2011年8月9日火曜日

コアントロー ~ オレンジ果皮 ~ キュラソー島

カクテル「ホワイト・レディ」に使われるリキュールのことで質問を受けた。ベースはジン、そしてリキュールはホワイト・キュラソーと呼ばれるオレンジの香りが活かされたリキュールが使われる。代表的なホワイト・キュラソーとして1849年創業フランスの「コワントロー」が挙げられる。

あれは…私が専門学校のフレーバー&フレグランスコースの学生にアロマテラピーの授業を提供するようになって2年目のこと、オレンジの果皮の精油の香りについて解説する際、

「オレンジの香り、といえばコアントロー、知っている人いますか?」

と聞いたところ、さすが香りの専門コースを目指してくるような学生の集まりだけあって、眼を輝かせながら反応した数名がいたことを今も思い起こす。

COINTREAU (コワントロー)のサイト中、HERITAGE SECRET
をご覧いただくと、簡潔な英語によりその豊かな香りの秘密を知ることができる。香りの主原料は、ビターオレンジとスイートオレンジの果皮。これらをこだわりの方法により蒸留している。画面の周囲に白い花が見られるが、これはオレンジフラワーではないだろうか。想像するに、この花のエッセンスも使用されていると見た。ビターオレンジの花から得られる香料、ネロリの面影が、どことなく「ホワイト・レディ」の余韻から漂う清楚なイメージと重なる。

「ホワイト・レディ」を口にするということは、ジンからはほのかにジュニパー・ベリーの香り、ホワイト・キュラソーからはオレンジの香り、レモンジュースからはレモン…とこれだけのハーモニーを堪能するということになる。
奥深い。

さて、キュラソー。この名称の由来を知らない私は、もしかしたらこれは世界のどこかの地名ではないかと感じ、「キュラソー・ 地名」と二つの言葉で同時検索してみた。やはり。そこで発見したのは「キュラソー島」。カリブ海南部、南アメリカ北東部、ベネズエラの北方の島だった。この島の産物であるオレンジの果皮がリキュールの香りに使用されたことから、島の名前がつけられたらしい。

この辺りの島々は、大航海時代の覇者、スペインやポルトガルに発見され支配された時期を持つところも多いことを思い起こす。「キュラソー」という言葉もきっとそのあたりに端を発するのだろう。

「コアントロー」自体は創始者の名前であった。「キュラソー」は地名。このところ、魅力的な味や香りのルーツをたどると世界地理の視野が拡がって楽しい。



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