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2014年10月18日土曜日

スプーン一杯のヌテラで芳醇な幸せ。/ Une cuillère de Nutella apporte la joie parfumée.

ドイツからのおみやげ。
ヘーゼルナッツ&チョコレートバター、『Nutella/ヌテラ』
イタリア生まれのこのスプレッドは、欧州で広く愛されています。

Souvenirs d'Allemagne.
Ce beurre de noisette et chocolat ,《Nutella》 qui est né en Italie, largement est aimé en Europe.




このボトルの反対側には、ドイツ語で次のような説明が。
De l'autre côté de cette bouteille, on explique en allemand comme ça.

〈 Guten morgen mit nutella. Für einen guten start in den tag den vollen Geschmack eines leckeren Frühstücks mit nutella erleben.〉

英語に訳すと(en anglais)
〈 Good morning with nutella. For a good start into the day the full taste of a delicious breakfast with nutella experience.〉

フランス語に訳すと(en français)
〈Bonjour avec du nutella. Pour un bon démarrage dans la journée le goût complet d'un délicieux petit déjeuner avec expérience de nutella.〉

日本語では(en japonais)
「ヌテラと共におはよう。良い一日の始まりのために、ヌテラをたっぷり味わう美味しい朝食を。」

今朝もパンにヌテラ。スプーン一杯のヌテラで芳醇な幸せ。
Aussi ce matin, le Nutella sur du pain. une cuillère de Nutella apporte la joie parfumée.






2014年8月26日火曜日

緑の中のロダン館・静岡県立美術館

JR草薙駅から、静鉄バスで約6分。
緑の木立の奥深くにありました。

静岡県立美術館




中庭。光と緑と石のハーモニー。




目的は現在開催中の、アニマルワールド 〜9月7日まででした。

石田幽汀の『群鶴図扉風』は近くで眺めると繊細な鶴の表情、柔軟な筋肉の優雅さに惚れ惚れとし、遠くから眺めると、まるで鶴たちが動いているかのような錯覚。

……以降多様な描写によるいきものたちにすっかり心なごみ、
続いてさまざまな風景画に風や水の音を感じ…


ロダン館 へ。彫刻を鑑賞するための空間。





作品については、ロダン館Webサイトに詳しい説明がありますが
この空間でリアルに鑑賞して少なからずの衝撃を受けてから読むと
より深く感じられると思います。

人の筋肉から感じられる精神性。
バルザックの表情は一度眺めたら忘れられません。
『考える人』の全身の筋肉。

ロダンは当時としては前衛的だったようですが
コチラに記された内容

大切なのは巨匠の作品を模倣することではなく、巨匠のような視点をもって実直に対象を観察することであるとロダンは考えていた。


には、私もまさにそのとおりと感じます。
バレエ・リュスで『牧神の午後』の振付を行ったニジンスキーを支持したり
ボードレールの『悪の華』の表紙に挿絵を描いたりしたロダン。



カフェ・ロダン
からの空と水面。晩夏の光と湿度とそよ風と。





四季折々の色に囲まれて
訪れるたびに
新たな色や形を発見できる喜びは
このような美術館にあるのでしょう。

2014年8月13日水曜日

1秒香るだけでも麗しい・Repetto Eau de Parfum



香りの魅力は
一瞬で感じることができるもの。

昨年、コチラ
の記事でもご紹介のレペットが、初のフレグランスを発売して1年目、新たな香りを発表。写真は先月、ブルーベルジャパン株式会社主催イベント会場での展示です。
前作オードトワレのボトルの形は受け継がれていますが、表面は全てフロストに。黒の外箱とともに、一層なめらかで官能的なニュアンスを感じさせる香りを想像させます。





昨年発売されたオードトワレのブログ記事
にもそのボトル写真を載せましたが
クリアなガラスの透明感とはうってかわって
艶かしい新作ボトル。
舞台に向かうプリマドンナの
秘めた熱い想いと緊張感が
紅潮した肌に描く
官能的なオーラさながらに。

レペット公式サイトでは
この新作のイメージを
コチラの動画や文章で表現。
オードトワレの優雅で柔らかな流れを踏襲
これから舞う自らのイメージを
一瞬の決意に秘めて舞台に向かうエトワールさながらの
華やかさと余韻に溢れた香り。

夏に旬を迎えるプラムの鮮やかなフローラルフルーティの旋律が
新たなトップを引き立てて
まろやかな花びらの甘美な舞へ。
包み込まれるようなうっとり感は
オリエンタル調の余韻を深く響かせるアンバー、パチュリ、ヴァニラです。

先月
ちょうどバレエ・リュスのコスチューム展を鑑賞したときに
この香りを纏い、プリマドンナの心に想いを馳せました。

長い髪が風になびく瞬間…
裾がゆるやかに波打つたび…
わずか1秒香るだけでも十分に麗しいオーラが漂いそうです。







2014年7月25日金曜日

衣装は語る・魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展/国立新美術館

「青神」(インドの神さま)の衣装をポスターを初めて見たとき
青を引きたてる周囲の色彩の素晴らしさ、
精巧なモチーフの組合せに目を奪われました。

実物を鑑賞できる貴重な機会が訪れました。

魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展/国立新美術館
Ballets Russes: The Art of Costume
へ。


黒の背景に仕切りなく、バレエ・リュスの歴史に沿って演目毎に衣裳が等身大で展示されています。まずはこの雰囲気に引き込まれ、衣装ひとつひとつが語りかけるダンサーの演技に秘められた心情や華麗なその動き、流れる音楽を想像。

衣装そのものの他に、貴重なモノクロ写真やスケッチの展示、演目ビデオ上映もありました。途中、誘惑的な恐ろしさを香らせる「タマール」の衣装に一瞬凍りつき、「青神」、「オーロラ姫」、「青い鳥」の繊細な美しさに魅かれつつも、マティスによる大胆なデザインに足を留め……ガブリエル・シャネルが衣装を担当した「青列車」(1993年公演)は面白くて2回も鑑賞。

2時間は滞在したでしょうか。
ふと気がつくと長袖ブラウス着用の私でさえ身体が冷えていました。
衣装のために展示会場はかなり強く冷房がきかされているようです。
とはいえ、鑑賞内容の素晴らしさがすぐに心から身体へと伝わり
いつもの体温にもどりました。

会場出口のショップでは
『薔薇の精』を踊るニジンスキーのフォトカードとともに
6月に発刊されたばかりのこちらの本を購入。


ビジュアル版バレエ・ヒストリー バレエ誕生からバレエ・リュスまで
芳賀直子 (著)/世界文化社
はページをめくるたびに貴重な写真の数々に見入ってしまいます。

私と芳賀直子さんとの出会いは
『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』に始まり、以来ディアギレフは私にとって芸術やファッションを語るには欠かせない人物として記憶に刻まれていたのでした。

20世紀初頭、フランスで衰退しかけていたバレエを、芸術を妥協なく追求する進取のディアギレフが、当時芽生えていた類稀なる美の表現者を発掘しながら総合芸術へと発展させたのです。
広く世に芸術の価値を伝える…こうした情熱の軌跡は、ヨーロッパの先人に多くを学ばなければならないと改めて実感します。






2014年3月18日火曜日

記憶が重なり浮かぶ色・「シャガール展」

日曜日の夕方。
静岡駅北口からほど近い静岡市美術館へ。

シャガール展/静岡市美術館


やはり。チケットのブルーを見て回想。
シャガールの絵、という記憶の中で
私が最も強く思い起こす色。
熱い情感の赤とは対象的に
静かに、祈るような青。

シャガールが描いた、パリ・オペラ座の天井画。
ジゼル、火の鳥…
真上に見上げて、オペラ座で開催された演目の数々を想像。
そして、
メッス大聖堂の薔薇窓から射す光で揺れるブルー。



会場を一巡、
最後にもう一度
吸い込まれるように凝視してしまった3点。


左上の青は「花」。
親子のようなシルエットが左下に映る。
花を抱いているようにも見えるし
花にまつわる記憶の一端かもしれない。
右上の赤は「ラ・ペ通り」。
この燃えるような赤は
体感の記憶の中にかすかに見えた。
右下の「天蓋の花嫁」。
どこかで何度も目にした記憶がある。
幸せの中に悲しみがある。
今の中に、忘れられない記憶がある。

バレエ「ダフニスとクロエ」の背景画、衣装デザインを手がけることになったとき、シャガールは、この物語の舞台であるギリシャに赴き、感じる色とその表現を深く探求したという。

記憶を重ねて浮かぶ色。
複雑な心象にあえて重ねられるゆえか
色そのものに不思議な透明感がある。

わずか1時間強の滞在で時を忘れた。

いつかニースにあるシャガール美術館にも行ってみたい。

この展覧会は次回名古屋、愛知県美術館(4/17~6/8)へ。


2013年12月6日金曜日

冷たさは静かに温かさを導く…『雪の女王』

雪国生まれの私にとって
雪には複雑な思いがあります。

寒く冷たいという絶対的な現実。
無言の厳しさ。
一方で
遠くからも近くからも
雪の作り出す形の
美しさ。

12/6(金)・12/7(土)国際ファッション文化学科 卒業イベント『雪の女王』を開催



冒頭のパフォーマンス。
冷たい風の見えない激しさ、美しさが
音楽とともに
男女それぞれの鮮やかな跳躍、華麗な身体の動きで表現。
武蔵野音楽大学に加えて今年度から
日本体育大学ともコラボレーションされ
その表現はより立体感を増しています。

動きを見せるための衣装。
花の香りを感じさせる衣装。
動的で温度を感じさせる色彩は
圧倒的に冷たく静かで
荘厳な雪の女王と対照的。

体温の温かさを日々実感し
寒いからこそ温かい人達に
育まれたのかもしれない
子供時代。

文化学園大学のこの卒業イベントは
毎年鑑賞していますが
今年はひときわ心に沁みました。
明日も11:00〜 14:00〜 17:00
3回開演されます。

2013年11月23日土曜日

「ロマンティック・バレエ」から見る19世紀


19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマにした日本初の展覧会・11/9よりにてご紹介の展覧会拝見。

バレエを通じ
主にフランス19世紀の歴史背景に思いを馳せた時間となりました。

イタリアで生まれ、フランスで開花し、ロシアで成熟したバレエ。
開花期のバレエ、ロマンティック・バレエが成立したと言われるのは
1789年フランス革命後の最も不安定な時代であり
1830年七月革命と1848年二月革命の間約20年間が黄金期。


ロマン主義の形容詞にあたる
ロマンティック(仏語: romantique 英語: romantic)とは
もとは古代ローマのラテン語とラテン語で書かれた書物を表す言葉。
ロマン主義の根底にあるのは
古典主義で軽視されてきた
人間の独自性や感情、民族文化の尊重、自然への共感。
バレエにおいては
夢、幻想、妖精、妖怪といった形でも表現されたり
異国情緒あふれる民族衣装を生かした作品も生まれています。

なるほど
つま先立ちのトゥシューズも
ふわりとしたチュチュも
そうした表現から生まれたものと納得。
この世のものとは思えない妖精のような佇まい。

ロマン主義文学、美術、音楽が開花した19世紀とは
フランス革命、イギリスの産業革命といった
人間社会や技術そのものが旧来とは一変した時代。
社会が大きく変わるとき
新しい芸術が生まれ…
結果として
バレエもその影響を大きく受けています。
ひとつひとつの版画をながめながら
私の場合は
まずはその衣装からそうした背景を感じました。

印象的な版画4枚のポストカード。


右上は、カルロッタ・グリジによる『ジゼル』。
左上は、わずか数回しか上演が実現しなかったという
4大スターによる『パ・ド・カトル』。
左下は、マリー・タリオーニによる『ラ・シルフィード』。
いずれも幻想的な妖精の世界。
一方、右下は
『松葉杖の悪魔』の中で「カチュチャ」を踊るファニー・エルスラー。
情熱的で地上的、官能的な踊り手で
マリー・タリオーニと人気を二分したそうです。
会場では、このファニー・エルスラーの着ている
衣装が再現されたドレスも展示。
赤系と黒の組合せは異国情緒を感じさせます。

本日は、展覧会監修者であり舞踊研究家の芳賀直子さんによる
興味深いエピソードたっぷりのギャラリートークをききながら
作品鑑賞を楽しむことができました。
12/7も同時刻に芳賀さんのトークを聴くことができます。
お話を聴くと鑑賞が何倍も楽しくなるでしょう。

鑑賞されている方々からふわりフワリと様々な香りが立ち…
その中にはあの、バレエから誕生したブランド、
レペットのフレグランスも感じられ…
優雅なひと時でした。



参考文献
展覧会図録
ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ
編集・発行 株式会社ニュー・オータニ ニューオータニ美術館



2013年11月17日日曜日

山下公園〜KAAT〜横浜中華街


みなとみらい線「元町・中華街」駅から
山下公園へ歩く。

ちょうどお昼頃。
快晴の空に銀杏の木。



海風を感じながら
ホテル ニュー・グランドの傍を通り過ぎ
神奈川芸術劇場(KAAT) へ。高さ約30mの開放的な空間が広がる劇場へのエントランス。


大スタジオで鑑賞した『唐版 滝の白糸』には大満足。
奥深いセリフや繊細な表情…
人間の動きや息遣いが最大限生かされる
この空間自体も素晴らしい。

劇場を出ると
「今日は何日?ここは何処?」
のような感覚に落ちるのが楽しい。

夕暮れの中華街。
さまざまなにおいの誘惑。


四川料理のお店へ。

ツヤツヤ緑色、豆苗の炒め物は
豆の若い香ばしさがシャキシャキ。
花椒の痺れる感覚をトップノートに
辛味、芳香のバランスが嬉しい麻婆豆腐。



晩秋の夕暮れにしては
さほど寒くもなく
穏やかな
大安吉日の土曜日。
結婚式帰りの人達で賑わう駅を後に帰京。

2013年11月3日日曜日

19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマにした日本初の展覧会・11/9より


『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』以来、芸術としてのバレエの世界に魅了されています。芳賀さんとはその後お会いしてお話する中で、楽しそうな展覧会が実施されるときにぜひお声がけくださいとお願いしていました。

そして…先日ご案内いただいたのは
ロマンティック・バレエの世界 妖精になったバレリーナ(ニューオータニ美術館)




展覧会の監修をつとめられた芳賀さんは
ギャラリートーク(11/23,12/7の2回)も担当されます。

…ルネサンス期にイタリア貴族の宴での踊りから始まったバレエは
フランス王アンリ2世の妃となったカトリーヌ・ド・メディシスにより
フランス宮廷に持ち込まれ、ルイ14世はこれに熱中。
自らダンサーとして出演、1713年にバレエ学校を設立したそうです。
ロマンティック・バレエが成立したのはフランス革命後の不安定な時代で
テーマは、当時のロマン主義文学とも深いかかわりもあったとか。
(…以下はチラシ裏面解説内容より)

まさにチュチュやトゥシューズが生まれた
19世紀「ロマンティック・バレエ」時代をテーマとした
日本初の展覧会ということで
当時の人気演目ごとの版画やスターの手紙、楽譜も展示されています。

バレエそのものの魅力はもちろん、
19世紀フランスの社会に息づく文学、美術、音楽、
そしてファッションが反映されているにちがいありません。

目に美しく楽しめる
知りたいことがより深まる…
素敵な展覧会です。

2013年7月18日木曜日

1947年創業『repetto』初のフレグランスが今夏デビュー

50年以上の歴史をもつブランドが
ブランド初のフレグランスをデビューさせるということ。

そのニュースは、2012年1月にフランスの美容雑誌の記事から知り
私もコチラに記録していました。

そして本日。





repetto(レペット)
銀座店におけるフレグランスの発表会に行ってまいりました。
発売は8月21日。満月の日。

このブランドと何と言っても深い関わりがあるのはバレエです。
人の身体の動きを最高に優雅に魅せること。
それがこのブランドのクリエイションの目指すものであることは
店内を眺めればすぐにわかります。

本日の発表会のために
パリ・オペラ座のプリンシパル・ダンサー、エトワールとして活躍し
2012年からレペットのアンバサダーを務め
今回初のフレグランスのモデルとなった、ドロテ・ジルベールさんが
来日されていました。


上記写真には
銀座店の2階から1階の階段を駆け抜ける
ドロテさんの美しい後ろ姿があります。



階段の左側には淡い桜のように柔らかなシューズの棚、
そして右側にはまるで劇場の幕を思わせるカーテン。

創業者のローズ・レペットが、バレエダンサーであり振付師である息子のためにバレエシューズをデザインしたことがきっかけとなって誕生したこのブランドは、オペラ座のダンサー達ばかりではなく、女優のブリジット・バルドー、作曲家でありアーティストのセルジュ・ゲンスブールにも愛されてきた歴史を持っています。
公式サイトのコチラ ではそのヒストリーが紹介されています。

ブランド創立66年目の2013年に初フレグランスデビュー。
歴史が築いたブランドのエッセンスが香りに。

2013年。
実はバレエの歴史上特筆すべき年であることを
私は、今春 コチラ の講演会をきっかけにご縁をいただいた、
舞踊研究家の芳賀直子さんからの情報やお話から知っていました。
ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが、ディアギレフ率いるバレエ・リュスのために作曲した『春の祭典』。これは近代音楽としてだけではなくバレエという芸術表現としても画期的な試みが展開された傑作と言われていますが、この初演がちょうど100年前、1913年の5月に、完成したばかりのパリのシャンゼリゼ劇場で行われていたのです。今年の100周年公演を鑑賞された芳賀さんは感無量だったとのこと…

さて、66年目に誕生した初めての香りのイメージは?
公式サイトのコチラ
を。"LIRE" をクリックすると、エトワールとして舞台に立つ前に楽屋で準備をしているドロテさんの姿がムービーにてご覧いただけます。

「優雅こそすべて」。
そのようなイメージにつつまれた香りの第一印象は
ドリーミィーな柔らかさ。
香りの魅力については改めて綴ります。


情報提供
ブルーベル・ジャパン株式会社
香水・化粧品事業本部
カフェ デ パルファム

2013年5月5日日曜日

『横浜都市文化ラボ演劇ワークショップ』再演で再考した一期一会の感覚

3月、4月と
カレンダーなど
全くあてにならない気温の日が多く
あらためて我が皮膚感覚を大切にしたいと実感。

今日は昨日とは違う時間であるということを
もっと重視したい。
違う時間なのだから
なにひとつ
昨日と同じものは感じることが出来ない…
と、潔く我が感覚を解放して生きよう。

さて
急な陽気と「横浜都市文化ラボ」でご紹介した、大学生による、『腰巻お仙・忘却編』(唐十郎氏が状況劇場時代に創作した野外劇)が再演されるとの情報を得て、再演初日の4/30公演を鑑賞した。

3月に鑑賞したときと違うのは、
時だけではない。
感受する私自身の記憶と感覚。もはやあの時の私ではない。
舞台に集まった観客の顔ぶれ。人一人ひとりの放つオーラの力。
演じる人たちの記憶と感覚。もはやあの時の彼等ではない。

なので
当然私の感じたことも3/8と4/30とでは違うのだが
3/8にうすぼんやり感じて忘れられなかったインパクトが
4/30に決定的に浮き彫りになったという感触を得たものは
いくつか有った。

今回は観劇後
衝撃とともに気になって仕方がなくなってしまったことを
あれこれ連想のままに調べて考えて
発見や再考に浸る時間を持った。
こういうキッカケを与えてくれるものとの出逢いこそが
「芸術」との出逢いであると私は感じる。
同じような体験として
20年以上前、パリの某美術館で出逢ったある一枚の絵…
一目みて目が離せなくなり長い時間立ち尽くし
翌日ポンピドゥーセンターで
そのアーティストの資料を探してきたという記憶。

劇団唐ゼミのゼミログより
4/30,5/1に横浜国立大学にて再演された
『腰巻きお仙 忘却篇』について紹介された記事を貼ります。

横浜都市文化ラボ演劇ワークショップ、千秋楽!


横浜都市文化ラボ演劇ワークショップ再演、初日!


横浜都市文化ラボ演劇ワークショップ
『腰巻きお仙 忘却篇』


2013年3月22日金曜日

『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』

3月15日。国際香りと文化の会 講演会演題その二は
『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』、講師は舞踊研究家の芳賀直子氏。
『バレエ・リュス その魅力のすべて』(図書刊行会)の著者です。

バレエ。素敵な世界であろうことは感じていたものの
その歴史を含めたコンテクストに関して私はほとんど知識がなかったため
「未知の素敵な世界」のお話をうかがうことを楽しみにしていました。

芳賀さんの冒頭のお話のうち三つのことが
私の期待感を高めていたと記憶しています。

ー「国際香りと文化の会…なんて素晴らしい会でしょう。このような会でお話できることを嬉しく思います。」

ー「バレエを鑑賞する劇場の香りはまさに観客の香水の香りなんです…劇場は社交場でもありました。」

ー「『薔薇の精』という演目がありますが、これは窓から跳躍で入ってきてまるで夢遊病者のように踊り、再び窓から跳躍で去っていくというタイヘンな体力を要する踊りなんです。」

以上から私が感じたのは
芳賀さんは、バレエと同じ位に「香り」という目には見えない世界に魅力を感じられる方であること。そしてヨーロッパに端を発するバレエとともに香水もおそらく大好きでいらっしゃるでしょう。さらに、『薔薇の精』はまさに薔薇の深く捉え難い芳香を人間の全身を用いて表現されたものと解釈できたため、この演目を講演の最初で挙げられたこと自体が、バレエと香りの接点を意識されていたであろうことでした。

ご講演約90分。まるで観劇しているかのような楽しさでした。
芳賀さんの語りから香る情熱と溢れるばかりの情報量。
ご著書を一冊分読んだ位の内容だったのではないでしょうか。

「香り」・「ファッション」・「フランス語」に仕事で関わる私には
『薔薇の精』のエピソードを筆頭に
バレエの歴史(ルネサンス期のイタリアで発祥、フランスで様式化され、ロシアで開花した)はもちろんのこと、芸術としてそしてロシアの素晴らしさを伝えるためにと独自のバレエ団『バレエ・リュス』を結成したセルジュ・ディアギレフによる、芸術界、ファッション界への影響力の痕跡というものは非常に印象的でした。
1909〜1929年という『バレエ・リュス』の存続期間は、丁度ココ・シャネルが登場する時期にも重なり、シャネルも演目の衣装を担当しています。

広く世に芸術の価値を伝える…
こうした情熱の軌跡は、ヨーロッパの先人に多くを学ばなければならないと改めて実感します。
ディアギレフは、『バレエ・リュス』結成前に雑誌媒体『芸術世界』を発行し、展覧会も積極的に行ったそうです。これらが後の活動のベースとなったとのこと。
私にとってディアギレフは、以前のコチラの記事でご紹介した近代ロシアの画家、イリヤ・レーピンとともにここ一年間で知った忘れ難きロシア人となりました。

講演会後に調べて知ったことの一部を挙げます。

2007年には、映画『バレエ・リュス 踊る歓び・生きる歓び』が公開されていました。

2009年には、京都精華大学博物館にて
バレエ・リュス100周年記念 バレエ・リュス その芸術性とデザインの魔力が開催。芳賀さんが監修されています。

そして『薔薇の精』については
財団法人 日本舞台芸術振興会 ニジンスキーの伝説に説明がありました。その一部を引用して*〜*に記します。


… フォーキンがウェーバーのワルツ『舞踏への招待』(ベルリオーズ編曲)に振付けたこの一幕作品は、フランスの詩人・小説家であり、『ジゼル』の台本作者としても知られるテオフィール・ゴーティエの詩から想を得て創られた。「……あなたのまぶたを開けて下さい。私はゆうべの舞踏会で、あなたが胸につけて下さったあのばらの精です……」 …中略…フォーキンはいう。「バラの精は魂であり、希望である。また、バラの香気であるとともに花弁の愛撫であり、口では言い表せないものである」(『ニジンスキー頌』)。


まさにこれは薔薇の香りの表現そのものでもあり
「香りの女王」と呼ばれる天然ダマスクローズのフレッシュな香りに生まれて初めて触れたときの私の心象風景のようです。

奇しくも『バレエ・リュス』結成100年目は
香料バラ、ダマスクローズの産地として世界的に名高いブルガリアと日本の外交復興50周年の2009年。
この年以降私が監修する『パレチカ』の奥深い香りを記憶によみがえらせています。

2012年7月29日日曜日

ポーラ・バーン著『パーディタ メアリ・ロビンソンの生涯』から想像する18世紀末のイギリス美女

ロンドンオリンピック開幕。
同時に、私は18世紀末のロンドンに実在しイギリス史上最も美しいと称賛された一人の女性の生涯を読み終えた。

5月のコチラ のブログでもご紹介の一冊である。

本編550ページを超える文章には、当時の画壇の寵児ともいうべき四名の画家(サー・ジョシュア・レノルズ、トマス・ゲインズバラ、ジョン・ホップナー、ジョージ・ロムニー)に肖像を描かれたにも関わらずその真の美しさは捉え難しといわしめたメアリの43年(1757〜1800)の波乱万丈が綴られている。彼女が亡くなったときの描写では私も涙した。

きっとその美しさは、整形などあり得ない当時にあって、顔の造形や身体つきだけではなく、彼女のシャープで繊細な感受性ゆえの表現力、仕草、ふるまい全てに現れていたのだろう。リアルタイムでメアリに会えていた人たちの幸運を想像する。同時代に生きたフランス王妃マリー・アントワネットにも会い、マリーにもその美と愛らしさを讃えられたという。

女優、英国皇太子(のちのジョージ四世)の第一の愛人、社交界のスター、フランスの最新ファッションをいち早く取り入れイギリス流に着こなす最先端のファッションアイコン…これだけでも稀有な存在である。さらには著述家として長編小説、政治論文、随筆、戯曲、詩…多くの作品を残す。フェミニストとしての活動も垣間見ることができた。自らの生涯を振り返り、『イギリスの女性たちへの手紙ー精神的隷属の不当性について』と題された著書の中では、当時のイギリス社会での女性の立場の不当性を指摘し、「女性のための大学」を設立すべきと提案している。

18世紀末。世はアメリカ独立戦争、フランス革命の時代である。現代以上に階級社会、男性中心の社会にあって、女性が自らの意志だけで生き方を定め進むことがいかに困難であったかを想像すると、その美しさゆえに男性により過酷な運命に翻弄される一方、メアリはまさにそうした逆境をことごとく切り開き、その短い生涯の中、病魔と闘いながらも自らの才気を開花させた。彼女が著書の中で記したという次の文が私の心から離れない。

「知識の頁を開くのは逆境のみである」
「精神を支えるのは真実のみである」

およそ二ヶ月の間、私は週末の数時間をこの本に当て、少しずつ読み進めた。二時間ドラマを漠然と見るよりも遥かに様々なことを感じられたと思う。読みながら、ときどき本の中の肖像画を眺めたが、どれも私のイメージしたメアリではない。何と言っても、時の皇太子にこういわしめた女性である。

「…僕は見たことのないような美しい女性の登場に、ことに興味を惹かれ…
彼女はすばらしく繊細な演技をしたので、僕は涙してしまいました」

このような女性の存在が、長い間封印されていたのも、情報操作巧みなイギリスという国ならではなのであろうか。ますます興味深まる国である。


2012年4月14日土曜日

日本初上演『淋しいマグネット』・シアターコクーンにて

BUNKAMURA シアターコクーンにて。
『淋しいマグネット』を鑑賞。


まず、タイトルに魅かれた。
淋しいマグネット。
磁石のさびしさ…?
なにか、この言葉に強烈に魅きつけられた。

終演後、この一つの物語から
いくつもの自分自身の記憶を思い起こし
4人の登場人物それぞれの気持ちに重ね合わせた。
ある一時期魅かれあったものの、数年後に悲しい決別をしたこと…
魅かれあった気持ちが、時に怒りと憎しみに変化する危機を何度も乗り越えて
それでもなお、魅かれずにはいられない存在があること…

脚本がすばらしい。
9 才、19才、29才それぞれの、正直ゆえに残酷な言葉の発露がいきいきと突き刺さるように伝わってくる。ピュアな誠実さと残酷さは表裏の関係にあると痛感する。

コチラ の記事によると、この作品は、スコットランドの人気劇作家ダグラス・マックスウェルのデビュー作。2000年英国での初演を皮切りに、ドイツ、ノルウェー、香港、ニューヨーク、シカゴ、オランダ、スウェーデン、韓国で上演され、今回日本初上演とのこと。

原作はどうやら『Our Bad Magnet 』のようだが、この上演の影響なのか品切れのようす。

仕事に関するもろもろの情報で頭が飽和状態になっている金曜日…たくさんのアーティストの渾身の表現の結集ともいうべき舞台のお芝居を鑑賞することの清々しさを改めて感じた。紹介してくださった翻訳家のMさんに感謝。