2023年11月24日金曜日

11月の空気に・フレグランス3種の魅力




晩秋から冬へ。空気の変化とともに、装う服も香りもその日の気分にぴったりと合わせたい季節です。今月私が纏い,特に楽しめたフレグランス3種の魅力を再考しました。



ジュニパーベリーのクールなトーンから始まる深みのあるウッディなイントロが,次第にパウダリーなフローラル感とスモーキーな余韻へと流れ、乾いた空気に華やぎを。いつの間にか忘れ難い音楽のように心に染み込んでいく香り。




ORPHÉON/ diptyque




コクのあるフルーティーなオープニングに実りの予感。ベリーやプラム,ジンジャーといった比類なき個性たちが花々やシトラスと共に甘さを超えた清涼な印象へ変身。いつしかアンバーに包まれたラストの愛らしいぬくもりへ。




Une Nuit Magnétique / The Different Company



濃厚ではなく濃密な余韻。なめらかで神秘的。

アトラスシダーの木肌のぬくもりが,秋の実りのごとき果実やスパイス、そして花々の芳醇さに包まれて麗しく肌を香らせる。いつの間にか

安らぎとともに幸せな一体感。




Féminine du Bois / Serge Lutens





…écrit par 《SAWAROMA》







2023年11月3日金曜日

秋の午後,アートとワインと香水と




11月に入り、久しぶりの自由な平日。

まずは国立新美術館へ。


Une partie de l'exposition de

« Homage to Artists » dans

« Yves Saint Laurent ,

 Across the Style

2023.9.20-12.11


イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル


にて唯一撮影可能の会場

「アーティストへのオマージュ」

でのシーンより。








立体として

人と一体となる服というもの、

その造形完成度が

細部まで素晴らしい。

考案スケッチ、イラストに

描かれた線にもメモにも無駄はない。

その審美眼に改めて驚かされた。


1990年秋、池袋のセゾン美術館で

鑑賞時もこのデザイナーの

造形美に圧倒されたが、

その後ドキュメンタリー含む

イヴ・サンローラン映画3作鑑賞を

経て眺める今回の展覧会は

ひときわ味わい深い。



この国立新美術館2階では

大巻伸嗣氏による

Interface of Being 真空のゆらぎ

の迫力にしばし圧倒される。




この美術館で最大の、展示高8m

2000㎥にも及ぶ展示室空間でなければ

体感できない貴重なインスタレーション。



さて、二つの展覧会の余韻を

一人静かに楽しむために

久しぶりに訪れたのが

ニューヨークワイン専門店の

go-to wine shop &bar

Instagram :  @gotowine.kyodo




透明感のあるロゼの香りが

歩き回った疲れを一掃。

NY州を代表するワイナリー、

ハーマン・J・ウィーマー

による2021年ドライロゼ。

ベリー系の爽やかな酸味が

ひんやりとエレガントに香り、

ふと気がつくと

この日私が纏っていた

ローズモヒートの香り 


にも共鳴している。

思いがけない調和が嬉しい。

ローズという優雅な差し色で

絶妙な透明感を帯びた

この香り、やはり私にとっては

なくてはならない貴重なものだと気付く。





…écrit par SAWAROMA







2023年10月21日土曜日

TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO が提供する3つのシーンに描かれる香りの インスタレーション/DESIGNART TOKYO 2023 




心地良い空間には

清浄な空気が必須である。

その中に、

ふと気がつくと

なんともいえない安心感や

繊細な優雅さが

見えない香りの余韻として

幻のように漂う一瞬を

感じることができれば

幸せな時間となるだろう。



アロマ調香デザイナー、

齋藤智子さん主宰の

TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO

が、デザイン&アートフェスティバル

DESIGNART TOKYO 2023 

へ出展されるにあたり

1020日のレセプションのお招きを受け

齋藤さんのプレゼンテーションと

トークセッションを拝聴した。




(プレゼンテーションされる齋藤智子さん)



(齋藤さんのトークのお相手は

アートディレクターの川上シュンさん)



東京で暮らす「わたし」の1日を描く

香りのインスタレーション。


そのテーマは

24/7/365」香る、暮らす

……


描かれた3シーンは

二人の朝×リビングルーム、

皆と過ごすダイニングルーム、

一人まどろむベッドルーム。







 


会場の1階から3階へ

齋藤さんのガイドに従い

それぞれの

視覚的インテリアデザインと共に

ほのかに漂う香りを体感した。



3つの香りの軸となるのは

TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO

を象徴する日本の5つの木の香り

………

No.1  熊野檜(和歌山)

No.2  北山杉(京都)

No.3  土佐柚子(高知)

No.4  芳樟(鹿児島)

No.5  椴松(北海道)





会場となる

è interiors(エ インテリアズ)
(11:00-18:00  水曜日曜休)
1階には

TOMOKO SAITO AROMATIQUE STUDIO

によるプロダクトも展示されている。





インスタレーションの展示期間は

1028日迄。

多くの方々が実際に

3つの空間でそれぞれの香りを

体感されますように。





…écrit par SAWAROMA






2023年10月7日土曜日

五感に響く匂いの調べ・涼感から温もりへ導く藤袴の面影〜Mame Kurogouchi のEAU DE PARFUM





思いがけず出逢えた

宝物のような記憶に

再会した喜びは深い。


藤袴(フジバカマ)。

昨秋、その涼しげな佇まいに魅かれ

花屋で入手、共に暮らして数日後、

思いがけず漂った甘い匂い。

茎と葉もそのまま乾燥させて

寝室のベッドサイドに。

よく眠れたことを思い起こす。



ファッションブランド

Mame Kurogouchi

がブランド初のフレグランスを

藤袴の天然香料を活かして製作中

であると知ったのは今年の春頃のこと。

春なのに,秋が待ち遠しかった。


10月を迎え、発売日の5日。

私は早速青山店で

その「匂い」を体感する。


ムエットだけでなく

手首の皮膚に

直接スプレーしていただく。






最初は

柔らかいながらも静かな

アルコールの感触と共に

緑や樹々の青さが

すぅーんと涼やかに

目と鼻を刺激する。


しばらくすると

皮膚がほんのり温まるような

感覚に包まれる。

奥ゆかしい墨のような

あるいは

土の温もりのような

静かなオーラを感じていく。


ふと気がつくと

あの懐かしくも優雅な余韻、

極めてほのかながら

まぎれもなく藤袴の

優しい甘さが流れてくる。


このような匂いのフレグランスを

私は初めて体感した。


天然香料のみでつくられたものは

フレグランスとしての余韻の深さを

感じにくいものが多かったが

この新作は

藤袴の独特な個性により

複雑な立体感を醸し出している。



ただし、

この匂いの真の魅力は

紙に付けただけでは

決してわからない。

服同様、人肌に纏ってこそ

真価を発揮する。


温もりも

ほのかな甘さも

うっすらと続く艶かしさも

皮膚に纏い,動き、

数時間を共にすることで

その人の匂いの一部となり

その人の存在と共に

極めて繊細な香りとなる。







有田焼の黒ボトル、

その金色のスプレー部分も

いつしか藤袴の余韻に包まれていた。







LICHEN × Mame Kurogouchi EAU DE PARFUM






LICHEN × Mame Kurogouchi CANDLE L



この香りに出逢えた機会に

黒の醸し出す

奥ゆかしさや艶かしさを

改めて考えてみたくなった。






…écrit par SAWAROMA