての髪、初夏の風」。
これは多分に私がバラの香りでつくられたシャンプーを愛用している日常の記憶から感じてしまったことかもしれませんが、最初の印象はバラというよりもひんやりとしたフローラルグリーン。時間がたつと徐々にやわらかなバラの香りが上品に立ってきます。清潔感のあるエレガンスを大切に思う方にお勧めです。

アクア ユニヴェルサリス/メゾン フランシス・クルジャン
まさに普遍的、万能に使えそうな清潔感の象徴とでもいえそうな
上品な爽やかさ。男女関係なく使えるでしょう。
昨夏に書いた記事 ブランド名は調香師名…フランシス・クルジャンを思い起こしました。

マドリー/ケンゾー
香りを聞いた瞬間にラテン音楽の熱いリズムが響くような印象。
果実、花々とシダーの情熱的な旋律が特徴的であり、一度感じると忘れられなくなりそうで、これは好みが分かれるかもしれませんね。
ちなみに私はコチラの記事で書いていたように、この香りにはまずボトルも含めてその視覚表現に魅かれていたのですが、ボトルデザインは、“ルールは不要”という独特のモットー持つイギリスのインダストリアルデザイナー、ロン・アラッドによるものでした。

マドリーは、日本ではピンクのボトルが販売されていますが、ヨーロッパ限定でパープルのボトルのフローラルオリエンタルの香りが販売されているそうです。調べてみたところコチラの香りのようです。

そして、ジュール ドゥ エルメス。
私の第一印象は「静かでエレガント、微細な美の光」。
実際に気に入って入手された方が書かれたと思われる記事を見つけました。
家庭画報.com 読者ブログ 2013,1,27

ブランドの表現、
クリエイターの表現、
そのクリエイションはたくさんあり、それぞれに美があるのでしょう。
それらが、感受する人の記憶の奥に眠る美と激しく共鳴するかどうか。
なかなか難しいながらも、興味のつきない世界です。

2013年4月11日木曜日

『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』(東京都写真美術館)から感じた香り

午後の雨上がり、恵比寿へ。
きらきらと緑がまぶしいガーデンプレイスを通り
東京都写真美術館に到着。

『アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密』(東京都写真美術館)をゆっくりと鑑賞。

そこには
数々の視覚的実験の試みと
被写体の隠れていた美を浮き彫りにするような創造がたくさんありました。

煙草が魅せる女性の表情や
点だけで表された女性の笑顔、
同じ形でも色で別人に見えてしまう服の力など…

懐かしいと感じた2点は
グレース・ケリーの初々しい横顔と…

80年代後半にパリで見た
眉・眼差し・唇・ホクロだけで表現された女性。
写真のポストカードのうちの1枚。
これは『ヴォーグ』US、1950年1月号に使われた作品です。


写真の、もう一枚のポストカードの作品には
いかにも柔らかな香りが漂っていそうな胸元が写し出されています。

今後3種類の関連レクチャーが開催予定。

「美の変遷とエレガンス」
2013年4月13日(土) 14:00~15:30
講師:岡元美也子(資生堂ビューティートップスペシャリスト、ヘア&メーキャップアーティスト)

「ファッション誌と写真」「新進クリエイターの作品について」
2013年4月20日(土) 14:00~15:30
講師:「ファッション誌と写真」 原由美子(ファッションディレクター)
「新進クリエイターの作品について」 小杉早苗(文化ファッション大学院大学教授)

「ダダからシュルレアリスムへ」
2013年4月27日(土) 15:00~16:30
講師:田中正之(武蔵野美術大学 教授/美術館・図書館 館長)

詳しくは展覧会サイトで確認できます。

2013年4月9日火曜日

小饅頭&黒大奴(島田名物)から想起した郷里の香り

仕事のご縁で
私は数年前から毎週静岡に通っています。

緑茶の産地というだけでなく
海の幸に恵まれてお魚も美味しい静岡は
私の郷里である富山をほうふつとさせる
安らぎを感じる地です。

昨夜
静岡県島田市出身の知人と
タイミングよく同じ新幹線でご一緒できました。
その方を通じて知ることができた島田名物2種が
なんと私が郷里で慣れ親しんだ味・香りと重なり
感激しています。

その2種のお菓子のお店が清水屋 さん。
清水屋 の小饅頭はふっくらとかわいらしく
ほんのり甘いお酒の香りがする酒饅頭でした。

私が子供の頃から催事のたびにいただいていた
竹林堂(富山のれん会ページより)の甘酒まんじゅうを思い起こします。
竹林の焼き模様が香ばしいのもアクセント。

そしてもう一種が黒大奴。




この表面のツヤツヤのテクスチュア。
水羊羹のようなものにつつまれたお饅頭かな?と思い一口。
なんだか懐かしい「旨味」が
中の餡の上品な甘さをひきたています。

なんと
表面の羊羹には昆布がつかわれていました。

昆布。
まさしく富山の味です。食卓になかったことはありません。
昆布生活.com によると、富山は昆布の消費量日本一のよう。

なんだか心にあたたかいものを感じています。
Mさん、有難うございました。

2013年4月6日土曜日

『カフカと映画』/ペーター=アンドレ・アルト 著 瀬川裕司 訳(白水社)を読む

「映画がなければ カフカは生まれなかった」




このフレーズに魅かれただけで
「映画」の影響力を自分の記憶に重ねて読みたくなった。

この本に書かれていたことのほとんどが
私にとっては未知の世界だった。
数多くの映画作品名、文学作品名、人名、そして地名。

この本を読む前に私が知っていたことといえば
カフカが
今も世に広く語り継がれる文学作品を残した人物であり
その彼の生きた時代はちょうど
フランスのリュミエール兄弟が動画技術を開発し
「映画」が世に現れた頃と重なるということだけ。
しかし、この接点こそが重要だった。

知っているからではなく
一点の好奇心から波紋のように拡がる興味と視野に
期待しながら本を読んでもいいと思う。
良書との出逢いとは
そういうものではないだろうか。

「映画」という表現手段。
これに大きな興味を持ち
これが人の知覚にどんな影響をもたらすか。
そんな好奇心の強い私には
本文の中に共感できる記述は多くみられた。

たとえば
「第一章 動くイメージの美学」より
本文p20中の次の文章には、映画表現の本質が記されている。
…カフカがとりわけ関心を寄せたのは、映画の映像の力動的な配列と連続化の技術である。彼は日記に、映画というメディアが人々が見慣れている出来事を加速化し、異様なものに変えることによって生み出す新たな運動の芸術を、きわめて的確に記録する。…

力動的な配列と連続化の技術。
これは、現実世界では見えないはずのものを見せてしまう。
あるいは、見逃していたものに気づかされる。
かつて見た映画の中でどうしても忘れられないシーンがあるとしたら
それはこうした技術の賜物に違いない。

『カフカと映画』/ペーター=アンドレ・アルト 著 瀬川裕司 訳(白水社 刊)


2013年4月4日木曜日

Dilmun/Lorenzo-Villoresi・古代の宝のような香りはオレンジ花の優雅さに包まれて

フィレンツェには一度しか訪れたことはないが
素晴らしい街だった、とまたしても思い起こす。

とあるご縁から
あたたかなオレンジ色のパッケージが印象的な香りサンプルを頂く。

漂う香りに
古い時代の宝物が発掘されたようなロマンを感じ
とっておきの時間に試したいと思った。

髪と手にひとしずく。
ふわりと拡がるシトラスの爽やかさと
ネロリの優雅な花びらのような清楚さ。
ラストノートからは穏やかなヴァニラや木々の香り。
ぬくもりとともに穏やかに長い余韻が記憶に残る。

端正な書体の文字で Lorenzo-Villoresi

中東の香料に魅了された調香師のブランド。

Dilmun というのは古代メソポタミア文明にとっての要地であったらしい。太陽が昇る場所とも言われていたそうである。神聖なる場の厳かさと太陽の恵みを受けて輝く植物たちの躍動が海風にそよぐように漂う、まさしくパラダイスのような気分に浸れる香り。

オレンジ花の清楚な白・ネロリ

この花の香りをこよなく愛する人には特にお勧めしたいと思う。

2013年4月3日水曜日

長崎・ハウステンボス美術館 にて4/5より『香りとファッションの美学展 』

2月から3月までは栃木で開催されていた
『香りとファッションの美学展 』が、今週末からは長崎へ。

栃木では
長い歴史とともに変遷してきた香水瓶が
同じく時を重ねて佇む蔵によく似合っていましたが
華やかに花々が咲き誇る4月から5月は
早くから海外からの文化の入り口であった長崎へと舞台を変えます。

『香りとファッションの美学展 』長崎・ハウステンボス美術館 4/5〜5/27

展覧会開催に先駆けて明日4月4日には
ファッションと香りに精通した二名による特別講演も行われます。
講師の一人である平田幸子氏によるパルファムサイトからも
コチラのメッセージが綴られています。
もうお一方、津田紀代氏もパルファム誌への連載をされています。

明日4月4日講演タイトルと時間帯は以下のとおり。
詳しくは上記*で確認することができます。
一人でも多くの方に楽しんでいただけますように。

①時代をリードした香り美人-カトリーヌ・ドゥ・メディシスからサラ・ベルナール1910年代まで-
■時間 13:30~14:00
■講師 ポーラ文化研究所主任学芸員 津田紀代

②現代の香りとファッション
■時間 14:10~14:40
■講師 パルファム編集長 平田幸子
■場所 パレス ハウステンボス(プリンスルーム)


2013年4月2日火曜日

香るフレーズ(懐かしいテキストより)


大学の外国語学部フランス語学科在籍中
最初の1〜2年で使用していたテキスト。
卒業後、大学生への仏語家庭教師をつとめた時にも使用。


大学時代にこのテキストとテープから
今も口ずさんでしまう
幾つもの忘れ難いフレーズをおぼえたものです。

時代背景が古いということで
もはや学科では使用されていないようですが
時代に関係なく綴られる人間ドラマは
今読み返しても味わい深く
フランスの季節感、
個人主義的考え方も感じられます。

シーンとともに私の記憶に深く刻まれたフレーズの筆頭として
23才の男性Pierreと20才の女性Mireiireの会話を
綴っておきたいと思います。

ー Nous n'avons pas de chance,ce soir.
ー Mais si. Regardez! Le ciel est plein d'étoiles.

約束して入った映画館では良い席に座れず
その後バスにも乗り遅れてしまい
彼は
「今夜はついてないね」。
(ヌ ナヴォン パ ドゥ シャンス スソワ)
それを受けた彼女の言葉が素敵。
「いいえ、そんなことないわ。見てください。空に星がいっぱい。」
(メ スィ ホギャウド ル シエレ プラン デットワール)

フランス語ならではの
女性の強さと優しさが香るフレーズ。
今でもときどき
星の綺麗な夜空を見上げてつぶやくことがあります。

アテネフランセ 視聴覚クレディフでは、今でもこの教材が使われているようです。

シーンとともに共感して憶えたフレーズは忘れません。