2011年8月3日水曜日

"Contents" だけでなく "Context"の伝達を


社団法人 ザ・ファッショングループ 主催、尾原蓉子氏による講演会「これからのファッション・ビジネスを動かす7大潮流ー『感性価値創造』が成功の鍵ー」を昨夜拝聴した。

尾原蓉子氏の講演会受講はこれで2回目。1回目の感想は4月のこちらのブログ にまとめている。昨夜のお話は、 これからのファッションビジネスの方向性というテーマにおいて、4月の内容がさらに深く掘りさげられた内容であったと思う。21世紀初頭、今このタイミングで生きるものが向かうべき道の入り口が見えたような気がした。

以下、昨夜の内容から私の脳裏に深く刻まれたフレーズ二つをご紹介しながら私の解釈と個人的に想起できた事柄を記録しておきたい。

1.感性価値創造に不可欠なもの ⇨ "Contents" だけでなく "Context"の伝達

例えば日本のある一部の人達aに人気のある製品Aがあるとする。それでは、Aの存在を知らず、aとは異なるライフスタイルや嗜好を持つ人達bにAの価値を伝えるにはどうしたらよいか。ただAを店頭に並べるだけで価値は伝わるだろうか?否。困難である。ましてや、異なる言語を用い、異なる環境、文化背景の中で価値観を築いている外国人に瞬時に伝えることは極めて難しい。
製品Aが "Contents"(製品内容そのもの)であるとするならば、Aの意味すること、すなわちAがこの世に製品として登場し、支持されてきた背景、どんなときに必要とされ、どんなときにどんな場所において人にハッピーをもたらしているのか、これが "Context"(前後関係、状況、背景)である。これをいかにわかり易く丁寧に伝えられるかは、今後ファッション業界に限らず、日本が積極的に異国でビジネスを展開していく上でも極めて重要な視点であると思う。ちょうどその必要性を説くテーマの書籍が先週末に発刊されたばかりなのでここにその書名を紹介しておきたい。
書名:「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?
著者: 安西洋之・中林鉄太郎
発行: 日経BP社

2. 企業の社会的役割・責任の拡大 ⇨ 事業性と社会性の同時達成

事例として挙げられた企業のうち、神戸市に本社を持つ株式会社フェリシモが掲げているというヴィジョン「もっと・ずっと・きっと」が印象的。この言葉から私は、1に挙げた "Context"の考え方から、こんなふうに言い換えることも可能ではないかと感じた。

「(これまでごく一部の人しか感じていなかった幸せを)もっと(多くの人に)
ずっと (文化や考え方の違いを踏まえてその価値の背景を伝え続ければ)
きっと(その価値をこれまでより広い世界で共有できるだろう)」

フェリシモは、私が監修をつとめるブランド、パレチカ の販売におけるビジネスパートナーでもある。ブルガリアと日本の外交復興50周年であった2009年より、ブルガリアが世界に誇るダマスクローズの天然香料を収穫⇨抽出したその年に先行予約で欲しい人にお届けするという企画に協力いただき今年で3年目を迎えている。





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