2011年11月3日木曜日

歴史を動かした「香料」はやはり面白い

香りなんて無いほうがいいという声を聞くことがありますが、そんなふうに感じてしまう、その人のそれまでというものを残念に思い、改めて未来を担う世代には香料と人との関わりの歴史をきちんと伝えなくてはと思っています。

本日午後、タイトルと著者の経歴に興味を持ち、一冊の本を読みました。
「僕は君たちに武器を配りたい」/ 瀧本哲史 著 (講談社 BOOK 倶楽部)。今年9月にデビューしたばかりの書籍です。

タイトルから感じたのは、現在の日本の若者向けに " 知 " の武器を配りたいという著者の気持ち。まずは現在大学や専門学校で講師をしている私に共感できる部分があるかも…という興味を持ちました。

著者のプロフィールの記述はこう始まります。京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。エンジェル投資家…。

読みながら共感できることは確かにあり、以前から感じていた危機感も著者の視点で詳しく記されていると感じました。この数日間特に私が重要と感じていたことに関連する部分を一冊から一ヶ所、私のための備忘録として記しておきたいと思います。

p44から始まる『第2章「本物の資本主義」が日本にやってきた』の中で著者は、p57から3ページにわたり資本主義の発展の経緯について述べています。その後半部分、p58後半からp59にかけての著者の記述を引用し*~*に記します。


*…略奪モデルの後に、富を生み出す仕組みとして新たに出てきたのが「交易モデル」である。大航海時代の香辛料貿易が典型的だが、遠く離れたA地点とB地点では、同じモノにつけられる値段が違うことを利用し、モノを移動させることで富を生み出すビジネスである。インドではそこらじゅうに自生している、スパイスの原料となる草や木の実を集めてくると、イギリスでは宝石のように高く売れる。しかしインドまで行くための航海は、非常に危険であり、高いリスクがあった。航海に失敗すれば命すら危うい、そこで船に乗る人と、航海に必要な金を出す人でリスクを分け合うことになった。船に乗るのが起業家(アントレプレナー)で、金を出すのが資本家・投資家(インベスター)の原形である。…(中略)…株式会社の誕生である。*

最近特に私が未来ある学生に伝えたいと感じていることは「歴史を学ぶことの重要性」と「人にとっての香りの重要性」ですが、上記の引用部分はまさしくその認識を改めて感じさせてくれた記述です。私の母校である大学のフランス人教授が最終講義で説いた「歴史を学ぶ意義は現在を当たり前の状況として受け流さないためにある」という言葉も思い返しています。

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