2021年2月22日月曜日

香を聞き、2-23 /çanoma の香りを想う





静かな時間を意識すると、

普段は見過ごしている空気の流れに

敏感になる。


久しぶりに伽羅の香を聞いた。

静かな空間に立ち現れる香の流れ。

様々な要素が微細な光のように華やかに。

その姿は、幻のように舞う蝶のごとく。



昨年末に出逢ったフレグランスの香りを

思い起こした。

微細な光のきらめきが

一瞬見えたような錯覚。

身につけるたびに新鮮な驚きをもたらす、

複雑で柔らかな幻想。





香を聞き、2-23 /çanoma の香りを想う。

En écoutant l'encens, 

je me suis souvenue de l'odeur de 2-23 / çanoma.



こちらの記事前半でご紹介の 
香水ブランド çanoma 
 クリエイター自身による

2−23の香りについての記事は

こちら





çanoma取扱店】

Nose Shop 新宿/銀座/池袋



…écrit par SAWAROMA




2021年2月18日木曜日

20世紀生まれの名香・今も愛用の4香を振り返る




Parmi les parfums que je me mets encore, il y en a quatre qui sont nés au 20e siècle. 

私が今でも愛用するフレグランスのうち、20世紀に生まれたものが4つあります。


こちらの記事に記したように、20世紀の香りを自分の感じ方から再考したいと思ったのです。




写真は現在も愛用する4点。

いずれの香りにも、時代を超越するミステリアスでロマンティックな魅力があり、クールな表情の中の温かさという二面性が感じられます。それは、今も昔も変わらず私が求めるイメージなのかもしれません。

それぞれの名前にも、直接的ではない、奥深い物語を秘めた抽象的な

麗しさがあります。


写真右上より

Shalimar/Guerlain (1925)

その左下

JE REVIENS par WORTH en 1932


その右側は

こちら、そして

一番下に

diptyque の「PHILOSYKOS」



20世紀後半に生まれた私は、幼少期に祖母の部屋で保管されていた「CHANEL No.5(1921年)や「L’AIR DU TENPS(1948年)等の香りに出逢いました。当時両親が観ていた洋画に登場する人々を想起させるイメージを感じたことを記憶しています。


次に、母が愛用していたフレグランスを知ります。いずれも、彼女によく似合う香りばかりでした。私が自分のための一瓶を買うとしたら、それは、もう少し大人になって、自分が何者であるかを感じられてからにしようと決めていた10代でした。


90年代以降、仕事で「香り」をテーマに調査することとなります。個人的に関心のあった香水についてもその歴史や調香などを学びました。その過程で多くの20世紀生まれのフレグランスを試したものです。20〜30代の私がみずから購入し愛好した中でも特に印象的だったのは、

CABOCHARD/GRÈS(1959年)、

IVOIRE DE BALMAIN/

PIERRE BALMAIN(1979)

SAMSARA EXTRIT/GUERLAIN(1989)、「SHALIMAR EXTRAIT/GUERLAIN(1925)、「DUNE/CHRISTIAN DIOR(1991)

JE REVIENS/ WORTH(1932)など。


上記の中で、私が入手した当初とほぼ同様な香りを現在も購入できるものはほとんど無いかもしれません。特に、JE REVIENS/ WORTHはもう市場には流通していないと思われますが、2021年3月21日までは箱根ラリック美術館での展覧会

にて、体験することができます。


21世紀に入り、改めてその素晴らしさを確認できたdiptyque の「PHILOSYKOS」や、復刻版の「SORTILÈGE/LE GALION」を知り、これらも日々の定番の一つとなります。



2010年にsawaromaブログを開始して以来、多くのフレグランスを記事で紹介してきましたが、改めて振り返ると上記に挙げた香りには特別な想いを持っていたと再確認します。



…écrit par SAWAROMA






2021年2月12日金曜日

eaudemoiselleの気品、早春に香らせる





11年前の春に発売され、今も私のお気に入りのひとつです。 春先の空気に映える、凛とした強さと華やかさを持つ香り。

C'est l'un de mes parfums préférés sorti au printemps il y a 11 ans.  Un parfum avec une force et une beauté dignes qui brille dans l'air du début du printemps.




eaudemoiselle DE GIVENCHY EAU DE TOILETTE



朝の光のように清らかな明るさ、

よどみを寄せ付けないシャープな煌めき。

そんなトップノートに包まれるたびに

気分は一新されます。

肌の温もりと共に香り始める

デリケートな華やかさは、

まるで冬の厳しさを乗り越えて

開花したばかりの花の囁きのようです。


10年前、

冬から春、春から夏へと

この香りと共に暮らし、

瞬く間に一瓶使い果たしてしまいました。

一日の終わりに近づく頃、自らの疲れた気配にも、過ごした空間の匂いにも飲み込まれることなく、

このオードモワゼルの優雅な残り香が

衣服から漂う感覚が大好きでした。


数年後、

2本目のオードモワゼル オードトワレを入手。

今も健在です。

この優雅さは私の定番の一つとなりました。

オードモワゼルはその後

さまざまなシリーズが展開されていますが、

私は最初のオードトワレのきりりとした

みずみずしさが忘れられません。



発売当時、

香りの専門誌『PARFUM 

153号(2010年春)に掲載された、

オードモワゼル オードトワレの紹介記事と

ブランドからのイメージヴィジュアルを撮影。







10年を経てもなお、

新鮮に魅力を感じられる

貴重な香りの記録です。


…écrit par SAWAROMA





2021年2月7日日曜日

20世紀の香水を再考したくなる・『20世紀ファッション 時代をつくった10人』





書名は、『20世紀ファッション 時代をつくった10人』。まずは読む前に10人が誰なのかを想像した。一読後、著者のその選択の背景にある明確な視点に興味を持った。


Le titre du livre est

 "La mode du 20e siècle / 

10 personnes qui ont créé l'âge".

Avant de lire, j'ai imaginé qui étaient les 10 personnes.

Après. avoir lu, je me suis intéressé à la perspective nette 

derrière le choix de l'auteur.



出版社からの案内は

こちら


10人のうち、私は9人の名前をよく知っていた。

いずれもフレグランスを世に送り出している。


かつて香水プロモーションの立場から聞いていた某フレグランスの誕生秘話には、本書を読んで、違う背景があったことも知った。全世界的な視点から見れば実際にはこんな社会事情が引き金となったのかと。そのような流れの中でしかるべきフレグランスが生まれては消えていったのだろう。


以降、本書で選ばれたデザイナーの名を伏せながらの備忘録を記しておきたい。


19世紀末から20世紀初頭に服飾デザイナーがその創造性を発揮できたオートクチュール。このシステムを生み出したデザイナーにより、ドレスメーカーは「技術者」から「創造者」となる。ファッションデザイナーによる初の香水を生み出した人物は、インテリアも含めて生活全体をデザインしようとした。芸術を愛したこの人物にとっては、香りもまさにライフスタイルを彩るために不可欠な要素だったのである。


続くデザイナーはモダニズムの精神のもとに女性身体を一つのスタイルに統合する。時代の息吹を鋭敏にとらえ、可能性を具現化した彼女は、自身の魅力とカリスマ性により今日においても絶大な人気を誇るブランドの名前として生きている。


著者が選んだ10人の中で私が唯一知らなかった人物の存在は貴重だった。このデザイナーがある国に果たした影響は計り知れない。フレグランスに関する話題は記載されてはいないが、この人物の著書は読んでみたいと思った。その著書『わたしの服の見つけ方』は、そのまま香水の見つけ方、人の生き方に応用できそうな豊かな示唆に満ちていそうだ。


20世紀後半、様々な問題意識からファッションデザインを再定義しようとするデザイナーが登場する。この中の1人として日本人が選ばれている。確かにこのデザイナー率いるブランドから生み出されるフレグランスは、いつも斬新な特徴を見せ、私の嗅覚にも驚きという喜びを提供し続けている。


さて、最近私は自身が所有するフレグランスを整理した。厳選した中には20世紀の名香がいくつあった。先ずはこれらの香りが今の時代の空気感とどのようなズレを生じていくのか、あるいは普遍的に魅力を保てるのかを、自らの嗅覚で確認しながら、装う香りの可能性についても考えていきたい。そして次々と生まれる新作について、その香りが今何を問題提起しようとしているかを想像していきたいと思う。




…écrit par SAWAROMA





2021年2月2日火曜日

節分の日、花を眺めて今春のフレグランスを想う





22日が『節分』となるのは124年ぶりだそうです。『節分』とは、季節を分けることを意味します。冬から春へと。


On dit que le 2 février est Setsubun

pour la première fois en 124 ans.

Setsubunsignifie diviser les saisons.  

De l'hiver au printemps.





22日、

この3種のチューリップを眺めています。

左からオルカ、

ストロングゴールド、ホームラン。

明るい響きのネーミングそのままに

春の光のようです。


Le 2 février, je regarde ces trois types de tulipes.

De la gauche, elles s’appellent

 《オルカ》,《ストロング ゴールド》

et 《ホームラン》.

Comme ces noms aux sons brillants, 

elle sont comme la lumière du printemps.




1月に発売されたばかりの、

このフレグランスのヴィジュアルを

思い起こします。

ザ・ギンザ パルファム
ザ・ギンザ オードパルファム

Cela me rappelle ce visuel parfumé 

qui vient de sortir en janvier.



光のように、風のように。

フレッシュで清らかな植物の息吹のように

気分を高めてくれる香りでありますように。



…écrit par SAWAROMA