2020年11月28日土曜日

潔さ香る、White Floral / LIBERTA PERFUME ・ミニマルな抽象化





白い花にはある種特別な印象を抱いてきた。大切な場面で私はよくこの色を装う。なぜなのだろうかと考えてみた。その凛とした佇まいに気分が一新され、自らの体内に潜む温かさや複雑な想いが新しい華やぎを持って香り出すからかもしれない。


花の匂いは必ずしも甘くはなく、多種多様。色々な植物の姿、花の表情を観察していると、いずれにもハッとさせられる強さがある。そうした佇まいが、人に装われることによって気品を醸し出すと想定された洗練を持つフレグランスは新鮮だ。






白い花にはことのほか、独特の潔さがある。

ホワイトフローラル。

この解釈を再考するきっかけとなった

フレグランスが、前回の記事

http://sawaroma.blogspot.com/2020/11/canomaliberta-perfume.html?m=0

でご紹介の《LIBERTA PERFUME》 

による《White Floral 》。





実にミニマルな抽象化であると思う。

白い花そのものの匂いなど超え、

その凛とした佇まいが香りとなっている。

第一印象の清々しい緑感から、透明感のある白い花の輪郭へと、静かに、密やかに香る。いつの間にか、纏う身体の体温と一体となった曲線的な余韻。この生きた纏う身体あってこそのまるみが、儚くも凛とした気品を醸し出す。


微細な一瞬。

白い花の凛としたきらめきはほんの一瞬。だからこそ麗しいのだろうし、余計なあれこれなど要らなかったのだ。フレグランスというものは、人が纏って初めて良い匂いの香りとなる。だからフレグランス自体はもっと洗練されたものであって欲しい、と改めておもう。



…écrit par SAWAROMA









2020年11月19日木曜日

香りで自由な装いを導く・ 《çanoma》と《LIBERTA PERFUME》





香水とは? 人が自らを香らせるとは?

これまでの歴史はさておき、これからの時代、「装う香り」はどう進化していくのだろう。そんなテーマに挑み、「今という時代の香り」を模索し、形にするチャレンジャーは、まさに現代アーティストそのものだとも思う。


昨日まで開催されていた

SIXIÈME (GINZA SIX 2F)での

La touche finale parfumée

(ラ・トゥーシュ・フィナル・パフュメ)貴女らしさを引き出す香りとの出会い -」。

https://sixieme.jp/news/2020/10/la-touche-finale-parfumee-pop-up-store.html

ニッチフレグランス・レアパフュームにフォーカスしたフレグランスイベントである。


こちらに参加されていた二つのブランドを紹介したい。いずれの代表者も「フレグランス」への自らの問題意識を具現化した日本人クリエイターである。




まずは幾重もの抽象化が新鮮な《çanoma》。

アルファベット文字、数字、源氏香記号という3段階のヴィジュアルから香りを提示する。

ストーリー性を匂わせるタイトルやヴィジュアルイメージはあえて最初に提示されないので、まずは純粋に自由な感じ方で香りに向き合える。




ブランド名サノマ、という音の響きから日本人は何を想像するだろうか。フランス語でCをサ行で読ませるための綴り字セディーユのついたÇの存在からフランスからの風を感じさせる。

現在4種の香りを提案中。

クリエイター自身による説明はこちらから。

https://note.com/yuta_watanabe/n/nde19695b62ab




もう一つは、《LIBERTA PERFUME》。

イタリア語で「自由」は、la libertà であるから、きっと「自由」の新たな解釈に出会えるのだろうと期待し、その明確なヴィジュアルメッセージを持つパッケージデザインの無駄のない洗練美にまずは魅了された。




他ならぬ自分のために香りを選べるように、香料や香調に詳しくない人でもわかりやすい具体的な写真と文での説明を提示。個々の私的な思い出や想像と結びつける自由な感受の邪魔にならない、必要最低限のガイドとなっている。




さまざまな香水を幼少期から嗜み、香りの魅力を伝える仕事にも30年近く関わってきた私が、自由な心で出会えたブランドであり、改めて香りを洗練させる大切さを考えるきっかけをいただいた。

ブランドサイトはこちらから。

https://liberta-perfume.com



…écrit par SAWAROMA




2020年11月11日水曜日

1月公開『パリの調香師 しあわせの香りを探して』/原題《Les Parfums 》にみる、出逢いという名の化学反応




『パリの調香師 しあわせの香りを探して』。

試写会にて鑑賞。日本では来年1月公開予定です。

https://parfums-movie.com/

ほんの少しの新しい要素が加わるだけで、香りも人生も生まれ変わる出逢いという化学反応。まずはそんな感想に暫し浸り、徐々にポジティブな気持ちに包まれました。


À l’avant première de

Les Parfums / réalisé par Grégory Magne.

Il sortira au Japon en janvier 2021.

“Avec juste quelques nouveaux éléments, le parfum et la vie aussi renaîtront...”

Tout d'abord, j'ai été plongé dans une telle impression pendant un moment, puis j'ai été progressivement enveloppé d'un sentiment positif.






香水が好きな人にはもちろんのこと、自分の人生はこんなものかなと漠然と感じつつもちょっと立ち止まって見方を変えたい、という人にもお勧めの作品です。


この物語の登場人物も、それぞれの人生のターニングポイントを迎えるタイミングで出逢い、まさに、立ち止まるのです。


現実の世の中もまさにそんなタイミングではないでしょうか。2020年が暮れようとしている今、昨年の今頃とは違う自分を見出している人はきっと多いはず。誰にとっても忘れることのできない事件が起きたからです。






さて、本作の原題は《Les Parfums 》。

フランス語では、数えられる名詞の総称には定冠詞複数形のles がつきますから、このタイトルから、様々な香水、香料、香りを想像させる物語であろうと期待できました。

『パリの調香師 しあわせの香りを探して』

という邦題はそんなニュアンスを絶妙に匂わせていますし、邦題に添えられた一行、

「人生を豊かにする調合は一つじゃない」

は、映画鑑賞後に改めて心に響きます。香りの調合も、人と人との組み合わせにも様々な可能性があっても良いのだと。






調香師を演じたエマニュエル・ドゥヴォスについて、私的な感想を最後に記しておきます。

遠くを見つめているような、その神秘的な眼差しは言葉よりも多くを語っています。繊細で柔らかな知性の中にどことなく無垢な可愛らしさを秘めた独特の魅力を持つ彼女には、調香師アンヌ・ヴァルベルグ役もぴったりでした。






今回の作品の中では、場面ごとの彼女の心情をよく表現した衣装にも感心。パリの風景にもよく溶け込んでいます。



…écrit par SAWAROMA





2020年11月7日土曜日

マジカルな7つの新たな香り・LOUBIWORLD FRAGRANCE COLLECTION/CHRISTIAN




ボトルキャップの地球儀。その上のハイヒールは、クリスチャン・ルブタンのお店があるパリの場所に乗っているそうです。香りは、まさにハイヒールで駆け抜けたい、グラマラスなパリの空気。





これはこのシリーズ7種の香りのうちの1つ、

ルビルージュ。


他に6種類もあるのです。

赤いボトル本体のキャップには

王冠あり、招き猫あり、スカルあり。

クロコダイルにパイナップル


さあどんな世界なのでしょうか。

ひとつひとつ、

ブランド専用のムエットに吹き付けていただき、

じっくりと時間経過による変化を観察。

どれもみな、上品に均整のとれた香り方に

なっています。






https://jp.christianlouboutin.com/jp_ja/shop-online-1/beauty/loubiworld.html


チュベローズの艶めかしさが優しく香るルビキス

紫色の装いを優雅に着こなした女性の靴音が聞こえてきそうです。

ストロベリーの愛らしくキュートな印象から始まるルビドゥーは、真っ白なブラウスに赤いヒールを輝かせた女性を想像させます。

ミルラの神秘的な奥深さとなめらかなウッディ感に満ちたルビクロックからは、眼差し麗しくエキゾティックな横顔を。


1111日の発売にさきがけて

11月4日から10日まで開催の

新宿伊勢丹のサロンドパルファン。

https://www.mistore.jp/shopping/feature/women_f2/cosme_sdp_w.html

本館1階にて

LOUBIWORLD 

展示販売中です。



…écrit par sawaroma






2020年11月5日木曜日

肌を潤し、絶妙バランスで香る・Body Butter/ THANN





この「ボディバター」。肌にやさしく潤いを与え、バニラやココアを思わせる甘い香りがする、秋冬必需品のひとつです。


Ce “Body Butter” , c’est l'un de mes articles incontournables de l'automne et de l'hiver, qui hydrate la peau en douceur et dégage un doux parfum rappelant la vanille ou le chocolat.





https://www.thann-natural.co.jp/product/detail/1752

https://www.thann.info/shiso



タイのブランド、THANN の製品が日本で販売されるようになったのはかれこれ15年前のこと。ちょうど私が南青山のとあるアロマトリートメントサロンの監修をつとめていた頃でした。サロンで使用する化粧品を探していて出逢ったのです。

当初より、そのジェンダーフリーのクールなパッケージデザイン、モダンな香り方、アジアの素材を活かした科学的なアプローチに注目し、様々なアイテムを愛用してきましたが、今でも一番のお気に入りはシソシリーズのボディバター。


このアロマは、香り方のバランスが絶妙なのです。


優しい甘さ、柔らかく。乾燥した肌が潤うのはもちろん、翌朝までほんのり残る香りは私の肌から漂っても、身近な人物からでも嬉しいものです。


なんだか最近一段と皮膚になじみやすくなって、さらに保湿される安心感が実感できるようになり、ますます気に入っています。

調べてみたら、やはり進化していましたね。

昨年リニューアルされていました。

https://www.google.co.jp/amp/s/prtimes.jp/main/html/rd/amp/p/000000011.000029563.html



この柔らかさの魅力は…。

例えるならば、あからさまに皮膚を露出せずとも、ふんわりとした装いがゆるやかに映し出す均整の取れたボディラインさながらに。

これ見よがしではない優雅な存在感。

そのような香り方は本当に貴重です。




…écrit par SAWAROMA