2018年11月27日火曜日

GIVENCHY L’INTERDIT ・その名の意味は60年前とは違う





「禁止」という言葉からどんなイメージを持つだろう。私は何処かに秘密の匂いを感じる。誰かの独占欲から発せられることもあれば、調整、安寧もしくは安全のためにと発せられる言葉である。いずれにしてもこの言葉自体はさまざまな背景を持つ。私は「禁止」と言われるとより好奇心が高まる。何故?と。秘密を探りたくなるのだ。


1957年に発売されたジバンシイの香り、ランテルディは、かの妖精の如く魅力的なアメリカの女優、オードリー・ヘプバーンに「私以外は使用禁止」と言わしめたという一説が有名である。当時の大スターであった彼女と同じ香りを使いたいと思う香水ファンは多かったことだろう。実際、調和のとれた優美な香りである。パウダリーなフローラル・アルデハイドタイプ。


だが今は20世紀ではない。オードリーも居ない。美しさの基準も多様。誰かに憧れて模倣する必要もない。かけがえのない一人一人が、一期一会に最高に輝けば良いのだ。であれば「禁止」という言葉をこの21世紀の今掲げた香りに求められるのは、オードリーというスターが独占したくなるほどの魅力を持つ、ということではなく、一人一人の好奇心を触発させる意外性ではないだろうか。


60年の歳月を経て、かつてと同じ名前でリリースされたジバンシイのランテルディ。




香りの専門誌『PARFUM』

http://parfum-specialist.com

No.187 裏面広告写真より


まず、このプロモーションヴィジュアルを眺め、1957年版とは全く違う香りであろうことはすぐに予感できた。映画「キャロル」(2015)でもう一人のヒロインと禁断の恋に落ちる女性を演じたルーニー・マーラの好奇心に満ちた表情が印象的だ。きらめく華やかさの裏には同じくらいの強度で翳りがある。その翳りがこのヴィジュアルにもボトルにも表れている。




香りは現代的なフローラル・ウッディ。翳りもある21世紀の香り。2018年の空気の中に漂っていたとしたら……そこには、意志の強い、誰のものにもならないしなやかな精神性とともに、一筋縄ではいかない印象的な魅力を残すだろう。






参考情報


パルファム ジバンシイの名香「ランテルディ」が60年の歳月を経て新登場

VOGUE  September 14 2018

https://www.vogue.co.jp/beauty/news/2018-09-14/givenchy


GIVENCHY  L’INTERDIT (1957)/FRAGRANTICA 

https://www.fragrantica.com/perfume/Givenchy/L-Interdit-4695.html

GIVENCHY  L’INTERDIT (2018)/FRAGRANTICA 

https://www.fragrantica.com/perfume/Givenchy/L-Interdit-2018--51488.html



東京にて、sawaroma より。



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