2014年6月7日土曜日

「中村誠の資生堂 美人を創る」で出逢えた香りのメッセージ


資生堂ギャラリーでは
2014年6月3日(火)から6月29日(日)まで
昨年6月に永眠されたグラフィックデザイナーでアートディレクターの
中村誠(1926-2013年)の回顧展「中村誠の資生堂 美人を創る」が
開催されています。

「中村誠の資生堂 美人を創る」/資生堂ギャラリー



昨夕、降りしきる雨の中銀座へ。
ゆっくりと鑑賞しました。
上映されていた10年前の中村誠氏へのインタビュー番組まで
しっかりと拝聴。

香水も含めて
化粧という行為によって
ひときわ匂い立つ女性の美しさ。
その、はかなくも抽象的な概念を
多くの秀逸な人の才能と技術を駆使し
アートディレクターとして視覚化することに尽力されたプロセスに
展覧会タイトル「美人を創る」は見事に合致しています。

印象的な作品として
1963年に海外向け広告としてつくられたポスター
〈FOREVER ENCHANTING〉。
一目みて、近年話題になったある香水を思い浮かべます。
プリーツプリーズの花々が躍るようなイメージの香り。
3人の女性が纏う淡いブルー系の衣装は
まだ若かりし三宅一生氏によるものだったと知り納得しました。

そして、私が18才の春からしばらくの間愛用していた
とある香水のポスターを眺め
深い感慨に浸ります。
この香水のモデルは山口小夜子さんではなく
異国の女性のようですが
ヴィジュアルには、その顔写真の表情が
実に繊細に活かされています。
視線を下に移しながらも好奇心に打ち震えるような喜びや
幸せな記憶からさらにもっと…と予感に浸る陶酔感。

これまで
フランスをはじめとする
多くの外国香水のヴィジュアルを見てきましたが
中村氏の作品のインパクトもひときわ秀逸です。
さすが、一枚の資生堂広告に描かれた女性に
深く感銘を受けてこの世界に入られた情熱の人。

日本にも、香水のイメージを
このように表現されていたクリエイターが
存在していたことを改めて嬉しく感じました。

ヴィジュアルもさることながら
さりげなく添えられた言葉も
何度も読み返してしまいました。
3点の香水ポスターに記された言葉を引用します。

ーほのかな香りほど悩ましい。資生堂練香水「舞」ー
ー恋がつもって咲かせたかほりは何色ですか 資生堂香水「すずろ」ー
ー香りは希望。愛のたかまり 愛の深まりの。資生堂香水モアー


0 件のコメント:

コメントを投稿