今現在見ることができるもの、身近なものの多くが「既知」という親しみと共に過去のものとなっていくとしたら、ちょっと先の「未来」は、未だ形になっていない抽象的なイメージ表現の中に潜んでいるように思う。
2005年以降、講師をつとめる文化学園大学や文化服装学院の文化祭で開催されるファッションショーを毎年楽しんでいる。服の表現を、着る人、その動き、登場順、舞台、照明、音楽…全ての要素とともに最大限に伝えようとする試み。毎年フレッシュな意気込みと、未だ世にプロとしては出ていない潜在的な感覚のシャワーを浴びるようで面白い。
初めてファッションショーを見たのは仕事として。某ファッション誌(現在は存在しない)の編集者として取材したときのこと。そのときは今よりも理屈っぽく眺めていたと思う。言葉に置き換えようとすることに必死だったから。それはそれなりに五感を駆使した。
現在私はファッションを学ぶ学生に「フランス語」という語学の最初歩を指導している。語学は理屈も大切。でも「服」と同じように「言語」もそれのみ単独では存在しない。つかう人がいて、その人の行動があり、背景がある。歴史、文化、時と場所の事情…。そんなわけで言語を軸としてその文化で生きてきた音楽や映画、香水も紹介したり鑑賞する時間を設ける。五感を総合的に駆使しながら「言語」も「服」も雰囲気をつかんでほしいと。どちらも時代の流行の流れの中にある。そして感受した雰囲気から、彼らがこの先どうありたいと願うのかをのびのび表現してほしい。
明日はそんな空気感を文化服装学院 のファッションショーで感じたいと思う。文化服装学院 文化祭11/2~4 、今年のテーマは「福、着たる」。ショーのテーマは "unlimited"。
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