2019年2月27日水曜日

映画『We Margiela マルジェラと私たち』からの考察とフレグランス





映画パンフレット表紙が真っ白というのは私には初めての体験。

“We Margiela”と次のページに書かれているのが見える。

白という色、そして「私」ではなく「私たち」という表現。

まさにこのブランドのメッセージそのものだと感じた。


Pour moi, c'est la première fois que la couverture d'une brochure de film est d'un blanc pur. 

On peut voir  "We Margiela" écrit sur la page suivante de la couverture.

J'ai senti que ce sont exactement les messages de cette marque.




『マルタン・マルジェラ』というブランドに携わった人たちの貴重な肉声を集めたドキュメンタリーフィルム。映画『We Margiela マルジェラと私たち』(2/8~日本公開)

https://wemargiela.espace-sarou.com




ファッションデザイナーのドキュメンタリー映画といえば、デザイナー本人あるいはその人が演じられた形で登場するものがほとんどであったが、これはそうではない。当のデザイナー、マルタン・マルジェラ本人は、設立20周年を迎えた2009年にブランドを去り、消息を絶っているのだから。彼とこのブランドに携わった人たち、まさにマルジェラが「私たち」と呼ぶ本人以外の人たちがそれぞれの想いを表情と声と言葉でリアルに伝えるシーン主体で構成されている。


しかも、この映画の監督は初めからマルジェラに興味があったわけではない。パンフレットによると「もともとは、突然消息を絶った人をテーマにした企画を検討…リサーチしている間に、マルジェラのことを知った…まず匿名性、象徴的な白、そしてファッション業界におけるブランドの立ち位置に興味を…アーティストにとって、ここまで名前を知られながらも、人物は知られていないというのは、どういう意味を持つのか。…」。




人がモノや考え方を創り、これが世に知られることの意義を考えさせられる。


例えば、である。私が或る服に魅かれたとしよう。だからといって、そのデザイナーやブランドまで深く知ろうとするか?好きになるか?は別問題。その服一点との運命的な一期一会にすぎない。実際約30年前パリ滞在時にショウウインドウから見えた薄紫の絶妙な色合いに魅かれ試着して肌触りにも魅了されて入手したセーターは、どこのブランドであるかを私は未だに知らない。タグは皮膚に邪魔だったので切り取ってしまったから。しかし今でも大切に着ている。


世の中には多くの人間がいるにもかかわらず、特定の考え方ばかりが尊重される傾向が続くと、マルジェラのように「こんな考え方もあるのだ」とヴィジュアライズしてくる人が登場して然り、である。装いは人が存在する限りヴィジュアルの要であり、彼はここから強烈な警告を伝えたのだと感じる。


マルジェラが去った後、ブランド初のフレグランス

https://www.fragrantica.com/perfume/Maison-Martin-Margiela/-untitled--7865.html



メゾン マルジェラの最新フレグランス、その試香紙



Mutiny ?

反逆、という意味のタイトルから何かを考えたいか。

純粋にこの花蜜のような甘さの香りに包まれたいか。

魅かれる理由は自由でいい。



東京にて、sawaroma 

écrit par 《SAWAROMA 》à Tokyo.




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