2024年2月28日水曜日

2024年2月の香景・4本のフレグランス




静かな冷気に梅花の気配

極寒と早春が入り混じる如月に

和らぎの光や

寒暖の陰影

温もりのような余韻

軽やかな華やかさ






早春に纏うとほのかな光を感じさせる

2-23 /çanoma



身が引き締まる清々しさは

徐々に漂う濃密な陰影へ

EVA /SANTA MARIA NOVELLA



ふわり優しく奥深い余韻の

LOEWE 001 Woman


春に向かう鮮烈なエナジーを

軽やかに漂わせる

L’EAU ROUGE Nº1 DE CHANEL



いつもより1日多い2月

ゆっくりと春に近づきながら

これまでとは違う弥生の予感





…écrit par 《SAWAROMA》





2024年1月31日水曜日

2024年1月の香景・4本のフレグランス




思いもよらぬ元旦の天災からひと月。

北陸生まれの身には心痛む時間が続き

意識的に静かな時間を過ごしていた。


香りは毎日愛用した。

昨年末に決めたように

これまでに厳選したフレグランスを

適度な距離感を保ちながら。




この1月

特に頻繁に使用したのは

あの羽衣のように柔らかな

Sur tes lèvres. E.Q. /D’ORSAY



さらに

当初は家人へのギフトとして

入手していた

繊細な穏やかさを醸し出す

J’ai l’air de ce que je suis. J.R /D‘ORSAY

も、ひときわ肌寒い日に

安らぎを感じさせてくれた。



自身を高揚させたいときには

深い紫のボトルを。

FLEUR DU DÉSERT /LOUIS VUITTON

白い花の余韻の奥に

スパイスとハニーの独特なコクが絡み

自身の中に確かな陰影を実感させる。



そして

1月も後半になると

昨秋めぐり逢えた黒のボトル、

Mame Kurogouchi のEAU DE PARFUM

を思い起こし

この香りに似合う装いへと

自由に想像を巡らす。

そんな折

偶然この香りによく調和する

なめらかな履き心地の靴に出逢えた。



香りは

自身の呼吸とともに体内に入り

自身の感覚に呼びかける。

毎月の月末に

記憶に余韻として残った「香景」を

綴っていこうと思う。





…écrit par 《SAWAROMA》






2023年12月27日水曜日

『匂いが命を決める』を読み、香水との関係を振り返る




今年も様々な書物に出逢えたが、中でも11月に一読したこの本は最も印象深い。


『匂いが命を決める  ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』 








昆虫と植物の相互作用についての神経行動学研究で知られ、特に昆虫の嗅覚研究で名高いという著書の経歴に惹かれて一読。何となく漠然とわかっていたような認識が、本書の具体的な生物の事例を読むにつれ、痛烈な実感を伴っていく。


環境を瞬時に分析し、命を守りつなぐために働く嗅覚、そのために人の鼻は顔の中央,先端についているのかもしれない。原題(DIE NASE VORN)の意味は「前にある鼻」とのこと。自身の嗅覚と向き合い研ぎ澄ます時間を増やしたいと思う。


ヒトは犬,魚,昆虫その他より圧倒的に嗅覚は鈍いとよく言われる。しかし、ほとんどの生物が生存と生殖のために嗅覚を駆使しているのであれば、同じく生物であるヒトが嗅覚を利用していないはずはない。視覚聴覚からの情報が多いだけに意識されることが少なかったかもしれないが。


ヒトは他の生物のように裸ではいられないし頻繁に身体を洗うため、本来の体臭だけでコミュニケーションすることは不可能である。しかし、自身の生存に有利となる嗅覚の使い方を考える際、自身から発する香りは厳選し,繊細な嗅覚を疲弊させない距離感を保つ必要があると感じる。


今年、自身のために新たに入手したフレグランスは,最小サイズで1本、フルボトルで1本のみだった。まずは自身が快適でいられることは大前提であり、その上で第三者からみた自身の存在感とその場の状況に好ましくない要素が発信されないためにも、まとう香りは厳選していきたい。





…écrit par 《SAWAROMA》








2023年12月12日火曜日

白・赤・黒・金の香りで過ごす12月




今年の12月の装いに

4色を香らせてみたいと思った


柔らかな白

スパイシーな深い赤

奥ゆかしく謎めいた黒

人肌を照らす繊細な光のような金






白のボトルは

2023年10月20日発売

ELLA K のMUSK K


雲のように形があるようでないような

グレイッシュで静謐な白の柔らかさ



赤のボトルは

2020年12月12日の記事 

COMME des GARÇONSのROUGE

エッジの効いた辛口なトップノートが

体温でしなやかな華やかさへと変身



黒のボトルは

2023年10月7日の記事 

Mame Kurogouchi 初の

EAU DE PARFUM


天然の藤袴の香りの素晴らしさを

発見できた翌年にこの香りに出逢う

肌にのせてこそ体感できる

涼やかさがいつしか奥ゆかしく

優雅な温もりへと移ろう

黒蝶を惹きつける花の謎



金色の液体が輝くのは

2017年10月30日の記事 

Guelain のShalimar  Parfum


肌を明るく見せる

ゴールドベージュの装いと共に

お祝いのような気持ちで

ふんわりほのかに纏う



今日は射手座の新月

私自身の感覚が

今求める香りと共に





…écrit par 《SAWAROMA》









2023年11月24日金曜日

11月の空気に・フレグランス3種の魅力




晩秋から冬へ。空気の変化とともに、装う服も香りもその日の気分にぴったりと合わせたい季節です。今月私が纏い,特に楽しめたフレグランス3種の魅力を再考しました。



ジュニパーベリーのクールなトーンから始まる深みのあるウッディなイントロが,次第にパウダリーなフローラル感とスモーキーな余韻へと流れ、乾いた空気に華やぎを。いつの間にか忘れ難い音楽のように心に染み込んでいく香り。




ORPHÉON/ diptyque




コクのあるフルーティーなオープニングに実りの予感。ベリーやプラム,ジンジャーといった比類なき個性たちが花々やシトラスと共に甘さを超えた清涼な印象へ変身。いつしかアンバーに包まれたラストの愛らしいぬくもりへ。



Une Nuit Magnétique / The Different Company



濃厚ではなく濃密な余韻。なめらかで神秘的。

アトラスシダーの木肌のぬくもりが,秋の実りのごとき果実やスパイス、そして花々の芳醇さに包まれて麗しく肌を香らせる。いつの間にか

安らぎとともに幸せな一体感。




Féminine du Bois / Serge Lutens





…écrit par 《SAWAROMA》