2013年10月9日水曜日

香りを着る(2)・フランス映画から感じたこと

とある映画の中で。
20代の男女が日常生活で交わすフランス語。
かなりスピードも早く、省略も多ければ流行り言葉もあるので
ネイティブでないとなかなか瞬時には聴き取れない。

しかしその行動は
時として言葉よりも多くの背景を感じさせてくれる。

たとえば初めてのデートのために出掛ける女性が
ポーチに真っ先に入れるものは、と観察すると
それは手鏡とフレグランスのアトマイザー。
プラス、迷いつつ歯ブラシを。
ファンデーションのコンパクトも口紅もマスカラも特に入れていない。

そして忙しい合間をぬってつかの間の逢瀬、
彼との待ち合わせの駅に着く
直前のTGVの化粧室で彼女がしたことは
リップクリームを指でつけること(冬のパリは乾燥がつらい)、
そしてフレグランスを
セーターの首もとから入れた手からウエスト方向へ2プッシュ。

ああやはり香りは欠かせない。

ところが、この映画の感想を書いた日本人のブログを読んでいて
ちょっと考えさせられてしまった。書き手は男性なのだが、
香りに対する文化的ギャップとはこういうことかと実感。
この人は、映画のヒロインが愛しい人に会う前に衣服の下に吹き付けたものを
「制汗剤」と書いていた。

…制汗剤?真冬にパリジェンヌがそんなもの使いますか!…

と一瞬目を疑うが
これは香水文化観の違い。
日本では、ニオイとは抑えられるべきものであり、
香りとして装うものであるという認識を持っている人は
フランスほど多くはないことを改めて実感。

制(マイナス)でゼロにするのではなく、
歯磨きやシャワーで清潔を最大限保った上での装い(プラス)であってこそ、
香りは、視覚的なメイクアップを凌ぐ魅力になるというのに。

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