2011年7月30日土曜日

フランス人と香水

今日午後5時から、日本テレビ「所さんの目がテン!」でフランス人の不思議に迫る特集があるとのこと。不思議、といってもそう思うのは日本人から見ればということにすぎません。今日スポットがあたる謎の一つに

「フランス人はなぜ香水をつけるのか」

があるというのです。そもそもこんな質問が出てくること自体、いかに日本ではまだまだ香水が普及しているようで普及していないかが感じとられます。
私はフランス人ではないけれど、香水は服を選ぶように選び、服を着るように身につけます。それは身嗜みとして。物心ついたときから自分の素のままでいいなんて到底思えません。

私がフランスにステイしていた頃、すれ違う人はみなふわりと香りを漂わせていました。その香らせ方は、服のさりげない着こなしさながらに絶妙だったのです。そして食べ物にも、整えられた「香り」はあっても、剥き出しの「匂い」は感じられませんでした。たとえば魚料理一つとっても生臭さなど感じず、ハーブや香辛料で美味しく感じられるよう整えられていたのです。だから一品ずつ順序を大切に料理を賞味するスタイルなのではないか…こうした感性に、フレグランスの着こなしに共通するものを感じていました。

私の知人女性に、フランス人男性と結婚した方が複数います。彼女らからきいた夫の香水の使いっぷりはこんな感じです。

「とにかく香水は定期的に買ってくるわね。しかも一度に三本位がふつう。」

「香水のスプレーを何プッシュするか数えてみたの。身体のあちこちに10回近くも吹き付けていたわ。」

まさに必需品。でも少なくともフランスにいてすれ違う人から不快な位プンプン香って辛かったことはありません。かぶるように香りをふりかけるのではなく、やはり服と同じように全身に着こなすのでしょう。女性がエレガントに香るのはもちろん、男性は非常に魅力的な残り香を漂わせているのです。これはフランスの乾いた空気も関係しているとは思います。

一方、在日フランス人女性からはこんな声をききました。

「日本で電車に乗っても香りがしないのよ、人の「香り」がね。つまらないわよね。で、私がいつものように香水をつけていたら隣に座っていた人にあからさまに嫌がられたわ。」

人が密集し、湿気の多い日本の環境ではやはりフランスのようにはいかないようです。でも、だからといって「素のまま」「剥き出しのまま」というのもどうかという気はします。お風呂に入っているから香水なんかいらないという人が時々いますが、それは生身の人間の生理学をあまりわかっていないように思うのです。

フランス人にとって香水をはじめとする香りは、人として生きて行くためにごく自然に必要としているファクターなのだと思います。フランス語という言語を専攻しなんとなくその世界観に浸った経験がある私に実感できることでもあります。この言語はきわめて音の響きを大切にします。発音しやすいよいに、聞き取りやすいようにと。

香りを大事にしながらも日本の環境下で不快と思われない使い方をする努力は必要ですが、そもそも生まれや育ちは違っても同じ人間として、フランス人がなぜ香水を大切に思うのか、多くの人に知ってもらいたいと思います。





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