2012年4月13日金曜日

The aroma reflects its producing district…『佐々木薫のアロマテラピー紀行』

知人の佐々木薫さんはアロマテラピーのプロフェッショナルとしてご活躍。
数年前から縁あってお会いする機会が増えました。
いつもその場の空気感にぴったりの爽やかなファッションとナチュラルな存在感が魅力的な佐々木さん。

そんな佐々木さんが、天然香料産地である世界十数カ国(ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、中東、南アメリカ、日本…)への取材を重ねてまとめられた一冊がこの春デビューです。


A4サイズ、カラー写真満載の本の表紙は一面ラヴェンダー。
『佐々木薫のアロマテラピー紀行』(主婦の友社)


香料植物の産地を訪れると、まさにその香りが産地の環境・気候風土・人の生活を反映するものであることが実感できます。私自身はまだダマスクローズの産地であるブルガリアしか訪れていませんが、この本を眺めることによって様々なことが想像できますし、香りの背景と人が生きるために必要とした意味や価値を感じることができるでしょう。



本の中から一箇所のみご紹介。
上の写真には、中東オマーンの地に乳香樹に並んで立つ佐々木さんの姿がみられます。いかにこの地が乾燥と強い陽射しの厳しい環境であるかは、白い服装とサングラスでガードした佐々木さんの姿をみれば一目瞭然。

乳香(フランキンセンス)は、かつてシバの女王がソロモン王に贈った貴重な香料。オマーンは、そのシバ王国の一部であったとされ、現在もこちらでは良質な乳香が産出されているそうです。

最も乾燥した砂漠の地でとれる乳香が最上質といわれるのだとか。
過酷な環境下であるからこそその環境に適応するべく、植物は独特の芳香成分を自ら作り出し、身をまもり、生き抜く。その恩恵は同じくこの環境に棲む人々にも見出されたのであろう背景が伝わってきます。

香りを知ると背景の文化が知りたくなるものですが、まさにこの本はそうした好奇心を満たすにはピッタリではないかと思います。



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