2012年1月26日木曜日

わからないものにこそ、魅かれる

先週から日経新聞を斜め読みして目に留め、忘れられなくなったもの二つ。

まずは
本日の朝刊36面(文化)右上に、ミロのヴィーナスの写真。
文章は日本画家の福井爽人氏による。
…気高さに満ちたこの大理石の立体彫刻は、エーゲ海のミロス島で1820年、農民によって発見された。作者は不明で、制作年代は紀元前2世紀末と考えられている。…

以下は私のつぶやき。
この像はどこの誰が何のためにつくったのか。
この、発見者の農民はこれを見てどう感じたのか。
ヴィーナス、と最初に感じたのは誰か。
このヴィーナスの両腕はどうなっていたのだろうか。
…そんなこと全て、今となっては知る由も無い。
かつてパリのルーブル美術館で本物を見たときにも眼が留まり、ただぼうっと眺めていたことだけは憶えている。わかろうともしなかった。ただ眺めていたかった。

そしてもう一つ。
先週の誌面だったように思う。芥川賞の二作が決まったというニュース。その二作についての情報から漂ってくるものはあまりにも対照的。ストーリーや背景の一面が想像できるもの(実際は違うかもしれないが)と、全くわからないもの。読んでみなければわからない、ここに魅かれて私は後者の発売を今から楽しみにしてしまっている。アマゾン予約ページの内容説明を見ても依然としてミステリアス。
「道化師の蝶」

わからないものこそ…時に、とてつもなく知りたくてあの手この手で調べたり探したりするのも面白いが、時に、あえてわかろうとせず、ただ感じることを受け入れる楽しさというものがある。そのうちに唐突に閃きがやってきて「わかった」つもりにさせようとする脳の気まぐれが起きたりするのも笑い飛ばしながら。


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