それは不思議な光景だった。
雨宿りに立ち寄ったカフェにて。
レモネードを飲んでいる私の目の前を、明らかに「蚊」のかたちをした昆虫がフラフラ飛んでいる。またもや刺されるかとヒヤヒヤしながら見守るが、私の皮膚ではなく、私がずっと握っていたバッグの持ち手にとまった。
私より遥かに小さな生き物の顔の表情が見えたわけではないが、どうもその姿がくつろいでいるように見えた。しばし脚を伸ばすようにじっとたたずみ、しばらくすると去っていった。こんな平和的な「蚊」を目の当たりにしたのは初めてのこと。
ちょっと考えてみた。
「蚊」がとまったバッグの持ち手の意味について。
ついさっき、私の左手は、天然ジャスミンの香料が使用されたボディクリームを塗ってもらっていた。お店の方に少量試させてもらい、うっすらと手のひらにのばしていた。この花の香りのせい?
そんな疑問を持ちながら帰宅し、ずっと昆虫のことを調べていたら出逢ったサイトに「蚊」の秘密を発見。あれは雄の蚊、もしくは産卵期ではない雌の蚊だったのかもしれない。雄は人を刺さない。彼らのメインの栄養源は花の蜜や果実の汁だという。そして、雌の、産卵直前の蚊だけが出産の栄養源に人の血を求めるという。
池上博さんという方が丁寧につくられたサイトは素晴らしい内容。このサイト内
カテゴリー「昆虫の話題」中の「蚊」を一読して今日の午後の疑問が解けたような気がする。
そういえば、おぼろげな記憶の中に、確かに人の血液を求める蚊は雌だけだったという知識があった。しかし、雄のことまで詳しく知らなかった。花の蜜や果汁を主食にしていたなんて。雌が血液を得るために持つ驚異のセンサー機能を想像し、昨日拡大写真でみた蚊の顔を思い出していた。
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