2014年5月31日土曜日

WHERE BEAUTY BEGINS…例えば3つの時間を3つの香りで過ごすこと

皮膚は身体の内部と外的環境との境界。
両サイドはつねに変化している。
私は昼起きているとき、夜眠る間と週末自宅で寛ぐ時とでは
スキンケアの方法を変える。

多少なりともメイクアップをする昼間は、保湿液と紫外線カットクリームで防御(まもり強化する)。特に東京のような都会の空気はきれいではないので重要。
夜は入浴時に入念にクレンジング洗顔後、鎮静とリラックスのために、常時冷蔵庫保管の天然ローズウォーターを浸透させた後、皮膚が望むだけの量で保湿。
週末はローズウォーターで洗顔し、ローズウォーターで保湿。乾燥を感じたら保湿液を重ねる。できるだけ何もしない。

昨日。とある雑誌広告で目に留まったスキンケア3点。
昨年の今頃発売されたときも私には共感できたものだった。
昼・夜・週末。
WHERE BEAUTY BEGINS
美しさの始まるところ。
それは、その時ごとにちがう皮膚に対応したケア。確かに。

モデルのダイアン・クルーガー。マリー・アントワネットを演じた人。
ドイツ人女性であることを誇りに思いつつも母国語以外に英語、フランス語を流暢に話す彼女は、何かのインタビューで美の秘訣について尋ねられたときーそれは極めてシンプル、睡眠時間を9時間キープすることに尽きる、王道はないーというようなことを語っていた。シンプルなことこそ現代人には難しい。


CHANEL les temps essetiels (フランス語)ページ
上記には、昼、夜、週末の美容クリームのサイエンスの説明がある。
(日本語サイトにはここまで詳しい情報はない)
昼は強化(ジャスミン)、
夜は再構築(インセンス)、
週末は再生(ローズ・ド・メ)がテーマ。
それぞれ( )の植物成分が香りもふくめて活かされているらしい。





2014年5月28日水曜日

"Just wear the fragrance and you will see. "・ゲラン新メンズフレグランスのメッセージ

確か1週間前のこと。
アメリカのフレグランスサイトを見ていたら
一瞬ゲランの新作メンズフレグランスのボトル写真が見えた。
あまりに直球なネーミングと力強いスクエアボトルが印象的で
後で読もうと思っていたらしばらくしてそのページが見られなくなっていた。
ブランド側がリリースまでの露出を制限しているのかもしれない。

2014年6月デビュー。
確かにまだブランドページには"coming soon"の表示。
それほどの「とっておき」とは?
ゲランといえば1828年創業、フランス香水専門ブランドの老舗。
香水評論家、平田幸子氏も著書『香水ブランド物語』の18ページで
〈革新を伝統にする至高の名門〉と評している。



さて、今日改めて調べてみたらLuxury Activist がこのニュースに触れていた。ブランドリリースを待ちつつゲランの発売への想いが興味深く記されている。
Luxury Activist
Guerlain launches L'Homme Ideal, new fragrance


L'Homme Ideal、直訳すれば、理想の男性。
なんと直球なネーミング。しかし深い。
理想の男性。これは現実にはいないという前提で人が求めるイメージを香りで追及する究極のクリエイションなのかもしれない。

記事中私の印象に残った文章を一部引用。
…Just wear the fragrance and you will see. Of course there is an intelligent sense of humor behind all this. Life can be already pretty boring, so do not waist your time by being too serious, enjoy some fun moments.…
(そのフレグランスを着るだけであなたには見える。
ユーモアあふれる知性がそこにはもちろんある。
堅苦しく考えず、一瞬一瞬を楽しんで。…こんな風に私は解釈。)

そういえばかつて…
私が香りを試してすぐ魅かれ長く愛用することになった
ゲランのシャリマーもサムサラも
着るだけで瞬時に見えたものがあった。確かに。
6月がちょっと待ち遠しい。

2014年5月27日火曜日

薔薇の香りを聴きながら

静かな午後。
音楽を聴くように薔薇の香りを聴いています。

予定が立て続き
ゆっくりと静かに考える時間を持てなかった先週。
決して辛いことをしているわけではないけれど
時間が足りません。
否応なく睡眠時間は削られ、結果…週末には身体から
「これ以上の負担は無理」と警告を受けました。

ようやく一人で静かに自宅で過ごせる日が到来。

普段からスキンケア・ルームフレッシュにと愛用するローズウォーターに
今日はパレチカ 2012年産ローズオットーを1%希釈して空間に漂わせました。
ふんわりと
この複雑で繊細な香り。
シトラスとグリーンのすがすがしさから
花特有の甘い蜜のような優しさ…
すっかり癒されて心は穏やかになり
仕事もマイペースではかどる午前中を過ごせました。
午後もまだ残り香の余韻に包まれています。

5月末。
ちょうど今頃はブルガリアで薔薇が満開でしょう。


上の写真は
パレチカのローズオットーを製産されている
ブルガリアのエニオ・ボンチェフ社から
数年前のこの時期に送っていただいた
ダマスクローズの写真です。

花が開き切らない早朝に素晴らしい香りを含む花びらが
人の手によって摘まれ……遠い異国の私のような女性を元気に
してくれるのです。今年も満開でありますように。

2014年5月24日土曜日

《Bois de Jasmin》広く香りを探求する女性による秀逸なブログ

最近発見してからというもの
面白くて楽しくて
時間をみつけては少しずつ読んでいるブログ。

Bois de Jasmin


上の写真は私のiPad上の画面(このブログと著者のVictoria Frolovaについての記載ページ)をそのまま撮影したものです。最上にあるブログタイトル、右上の著者がムエット(試香紙)を手にしている写真、左下の薔薇色の花々の中にたたずむ著者の写真が確認できます。整然とした書体の簡潔な英語の文章、淡いピンクベージュと落ち着いたブラウンで囲まれた画面には目障りな広告などもありません。

香水と香粧品、香料、それらの背景について
豊かな内容を香るような画面で語りかけてくれるブログ。
貴重です。

上記写真のページによると著者は
パフュームインダストリー、すなわち香水・香料産業
におけるアナリストであり
匂いのするあらゆるものに興味を寄せるジャーナリストであると
冒頭で自己紹介しています。
イェール大学とデューク大学で社会科学を学んだ後
フレグランスへの興味に従い専門的に香りを学び始めた……と。

そもそも私がこのブログを知ったキッカケは二度ありました。

まずは一回目。
私が20代の頃から香りの情報源として参考にしていた
フランスの美容雑誌 《VOTRE BEAUTÉ》のWebページ
10:00 • 02/04/2014 • MOOD
Zoom sur : boisdejasmin.com
で紹介されていたこと。
こちらでは著者Victoria Frolovaのことを
パフューム・ブログのパイオニアであり、真に世界中を旅して(香りを探求する)ジャーナリストと評しています。続く文章には、彼女がウクライナ出身、ブリュッセルで生活した経験のあるこのブログの著者が最近発見した香りの逸品はシシリーにあるなど最新情報が書かれていました。彼女が〈coup de foudre(一目惚れ)〉してしまったシシリーにある素晴らしい香りのブランド、la boutique Boudoir 36 。この名で検索すればwebサイトも見つかります。

そして二回目。
ちょうど一週間前に私がsawaromaブログに書いた記事で
紹介することになりました。
初夏の緑の中を歩いて思い起こしたバルマンのIVOIREという香りについて
書いたとき、検索して発見したのです。

著者に敬意を込めて。
これからも楽しく読ませていただきます。

To Ms. Victoria Frolova,
Thank you for your fantastic blog,
Je vous remercie de votre blog magnifique !
J'aime les parfums aussi,
et je continuerai mes recherches sur les parfums.

2014年5月21日水曜日

黄金のフレーバー香るマドレーヌ

またしても、Lemon & Honey の黄金フレーバー。

レモンと蜂蜜といえば
私がアロマトリートメント施術でもっとも体力を必要としていた頃の
常備ドリンクでもありました。
疲れを感じさせず自然な笑顔をもたらしてくれたのは
その栄養価だけではなく
人として抗うことのできない
突き抜ける爽やかなレモンと
甘くやさしい蜂蜜の黄金フレーバー。



今日、東京駅でおみやげをさがしていて
ほんのひとかけらの試食でこの香りに出会いました。


瀬戸内レモンとラム酒と蜂蜜と。
ふうっと肩の力が抜けていきます。

このマドレーヌと紅茶のひとときから想像するのは
かの有名なフランス文学ではなく
私の場合、愛すべきフレグランスの数々、そしてある花の香り。

Lemon in Perfumes
05/03/12 10:38:25 (11 comments)
by: Marina Milojević
では、レモンの香りが活かされたあの清涼感あふれるライトブルー、その他。

Honey
12/22/07 12:05:05 (One comment)
by: Fragrantica Team
の末尾に紹介された
愛すべきハニーフレーバーの面影…。
やはりミツバチは人類にとって欠くことのできない大切な生き物です。


レモンのような爽やかさと
ハチミツのような優しい甘さを限りなく兼ね備えた香りといえば…
ちょうど今頃ブルガリアで満開を迎えているはずの
ダマスクローズの花 の香りを思い起こしています。

レモングラスの香りを嫌う小さな敵

ちょうど一昨日、学生からレモングラスの香りが見事に蚊よけに役立ったと報告を受けたばかりだった。彼は部屋に侵入する蚊に悩まされていたが、窓ぎわにレモングラス精油を垂らしたティシュを置いておくと見事に蚊が入ってこなかったと言っていた。

さて、そのようなレモングラスの香りは日本のこのような蚊だけでなく、恐ろしい伝染病を媒介する外国の蚊にも効力を発するのかどうか。
そのような蚊は今のところ日本には話題になるレベルでは存在していないのかもしれないが、命に関わる問題ともなれば、蚊が単なる不快な虫というだけではなくなる。

先ほどフランスのメディアから
こんなニュースを発見。
Le moustique-tigre continue sa conquête en France
Le Monde.fr 20.05.2014


どうやら病気を媒介する蚊がフランスの国内にも侵入し、南部だけではなく、北部にまできているとのこと。このような進行を防ぐ試みの一つとして、薬品を使用し蚊の生殖能力を無くすための実験まで行われているようだが、その薬は、人間の食料生産に欠かすことのできない蜂の生存を脅かす…。

人を刺す蚊は雌のみ。産卵のためである。一度の吸血では栄養は足りず、複数の人間を数日間に渡り移動しながら刺す。従って病気が媒介されてしまう。

蚊帳や蚊取り線香、あるいはレモングラスの香りのような防衛手段がどこまでこうした事態に効力を発するかはわからないが、日本にとっても他人事ではない。


2014年5月20日火曜日

ハニーレモンロールの優しさ

休息を必要としていた週末。
外出の予定をとりやめ、とはいえ、
出来なくなったことよりも
出来ることに浸りました。

そんな中出逢った新作ケーキ。
ハニーレモンロール。



蜂さんを彷彿ちさせる模様はチョコレートのパウダーで。
ふわふわのケーキに包まれたクリームには
蜂蜜の優しい甘さとレモンピールのきらめき。

「身体を休めてよかったね」
ニッコリと言われたかのような感触を受けたお菓子でした。

おかげで月曜日から元気に仕事をしています。




2014年5月18日日曜日

哲学を起点とするジュリアン・レヴィの展覧会、6/28よりシャネル・ネクサス・ホールで開催


先ほど見つけたニュース。
仏人アーティスト、ジュリアン・レヴィの展覧会、シャネル・ネクサス・ホールで開催
2014年6月28日(土)から7月20日(日)まで、シャネル・ネクサス・ホールにて、フランス人アーティスト、ジュリアン・レヴィの展覧会「Beauty is you / Chaos is me」


まずは「Beauty is you / Chaos is me」。
これは強いメッセージだ。
もやもやと私が考えてきた核心を突かれたような思いに駆られた。

ということで、ジュリアン・レヴィ本人のofficial webサイトを探した。

シンプルな文字のみのトップページから入り
About のページがコチラ
ここに書かれてある英文が…これも響く。
3回は読み直してしまうほど。

ジュリアン・レヴィはフランスで哲学を学んだそうである。その後彼はミュージシャンとして活動し世界中を旅する。その中で写真を撮り始め…東京にも訪れ表現活動にとりくむ。写真だけではなく、映画・文筆…さまざまなその表現活動はいつしかアーティストという立ち位置となっていく。現在、ニューヨーク在住。

彼の言葉に
「もし表現したものによって世の中にダメージを与えないのなら、あまり意味はない。いつも考えているのは自分のアーティストとしての役割は怒っていること、見る人を傷つけ(ショックを与え)て、世の中の悲しみ、根深い不平等などを指摘し、喚起させることだ」
とある。

哲学という、先史より人間が築いてきた綿密な思考の世界を起点とするアーティストの言葉である。ささいなことも当然だとは思わない、常に疑問の渦というカオスの中で、徹底的に考えてメッセージを送る。衝撃の中に美を感じるか、どのような美なのか。それは受け手に委ねられる。こういう展覧会こそ私は価値を感じる。

昨今、哲学含む人文系の学問が肩身の狭い立場になっていると耳にする。そうしたものは社会で役に立たない、学んでも仕事はない、と。しかし短絡的もはなはだしい。人間がその時代ごとにどのように生きていくのか、という根本を先人の築いた叡智をたどりながら、生き物として感じることを疎かにせず未来を考えるという過程なしにこれからの混沌とした時代を生きていけるのか。

シャネル・ネクサスホールでの展覧会はいつ訪れても素晴らしい。
今回は特に、若い世代に勧める。


2014年5月17日土曜日

緑の中で・ Ivoire (Balmain 1979)の記憶

5月の午後の風と光。
この緑を屋根に
歩いたときの心地良さ。




清々しい若葉の香り
…遠くから白い花の甘い香り
…洗いたてのブラウスからかすかに漂う石鹸のにおい。




木漏れ日を浴びながら思い起こしたフレグランスは
確かに私が自分自身のために
90年代の初めに愛用していた
白のスクエアのあの香り。
Ivoire (Balmain 1979)。

今も
あのボトルのまま、あの香りのまま存在するだのろうかと
検索して発見したこの記事。
SEPTEMBER 11, 2013 by Victoria in Perfume Reviews
Balmain Ivoire : Perfume Review (Vintage and Modern)


まさにこのボトル。
やはり現在は2012年にリニューアルされたタイプが出ていた。
そちらとの比較も興味深い。
まさに時代を反映している。
Balmainのサイトには新しいタイプの情報しかなかった。

記事を読めばこの最初の香りが
女性の若々しくみずみずしい気品を
ひきたたせるものであったことが
よくわかると思う。

この香りを愛用していた頃の私は
グレース・ケリーの写真を自室に飾っていた記憶もある。

2014年5月15日木曜日

造形美の魅力…国際バラとガーデニングショウ・3


国際バラとガーデニングショウ では、その香りもさることながら、改めてその色・形・シルエットに魅了されました。

名前まで記録できなかったものもありますが以下に写真を。




白い花弁の光沢が
中央の繊細な点と線の色に引き立てられています。


こちらは「香るバラたち」でも紹介されていた
ブルーカップアイ。


改めて
その神秘的なグラデーションに縁取られた花弁が
見事なカーブによって深い陰影をたたえて
眺めているだけでも魅惑的な香りを感じます。
光の当たり方によっては様々な色を映していました。




みずみずしいライトグリーンに縁取られた白は
花嫁のような気品。
深い緑の葉につつまれて
生まれたばかりのような初々しさ。


こちらも「香るバラたち」のひとつ、
ペシュミニョン。


キャベッジローズを彷彿とさせる花弁の多層構造。
淡い上品なオレンジ色が
乙女の微笑んだ頬のように愛らしく。
会場でも若い女性が何度も
「素敵」「カワイイ」とつぶやいていました。




新緑の淡いイエローグリーンが
絶妙なグラデーションで白からピュアなライトピンクへ。
そのなめらかな花弁は透き通ったシルクのよう。


とびきりのピンクと
繊細で緻密な巻き。
ボヌールと書かれていました。
おそらく "bonheur"(幸福)のことでしょう。



薔薇。
その華やかな姿は古来から
人の装いのデザインにも大きな影響を与えてきたことと思います。
フリル・レース・カーブ・光沢…。

他にもたとえば…
育種家の木村卓功さん主宰の「バラの家」が出展されていたブースにも目を奪われる繊細な造形美がありましたが大勢の人たちで取り囲まれていて、遠くから眺めるだけになりました。

ショウの開催は16日まで。あと一日。
この季節にしか出会えない花に
多くの人たちが微笑みを返していることでしょう。

2014年5月13日火曜日

グレース・ケリーの庭…国際バラとガーデニングショウ・2


国際バラとガーデニングショウ 会場でひときわ注目を集めていた
「モナコ公国公妃 グレース・ケリーの庭」。


この説明の横には
「モナコのバラ園の中にある、グレース公妃ご自身が書かれたメッセージ」
として、次のようなフランス語(日本語訳付き)が添えられていました。


Qu'y a-t-il de si spécial dans une rose qui en fait
bien plus qu'une fleur ?
Peut-être est-ce la mystère accumule en elle au cours des temps.
Peut-être est-ce la joie qu'elle ne cesse de procurer.

バラってとっても特別なもの。
花以上に特別なもの。
もしかして、年ごとに神秘を重ねて
歓びを周囲に振りまき続けるのかしら…


こうした言葉が掲げられたその下に
とびきり鮮やかな愛らしいオレンジ色のバラ。
名前は「ビブレバカンス」。(Vive les vacances)?



さて、再現されたそのお庭へ。



右下のほうに「プリンセス ドゥ モナコ」。
清らかな白に優美なピンクのふちどり。
もう少し近づいてみました。


凛としたシャープな花弁が
ピンクの縁取りの陰影を引き立てています。

香りまでは実際に確認することができなかったのですが
コチラの本 『国際香りと文化の会 会報誌 VENUS VOL.22』p83 上部に
「ダマスク クラシックの香り」としてプリンセス ドゥ モナコが紹介されていました。ダマスク クラシックとは、同誌p32の説明によると「バラらしい香り」の代表的なもので、華やかで強い甘さを持っている香りだそうです。

私はかつて映画『裏窓』を見てグレース・ケリーに魅かれ
長らくこの映画の1シーンの彼女のポスターを飾っていました。
その存在感にぴったりと似合う
黒のトップスと首にフィットしたパールが
ずっといまでも忘れられません。

映画を通して…その表情や振る舞いのすべてから
秘めた情熱を穏やかに表現する繊細さを感じ
公妃になられたことも
バラをはじめとする花を愛されたことも
自然なことのように思えます。

2014年5月11日日曜日

香るバラたち…国際バラとガーデニングショウ・1


国際バラとガーデニングショウ へ。

こんなにも薔薇を愛する人が多いことを改めて感じます。
会場には薔薇の数より多い人の波。

入口付近で出会った2種類の薔薇が
あまりに元気に潔く咲いていたので
そのかすかな芳香と存在感が私の心に響きます。

まずは
可憐な姫の笑顔。
「マチルダ」



そして
飛び交う蜜蜂にたっぷりと栄養を与えていた黄金の笑顔。
「ゴールデンボーダー」




特設コーナー『香るバラたち』より

ダマスクローズを彷彿とさせるクラシカルな華やかさと
モダンな清楚さが引き立つ甘美な香り
「ルージュロワイヤル」



瑞々しく密やかに
「ブルーカップアイ」



愛らしく、さざめいて
「ペシュミニョン」



凛と涼やかに上を向く
「アリアンナ」



淡くはかなくも気高く
「レディチャペル」



私の好きな薔薇は
花が開き切る直前が最もみずみずしく香ります。
今日にしか出逢えない香りでした。

この他にも素晴らしい薔薇とたくさん出会いました。
すこしずつ記録していきたいと思います。

2014年5月10日土曜日

空に咲く花々・『鈴木マサル傘展 持ち歩くテキスタイル』

みどり眩しい土曜の午後。
色とりどりの傘に会いに。

鈴木マサル傘展 持ち歩くテキスタイル
期間:05.08~18
会場:スパイラルガーデン


鈴木さんのトークショーがあるので行ってきました。


なんだか遠いとおい宇宙空間のようでもあり


カラフルなきのこたちの国のようでもあり。
一つひとつの傘の面白さもちろん
この会場空間が楽しくて
何度も歩きまわりました。

こちらはエレガントな刺繍も入った日傘たち。


まさに陽射しに楚々と咲く空の花々。


装いの一部として考える楽しさに溢れています。

スパイラル全体が鈴木さんのテキスタイルの世界。



鈴木さんのブログテキスタイル獣道掲載の、カメラマンの三嶋義秀さんによる会場写真必見です。



N.Y.のドライ リースリング

リースリングといえばドイツの代表的なブドウ品種名で
フランスワインではアルザスの白、として
繊細なアロマとスッキリとした味わいが印象的。

GO-TO WINE の後藤さんから、今週末(〜11日まで)に新宿伊勢丹地下・グランドカーヴでN.Y.ワインの試飲があるというので早速うかがい、第一印象で気に入ったのがこちら。


静かに垂直に。
キューンとフレッシュな酸味が走ったかと思うと
ゆっくりと伝わるフローラルな上品さ。
やさしいシトラスの清涼感。
これは
初夏の光を浴びて過ごした週末の夕刻にピッタリと直感。

酸味というのは強すぎると風味に影響するのですが
これには
フレッシュなインパクトを与える程度の匙加減があり
ボトル・ラベルのヴィジュアルが示すがごとくの洗練された味わい。

このところ
2012年ブルガリア産ダマスクローズの香りで癒されていた私は
かすかにその薔薇のもつ華やかな余韻も思い起こしてしまうほど。
最後の最後に蜂蜜のようなやさしい甘みが一瞬浮かんで
「ああミネラルな深み」と満足。

N.Y.のリースリングワインは初めて体験したのですが
これはなかなか印象に残る素敵なワイン。

ゆうべは粗挽きポークソーセージ&マスタードとも一緒に
いただきましたが、さすがジューシーさが際立ちました。

実際に味わって香りを感じてからちゃんと読もうと思い
記録のつもりで撮影した説明書き。


確かにバラの花びら、感じられました。
非常に繊細なのですが。
ダマスクローズのように
土地を選ぶ品種なのでしょう。
複雑でデリケート。
ゆえに豊かな香りの変化を楽しめます。

2014年5月7日水曜日

水鏡・合わせ鏡 …L'EAU PAR KENZO MIRROR EDITION

立夏も過ぎて
眩しい初夏の光の季節へ。

無色透明な水。光と空気を映す鏡。
その時々の光が水に色を与え、空気が匂いを含ませる。

魅かれ合う男女。互いに映る自分を愛するかのように。
まさに合わせ鏡そのもの。




L'EAU PAR KENZO MIRROR EDITION
ローパーケンゾー・ミラーエディション。
ローパーケンゾーシリーズの最新作として4月に日本で限定発売。

ケンゾーパルファムの本国サイトにこの新作のページ。貼られてある動画に、水と男女、二つの鏡を感じる。


ブルーのプールオム(メンズ)とピンクのプールファム(レディス)。
いずれも水の流れの一瞬をきりとったようなボトル。
二体の曲面が重なり合う。



私はひとつの実験を試みた。
ふたつの香りの融合と調和について。

私は女性だが、ブルーのメンズを一拭き身につけると
なぜか、より強く自らが女性ということを意識する。
どこに眠っていたのか私自身の匂いとあいまって柔らかな香りへ。
爽やかながらもひと拭きで
フレッシュでエネルギー溢れた
紛れもない男性を感じさせるこの香りはなかなかの持続性。
つけてしばらくしてから同じ部位(ウエスト)に
ピンクのレディスを二拭き。優しさが程よくプラス。
その後数時間後、なんら違和感なく仕事。

確かに二つの香りは融合していた。

持続性はブルーの方が強いように感じた。
そうした自らの皮膚の上での香り方を確かめたら
この二つでさまざまなレイヤリングも試したいと思う。

軽やかな香りは、軽いだけにすぐに香りが揮発しがちだが
このミラーエディションは軽い印象がキラキラと持続する。

fashion press・4/16の記事
光にきらめく水の鏡、KENZO新香水「ローパ ケンゾー ミラー」限定発売

によると
「…レディスはジューシーなメロン、ラズベリーが印象的なフルーティ・フローラルの香りで、一方のメンズはグレープフルーツからアクアティック・アコードへつづくフレッシュさが印象的なウッディ・シトラスの香り。…」

私には
レディスがただ甘く優しいだけのフルーティー・フローラルには思えなかった。
トップに使われたというペパーミントのおかげかもしれない。
メンズに使われたバジル、ジュニパーベリー、ベチバー。
緑の深い陰影が感じられて、夏に求められる清涼感を醸し出す。

つくづくフレグランスというものは
それ自体の香りではなく
生きた人が生きた皮膚に身につけて
はじめて香りが完成するということを
改めてこのツインフレグランスから感じた。

2014年5月4日日曜日

薔薇の季節に・1 (ヴェルヴェットなローズとは)

5月。
そろそろ薔薇の花々が開き始める頃、と思うと
それだけでも何故か嬉しい。

いつか花屋で買ってきたばかりの
まだ蕾が開きかけたあたりの薔薇から
なんともいえない柔らかな愛らしい香りを感じて
熟睡できたことを回想。



ここ数日、パレチカ 2012年産の香りにも浸る時間が増えていた。
野性的な力強さの中に、このうえなく優美な気高さ。
その魅力は多面的。
私のそのときどきの気分によって
頭の中で強調される香りが違う。
それもそのはず、薔薇の香り成分は
わかっているだけでも500種以上といわれているのだから。

さてコチラの記事。この5月に限定発売されるフレグランス。
Velvet Rose and Velvet Bergamot by Dolce & Gabbana

ヴェルヴェットなローズとは。
モロッコのローズアブソリュート、ブルガリアのローズ精油(おそらくダマスクローズでしょう)、ケンティフォリアローズという3大天然ローズを使用し、薔薇の香りが持つシトラス・スパイシー・パウダリックな要素を他の香料で補ったり洗練させたりとデリケートな魅力を香料で彫刻しているかのよう。
その価格やハロッズ限定販売、ボトルのクラシカルなデザインからみえてくるのは
ヴェルヴェットという言葉にこめられた特別感。

香料素材の美をテーマとするフレグランスは
服でいえば絹や麻やカシミヤなどの素材感の美を生かしたものかもしれない。
素材の魅力をひきたたせることに専心された香りや服には
「あくまでも着る人が主役」
という慎ましさすら感じられる。

生地のイメージをテーマとした香りを紹介した記事をふりかえると、このときヴェルヴェットのイメージにはあたたかいぬくもりやゴージャス感が香りに託されていたように思う。薔薇の香りが強調されていたのは絹の香り。
ヴェルヴェット、という名詞が
ヴェルヴェットな、という形容詞になると
絹の中にも存在する柔らかさや光沢までもがふくまれて…
イメージの世界は拡がる。