もしかして元祖「ファッションデザイナー」のこと?
とタイトルを見て思い、18世紀後半服飾史の資料になるかもと購入しておいた本。
今日ようやく一読することができた。
『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』の表紙は、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによる、フランス王妃マリー=アントワネットの肖像画(ウィーン美術史美術館蔵)。
ただ単に衣装づくりの職人だったのではなく
その時代に生きている人に、その場所の空気にふさわしく
頭の先から足もとまでの装いを誂えることによって美を描いた人物。
ローズ・ベルタンは、自らのそうした美的センス自体を商品と考えた初めての人物だった。その格好のモデルとなった王妃マリー=アントワネットとともに、当時のフランス貴族社会の「景色」を作り出したといってもよいだろう。そしてその需要はベルタンに一つの産業を組織化させ、多くの雇用を発掘させ、フランス国外へもビジネスを展開する必要性と手本を示させることになる。
「ローズ」という名前は本名ではない。
ベルタンの功績に対して後世のひとたちが名付けたという。
その影響力のほどは、一冊を読みながら感じられる。
あらためて感じるのは
人の欲望、美への憧れというエネルギーの果てしないパワーである。
これにより、アントワネットは世の羨望とは裏腹の退屈かつ窮屈な生活から我が身を守ったのかもしれない。
アントワネットのファッションへの浪費が革命を招いたとする批判も多いが、確実にファッションという文化はここで大きく開花し、後世に影響を与えている。
資料として読んでいたはずのこの本から、私は二つの物語を回想した。
一つは小学生の頃に読んだ漫画『ベルサイユのばら』。
もう一つは、ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演による2007年の映画『マリー=アントワネット』。
どちらもきらびやかで匂い立つような衣装の描写がストーリー全体を彩っていた。
この背景に、実はもう一人のベルサイユの「薔薇」がいたこと、おぼえておこう。
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