2012年8月2日木曜日

バニラ・媚薬的な香りの秘密はキュアリング

先日、ベンゾイン(安息香)という香料の話をしていたら、テキストに「バニラのような香り」と記載されていたので学生が聞いてきた。

「バニラ?全然違う気がする。アイスクリームに使われたりする?本物のバニラってどんな香り?先生、持っていますか?」

今も私はバニラの天然香料をわずかながら自宅に保管している。かつて自作ブレンドの香りでアロマキャンドルを制作していた時期があり、2008年までの活動を記したサイト上コチラ にて紹介の「温」の香りの素材の一つとして使用していた。高価なバニラ(アブソリュート)やローズアブソリュートを使ったこのキャンドルは制作労力ともに表示価格ではとても割に合わないので現在は制作していないが、数個私の手元に残した「温」はあたたかくも優しい香りを持続させている。この余韻こそがバニラの魅力。

バニラはラン科の植物であり、花ではなく、バニラビーンズと呼ばれる果実の独特の発酵過程によってこの香りと出会うことができるらしい。この発酵過程をキュアリングと呼ぶらしく、全く…こうまでしてこの香りを欲した人間の飽くなき美意識というか欲望には敬服する。

植物としてのバニラ、貴重な香料としてのバニラ、キュアリングという過程については詳しく説明されていた二つのサイトページをご紹介。

日本新薬 植物の話あれこれ バニラ

洋酒のドーバー 世界最高品質のヴァニラは一人の奴隷の知恵から生まれた

今、バニラアブソリュートを一滴コットンに。
濃い褐色の液体。ほんのわずかで複雑で力強い温かみが周囲に拡がる。
時間の経過とともに、高級なバニラアイスクリームの後味に来るような甘い柔らかさがふっと鼻に届く。もうそれだけで、アイスクリームを実際に食べなくても満足できてしまいそうなこの香りのインパクト。そういえば私が昔好きだったオリエンタル調のシャリマーというフレグランスにもこのバニラの香りが漂っていた。




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