2011年7月31日日曜日

フランス人と香水・2


昨日のブログ、
「フランス人と香水」の中でご紹介した番組「所さんの目がテン!」(2011,7,30放映)を録画で視聴してみました。そのうち、香水についての内容を一部ご紹介しながら私の感想をメモしてみます。

最初に日本人リポーターの女性がパリで若い男性、中年の男性(日本ではいわゆる「おじさん」に相当する人々)など数名に「香水を使っていますか?」と質問。全員が使用していると答えたのを受けてリポーターが「ちょっと近付いて嗅がせて頂いていいですか?」と首や肩付近に鼻を近づけます。「いい匂いがする~」と笑顔での確認。

(Sawa's view)
同じことを日本の「おじさん」に試したらどうなるか…と想像すると、不快にさせないほのかな芳香を漂わせる人はまだまだ少ないのではないか…おじさんに限りませんが、満員電車の中で日々真逆の思いをしてきた体験からそう思ってしまいました。

次に、リポーターは「なぜ香水を使うのですか?」と実際に甘い香りをふんわり漂わせていた若い男性に質問。彼からは「他人に自分の体臭で不快な思いをさせたくないから、エチケットのためかな。」と第一声。

(Sawa's view)
この気持ち自体は日本人にも理解できることではないでしょうか。制汗剤や体臭を消すためのグッズに人気があるのですから。

ではその解決のために香水がなぜ選ばれるのか、実際に香水にそれ程体臭を抑える効果があるのかと実験が行われていました。シャワー後の身体にTシャツを着てそのまま30分位運動、汗をかいたあとのシャツのにおいをリポーターが確認すると確かに汗臭いとの感想。

(Sawa's view)
よく、「毎日身体を洗って清潔にしているから体臭なんかしない」と言い張る人がいますが、それは洗った直後だけのことであり、生きていれば新陳代謝があるのは当たり前。食べたものにも体調にも左右されるのはもちろん、蒸し暑い夏はたいして動きまわらなくてもすぐに発汗します。喫煙の習慣がある人などはそれだけで特有のにおいも発する条件を備えています。

この汗臭いシャツに香水を吹きつけたにおいをパリと日本とで道ゆく人に嗅いでもらったところ、概ね好評。むしろ香水のみを吹きつけたものより好評価だったそうです。

(Sawa's view)
香水は、人の汗や体臭と混じり合うことでその人独特の香りになる、そのことを見越してさまざまな香料を駆使できる調香師のおかげとも考えられます。

ここで、スタジオでの所さんたちのコメント。日本人は体臭が欧州人より薄いから、香水をつけても香水そのままのキツイ「香水クサイ人」になりがちなのではないか?とのこと。

(Sawa's view)
これは確かに一理ありとも思いますが、食生活やライフスタイルの変化によって今後日本人がそういつまでも淡い体臭でいられるとも限りませんし、そもそも体臭が濃い薄いうんぬんよりも、香水のつけかたに問題があるような気がします。皮膚に直接つけられることを想定されているのに、服をすべて着てしまってから最後に最も人の鼻に近いエリアを中心に外からかぶるようにスプレーされている光景もよく見かけます。皮膚になじませていないため、体温でまろやかになるというより、香水そのもののツーンという立ち方が鼻を直撃してしまうのかもしれません。

フランス人も日本人も、「他人に不快な印象を与えたくない」という目的においては同じでしょう。その手段としてそれぞれが使いたい、心地よいと思うものが選ばれているわけです。人のいる空間を雰囲気という言葉で表現するとしたら、好印象のキーワードとして「爽やか」「優雅」「清潔」「神秘的」がよく挙げられます。身嗜みととも香りを装うことで周囲にそのイメージを伝えられる人が増えたら…と改めて感じました。



2011年7月30日土曜日

Aura by Swarovski ・眩しいひとへ

今春発売された新作フレグランスの一つ、Aura by Swarovski の香りを本日ようやく体感。香りの印象をメモ。

最初。柑橘系でもベリー系でもない独特なフルーツのみずみずしい香り…と何度も確認。PARFUM157号 で早速香料チェック。トップノートにはライチが使われているとか。ライチといえばエスニックな甘い水果、というイメージが私にはあり、ほのかな緑の苦味とともにアジアの暑い国の中のオアシスを想像。

しばらくたつと軽やかなフローラルブーケ。新鮮で明るい印象はローズとジャスミンでした。重くない華やかさは一瞬のきらめきのよう。

7時間後のムエットに残るのは柔らかなムスク、アンバー&ウッディ。こちらもさりげなく…。まだトップノートに感じられたみずみずしさが残っているように思えたことで、若い女性の香水デビュー、メイクアップデビューの一品としてお勧めしたくなります。

風に髪をなびかせながら、陽光に反射するクリスタルさながらに魅力を解き放ちはじめた女性、その眩しいオーラそのもののようです。

「スワロフスキーがコスメコレクションを展開ブランド初」(Fashionsnap.com 2011,2,22) を見たときの長い髪の女性への印象が、ようやく香りと重なりました。春に発売されたということで、この春新社会人となった「眩しい」女性へのプレゼントにもなったのかも…と想像しています。



フランス人と香水

今日午後5時から、日本テレビ「所さんの目がテン!」でフランス人の不思議に迫る特集があるとのこと。不思議、といってもそう思うのは日本人から見ればということにすぎません。今日スポットがあたる謎の一つに

「フランス人はなぜ香水をつけるのか」

があるというのです。そもそもこんな質問が出てくること自体、いかに日本ではまだまだ香水が普及しているようで普及していないかが感じとられます。
私はフランス人ではないけれど、香水は服を選ぶように選び、服を着るように身につけます。それは身嗜みとして。物心ついたときから自分の素のままでいいなんて到底思えません。

私がフランスにステイしていた頃、すれ違う人はみなふわりと香りを漂わせていました。その香らせ方は、服のさりげない着こなしさながらに絶妙だったのです。そして食べ物にも、整えられた「香り」はあっても、剥き出しの「匂い」は感じられませんでした。たとえば魚料理一つとっても生臭さなど感じず、ハーブや香辛料で美味しく感じられるよう整えられていたのです。だから一品ずつ順序を大切に料理を賞味するスタイルなのではないか…こうした感性に、フレグランスの着こなしに共通するものを感じていました。

私の知人女性に、フランス人男性と結婚した方が複数います。彼女らからきいた夫の香水の使いっぷりはこんな感じです。

「とにかく香水は定期的に買ってくるわね。しかも一度に三本位がふつう。」

「香水のスプレーを何プッシュするか数えてみたの。身体のあちこちに10回近くも吹き付けていたわ。」

まさに必需品。でも少なくともフランスにいてすれ違う人から不快な位プンプン香って辛かったことはありません。かぶるように香りをふりかけるのではなく、やはり服と同じように全身に着こなすのでしょう。女性がエレガントに香るのはもちろん、男性は非常に魅力的な残り香を漂わせているのです。これはフランスの乾いた空気も関係しているとは思います。

一方、在日フランス人女性からはこんな声をききました。

「日本で電車に乗っても香りがしないのよ、人の「香り」がね。つまらないわよね。で、私がいつものように香水をつけていたら隣に座っていた人にあからさまに嫌がられたわ。」

人が密集し、湿気の多い日本の環境ではやはりフランスのようにはいかないようです。でも、だからといって「素のまま」「剥き出しのまま」というのもどうかという気はします。お風呂に入っているから香水なんかいらないという人が時々いますが、それは生身の人間の生理学をあまりわかっていないように思うのです。

フランス人にとって香水をはじめとする香りは、人として生きて行くためにごく自然に必要としているファクターなのだと思います。フランス語という言語を専攻しなんとなくその世界観に浸った経験がある私に実感できることでもあります。この言語はきわめて音の響きを大切にします。発音しやすいよいに、聞き取りやすいようにと。

香りを大事にしながらも日本の環境下で不快と思われない使い方をする努力は必要ですが、そもそも生まれや育ちは違っても同じ人間として、フランス人がなぜ香水を大切に思うのか、多くの人に知ってもらいたいと思います。





2011年7月29日金曜日

不思議な夢と香りのインパクトは関係があるのか?

人生において何種類くらいの香りを体験できるのかわからないが、私にとって数ある香りの中でも特に忘れられないものの一つが薔薇の香り。忘れもしない2000年。この区切りのよい年に抽出されたダマスクローズの香りにうっとりしながら眠りについた夜、不思議な夢を見た。ネガティブな内容でなかったことは確か。11年後の今となってはもはや内容は憶えていないが、翌朝非日常的な目覚めを感じて驚いたことも記憶している。以後も薔薇の香りで入眠後、同じような体験が何度かあった。

そんなこともあってなのか縁あって仕事でもダマスクローズの香りに深く関わることになるのだが、その過程でローズに関わる文献にいくつか触れるうちに忘れられない記述に出会った。

2005年に刊行された書籍「香り高きオールドローズの世界 ブルガリアンローズ」(佐々木薫著/BABジャパン出版局)p42中に紹介された、T.Tachev とその研究チームによる論文(1964~69)中の記述である。記された実験とは、被験者(女性)の寝室に香らせたローズ精油の香りが脳の生体電気作用における変化、夢を見る頻度に与える影響を調べたもので、この結果と思われる記述の中に、以下の一文があったのだ。

…ローズ精油を用いた場合、何ヶ月も夢を見なかった人が、人に話したくなるような夢を見た。…

もちろん、全ての人に対して実施された実験でない限り絶対的なことは言えないが、自分の体験との合致に、こんなこともあるのかと思い、嗅覚刺激が脳に与える影響というものにますます興味を深めていった。

さて、こんなエピソードを今日急に思い起こしたのは、文筆家、写真家、デザインプロデューサーとして感覚のアンテナを幅広く張り巡らせているジョー・スズキさんのTwitter上での呟きを目にしたから。


RT @sawaroma: 想像するに、独特のフレーバー(香り)が脳に強い印象となって伝わりますよね…RT @joesuzuki5: 英国チーズ委員会による2005年の実験から、眠りにつく30分前にブルーチーズの一種「スティルトンチーズ」の小片20gを食べると、奇怪で鮮明な夢を経験する人が多いことが…

上の引用は、ジョーさんの呟きに対し私がリツイートした内容。140文字という制限上ジョーさんのツイートが途中で切れているが、この続きの説明によると、なんとこのチーズを食べた男性の75%と女性の85%がそうした夢をみたとのこと。実に興味深い話。チーズ独特の香りを含む風味のせいなのか、栄養成分ゆえなのかはわからないが、夢を見たという意識をもたらすのは脳なので、脳になんらかの影響が与えられた可能性も推測できそう。ともかく、このチーズを食べてみたいという好奇心は増したと思う。



2011年7月28日木曜日

美術で楽しむ香りの世界…「名画に漂う香り」

8/12に「香りの図書館」で開催されるセミナー、「名画に漂う香り」への参加申し込みをした。講師は、長谷川香料株式会社にて貿易部長から理事広報室長、香料技術情報誌HASEGAWA LETTER 創刊編集長としてご活躍された相良嘉美氏。香料に関する約50回の海外取材というご経歴は貴重。

相良氏による論文「絵画の中のバラ」を国際香りと文化の会・会報誌VENUS VOL.22の中で読んだ私は、世界史の中でのバラと人との関わりに、おおいに興味を持った。名画の中に記録された当時の文化背景をもっと覗いてみたいと思った。

香りについて探り始めると、その不思議な魅力を解明しようと自然科学、化学への興味が増すだけではなく、紀元前より香りとともに歩んできた人の歴史にも興味を向けざるを得ない。これから美術館を訪れる楽しみを増やすためにもこのセミナーで新たな視点を持ちたいと思う。




2011年7月26日火曜日

「香る日焼け止め人気」に思う、機能とセットされる香り

本日の日経新聞第31面。「香る日焼け止めが熱い」に目が留まる。
ただ香らせることを目的にするフレグランス自体はそう簡単に「熱く」ならないこの国では、なにかわかりやすい他の機能と香りがセットされるとヒットするのだろうか。

日焼け止め、ときいて私は一昨日夕刻の「残念なすれ違い」を思い起こした。神宮外苑付近を歩いていたとき、前方からスタイルもファッションも共に清々しい若い女性が歩いてくる。こういうとき私はついつい、どんな素敵な香りとすれ違えるだろうかと期待してしまうのだが、事実は残念なことに「よくある日焼け止めのにおい」だった。せっかく風に揺れる綺麗な長い髪なのに。

もう一つ、日焼け止めで残念というか辛かった思い出は200人以上の母親たちが集まる夏の保護者会会場での空気。明らかにあの独特なにおいの集合体は「よくある日焼け止め」から発せられていたとおもう。

私自身、UVカットクリームにはできるだけにおいを感じさせないもの、皮膚に重苦しくべとつきを感じさせないものを探求している。紫外線が強くなる中、夏の露出スタイルをカバーするためにこうしたクリームを習慣的に塗るなど、特に若い男性などは面倒に思うはず。そのモチベーションが「体臭を消す」とか「付け心地」とか「さわやかな微香が残る」などによってアップするのであれば、それはそれで喜ばしいことなのかもしれない。

日経新聞の記事によると、女子高生中心の若年層に資生堂の「UVカット&ジェリー」(せっけんや青リンゴの香りなど4種あり)が人気で利用者の6割以上が継続使用の意向を示しているという。また、花王の「ビオレさらさらUV アクアリッチ」シリーズも前年より販売額が伸びたとのこと。さらに男性向けにもポーラから7/23に「マージェンス」ブランドより「スキンプロテクター」が発売。消臭機能を持つ香料を配合し、かんきつ系の香りも加えたうえ、べとつかない使用感だという。

香りや使用感の良さがキッカケで紫外線から皮膚を護る人が増えること自体は喜ばしい。こうした体験の積み重ねから、自分から発せられるにおい、香りに意識を向ける人が増えることを切に願う。




2011年7月25日月曜日

フェイシャルアロマ・人気ブレンド

フェイシャル(顔)や頭皮トリートメント用として就寝前のリラックスを目的に、好みの精油をホホバオイルに0.25~0.5%希釈濃度で作り、まずは手の甲にブレンドオイルを拡げて香り方を試してみるという実習を私の講義で実施。希釈し、皮膚に拡げてどう香るのかを体感してからの選択ゆえ、嫌いなものは選ばないという条件を掲げた。

顔に用いるということで、スキンケア製品に広く使われているものを参考に、少量でも十分に香る以下4種を候補とした。

ローズオットー
ネロリ
カモミール・ローマン
ラヴェンダー


24名(うち男性14,女性10)のクラスでは手で試したのち最終的に選ばれた香りの内訳は以下の通り。

ローズオットーのみのブレンド…9名(男5,女4)
ネロリのみのブレンド…5名(男3,女2)
ローズオットー&ネロリブレンド…2名(男2)
カモミール・ローマンのみのブレンド…4名(男2,女2)
ラヴェンダーのみのブレンド…4名(男2,女2)。


11名(全て男性)のクラスでは、手で試したのち最終的に選ばれた香りの内訳は以下の通り。サイプレスを自ら希望した学生もいた。

ローズ・オットーのみのブレンド…5名
ローズ・オットー&ネロリブレンド…1名
カモミール・ローマン&ネロリブレンド…2名
ラヴェンダーのみのブレンド…1名
サイプレスのみのブレンド…1名
ラヴェンダー&サイプレスブレンド…1名

どちらのクラスにおいてもローズ・オットーは一番人気。この中には、ローズ・オットーの香りを初めて嗅いだときから好きという人だけでなく、薄めた状態で他の香りと比較した結果「やはりローズ!」と納得したように選んだという人もいる。または、特に大好きというわけでもないが嫌いでもないのでせっかく使うならば、希少価値の高いものをというイメージで選んだという人もいた。

これから2週間使用して各自がどのようなリラクセーション効果を感じてくるのか楽しみ。ストレスケアの香りを各自発見するキッカケとなりますように。






2011年7月24日日曜日

カビない柑橘果皮 & 皮脂酸化臭を消した薔薇花香

このところ、改めて植物の力を感じている。

医療系専門学校1年生に「自然科学概論」と称した科目20コマを提供している私は、主に植物の芳香物質と人間との間に起こりうる様々な現象について講義する傍ら、自分も日常生活の中で実験を時々試みる。

たとえば最近はこんな観察結果を得た。

1, 4ヶ月以上放置してもカビないブラッドオレンジの果皮。

2, 普通に洗濯を複数回くり返しても落ちなかった頑固な皮脂が酸化した臭い(男性着用のシャツの襟)が、ローズオットー精油を滴下した冷水ですすぐことで明らかに減少したこと。

1は、3月初めに頂いたブラッドオレンジが美味しいのでその皮を乾燥させて何か作ろうかと思っているうちに大地震が起き、忘れられたままひと月放置してしまったことが事の発端。パリパリに乾いているものの、カビるどころか虫すら寄ってきていない。鼻を近づけるとかすかにあの芳香まで残っている。これは面白い、やはり柑橘果皮精油には抗菌・抗カビ作用があるのかもしれないと仮説をたててさらに放置すること3ヶ月。猛暑の時期を迎えて室内が蒸し暑くなる日が続いても、今現在カビていない。そしてやはり鼻を近づけると芳香が残っている。実と一緒ならばたちまちのうちにカビるのに。

2は、ダマスクローズ精油を配合したという食用カプセルを常用して体臭が薄くなったとか消えたとか…こんなカプセルの需要が多いのは日本に特有の傾向であるという話をブルガリアでも聞いたが、この効果が本当なら、人の体内から発生する皮脂が酸化した臭いにも効果があるのではないかと仮説をたててみたわけである。冷水にほんの1~2滴。あとはよく混ぜてその中にシャツの襟元を浸すこと5分程度。そのまま脱水して干したところ、かなり臭いが抑えられていた。先日このシャツを再び普通に洗濯したが、やはり以前に感じたほどの悪臭はない。こうした効果はローズ香だけなのかどうかは分からない。希少価値の高いこの精油ばかりは使えないかもしれないので、ラヴェンダーなどでも試してみようと思っている。…そもそも人の身体は食べたものから作られるので、食べ物の選び方、食べ方、組み合わせ方次第で身体の匂い方が変わってくるはずだ、という仮説もたてているところ。

このようなことを記述すると、たかだか個人の経験ではないかと言われるかもしれないが、事実は事実である。一つでも事例があれば、仮説を全肯定はできなくとも全否定もできない。自然科学は日常の中の観察から始まる。知識として得た考え方を日常の中で検証してみるキッカケを逃さない感性は必要だ。




2011年7月23日土曜日

映画「イヴ・サンローラン」の余韻

イヴ・サンローラン、といえば忘れられないものが3種類ある。

まずは気品あふれる鮮やかなピンク色。私はこの色を大切な場面で着た。
そして香り。" Y"(1964) や "Paris"(1983)、…。
さらに、かつて池袋にあったセゾン美術館での展覧会「イヴ・サンローラン モードの革新と栄光」(1990)。

ピンクを、着る色として自分から選ぶことはなかった。サンローランのピンクは祖母に選ばれた。20歳という節目のお祝いに艶やかな紅型の振袖を用意してくれた祖母が、その数年後の私の大切な人生の節目に着て欲しいとあつらえた色がサンローラン・ピンク、まさに薔薇色のスーツ。実は不安で一杯だった気持ちが、この色を着ることで晴れやかになり、優しいシルエットで満たされた。そんなことを思い出したのは、昨日観た映画「イヴ・サンローラン」の中でイヴがファッションで何をしたいかという質問に対してこう語っていたから。

「女性を美しくするだけでなく、その不安を取り除き、自信を持たせてあげたい…」

そして、女性のどんなところが好きかという質問には一言こう答えていた。

「魅力。」



"PARFUM"157号 に、この映画についての「アジアン・ポップス・マガジン」編集長である橋本光恵さんの文章があったことを思い起こし、参照したところ、次のような記述が改めて心に響く。

「彼にとっての創造のミューズであるカトリーヌ・ドヌーヴ…等、大女優たちの映画での輝きに大いに貢献、"ココ・シャネルは女性に自由を与え、サン・ローランは女性に力を与えた"とはよく語られる言葉だが…」

確かにサンローランは女性のエレガントな魅力を美しいシルエットに反映させながら、それまでにはなかった、そしてあり得なかったスタイルを次々に生み出した。ピーコートスタイル、パンタロンスーツ、モンドリアンドレス、シースルードレス等、現代でも愛されているスタイルである。映画によって、その創造の背景に起きていた出来事、流れていた時間を感じることができた。

「オピウム」は1977年発表の香水の名前だが、この香水のCMらしき映像も映画の中で初めて垣間見た。「虜にしてしまう」という魅力のほどがよく伝わる映像。当時中国ではこのアヘンを意味するネーミングにおおいに反発したというが、結局この香りの名前は今も生きている。日本の印籠を思わせるボトルとともに、そのネーミング は印象的。

イヴ・サンローラン。そのブランドの名前を知らなくても、このブランドの服を着たことがないとしても、現代女性の多くは、服を着ること、香りを身につけることで自信を持ち、輝きたいと思っている。不安を取り除き、その時ごとの最高の自分でいるために服を選びたいと。自分では気づけないかもしれない自分の魅力が引き出されるためにも。

映画「イヴ・サンローラン」公式サイトでは彼の72年の生涯を年表で眺めることができる。

2011年7月22日金曜日

クールビズでミント人気急上昇の夏

大好きなミントの香り。語り始めるとキリがないけれど、今夏はひときわ暑いので普段ミントやアロマテラピーに無関心だった人まで注目しているのでしょうか、先程Facebook上で精油関連の仕事に携わる方から、

「クールビズでミントの精油売上昨年対比130%」

とのコメントを頂きました。

確かにミントの香りを嗅ぐと、脳に「涼しくなったから汗よ引きなさい」といった信号が出るとか出ないとか…そんな話も効いたことがあります。すこしでも五感に涼感を送るために、今夏精油デビューの方がいらしたら是非ミントを。種類も和薄荷、ペパーミント、スペアミント等々。中でも冷感効果をお求めでしたらメントールがぴりりと胡椒のように効いたペパーミントがお勧めです。この精油に関しては4月の私のブログ「ペパーミント・爽やかな涼風と回復のイメージ」でも書いていますのでご参照ください。

ペパーミントの精油には素晴らしい揮発性があり、すーっと鼻の中を通り抜けていきます。まずはティシュやコットンに含ませて手元に置いてみてください。爽快です。そして、洗面器に張った温かい湯で足浴をというとき、湯に一滴この精油を。素晴らしい香りが周囲に拡散しつつ、足元は清涼感に包まれるでしょう。

日本の蒸し暑い夏の大いなる味方、ミント精油。そして蚊が嫌がるというレモングラスやシトロネラ精油とブレンドしても爽やかです。



2011年7月21日木曜日

化粧水(保湿液)の香り方

このところ、保湿用ローションを色々と試している。
乾燥を防ぎ、塗っているときの(触覚と嗅覚への)負荷が少ないもの。

何しろ毎日使うものだから負荷が蓄積するとこわい。
ストレスのもととなる負荷。皮膚にシミルなどはもってのほかであるが、それ以外にも重要なことは香り方。鼻に近いところに使うわけだから、強すぎる香りや違和感のある香り、いつまでも残りすぎる香りはストレスとなる。

最近改めて思うのは、香りというのは「香る」ものであって揮発する、動いているものであるということ。一時も静止していない。洋服のように身につける香りはある程度持続させたいと思うが、スキンケアではどうか。使っているほんのわずかな間に使用感を高め、リラックスさせてくれたらそれで良いのだ。

「この香り好き」というのは、イコール「この香り方好き」ということであり、「この香りキツイ(から嫌い)」というのは「この香り方イヤ」ということではないかと思う。

数年程前にアロマトリートメントサロンの監修を行ったとき、使用化粧品の検討のため、多くのさまざまなスキンケア化粧品を試した。中でも洗顔後最初に使用する化粧水は、鎮静や保湿が主な目的と思うが、これについての感想が人によってまるで違う。当たり前といえば当たり前。皮膚のタイプも違えば使用感の決め手となる触感や香り方の好みがちがうのだから。

このときあまりにも様々な化粧水をテスト使用して、私は自分の顔面の皮膚が疲れたような気がしただけでなく、その香り方によって受けるストレスというものも体験した。その後しばらくは、香りをほとんど感じさせない究極のシンプルな保湿液しか使いたくなかった位であった。

そして肌の回復とともに、単に「無香料」が良いわけでもないことも学んだ。なぜならば、化粧水の原料自体のにおいが剥き出しの状態が逆に不快なこともあるから。たとえばリフレッシュ感を高めるためにアルコールが使われているとするとこのにおいが刺激臭となったり、無添加石鹸の牛脂の面影にゲンナリしたりする。原料自体のにおいを隠すためにやたら強く香るのも不快だが、剥き出しも困る。

そんなわけで、毎日使用しても違和感のない、ほどよく調整された微香を求めるようになった。手にとり、顔面に拡げたときにふわっと香り、つけてしばらくすると心地よかった記憶だけを残して消えゆく香り方。

高品質といわれる有名ブランドの化粧水をいくつか試してみたが、私にとってはまだまだ香り方の強すぎるものが多い。残念なのは、ファーストタッチで
「あ、この香りは昭和のにおい」などと母世代を思い起こしてしまうところか。
たまに使うにはレトロ気分でいいかもしれないが、毎日はつらい。

化粧水の香りに関しては、剥き出しでも、強すぎても、昔を思い出し過ぎてもイヤ、という私の探求は続く。



ジル・サンダー イヴの香りを演じるのは「パフューム…」の女優

バーバリーの新作の話題に引き続き、ジル・サンダーからもニュース。

「ジル・サンダーの新作香水がウェブサイトで限定50個発売」FASHION PRESS という記事。写真の女性を見て思わず驚く。

その女性とは、2007年に公開された映画「パフューム ある人殺しの物語」に登場したプラム売りの少女ではないか。ドイツ・ベルリン生まれの女優、カロリーネ・ヘルフルト。映画をご覧になっていない方のために詳細には触れないが、忘れられない瞳だった。

記事をご覧いただければわかるが、発売に先行してイメージとなる女優の写真はもちろん、香りの構成、ボトルデザインも公表している。一般販売前の50個限定という数字もなにか絶妙。

日本での販売は未定とのこともあえて記されている。この香りをイメージで気にいった人だけに、本気で送り届けたいという心が伝わるプロモーション。

ジル・サンダーというブランドを愛する人で、映画「パフューム…」の世界観に魅力を感じ、あのプラム売りの少女が記憶に残っていたならば、入手してみる価値はありそうだ。

香水は、映画の中に生きる女性さながらに、人の想像力をかきたてる。
また、映画を観たくなった。



2011年7月20日水曜日

世界150か国以上で発売される香水とは?「バーバリーボディ」

今秋の新作フレグランスのニュースとして、もしかしたらもっとも話題を集めるかもしれないのが9/1発売予定の「バーバリーボディ」。

ーもっとも官能的な香り「バーバリーボディ」誕生ーOPENERS 2011,7,14の記事は印象的。女性が纏っているのはローズゴールドのシルクサテンでつくられたトレンチコート、そして、バーバリーボディの香り。このビジュアルは、フレグランスが確かにボディに纏う「第一の衣服」であることを伝えている。ボディに最も近い衣服。

そんな、フレグランスの本質的な役割を、かつてシャネルNo.5を着て眠るといったモンローのように使い手側からではなく、作り手側から発信しているところが興味深い。

そしてこの香りが世界150か国以上で発売されるという事実。改めて素晴らしいことと思う。これまであまり意識してこなかったが、どれ位広範囲で販売されるのかということは今後注目に値する。

今回の新しい香りの象徴として選ばれたのは、7/29公開の「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」にも出演する、ロージー・ハンティントン=ホワイトリー。貴族の出身とか。

香りには「もっとも官能的」という形容詞の説明しかないが、発売までじゅうぶん想像力をふくらませてみるのも楽しいかもしれない。

個人的には、シルクサテンのコートを素肌に着たらどんな気分になるのか、そちらにも興味あり。きっと何も着ていないよりも遥かに自分のボディを意識するだろう。



2011年7月18日月曜日

「香りをイメージする香水瓶展」からボトルの記憶をたどる


「香りをイメージする香水瓶展」POLA MUSEUM ANNEX が連休初日の16日から開催。9/11までという開催期間なのでぜひ訪れてみたいと思っています。


ちょうど先月発刊された"PARFUM"158号 誌上、「芸術と香水96」においても、この展覧会は紹介されていました。2ぺージに渡る紹介ページには、展示作品として、ポーラ ミュージアム アネックスのサイトに掲載されている「ショッキング」のボトルだけではなく、ルネ・ラリックの「桑の実形 栓付香水瓶」や、エミール・ガレの「アトマイザー付き花文香水瓶」などの写真も掲載。眺めているだけでも香ってくるような美術品です。


さて、香水の楽しみの一つに、ボトルの外観を眺める喜びがあります。
私にとって、そのボトルの外観が、香りのイメージと一体となって記憶に残っているフレグランスをいくつか挙げてみようと思います。

資生堂「禅」
幼い頃、母の鏡台にありました。黒地に金の図柄。

ニナ・リッチ「レールデュタン」
キャップの白い鳥の羽のようなモチーフが印象的。

グレ「カボシャール」
黒とリボン。信念を大切にする淑女の象徴。

ゲラン「シャリマー」
アラビアンナイトの妖艶な世界の一品。異空間への旅。

ゲラン「サムサラ」
赤の神秘。両手を合わせて今も描きたくなる形。

ディオール「デューン」
砂丘のなめらかな曲線とオアシスの色。

イッセイ・ミヤケ「ロードゥイッセイ」
命の根源、水を讃えた形。

イヴ・サンローラン「ニュ」
ミッドナイトブルーの円形コンパクト。秘めた心。

……まだきっと色々思い起こしそうですがこの位で。

展覧会ではきっと20世紀初頭の作品が主に見られることと思います。
きっと現代のボトルに受け継がれた形やモチーフに出会えることでしょう。




2011年7月16日土曜日

調香師の言葉より

私は調香師の方に直接お会いしてお話をうかがったり、お会いできなくても印刷物を通してお言葉を読ませていただく機会を得てきた。

それらの言葉には深く考えさせられ、強く記憶に残るものが多い。備忘録を残しておきたいと思うようになった。

今日、本棚の整理をしていたら、2009年のNHKテレビ「テレビでフランス語」のテキストが目にとまった。この時期の講座はパリで活躍する様々な職業人へのインタビューがテーマとされていたので魅かれ、テキスト自体に価値を感じて購入していた。

2009年5月号インタビューのトップが調香師 " Parfumeur "、Blaise Mautin氏。
モータン氏のプロフィールに、パリ、ドバイ、アメリカ等の一流ホテルからの要望で高級感とホスピタリティを兼ね備えた香水を生み出し好評…と記載がある。

テキスト上のモータン氏のお言葉から、特に私に印象的であった3フレーズを記しておきたい。これらは、
①「調香師になるために不可欠な能力とは?」
②「好きな香りは?」
の2つの質問に対して答えられたうちの一部として抜粋したもので、フランス語そのままで引用している。( )内はそれらの日本語訳。

①に答えて

第一声
Je serais plutôt un maillon d'une grande chaîne.
(私は大きなつながりの中の一要素でしかありません。)

…最後にこう結ぶ。
Parce que si je dis < Je connais tout. > de toute façon, je suis mort!
(いずれにせよ、「何でも知っている」と言った時点で終わりですから。)

②に答えて

Alors, l'odeur, l'huile essentielle que je préfère, c'est la rose. 9 tonnes de pétales pour obtenir 1 kilo.
(私の好きな香りはバラの精油です。1キロ抽出するのに9トンの花びらを必要とします。)


特に①に対する2フレーズは、職業全般に通じることではないか。私がアロマセラピストとして、精油と人体の基礎を学び実践を積みながら感じたのは、精油業者、精油のもととなる植物、その生産者など、多くの人とのつながりであり、より深く知りたいと望む好奇心だった。そもそも香水が好きでこの価値を広く伝えたいと願った延長上に、人と香料との関係性、天然香料の一種である精油が人体に与えうる影響としてのアロマテラピーへの好奇心が生まれた。色々なことを知れば知るほど疑問は生まれ、その過程において常に研鑽が必要と感じるのはごく自然なことではないか。

②に対する回答として、収率が極めて低いという稀少価値や紀元前より脈々と愛されてきたバラの香りの価値を知識としてだけでなく、実際に香料として活用する過程において実感されていることがうかがえる。これまで、少なくとも私の知る調香師の中でバラを香料として第一に挙げる人物は3名いた。調香師が記憶するといわれる数千種にも上る香料の中で、ということは他にも魅力的な香料は多々あったはずと想像する。その上での選択であり、迷わずこう答えられるというところに、静かな感動をおぼえている。
"odeur" というフランス語は、特に「良い香り」を示す言葉ではない。良いとか悪いといった評価抜きの単なる「におい」である。調香師とは、あくまでも香料(香りの原材料)であるその素材自体を組み合わせたり薄めたりして、" l'odeur " (におい)から "le parfum"(良い香り)を創造する人であると改めて思った。


参考文献:
NHKテレビ「テレビでフランス語」2009年5月号テキスト




2011年7月14日木曜日

至福の30分間に流れた3種の香り・アロマトリートメント

いつもは他人様に提供しているアロマトリートメント。以前は私自身も好んでお客として受けていたものでした。ただ、その当時はなかなか心からの満足を得ることができず、同業だけに気に障ることもあり、かえって疲れる結果になることもよくあったのです。そんな多くの体験がその後の私の施術や教育活動にも反映されていったと思います。そして…世の中に立派にキャリアを積んだセラピストの方々が増えて数年経過。

今日は久しぶりに私自身が受けてきました。
場所はかつて私が出産した産婦人科医院併設のアロマルーム。
妊産婦さん優先なのですがラッキーなことに予約がとれて30分の足中心のアロマトリートメントを施術していただきました。

ここ数日の心身の疲労に加え、強くストレスを感じる子宮頸癌検診(内診)を受診後の緊張感もろともスッキリ洗い流したような気分です。

今週はそもそもメンテナンスの週としていくつかの定期検診を予約し、休養を優先していました。本当に心底疲れると感じたことがあり、検診でこれ以上ストレスを溜めてしまってはそれこそ肌や髪の状態にまで響くと危機感をもっていたのでした。ストレスを溜め込んでいるにもかかわらずリラックスできない時が続くということは内面の健康ばかりか、外見の美容にも影響を与えるのです。

この道10年以上、という頼もしいセラピストさんによるアロマブレンドは、オレンジ・スイート&ラヴェンダー&フランキンセンスの3種。ほの暗いアロマルームの中で、華やかに香るオレンジが上品なラヴェンダー、深くウッディなフランキンセンスとともに、ゆっくりと流れていきました。

ホットタオルで両足裏を温めていただいた後、両足のトリートメント。さらにかるく首や肩、頭部にも軽く刺激をいただきスッキリ。ペパーミントのハーブティーでリフレッシュしたあとアロマルームを出ると顔のトーンが一段アップしています。顔には全く触れられていないというのに。

心地よいリラックスはストレスを軽減し、身体そのものの回復力を高めてくれるのでしょう。結果として、施術を受ける前よりも「より良い状態」になっていることを実感できるのも嬉しいことです。





2011年7月13日水曜日

夏の3色温製サラダは翌朝冷製で

このところよく作るサラダはオレンジ、ホワイト、グリーンの3色。
オレンジは人参、ホワイトは馬鈴薯、グリーンは胡瓜です。

まず、3種をサイノメにカット。今夜は3人分で夜と朝の2回に分けて食べることを想定して、人参2本、馬鈴薯3個、胡瓜2本をサイノメに。

鍋に人参、馬鈴薯、胡瓜の順番で入れ、その間にコンソメキューブ1個と塩、胡椒パラパラ。スープにするわけではなく、あくまでも野菜に味を染み込ませながら煮含めるので水を野菜が隠れない程度の量だけ入れ、中火から弱火で焦げ付かないように煮ます。ある程度水が減ってきたら鍋の中身をかき混ぜて、人参に串が通る位の柔らかさになったら火をとめます。

この熱々で夜は温製サラダ、冷蔵庫で一晩冷やせば冷製で朝食を。ランチボックスに入れても彩りと共にビタミン&ミネラル&食物繊維を豊かにしてくれます。

柔らかな人参にほくほく粉ふきのジャガイモが絡み、とろける胡瓜がホロリ。なんだかホッとする味です。胡瓜は生で食べることが多いかもしれませんが、こんふうに煮たり炒めたりしても美味しいのです。

もちろん、コンソメキューブをもっと足して水も多くいれたらスープにもなるでしょう。でも野菜の香りと旨味が凝縮されたサラダスタイルは冷めても美味しいのが大きな魅力。これとオリーブとチーズがあればワインでも飲みたくなってくるのです。

この夏はこのサラダをきっと毎週作りそうです。




2011年7月12日火曜日

緑香るメンズケア・VERDON(ロクシタン)

今朝の日本経済新聞第9面下の広告記事に注目。大きな2種の写真が並んでいます。淡いミントグリーンの球場を背景に、一瞬お酒の?と思わせるデザインのボトルとがっちりとした上半身の男性。プロ野球選手で投手という25歳の彼が愛用するフレグランス、スキンケア製品として紹介されていたのはロクシタンのVERDON 。「夏を爽やかに過ごすメンズケア・ヴェルドン」として、オードトワレと化粧水が紹介されています。

ヴェルドンは、ヨーロッパ随一の渓谷をイメージしたフレッシュな香りが特徴とのことで、その雄大な緑に囲まれたようなはじける香りが爽快感をもたらすフレグランスは、写真のアスリートのお気に入りとのこと。

早速オードトワレの香りの主な構成をみると…
トップノートにベルガモット、レモン。ミドルノートにはミント、ラベンダー。考えてみれば20歳前後の男子学生(私の講義の受講生たち)にも人気の高いものばかり。爽やかな柑橘とシャープなミント、エレガントなラベンダーという組み合わせはなかなか素敵。

新発売のシャワージェルも涼感をアップさせてくれるはず。夏を少しでも快適に、自分も周囲も。

ちょうど昨日の講義で200年以上世界で愛好されているロングセラーの香り、"4711 ポーチュガル"を紹介していたところ。身だしなみと香りをセットで考え、周囲にとっても爽やかな存在であろうとする男性が増えることを願うばかりです。




2011年7月9日土曜日

夏デビューの人へ・思い出の "EAU DE GIVENCHY"

もし、この夏に初めてフレグランスを使ってみようと思う方がいらっしゃるなら、「一度試してみては」と思う香りがある。

1980年頃に発売されたものの、一時見かけなくなっていたが、根強いファンの希望があってなのか数年前に再発売されたらしい。再登場のボトルはオリジナルの濃紺キャップ&ラヴェルではないけれど。

懐かしいフレグランスの名前。ジバンシィの「オー デ ジバンシィ」。濃紺のキャップに同色のラヴェルは、透明感あふれるブルーなイメージを表現していたと思う。先日、昔の資料を整理していて発見した「パルファム ジバンシィ」のフレグランスリストが書かれたリーフレットには、このフレグランスの説明が次のように書かれている。


EAU DE GIVENCHY
(フレッシュ・フルーティー・フローラル)
清楚でさわやかなブルーノートに、やさしいフローラルの香り。心地よいそよ風のような、若々しくみずみずしい印象のオーデトワレ。気分のリフレッシュに。


私は、かつてこの香りを夏に限らず主に出張時、仕事の場で「着用」していた。20代中頃の私の仕事の場面において、周囲にはほとんどが自分よりずっと年上の方ばかり。清潔感とともに若いながらも真摯で信頼される安心感というイメージを表現したかったのかもしれない。この香りを褒められたことも思い起こす。場所は海の近く、時は晩秋の朝、「おはようございます」の挨拶のかわりに「素晴らしい空気を感じた」と言われた褒め言葉まで憶えている。夏になると時々脳裏に浮かぶ思い出の名香の一つ。




2011年7月8日金曜日

珈琲の香り!ブラックシューアイスから思い起こしたイタリア

今日、表参道エチカの中で出会ったブラックシューアイス。ついつい知人と一緒に購入してしまいました。物珍しさへの好奇心からのチャレンジでしたし、いつもアイスを一個一度に完食することの少ない私が結構な速さで完食。そしてそのフレーバーから…かつて訪れたイタリアを思い起こすとは!

やはり。シュークリームのヒロタさんとコラボレーションしていたのはイタリアのオロビアンコというブランドでした。味も香りもグッドな割りに気取らない親しみやすさ。

フレーバーは2種。カプチーノとエスプレッソ。私は香りを想像しながらエスプレッソを購入。冷たいけれど確かに珈琲の香り!知人はカプチーノを選択。一口味見させていただいたところ、こちらは苦味に抵抗のある方でもOKな印象。比較するとエスプレッソのほうが大人向けかなと感じました。

早速ネットで探してみました。ヒロタさんのサイト中、ブラックシューアイスの情報がこちら に。期間限定なのかどうかわかりませんが、私個人の感触としてはまたリピートしたいと思います。なぜなら、今日は朝から既に美味しい珈琲を2杯も頂いていた後にもかかわらず、グッドな香りと感じられたこと、何よりもすぐイタリアを思い起こせたことが自分でも驚きです。さらに、甘いものをたくさん食べられない私がさらっと一個を完食できたこと。ご紹介したページには一個あたりのカロリーまで掲載されていますがそんなに高くないのも魅力です。




2011年7月7日木曜日

「世界香路ミスト」から日本の「かおり風景100選」を想う

今朝の日本経済新聞朝刊27面「新製品バトル」では、スプレー式消臭芳香剤3製品が専門家のコメントとともに掲載されている。3製品の中で、特に香り方について「くどくないピュアな香り…ほんのり香り、邪魔にならない」や「香りはすっきりとして爽やか。持続性はあるが強過ぎない」などというコメントを得ているのが、この春発売されたという「世界香路ミスト」(小林製薬株式会社)

「世界香路ミスト」のラインナップは、ブルガリア・ウオータリーローズ、シチリア・オレンジフラワーなど。世界的にその香料品質で名高いブルガリアのダマスクローズと、香料名ネロリとしてお馴染みのオレンジフラワーが選ばれたのは、花の香りの好きな私としては嬉しい。私自身、ルームフレグランス用にこの二種、ダマスクローズのローズオットーとネロリをよく使用する。これらの花の香りは、深くリラックスできるという点が素晴らしい。

同時に、日本国内には世界に誇る「香路」があるか振り返る。ちょっと考えただけでまず思い浮かぶのは、スギ、ヒバ、ヒノキなどの木の香り。この香りに包まれる森林浴は多くの日本人だけでなく外国人をも魅きつけるはず。視覚的風光明媚なことだけでなく、「香路」としての価値をもアピールしていきたいもの。
環境省が選定しているかおり風景百選 を今一度ゆっくりと見直して、海外の知人にも教えてあげたいと思う。

ともあれ、ただいやな匂いを消すということだけでなく、良い香りに包まれたいとポジティブに願う人が増えるのはうれしい。良い香りの環境は、そう思う個人一人だけのものではなく、周囲の人すべてのものであるから。こうした意識の人が増えることによって、日本のかおり環境も向上しますように。



2011年7月5日火曜日

白布に香りを添えて・夏の必需品

猛暑の日々。ほんの少し歩いただけでも首筋や額に汗。せめて屋外から屋内に入ったとき、さりげなく拭き取りたいものです。

私は夏の外出時にいつも、真っ白な大判のハンカチを小さく首幅ほどのサイズにたたんでポーチに入れています。折りたたんだ中にはフレグランス、または自分のためにブレンドした好きな香りを染み込ませたコットンをはさんでいます。

首筋が汗ばんだと感じたら、ほのかに全体に香りの移ったハンカチを、折りたたんだ形のまま首筋にあてます。長い髪に隠れることも多いのでそれほど目立つ動作ではありません。数秒あてていると汗を吸収しつつ体温とともも香りがかすかに首まわりに漂い爽やか。

汗で湿った部分は内側に折り返してポーチにしまいます。タオルよりもスマートでコンパクト。白ゆえに汚れはすぐに見つけられます。

こんなふうにこまめに汗をのぞいておくと、シャツやブラウスの襟元もあまり汚れませんし、何もしないよりはにおいもつかないように思います。

私がハンカチに含ませる香りは軽いフローラルタイプのフレグランスか、自分がローズやベルガモット、ミントなどをブレンドした香りです。こうした香りは、夏の暑いときにこそ微風にのって流れると、確かに涼感を伝えます。

素敵な服を涼やかに着こなすための…夏の必需品。



2011年7月3日日曜日

トリオの響きは説明の要らない喜び

ピアニスト/コンポーザー・アキコ・グレースのオフィシャルブログAKIKO GRACE VOICE 2011,6,30 にてご紹介のトリオ公演を鑑賞。

光の中を駆け巡るようなピアノの音に、身体の奥底から共鳴するようなベースの響き、風のように空気を斬るドラムスが調和するトリオは、何度聴いても快感。ただ一期一会を楽しむだけ。脳が喜んでいる深い実感が残る。大好きな香りに浸っているときのように。

これまでのライヴやCDで何度も聴いたことがあるはずなのに、あえてそれらの旋律を思い返さずにまっさらな感覚で聴く。その方が楽しい。余計なことを考えないという、フラットな状態からこそ感じられるものがある。

説明の要らない喜び。多くは芸術が与えてくれる。それなくしてこの生きにくい日々をいかに笑顔で生きられるだろうか。ふと、夏目漱石の「草枕」冒頭を思い起こす。

今回の公演にゲストとして出演された立花裕人さん(キャスター・作詞家)のトークそのものもまるで音楽のように耳に届き、その延長上での「ひまわりのワルツ」の詩の朗読には涙がこぼれそうになった。

笑いながらクルクル踊るひまわりが想像できた「ひまわりのワルツ」(アルバム"Pianorium" 収録曲)。グレースさんによるこの素敵なメロディーに立花さんによる詩が加わり、ソプラノ歌手の方や子供達の合唱団とともにこの夏、演奏・録音されるという。大きな震災によって被災された方へのあたたかい応援メッセージとなることを願う。



2011年7月2日土曜日

黄昏の香り・レモングラス&ラヴェンダー

昨夜ヨコハマにて、もうすぐ開演のジャズライヴを待ちながら選んだカクテルの名前は「ノクターン」。レモングラスとラヴェンダーの香り、という文字に魅かれて。

透明に近いピンク。ストローの横に一本、レモングラスの葉。一口…じんわり拡がるレモングラスの香りと炭酸の刺激。喉を通り過ぎていくかというときにふんわり、かすかにラヴェンダーの香り。

レモングラスのスパイシーでワイルドなシトラス調の香りに、夕暮れ時の空気を感じていました。続いてこれから夜…深くなる闇へ、穏やかな眠りの夜へ、という余韻を甘く柔らかなラヴェンダーの香りに感じた私は、「黄昏」という言葉をイメージできました。

私は、音楽を五感を研ぎ澄ませて身体で聴きたいので、あえてアルコールは選ばずこのカクテルもノン・アルコール。

実はライヴ会場に入る前、自宅から横浜までの約1時間の行路の疲れを癒し、くつろぐために、近くのバルコニーでワインを楽しんでいました。海を眺めながらちょっとぼおっとしたひととき。そんなときは少しのアルコールが貴重。

余計なことをあれこれ考えないフラットな脳へとリセットしてからは、香りも音楽も身体の中に染み込んでいくような心地良さ。数時間の旅。

"Motion Blue yokohama" (横浜赤レンガ倉庫2号館3F)にて
"Akiko Grace Trio Collective" を聴きながら。