2017年9月23日土曜日

映像と音楽の分かち難い関係・『ジャック・ドゥミ + ミシェル・ルグラン シ ネマ・アンシャンテ』


一度聴いただけで忘れられない音楽と、鮮やかな色彩と陰影による映像との連携。映画の素晴らしさの一つはここにある。ひときわ音楽が印象的、かつ登場人物の衣装が際立った効果を感じさせる映画はどうしても記憶に残ってしまう。だからこそ魅力的である。


ドキュメンタリーというジャンルもあるが、映画は現実とは違うのだから、見せ方は未知数にある。妄想の中、空想の世界で見えるかもしれない夢やイリュージョンが視覚化されてこそ面白い。見えないもの、見えていないもの、聴こえないが流れているかもしれない音楽、空気のふるえを感覚に届けてくれるのが映画なのである。まるで香りさながらに。



今年の春、改めて鑑賞してその素晴らしさを実感した映画は50年前のものだった。


『ロシュフォールの恋人たち』と『シェルブールの雨傘』 /《Les Demoiselles de RochefortetLes parapluies de Cherbourg

2017,4,12  sawaroma 

http://sawaroma.blogspot.jp/2017/04/les-demoiselles-de-rochefortetles.html


Françoise Dorléacを偲ぶ・« Les Demoiselles de Rochefort » と共に

2017, 6, 21   sawaroma

http://sawaroma.blogspot.jp/2017/06/francoise-dorleac-les-demoiselles-de.html


そして50周年を記念して貴重な本が作られた。映画評論家の山田 宏一氏とアンソロジストの濱田 高志の共著。




『ジャック・ドゥミ  ミシェル・ルグラン  シネマ・アンシャンテ』

山田 宏一・濱田 高志 立東舎

http://rittorsha.jp/items/16317441.html



実際に映画の撮影現場に同行した山田氏による貴重な写真の数々、監督へはもちろんのこと、女優カトリーヌ・ドヌーヴへの長いインタビューも読み応え十分。姉のフランソワーズの私服姿もなんと素敵なことか。

さらに目を奪われるのが濱田氏のコレクションによる「アートギャラリー」。

映画ポスターのグラフィックデザインが上映される国によって全く違う。この価値の置き方の違いは圧巻である。



CINÉMA ENCHANTÉ /シネマ アンシャンテ。これは、ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランの二人が自分たちの映画を指して作った造語だという。cinéma(映画)とchanter(歌う)をかけ「映像と音楽の分かち難い関係」を表しているのだとか。

フランス語の「はじめまして」を意味する音も「アンシャンテ(enchanté )」。改めてこの単語を辞書で調べるとなるほどと思うことを発見できる。


50周年を記念してこの秋にはいくつかの映画館でなつかしい4作が上映される。

シネマ アンシャンテ

http://cinema-enchante.com/#intro




東京にて、sawaroma より。


2017年9月21日木曜日

香りの専門誌『PARFUM』No.183(秋号)発刊


香りの専門誌 PARFUM』(秋号)。

http://parfum-specialist.com

「秋こそ自分磨き!」がテーマです。

新作含む約40種の香りをご紹介。


『キーワードで見えてくるあなたの香り』。

今号のキーワードは映画3作のタイトルです。

『欲望』

(1966 ミケランジェロ・アントニオーニ監督)

『ルートヴィヒ』

(1973 ルキーノ・ヴィスコンティ監督)

『去年マリエンバードで』

(1961 アラン・レネ監督)。



Le thème de la dernière édition est

Essayons de raffiner soi-même

 par les parfums  ! .

Environ 40 sortes de parfums sont introduits. 


Dans la page

 « Vos parfums des mots clés » .

Ces mots-clés sont 3 titres des films . 

BLOW−UP》(1966 par Michelangelo Antonioni ),

Ludwig》(1973 par Luchino Viscontiet

L'Année dernière à Marienbad》(1961  par Alain Resnais .




PARFUM 』は、香粧品文化の情報誌。

編集長は、香水評論家の平田幸子氏。

174号から、電子本も発行。

私も編集メンバーの一人です。


C'est le magazine d'information sur le culture des produits parfumés.

La rédactrice en chef est Madame Sachiko HIRATA qui est critique de parfum.

À partir de N°174, son E-book a été publié aussi.

Je suis une des rédacteurs de ce magazine.




今号より、本誌にて「忘れられない香り」を連載いただいている

La Parfumerie Tanuさんのオンラインショップにて、まずは一冊から

ご購入いただけるようになりました。

でご確認いただけます。

http://lpt.hateblo.jp/entry/parfum183




東京にて、sawaroma より。

écrit par SAWAROMA à Tokyo.



2017年9月20日水曜日

2017年の香り方・Gabrielle Chanel


十数年ぶりにシャネルが新コンセプトの名でフレグランスをデビューさせるということで様々な期待があったと考えられる。その期待から外れたという声も聴く。何が期待されたのだろう?フランス語で言うところのOVNI(英語のUFO、未確認飛行物体を表す)のような衝撃? 奇抜さ? 既視感を否定し続けるその果てに究極のエレガンスがあるわけではないだろう。奇抜さは装いではなく人そのものの中にあれば良いのであって香りだけにその効果を期待するのは危険である。





私は今回の新作に良い意味で裏切られた。この香りに、定番のリアルクローズのような価値を感じたからである。

服で言うならばカシミアの肌触りのよいニットや柔らかなブラウス。ベイシックなアイテムほど、見せ方は未知数。個人的に今年はこうしたアイテムを見直し、日常着を自分に合ったものに厳選したいと感じていた。





そもそもシャネルのフレグランスには、香りとしてのクオリティの高さを実感しながらも、私自身が身に纏いたいと感じたものはこれまでには無かった。今回は自身の日常(仕事の日もオフの日も)で気軽に纏える普遍的なクラス感(心地良い上質な空気感)を見出せた。ラストノートにこれまでのシャネルフレグランスとは微妙に異なる香り方を感じ、最初から直接皮膚で試すとこのボトルヴィジュアルさながらに花々の香りが立体的に四方にきらめくように立ち上がる一瞬が見えた。その鮮烈な光の印象のあとは静かに私を包むオーラとなっていく。持続性にこだわる気持ちなど消えていた。この体感だけでも一日が変わる。





ボトルも素晴らしい。マットな質感、抑えた光沢を持つシルバーゴールドのキャップは正方形のネームラベルと同じ大きさであり、揺らめく光を思わせる液体を映すガラスも見事。このボトルだけでも欲しいと思ってしまった感情が優先してしまったかもしれない。しかしながらその直観に後で感謝した。実際の香りもこのヴィジュアル通りなのである。正方形に奇抜さはないかもしれないが普遍的な形としての存在感とガラスの質感の新しさが中の液体をことのほか美しく見せている。今日はどんな香り方をするのかと眺めるたび思う。



ガブリエル。フランス女性名として良くある名前のようだ。先日鑑賞したセザンヌとゾラの映画にも登場していた。未だ形の決まっていない存在、どこにでもいるかもしれない女性が光に導かれ、自由な心でチャレンジしながら新しい未来を切り開こうとする可能性を秘めている。その光は一人一人異なる人生を輝かせるきっかけになるのかもしれない。年齢も立場も超えて。女性性を象徴するのにあえてローズを外し、四つの白い花で新しい花を生み出そうとしているのも興味深い。



『ガブリエル/シャネル』のラストノートに私が出会った時の印象は既にこちらの記事の中でも綴っていた。この中に『ガブリエル/シャネル』公式ウェブサイトも貼っている。

http://sawaroma.blogspot.jp/2017/09/3.html



そして昨夜、この新作に関しフランス語で書かれた記事で共感できるものを見つけた。

この記事の最後に、シャネルの言葉が引用されている。

「贅沢とは貧しいことの反対ではなく、下品であることの反対である。」

まさしくこのブランドが目指しているのはそういうことであり、新作でも具現化されている。

2017年の香り方、シャネルから。


Jai trouvé un poste écrit en commun avec mes impressions sur ce parfum.

Gabrielle Chanel

mardi 19 septembre 2017

THE EMPTY BOTTLE

http://the-empty-bottle.blogspot.jp/2017/09/gabrielle-chanel.html




東京にて、sawaroma より。

écrit par SAWAROMA à Tokyo.





2017年9月18日月曜日

極早生みかん・Parfum frais de l'écorce verte


緑の果皮は実に清々しい香り。

果肉は甘みうっすら、良い酸味。


L'écorce verte a un parfum très frais. 

La pulpe est moins sucré, bonne acidité.



9月から10月という秋の早い時期に収穫されるみかん。

写真のみかんは熊本県産です。


Mandarines récoltés dans le temps précoce du septembre au octobre.

Ce sont de Kumamoto.




秋一番乗りのみかんは

極早生(ごくわせ)みかんと呼ばれるそうです。

私にとっては9月の季語の一つ。


このグリーンな皮の匂いが大好きで、コットンに果皮を絞りその精油成分を移しながら、はかなくもみずみずしい香りを楽しんでいます。

水分とビタミンで身体も軽やか。頭もスッキリ。仕事もはかどりそうです。



東京にて、sawaroma より。

écrit par SAWAROMA à Tokyo.



2017年9月16日土曜日

『プロフミ ディ ギンザ』で『ル ガリオン』を試す


昨夕の銀座での体験を綴るその前に


フランスのメゾンフレグランスブランド『ル ガリオン』が今夏より日本で販売されることは、その国内総輸入代理店となったインターモート川辺さんからの情報で知っていました。全15種の中でまず名前に魅かれた香りから試そうと私が選んだ2種は最新と最古のものだったこともあり、このブランドの歴史への興味は一段と増したものです。1930年にナポレオンの子孫が創業、これを受け継いだのが20世紀で最も秀でた調香師の1人と言われたポール・ヴァシェール。のちに「ミス・ディオール」等の名香を手掛けた人物です。


メゾンのアイコニックな存在「ソルティレージュ」(1936)は、1930年代ニューヨークの有名なストーク・ジャズクラブのシグネチャーフレグランスでもあり、マリリン・モンローなどハリウッドのセレブリティに愛されて大成功。ブランドは1960年代には全世界94カ国に展開され最盛期を迎えますが、'80年代には一度この世界から消えてしまうのです。新オーナーのもとに甦ったのは2014年。かつてのフォーミュラ(香りの処方)を継承しつつ現代の香りとして最新作とともに復刻しています。



銀座6丁目。みゆき通りの脇道に入り『プロフミ ディ ギンザ』へ。

Profvmi di GINZA

http://fashionmarketingjournal.com/2017/01/kawabe-ginzashop.html

インターモード川辺の直営旗艦店です。黒を基調としたシックな長方形の空間。左右に整然とフレグランスが陳列されており、静謐な印象の男性が対応してくださいました。


私の目的はこちらに置かれた『ル ガリオン』の香りを改めて試すこと。5種類以上を一定の時間間隔で試香紙につけていただき、一つずつ香りの名前をメモする私に薄い透明な小袋までくださいました。合わせてブランドの歴史とラインナップが記された栞も。



「ソルティレージュ」はやわらかくパウダリーなフローラル。すでに欠品状態でお取り寄せ中とのこと。シャネルの5番にも共通するタイプ。当時のモダンな女性像が浮かびます。

「スノッブ」からは辛口目線を装いながらのドレスアップを想像。ソリフローレ「イリス」には普遍的な親しみやすさが感じられます。嫌われない清潔感です。「チュベローズ」には思わず表情が和らぎました。馥郁と香る花の痕跡が、ほのかに脳裏へ響きます。

「コロン」シリーズからはいずれも心地よい時間をイメージできました。これは日常の中で気分転換にも使いたくなるでしょう。


前世紀を席巻しつつ今につながるブランドの香りを知る貴重な体験は、未来へと求められる香りの模索へと導いてくれました。生物として人間自体はそう変わるものではありませんから香りに関しても普遍の骨格は保たれるかもしれません。しかしながら、人を取り巻く環境は激変しています。理想のイメージを纏うこと、心地よい存在になること。新しい時代の一要素として溶け込むであろう未来形。



『ル ガリオン』の本国サイトを拝見。

http://www.legalion.fr

冒頭には香水の歴史学者、エリザベス・ドゥ・フェドー氏によるブランド史が綴られています。ル ガリオンの名前は、四角い船尾を持つ荘厳な船を意味し、広い海原と自由の象徴だそうです。これからも未来へ航海を続けて欲しいものです。



情報提供

インターモート川辺 フレグランス本部

TEL: 0120-000-599


東京にて、sawaroma より。



2017年9月13日水曜日

ポルトガル発香粧品ブランド《Claus Porto》・創業130年目の試み


This is a timely article for me. 



A keen nose points Portuguese label Claus Porto in a fresh direction LIFESTYLE / 12 SEP 2017

Wallpaper 

https://www.wallpaper.com/video/lifestyle/claus-porto-lyn-harris


Recently I found this brandClaus Porto》, from their beautiful packaging soaps. 

I was reading some articles of the new fragrance product by long-established brands,

for example the one of Cire Trudon↓.


華やかなパッケージの石鹸に魅かれてこのポルトガルのブランドを知った。その香りのヴァリエーションの豊かさや100年以上の歴史から、未来に向けてどんなチャレンジをするのだろうと期待していたところ。先月もフランス老舗キャンドルブランドCire Trudonのフレグランスデビュー記事を読んだばかりだった。

そんな私には、上に挙げたWallpaperで のニュースはまさにタイムリー。


記事によると、創業130年目を記念するブランドの香りをつくるプロジェクトメンバーはロンドンの調香師 Lyn Harris、ディレクターとしてオランダ人デザイナーのAnne Margreet Honing

2人がポルトガルを旅して得たイメージから新しい香りをデビューさせるという。地元の写真家で映像作家のJoao Sousa も参画。新しいポルトガルのイメージを伝えるフレグランスのデビュー。近いうちに詳しいことがわかるようだ。


香りは目には見えない。だからこそボトルや映像によるイメージは大切である。

香りをリニューアルするということはヴィジュアルイメージも変わることを意味する。変化し続けることが新たな歴史をつくり、次世代へのメッセージとなっていくのだろう。

9/15の記事でさらに詳しく知ることができそうなので、楽しみにしたい。



クラウス・ポルト 日本語公式WEBサイト


Claus Porto in English



東京にて、sawaroma より。


2017年9月12日火曜日

《L' EAU FROIDE de Serge Lutens 》に再会・香水評論家平田幸子氏の講演にて



L' EAU FROIDE de Serge Lutens  a été lancé en 2011. 

Au Japon, lancé au printemps 2012.



直訳すれば、冷たい水、という名の香り。

乳香(フランキンセンス)の

神秘的な清々しさが活かされています。 

昨日、香水評論家の平田幸子氏による講演の中で紹介され、改めて季節を問わず心に響く香りと実感。


日本で発売されたのは2012年の春でした。同年秋、当時私が担当していた文化学園大学の講義「ファッションとアロマ」の中で新作フレグランスの一つとしてもご紹介していました。上の写真はその時に撮影したもので、の記事は当時の感想を記したものです。

「それは厳かな水・セルジュ ルタンス ローフォアッド」

2012,12,4 sawaroma 

http://sawaroma.blogspot.jp/2012/12/blog-post.html



単なる爽やかな、シトラス系のオーデコロン調ではなく、紀元前の昔から心を鎮めるために特別なシーンで用いられ、人に愛されてきた乳香の香りにフォーカスしたところが魅力的。厳かな清涼感が際立ちました。季節を問わず、男女共に、凛とした空気感を纏いたいときの心強い味方です。


乳香の樹というのは、非常に暑く乾燥した過酷な土地に生育する植物であり、その樹脂が固まったものが香料原料となります。樹木が自らをまもるために作りだしたまろやかな樹脂の深い香りの中にどこか軽やかなトーンがあります。




1972年創刊の香りの専門誌『PARFUM』編集長でもある平田幸子氏によるセミナーは、ほぼ三か月に一度開催され、おもにウェブサイトから告知されています。

http://parfum-specialist.com/blog02/category/school/

香りが大好きな方、香り関連のお仕事に携わる方には、改めてお勧めいたします。

40年以上、香水をはじめとする香粧品の世界で見識を深められてきた香水評論家の視点に基づくお話には、いつも多くの再発見があります。昨日のお話では、初めて参加された方もいらしたこともあってか、香料の原点となる乳香の紹介から始まりました。

後半では、調香師の島崎直樹先生によりリアリティ溢れる貴重なお話も拝聴することができました。



東京にて、sawaroma より。