このところ、改めて植物の力を感じている。
医療系専門学校1年生に「自然科学概論」と称した科目20コマを提供している私は、主に植物の芳香物質と人間との間に起こりうる様々な現象について講義する傍ら、自分も日常生活の中で実験を時々試みる。
たとえば最近はこんな観察結果を得た。
1, 4ヶ月以上放置してもカビないブラッドオレンジの果皮。
2, 普通に洗濯を複数回くり返しても落ちなかった頑固な皮脂が酸化した臭い(男性着用のシャツの襟)が、ローズオットー精油を滴下した冷水ですすぐことで明らかに減少したこと。
1は、3月初めに頂いたブラッドオレンジが美味しいのでその皮を乾燥させて何か作ろうかと思っているうちに大地震が起き、忘れられたままひと月放置してしまったことが事の発端。パリパリに乾いているものの、カビるどころか虫すら寄ってきていない。鼻を近づけるとかすかにあの芳香まで残っている。これは面白い、やはり柑橘果皮精油には抗菌・抗カビ作用があるのかもしれないと仮説をたててさらに放置すること3ヶ月。猛暑の時期を迎えて室内が蒸し暑くなる日が続いても、今現在カビていない。そしてやはり鼻を近づけると芳香が残っている。実と一緒ならばたちまちのうちにカビるのに。
2は、ダマスクローズ精油を配合したという食用カプセルを常用して体臭が薄くなったとか消えたとか…こんなカプセルの需要が多いのは日本に特有の傾向であるという話をブルガリアでも聞いたが、この効果が本当なら、人の体内から発生する皮脂が酸化した臭いにも効果があるのではないかと仮説をたててみたわけである。冷水にほんの1~2滴。あとはよく混ぜてその中にシャツの襟元を浸すこと5分程度。そのまま脱水して干したところ、かなり臭いが抑えられていた。先日このシャツを再び普通に洗濯したが、やはり以前に感じたほどの悪臭はない。こうした効果はローズ香だけなのかどうかは分からない。希少価値の高いこの精油ばかりは使えないかもしれないので、ラヴェンダーなどでも試してみようと思っている。…そもそも人の身体は食べたものから作られるので、食べ物の選び方、食べ方、組み合わせ方次第で身体の匂い方が変わってくるはずだ、という仮説もたてているところ。
このようなことを記述すると、たかだか個人の経験ではないかと言われるかもしれないが、事実は事実である。一つでも事例があれば、仮説を全肯定はできなくとも全否定もできない。自然科学は日常の中の観察から始まる。知識として得た考え方を日常の中で検証してみるキッカケを逃さない感性は必要だ。
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