2012年11月30日金曜日

優れた美術品収集こそが一族の栄誉…『リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝』

昨日、資料の中に大切に挟んでおいたチケットを発見。
開催中に思い起こせてよかった、と改めて感じた展覧会です。



すでに12世紀の歴史に登場するオーストリアの名門貴族リヒテンシュタイン家。
優れた美術品収集こそが一族の栄誉との家訓のもと、500年以上にわたってヨーロッパ美術の名品が収集されたうち、139点の名品を選りすぐり、日本で初公開される展覧会。これは見逃せません。

上の写真のチケットには
《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》。
クララはルーベンスの娘でありこの肖像は彼女が5歳のときに描かれたものとのこと。展覧会ではこのクララのイメージを表現して調香されたフローラルブーケのフレグランス"CLARA"も特設ショップにて販売されているそうです。

ルーベンス作品10点のほか、ラファエッロ、クラナッハ、レンブラント、ヴァン・ダイクをはじめとする巨匠たちの名画や、華麗な工芸品が一堂に並びます。

さらに素晴らしいのは
ウィーンの夏の離宮での展示様式を取り入れたバロックサロンが設けられ、華やかなバロック宮殿の雰囲気をも体感できること。

詳しくは是非
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝を。

今回の展覧会の情報は、香りの専門誌 " PARFUM"163号でも紹介されています。


こうした展覧会を眺める楽しさのひとつに
描かれた当時の建築、装飾、服飾などの様式を鑑賞することがあります。
当時描いた画家の心に
何が美として映り、焼き付いたのかを
時を経て
静かに、想像力をめぐらせながらイメージを描く時間。
描かれた作品に感謝せずにはいられません。

2012年11月28日水曜日

ココ・シャネルの言葉より・" COCO NOIR " に寄せて

8月にコチラ にてご紹介の" COCO NOIR "。
講義のために、ビジュアル資料をお借りしました。

その一式の佇まいが
あまりに荘厳で気品に満ちていたので
思わず写真に記録。


黒の表紙を開くと
中には明瞭なフランス語で
シャネル自身の言葉とともに
この香りの背景に流れる物語がしずかに綴られています。

冊子中ほどに現れたのが黄金のミニブック。

" Mademoiselle Chanel à Venise "
(ヴェネチアのマドモアゼル シャネル)

と表紙に刻まれています。
この黄金の表紙をめくると
最初にこう書いてありました。

" Il n' y a pas plus joli qu' une topaze, cette eau dorée "
Gabrielle Chanel
(トパーズほど美しいものはない。まるで金色の水のよう。)
ガブリエル シャネル

トパーズは今月、11月の誕生石です。
11月生まれの私にとって
何よりのプレゼントのような素敵な言葉。

黒に映える黄金。
黄金に映える黒。

流れる明瞭なフランス語。写真。

香りの美を
ここまで研ぎ澄ませた表現と言葉の数々で伝える情熱に
まさにシャネルそのものを感じました。


2012年11月27日火曜日

アロマティック ウッドの香りで・THANNのハンドウオッシュ&ハンドローション

もはや東京は冬。
冷たい風。乾燥した空気。
皮膚から大切な水分も失われていきます。

ここ一週間、手肌の乾燥に特にケアが必要と感じ始めました。

夏の終わりに入手した
アロマティック ウッドの香りのこちらを愛用中。




コチラ にてご紹介のブランド、THANNより8月に発売されたもの。

天然のオレンジ、タンジェリン、ナツメグのブレンドの温かな香りのアロマティック ウッドシリーズは、このブランドの中でも好評らしく、多くのホテルでアメニティとしても使われているそうです。

ハンドウオッシュ(上の写真左)には、オーガニックカミツレエキス、ティートリーエッセンシャルオイルも配合されているとか。透明なジェル状できめ細かいふわふわした泡立ち。ハンドローション(上の写真右)にはコメヌカオイルに加え、オーガニックのシアバター、ホホバオイルも配合。しっとりとした肌へ。手肌だけでなく、顔以外の乾燥した皮膚に塗布すると、乾燥によるかゆみも感じない、と家人も喜んでいました。

一日働いた手を最後に丁寧に洗い、ローションでケア。ほんのり優しい香りとともに一晩眠れば、寒い朝も元気に目覚められそうです。

2012年11月25日日曜日

肌と一体化するジュエリー・ブルガリ ジャスミンノワール レリクシール

9月のブルガリ・フレグランス新作 のうち
黒のボトル、ブルガリ ジャスミンノワール レリクシールの
テスターをお借りしました。




香りの印象。
なめらかです。
静かに佇む花のごとき柔らかな物腰、
抑えた表情にも滲み出る優しさ。

先週、特に忙しい日にあえてこの香りを肌にのせました。
寒い日でしたから今季初めて黒のウールタートルネック
セーターを着たのですがその前にウエストや足もとに。

衣服からわずかに
こぼれるように控え目にフワリ。
香り立ちはほのか。肌そのものの一部になったかのように
違和感なく過ごせたせいでしょうか、
立ち続け、話し通しの目まぐるしい数時間を
心穏やかでいられたと思います。

見えなくても、この日の私にとっては
肌と一体化するジュエリーさながらに
心地よい自信を与えてくれたとおもいます。

アメリカのフレグランスサイトでも調べてみました。
コチラ にその姿があります。

サンバックジャスミンの清楚でありながら柔らかな一面と
チュベローズの控え目な妖艶さが絶妙に調和したミドルノートは
トップとベースにあたたかくつつまれて
まさにこれからの季節にも似合いそうです。

香料の繊細な美が引き出されたフレグランス。
さすがジュエラーブランドとしての品格を感じさせる香りです。

2012年11月22日木曜日

香りの専門誌 "PARFUM" サイト・リニューアル

日本では唯一の香水評論家である平田幸子編集長と出会ったのが22年前。
「パルファム」は、私が初めて文章を活字で掲載いただいた雑誌です。

20数年間の既刊を全て保管している雑誌は
私にとって唯一この専門誌のみ。
いまや貴重な資料であり宝です。
毎号、旬の女性のモードなフォトのみが表紙を飾ります。
余計な文字は一切ありません。

創刊40周年を迎えた昨年12月からはや一年。
私も今年で連載12年を迎えます。

香りの専門誌「パルファム」"PARFUM"のWebサイトが
リニューアルオープン。

そのトップページはコチラ

編集長のブログも加わり
香りのスクール情報も充実しました。

これからも
香りを愛する人たちに
愛される一冊でありますように。

Honolulu Cookie・カタチとフレーバーにいやされて

ハワイのお土産に
Honolulu Cookie をいただきました。



この、なんともいえない
愛らしいパイナップルのかたち。

気がつくと…今日は朝から複数の仕事同時進行で
精神的にも疲れを感じていましたが
このカタチが目にはいり……和みました。

口にすると、バターの香りとフルーツやナッツのフレーバーが
あたたかく、やさしく響くような気がして
夕方までもう一仕事できそうです。

しおりから…いろんな種類の写真にもなごみます。



カタチも実はパイナップルだけではないようですが
コチラ のとおり
フレーバーはかなり色々。ココナッツやコナコーヒーも魅力的。

2012年11月21日水曜日

美濃和紙で「聞く」・花香の囁き

私の講義の中では
さまざまな単一天然香料の香りを「聞く」体験を提供しています。

毎年、その終盤で登場するのが花の香り。
花は植物の生殖のための戦略のかたち・色・香りであり
その香りはきわめて複雑です。

花が咲いているときの自然な状態の香りと違い
精油など
香り成分のみが凝縮されたものは
そのままで香りを聞こうとしても
慣れていない人にとっては、複雑な芳香成分が一気に押し寄せ
強力なものとしてのインパクトに一旦麻痺させられるケース…
あるいはその反動で
数ある複雑な成分の中で記憶にひっかかる特定成分のみが
クローズアップされてしまい
花香全体のイメージが描けない、と訴えられるケースに
よく遭遇します。

「香り」とは
多種の有機化合物である香気成分の集合体が
時間経過に伴う静かなるハーモニーを奏でる音楽のようなもの。
その繊細な存在を全体としてとらえるには
「聞き方」が極めて大切であると私は思います。

昨日の講義では
調香師にとってもアロマセラピストにとっても重要な花香
ネロリ(ビターオレンジ)精油と
ローズオットー(ダマスクローズ)を鑑賞。

香りを聞いていただく媒体は紙。
コチラ にてご紹介の岐阜、美濃にて
サンプルとしていただいた美濃和紙です。
うっすらとした紙ですが、非常に丈夫。自然の透かしが素敵です。

小さくカットしたその和紙に
コチラ の方法にて香りを移しておきました。

結果。
精油原液を直接染み込ませた紙を聞いていただくよりも
花本来のふんわりとした優雅さや
フルーティーな花香のトップノートのみずみずしさが
例年よりも多くの学生に伝えることができたようです。

2012年11月19日月曜日

香を聞く・心も身体も穏やかになれるひととき

香は、心を無にし、自らの嗅覚に「聞きにいく」もの。

最初の一回は軽く聞き、
二度目は少し長く、
三度目は確認する。

微細な違いを感じ取る風雅な時間。

その静寂の中で繊細な香りの美しさに触れると
凝り固まっていた神経がほぐれ
深いリラックスを得られます。

本日は、香水評論家の平田幸子さんによるによる香りスクール開講日。

こちらでもご紹介の3回目のレッスンは、香道の専門家の先生をゲストにお迎えした「香道入門」。

あたたかい香炉を上から眺めます。


灰の盛られ方にも流派による違いがあるとか。
雲母の上にちいさな香木がひとかけら。
沈香の中でも伽羅(きゃら)は最上級の香りといわれ
高い稀少価値があります。

どことなく、いにしえの記憶を呼び起こす懐かしさ。
上品にたなびく残香が心にゆらめく
まさしく最上級の香です。

こちらの香炉は、かつてNHK大河ドラマ「篤姫」で使用されたものだとか。


道具の風情も雅やかです。
香道具の鮮やかさを楽しみにしていた私は
あえて本日の自分の服装を無彩色にして良かったと思いました。

「伽羅」とよばれる沈香。


そのたたずまいは
木が自然の中でゆっくりと変化、熟成した
静かな年月の重み、深さを語っています。
香を聞く、とは
こうした存在の語りかける声に耳をすますことでもあります。

「見えないものこそが大切」とは
フランスの作家、サン・テグジュペリの物語の一節でもありますが
こうした奥深い世界を体感できる香道が
いまやフランスなどヨーロッパの方々にも大変な人気であることも
よくわかるようにおもいます。

2012年11月18日日曜日

ボジョレー・ヌーヴォーと音楽のひととき

以前、香りと音楽の企画でお世話になった
音楽関係の方からお招きいただいた
ボジョレーの会。



フレッシュな南仏育ちの赤。
2012年産のみずみずしい色と香り。


なんと、豪華3ミュージシャンの方々のハーモニーも堪能。


ピアノ 立石 一海さん
トランペット 高澤 綾さん
ヴォーカル 横沢 ローラさん

素敵な音。有難うございました!
うちお二人が私と同じ大学卒業だったというのも奇遇なご縁。

ボジョレーの香りはフレッシュながら
畑ごとにちがう深い味わい。
総計4~5種類は試したとおもいます。
赤は爽やかなフルーティーさ、
白は繊細でフローラルな気品を堪能できました。
今年の太陽と水、大地の恵みに感謝。


2012年11月17日土曜日

" VELVET EASTER ", " MIROIR MAGIQUE(魔法の鏡) ", …/ Carole Serrât

雨の土曜日。
ひとりで、もくもく文字を書く。

気分転換に
今日私が仕事で書いたり読んだりしていない言語で歌われた
昔から大好きな曲をきく。

日本語の荒井由美の原曲のうちでも特に好きだった2曲は
フランス語できいてもやはりお気に入りだった。

20年前に購入した2枚のアルバム。
もはや貴重品。




フランス語で歌っているのは
Carole Serrat(キャロル・セラ)。
Sony Musicのコチラのページに記載されている曲は、すべて上の写真の2枚に収録されている。

荒井由美の音楽は、メロディだけで風景がうかぶ。
昔から、音で絵を描く人なんだなと思っていた。

最近、このフランス語の「ベルベット・イースター」が
テレビの旅番組のBGMで流れていたらしい。
" MESSAGE EN ROUGE(ルージュの伝言) "も
JRホクリクの旅のPRにつかわれたとか。

「ベルベット・イースター」の
日本語の歌詞がベタに直訳されていないところで
私が好きなフランス語表現を一つメモ。

"…C'est la saison
Ou tous les miracles sont possibles"

原曲の日本語歌詞は
「…いちばん好きな季節
いつもとちがう日曜日なの」

フランス語の詩は
「それは、すべてのキセキが叶う季節」
とでも訳しましょうか。

いかにも
冬のあとの春、復活祭らしい、
フランスならではの意訳かも。

先月。
フランス語の講義で18才位の学生たちに
このアルバムをきかせたら
私の好きな2曲はみんな知らなかったけれど
" MESSAGE EN ROUGE (ルージュの伝言) "と
" ENVELOPPEE DE TENDRESSE (やさしさに包まれたなら) "
は、アレンジが原曲と違うのに
イントロだけでわかったと言っていた。

2012年11月15日木曜日

"Every Bottle of Perfume Contains a World," IFF主催展覧会と香りのディナー


"Every Bottle of Perfume Contains a World,"
「すべての香水ボトルには世界がふくまれている、」

これは、本日私が一気に読んでしまった記事中の言葉であり、日頃から実感していることでもある。様々な地域から産出される数多くの香料を体感し、これらについて学ぶと世界中の文化と歴史に興味を持たざるを得なくなるのだから。

文化学園大学現代文化学部・国際ファッション文化学科において「ファッションとアロマ」という講義を提供する中、毎年学生にいわれるコメントも
「未知の香料に触れて、行ったことのない世界の様々な地に魅かれた」。

さてその記事とは、アメリカのフレグランス情報サイト、FRAGRANTICAより。
A Presentation of Natural Materials by IFF-LMR Naturals(11/14/12 19:19:54. By: Serguey Borisov)
展覧会も香りのディナーも、写真からおよその雰囲気は伝わると思う。
現代に至るまで、人間がいかに香料を文化の重要なファクターとして捉えているかがよくわかる。

天然香料の産地は世界中に拡がっている。
地域ごとに違う文化があり、違う衣服があり、違う習慣がある。
それが一つの香水ボトルから実感できるという。

ハイチのベチバー、
エジプトのジャスミン、
コートジボワールのジンジャー、
エチオピアのミルラ、
チュニジアのネロリ、
マダガスカルのヴァニラ、
コモロのイランイラン
中国のチュベローズ、マグノリア、
インドネシアのパチュリ、
ヨーロッパのフレンチラベンダー、クラリセージ……。

記事後半には
薔薇の写真。広く長く愛される稀少香料の筆頭。

…とある香水を身につけると
まだ訪れたことのない地域の
出会ったこともないような人になれるような気がする。
「私」なんていうものは
勝手に頭の中でつくりあげた概念にしか過ぎず
実は誰でもなく何にでもなれる。
その感覚を揺さぶるのが
場所を超え時を超えて本能に響く香りである。
…そんなことを改めて感じさせられた記事だった。

2012年11月14日水曜日

MERCI , "CARAMEL SALÉ".

この数週間、疲労感を癒してくれたキャンディは
あのなつかしい「おじいさんのCM」の
ヴェルターズ・オリジナル

なめらかなバターや生クリームの
フレッシュな香りに程よい甘みと塩味。
このキャラメルフレーバー+塩味のおかげで
何度元気になれたことかわかりません。

ドイツのお菓子だったそうですが、日本はもちろん
フランス、イギリス、アメリカでも販売されています。

いつも買えていたお店に
このヴェルターズ・オリジナルがなかったので
似たようなフレーバーのキャンディを探しました。

見つけたのは
フランス菓子をテーマとした
カンロの「メゾン・ド・コンフィズリー」シリーズ新作、
キャラメル・サレ "CARAMEL SALÉ"

やはり。
キャラメルフレーバーに塩味の黄金の組み合わせ。
なめらかさはヴェルターズ・オリジナルにはかないませんが
フレーバーはなかなかです。

甘いだけのキャンディは溶け切るまで食べられない私ですが
タンパク質豊富なイメージを彷彿とさせるクリーミィな香りと
身体を温めてくれそうな塩味には
寒さの中で疲れた身体の本能が
"MERCI!" と反応しているようです。

「ノスタルジック・マイルド」な秋映の香り

朝のりんごで目が覚める日々。
昨年の今頃もりんごのことを書いていました。
旬です。

今朝のりんごは、秋映(あきばえ)。




りんごのしずく(秋映・シナノゴールド・シナノスイート)での中で私は、秋映の香りのイメージをこんなふうに書いていました。

……口にふくむとああ懐かしい、やさしいすりおろしりんごの味。香りの印象は「ノスタルジック・マイルド」。人に例えるならば、一緒にいて心落ち着く穏やかな声と言葉の持ち主。……

まさに心落ち着く優しい香りに
朝から助けられています。

深まる秋の紅葉をおもわせる濃い赤が
程よくマーブル状に映る皮の色も素敵。
遠い昔、雪国で育ったころのことまで回想。

2012年11月13日火曜日

薔薇色チラリ・ 薔薇香ほのか・Brillant Rose

紅茶。

色の美しさと香りが命。
だから、とっておきの薔薇紅茶をガラスで楽しむ。



茶葉の写真はコチラ で見つけた。

先日ご紹介のコチラ の記事では、茶葉の中にチラリとピンクのブルガリアローズが見え隠れ。

このチラリと見えるくらいの薔薇が
紅茶の紅色にいっそう華やかな濃淡をつけてゆらめく。

香り方も上品。
後からほのかに優しい余韻。

ブルガリアのローズ、といえば
香り高いダマスクローズ…
と話していたら、
「それはなに?」ときかれたので
コチラ を紹介。

週の初めからハードな一日を終えて。
薔薇に救われた月曜日の夜。

2012年11月11日日曜日

鷲田清一 著『ひとはなぜ服を着るのか』で振り返る「境界を意識した歴史」

先月半ばのこと。
一冊の文庫新書に目が留まる。
その直球なタイトルを見て、即座に購入。



人が生きるために不可欠な「衣食住」の「衣」について
根本的にその本質について思索を試みた書ではないかと
直観できたのは幸いだった。

著者とこの本についての
出版社からの紹介ページはコチラ

「ファッション」といえば「服飾」を主に示すものであるという認識や
英語由来の「ファッション」とフランス語由来の「モード」とは
意味も使われ方の違いも曖昧に感じられている現状の中…
この本は、そうした用語の定義周辺について、フランスの思想家ロラン・バルトの名言をはじめとする様々な名著からの引用とともに、深く掘り下げて思考する機会を提供してくれる。

私自身は、自らの「服」との関わりの歴史を振り返る機会を得た。
私がはじめて自分が着るものに強いこだわりを感じた幼少期から、
着るものというのは、「秘めた感受性の結果の可視化」であった。
これは、香水に対する私の意識と共通する。

今、というこのときの空気から感じる外側。
今の「わたし」の身体の内側からの欲求、防御、想い。
これらの感受のせめぎ合いの中で選びとられた「服」があると。

身につけたいものというもの。それは
身体の外側と内側の境界である、という意識があった。

外側。それは、その時代の様相が醸し出す雰囲気、空気感であり
これが「ファッション」または「モード」の本質的な意味でもある。

内側。それは、記憶とインスピレーションが弾き出す答。

その年齢なりに
その時の周囲の人の眼線うずまく中の空気感を感受しつつ
その外側と、「わたし」という内側とのせめぎ合いから欲した境界線。
それが私にとって衣服であり
かつて「防御」の要素が多かったのに対し
最近では「ホスピタリティ」という要素も増えてきている。

2012年11月10日土曜日

木の香りと無彩色の落ち着き…「シゴトバBASE」


先日、知人の紹介で見せていただいた新しいシェアオフィス。
大阪・心斎橋の西。北堀江にある、シゴトバBase

まずはナチュラルな木の香りが漂うミーティングスペース。




柔らかくあたたかみのある照明、
中央の緑、台形の板をフレキシブルに組み合わせられたテーブル。
奥には個室もあるそうです。

実際にコチラで試しに
小一時間ほどミーティングをさせていただきました。
リラックスしながらお話もはずみ、有意義な打合せとなりました。

そして、こちらは個々のシゴトスペース。
木のナチュラルカラーと緑のほか
白基調、黒の椅子。




こちらにも清々しい木の香りがほんのり。




あらためて
良い気分で仕事に臨める環境に必要な
空間の香り・照明と色彩のバランスを感じる体験でした。

2012年11月9日金曜日

薔薇紅茶とチョコレート・神戸のおみやげ

もう金曜日です。

週の前半に出張で訪れた
秋の神戸はすがすがしい印象でした。

昨夜、ワインの後にと選んだお茶とデザートは
神戸のおみやげ。

コチラでご紹介のショップで購入したものです。


ブルガリアのダマスクローズの花色は
青みがかった鮮やかなピンクなのですが
まさにその花を想像させてくれる……
ブリリアントなカラーの缶。

いっぽう、薄紫のリボンでむすばれたお隣には
カカオの香り高いミルクとビターのチョコレート。



紅茶の茶葉にほんのすこし
ピンクの薔薇の花がブレンドされています。
ほのかに、華やかなフローラルフレーバー。
薔薇独特の酸味が紅茶の深い味わいに調和して
すてきな余韻がのこりました。

2012年11月8日木曜日

表参道の「蒼の時」とクリスマスの香り

夕刻17:30、表参道にて
日は落ちたもののまだ漆黒の夜ではない…黄昏どきの「蒼の時」
心にうっすらと柔らかなヴェールが降りてきて
やさしくつつまれるような気分…


フランス老舗・ゲランのフレグランスで
ちょうど100年前の1912年に発売された
"L'HEURE BLEUE"(ルールブルー)の意味もまさに「蒼の時」。
バニラやブルガリアンローズ、
ヘリオトロープ、サンダルウッド、ムスク…
などが巧みに調香されたという柔らかな香りを想像。

ふと手元から香ってきたのは
先ほどニールズヤードレメディーズ表参道店でいただいた
ナチュラルフレグランス新作の香り。


イエス・キリスト生誕時に
この世で最も貴重な三つのものが捧げられたというエピソードは
新約聖書にも記されていますが、その一つであるフランキンセンス。
そして古代から広く長らく「香りの女王」として愛されてきたローズ。
二つの貴重な天然香料が活かされたナチュラルフレグランス。
厳かな気分を呼ばれました。
吹き付けていただいた試香紙を
読みかけの本に挟み
心を鎮めたいときに開きたいと思います。

2012年11月7日水曜日

ビジュアルが伝える香りの魅力

昨日から、残像となって深く響いているビジュアルがある。

一つは、昨日神戸で見かけた。

シャネルの大きなポスター。
ブラッド・ピット in CHANEL No.5。

この、さまざまな時を経てきたであろう一人の深い情感をたたえた男性。
そう一瞬感じた私の脳裏にはもはやブラッド・ピットという固有名詞などない。

彼の心にいまもなお、離れず愛おしい記憶として刻まれる香り、
そのタイムレスな魅力とは?

あらためてあの名香の香りを確かめてみたくなる。

そして今朝。

ケンゾーから、狂おしいほどの恋に落ちてしまうような喜びに満ちた香り「マドリー ケンゾー」発売 のボトル写真から目が離せなくなった。

うっすらと淡く香りはじめた生きものの気配が
いつしか重なり時を経てバラ色に輝いている…
そんな繊細な、捉え難い瞬間の連続が紡ぐ美の世界。

ふたつのビジュアルのインパクトの共通点は
固有名詞の記憶を払拭し
私の五感にストレートに語りかけてくるところだ。

そんなビジュアルが語る香りに、魅力が感じられないわけはない。



紙のまち・岐阜にて

一昨日に出張した岐阜。

岐阜、といえば
実際に訪れたことがあったのは富山県寄りの飛騨高山地方のみ。
愛知県寄りの美濃とは文化が全く異なるそうです。

以前読んだ本で
川久保玲さん(コムデギャルソン)のコレクションに用いられる生地が
岐阜の職人さんによって作られている、と知り興味を持っていました。

新幹線の停まる「岐阜羽島」周辺はチョット寂しい雰囲気でしたが
広々とした大地と空、ほどよく流れる車や建物の数は
なんだかとてもすがすがしく…
私の故郷の富山や、3年前に訪れたブルガリアすら思い起こしました。

「紙の産地は、水の綺麗な地なんですよ…」

とご説明くださったのは、同行いただいた
紙イング
の方。美濃の和紙について色々なお話をうかがいました。

岐阜羽島駅とはうってかわって賑やかな雰囲気の岐阜駅。
華やかなイルミネーション。




この近くには、織田信長の金色の像もたっていました。

岐阜駅構内の美濃和紙専門店では
紙製の花器を発見。




この、軽くて丈夫な紙の器に
エッセンシャルオイルを垂らすとどうなるのかなと…
ついつい入手してしまいました。
香りを楽しむ素材として
紙には多くの可能性がありそうです。

2012年11月6日火曜日

ガレットとローズティージュレ・神戸にて

出張の合間。三宮にてランチでひと息入れたい場所を発見。
Tooth Toothのサロン・ド・テは一階がショップ、二階がカフェレストラン。

ミネストローネスープに続き、そば粉の香り豊かなガレットサンドプレート。中身は海老とアボカドです。



ユニークなユニフォーム姿のスタッフの方は笑顔も優しく、癒されました。

デザートは、ブルガリアンローズの花をブレンドした紅茶のジュレ。ひんやりした感触に酸味爽やかな薔薇の香りとミントが、涼やかな口直しに。



前日からのハードなスケジュールの後だけに、このお店でのひとときはつかの間のリラクセーションタイムとなりました。

2012年11月4日日曜日

視覚あそび…見えるものから感じる音と匂い・とある老舗のメッセージ

昨日いただいたお菓子のパッケージが
気になってしかたがない。



最初にチラリと見たときの印象は、レトロ&モダン。
お菓子であることはわかっていたけれど、
外観初見でなぜか和菓子であると思った。

上の写真の柄をぼうっと眺めていると
右側からは夜空が見えてきたり
硝子がみえてきたりする。
一方左側からはときどき人の顔がみえる。
さらに…
右からはピアノの高速高音の音色、
左からウッドベースが響く。
そして匂い。
右からはシトラス&フルーツの香りが飛んでくる。
左からはかすかに樹木とその下の湿った土のにおい…

そこまであれこれ感じてしまうと写真に撮りたくなる。

もう一つの面。こんどは黒い部分がなくなった。


たったそれだけなのに先ほどとは別世界。
たったそれだけなのになんという違い。
ぐるぐるとした時の連環が淡々と続く中に
色々なものと出逢う。

大正元年創業。
ということは、今年100年目。
100年の変化の中で生き続けているもの。

素朴な栗の味わいとともに
この老舗の想いの一端を
しみじみと感じた。

2012年11月3日土曜日

太陽と水の色で包む…花の香り

本日、アロマの日。
コチラ でご紹介のAEAJ主催・私が講師担当のセミナー「花の香りとの相性を探る」が開催されました。

リラックスアロマとしてアロマセラピストにはもちろん、フレグランスに欠かせない貴重な天然花香として調香師にも広く愛されている、ダマスクローズとビターオレンジフラワー(香料名ネロリ)。

2012年ブルガリア産ダマスクローズの芳香蒸留水は、エタノール洗浄後のブルーボトルに詰めたあと、今年の花を育んだ太陽と水の色で包み込みました。




こちらは花にせっせと栄養を送ってくれた葉の色で結んでいます。




昨夜は総計30本を包み終えると
私の視界にいつのまにか花園が…




あたたかな太陽光をイメージした濃いイエローのペーパーが
巻きつけられたボトルの上で独特の陰影と曲線を描きました。

4月の約3週間しか開花しないビターオレンジ。
5~6月の一時期、早朝のみがたっぷりと芳香成分を蓄えた花の収穫期であるダマスクローズ。
いずれもそれぞれの土地の土壌と気候、それを支える太陽エネルギーと周囲の自然環境と多くの人の手によって得られるもの。感謝を込めてのパッケージ。

セミナーには女性だけではなく
男性の受講生もいらしてくださいました。
嬉しいことです。
花の香りで、明日からもお元気に過ごしていただきたいと思います。

2012年11月1日木曜日

RELAXER (AROMA THERAPEUTICS) ・アロマウィークのおみやげ

コチラ http://sawaroma.blogspot.jp/2012/10/11aeaj.html にてご紹介のアロマウィークが昨日からスタート。

新橋で一仕事終え、銀座プランタンに着いたのは16時。



今年もたくさんのラベンダーがお迎えです。


エスカレーターで上へ。
各階からふんわりとナチュラルな香りが漂ってきます。
5階に着くと右側へ。
アロマフェア会場。様々なブランドが個性的なアロマ商品をフェアならではのリーズナブルな価格で販売。

私は顔見知りの方にご挨拶しながら…ついつい入院中の父と看病に通う母のためにと、心安らぐ香りを探しました。

RELAXER
AROMA THERAPEUTICS
携帯できるスプレータイプ。


ラベンダー、マジョラム、ベルガモット。かつて私のトリートメントのお客様に安らぐと喜ばれた組合せをメインに、カモミールとベチバーが穏やかに調和。落ち着きます。

この香りのスプレーと、3日の私のセミナーで披露する2012ローズウォーターの香りの記憶で、今週末は私も元気でいられそうです。