2013年3月31日日曜日

麗しきサクラとヒメリンゴ・バラ科の花々

花冷えの東京、世田谷にて。


一週間前とは違う桜に出逢う。
今日しか見られない一期一会。




愛らしい蕾とともに
囁くように開いている花。
これはヒメリンゴ(バラ科)。



サクラもリンゴもバラ科の植物。
そういえば、先日見たパリの春が描かれた絵には
アマンドの花があった。アマンドもバラ科。





城山通りから宮の坂に抜けて
世田谷線沿いを歩く。
世田谷八幡の桜が見えた。

2013年3月30日土曜日

『Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945』で佐伯祐三作品に再会

チラシの画のタッチをみたときから
その温もりに憶えがあった。

Paris、パリ、巴里 ─ 日本人が描く 1900–1945
は6月9日まで、京橋のブリヂストン美術館にて開催中。


チラシに使用されている作品は
佐伯祐三による『テラスの広告』/1927/石橋財団ブリヂストン美術館。

ああ、こういうカフェ。
1920年代にあったこうしたカフェは、
私が1980年代後半に訪れたパリの記憶とも重なる。

パリを描いた画家の中でも
ひときわ私が魅かれた理由は
昨夏初めて佐伯祐三の作品に出逢ったときの記事
パリに学んだ二人の日本人画家に書いていた。

私もパリで過ごした間
街のあちこちにおびただしく貼られた広告の文字レイアウトや
通りすがりの建物の佇まいに何度も目を留めた。
古い年月を刻んだと思われる外壁の石造りや内側の木肌…
厳寒の冷たい空気の中に静かに続く道。
そうした記憶との重なりもあったのかもしれないが
佐伯祐三の作品から
魅かれるもの、描きたいものへの気持ちが強くまっすぐ
伝わってくるような自由な筆致が記憶から離れない。

彼が影響を受けたといわれる画家、
モーリス・ド・ヴラマンクとのエピソードについての
記述を三重県立美術館のサイトから発見。
表紙解説 モーリス・ド・ヴラマンク『辺境伯』(三重県立美術館)

展覧会では他にも
当時のパリから多種多様な影響を受けた画家の作品を鑑賞できる。
それぞれに違い、味わい深い。
期間中、近くを通りかかったらまた訪れてみたい。




2013年3月28日木曜日

『犬と猫と人間と2』試写会観賞

犬と猫と人間と2 試写会観賞。紀伊國屋サザンシアターにて。




Ilove,cat をきっかけに知ることのできた映画です。

ドキュメンタリー。
非常に貴重な映像です。
人はもちろん、犬、猫、牛、馬、トリたち…「生きもの」の現実。
人間は、人間という種一種で生きられるわけではなく、無数の他の生きものの命とともに生きている現実を目の当たりにします。

長い歴史とともに、人とともに生きてきた犬、猫、牛たちは、人間と同じようにこれまで共に暮らし世話をしてくれていた人間に本当に見捨てられるとは思っていないでしょう。最後までそう思っていたかのように福島の警戒区域内で餓死した姿や、ボランティアの人に出逢った空腹で疲れきった犬の叫び声…牛の涙、病気を抱えて弱り切った猫の眼差しに、種を超えて強く感じることがあります。

監督からのメッセージ に書かれてあるように、監督の宍戸大裕さんは、半ばボランティアとして半ば記録者としてこの映画を撮られたそうです。故郷の現状を知りたいというお気持ちが追いかけたドキュメンタリーには脚本はありません。

映像を撮られた宍戸さんは、実際に現地で温度や湿度や匂いもリアルに感じられたのです。その感覚が追いかけずにはいられなかった現状であったことは、昨夜の上映後のトークからも伝わってきました。

5月から
渋谷のユーロスペースをはじめとする日本各地の映画館で公開されます。
ぜひ、一人でも多くの方々にご覧いただけたらと思います。


2013年3月26日火曜日

花とガラス

1週間前、謝恩会で贈呈された花束。
いまもみずみずしい花の姿あり。

パープルピンクとフレッシュグリーンのコントラスト。

実際、花びらから
特徴的な香りを感じるわけではなかった。

潔く茎をカットしてガラスの器に生けたら
淡くひそやかに何かが香り始める。




富山ガラス工房で、デザイナーである家人が数年前に制作した器。

たっぷりと厚いガラスの中に
紫がかった黒がうねり
生きた花の呼吸を示す水滴を
くっきりと映している。

2013年3月24日日曜日

香りの専門誌 "PARFUM" 165号(2013年春号)発刊


香りの専門誌 "PARFUM" 165号(2013年春号)が春分の日に発刊。




表紙は、マリナ ド ブルボン ダイナスティバンプのイメージヴィジュアル。ボトル写真は本誌p48、編集後記の前にご覧いただけます。鮮やかなレッドからピンクへのグラデーションが、春にきらめく小悪魔的なフルーティーフローラルの香りを感じさせています。

フレグランスは目には見えないだけに、そのボトルなどの視覚表現が大切。
本誌では過去40年にわたり、その時代ごとの香水ヴィジュアル、アートとも言うべき広告ヴィジュアルを掲載してきましたから、その蓄積は貴重で、私も時々ファッション史における資料として活用しています。

今号も、春の新作情報満載です。
一部をご紹介。

ウッディ・ネオアロマティックな香り…
ジェントルマンオンリー(ジバンシィ)。

全ての女性は少女の心を持っている、と実感できる…
ホワイトアイリッシュ(ジャックファット)。

清々しい春風のような清冽な香り…
タンペートゼスト(エステバン)。

その他…
伊万里焼磁器製香水瓶の貴重な写真、3/31まで栃木にて開催(4/4からは長崎にて開催)、コチラにてお伝えした「香りとファッションの美学展」展示香水瓶の一部ご紹介ページも目を楽しませてくれます。

『おすぎの「呟きトーク」81』では、4/19公開の「リンカーン」が紹介されています。映画好きな私も、おすぎさんのこのページからこれまで多くの名画名優を感じることができました。81回の連載にあらためて深く感謝です。


2013年3月23日土曜日

さくらとシネマと商店街 〜下高井戸〜

自宅から徒歩1.5km、
京王線下高井戸駅。

桜上水のほうに向かって日大通りを歩くと
ほぼ満開のさくらに囲まれます。
安定感のある木肌から芽吹いた花がひときわ可憐。




見上げると
遠くの花びらは星のよう。
雅な香りにつつまれます。




日大通りを下高井戸駅のほうに戻ると
下高井戸商店街 。私がこの駅周辺に住み始めてから約20年経ちますが、市場の新鮮な魚介類、肉屋の揚げたてのコロッケ、フルーツショップなど今も変わらず活気があり、行列もできるほど。
踏切を渡って西友のほうに向かう道すがらも魅力的。
八百屋さんやお好み焼き屋さんなどの美味しそうなお店はもちろん、都心のよくあるお店では見かけないような絶妙な色合いと造りのバッグ屋さんやブティックがあったりします。

そして何と言っても下高井戸が素敵なのは
映画館があるところ。
人の多い映画館が苦手な私は
この下高井戸シネマ が大好きです。

2013年3月22日金曜日

『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』

3月15日。国際香りと文化の会 講演会演題その二は
『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』、講師は舞踊研究家の芳賀直子氏。
『バレエ・リュス その魅力のすべて』(図書刊行会)の著者です。

バレエ。素敵な世界であろうことは感じていたものの
その歴史を含めたコンテクストに関して私はほとんど知識がなかったため
「未知の素敵な世界」のお話をうかがうことを楽しみにしていました。

芳賀さんの冒頭のお話のうち三つのことが
私の期待感を高めていたと記憶しています。

ー「国際香りと文化の会…なんて素晴らしい会でしょう。このような会でお話できることを嬉しく思います。」

ー「バレエを鑑賞する劇場の香りはまさに観客の香水の香りなんです…劇場は社交場でもありました。」

ー「『薔薇の精』という演目がありますが、これは窓から跳躍で入ってきてまるで夢遊病者のように踊り、再び窓から跳躍で去っていくというタイヘンな体力を要する踊りなんです。」

以上から私が感じたのは
芳賀さんは、バレエと同じ位に「香り」という目には見えない世界に魅力を感じられる方であること。そしてヨーロッパに端を発するバレエとともに香水もおそらく大好きでいらっしゃるでしょう。さらに、『薔薇の精』はまさに薔薇の深く捉え難い芳香を人間の全身を用いて表現されたものと解釈できたため、この演目を講演の最初で挙げられたこと自体が、バレエと香りの接点を意識されていたであろうことでした。

ご講演約90分。まるで観劇しているかのような楽しさでした。
芳賀さんの語りから香る情熱と溢れるばかりの情報量。
ご著書を一冊分読んだ位の内容だったのではないでしょうか。

「香り」・「ファッション」・「フランス語」に仕事で関わる私には
『薔薇の精』のエピソードを筆頭に
バレエの歴史(ルネサンス期のイタリアで発祥、フランスで様式化され、ロシアで開花した)はもちろんのこと、芸術としてそしてロシアの素晴らしさを伝えるためにと独自のバレエ団『バレエ・リュス』を結成したセルジュ・ディアギレフによる、芸術界、ファッション界への影響力の痕跡というものは非常に印象的でした。
1909〜1929年という『バレエ・リュス』の存続期間は、丁度ココ・シャネルが登場する時期にも重なり、シャネルも演目の衣装を担当しています。

広く世に芸術の価値を伝える…
こうした情熱の軌跡は、ヨーロッパの先人に多くを学ばなければならないと改めて実感します。
ディアギレフは、『バレエ・リュス』結成前に雑誌媒体『芸術世界』を発行し、展覧会も積極的に行ったそうです。これらが後の活動のベースとなったとのこと。
私にとってディアギレフは、以前のコチラの記事でご紹介した近代ロシアの画家、イリヤ・レーピンとともにここ一年間で知った忘れ難きロシア人となりました。

講演会後に調べて知ったことの一部を挙げます。

2007年には、映画『バレエ・リュス 踊る歓び・生きる歓び』が公開されていました。

2009年には、京都精華大学博物館にて
バレエ・リュス100周年記念 バレエ・リュス その芸術性とデザインの魔力が開催。芳賀さんが監修されています。

そして『薔薇の精』については
財団法人 日本舞台芸術振興会 ニジンスキーの伝説に説明がありました。その一部を引用して*〜*に記します。


… フォーキンがウェーバーのワルツ『舞踏への招待』(ベルリオーズ編曲)に振付けたこの一幕作品は、フランスの詩人・小説家であり、『ジゼル』の台本作者としても知られるテオフィール・ゴーティエの詩から想を得て創られた。「……あなたのまぶたを開けて下さい。私はゆうべの舞踏会で、あなたが胸につけて下さったあのばらの精です……」 …中略…フォーキンはいう。「バラの精は魂であり、希望である。また、バラの香気であるとともに花弁の愛撫であり、口では言い表せないものである」(『ニジンスキー頌』)。


まさにこれは薔薇の香りの表現そのものでもあり
「香りの女王」と呼ばれる天然ダマスクローズのフレッシュな香りに生まれて初めて触れたときの私の心象風景のようです。

奇しくも『バレエ・リュス』結成100年目は
香料バラ、ダマスクローズの産地として世界的に名高いブルガリアと日本の外交復興50周年の2009年。
この年以降私が監修する『パレチカ』の奥深い香りを記憶によみがえらせています。