ウィリアム・シェイクスピアの「ハムレット」第4幕第5場でオフィーリアがローズマリーの小枝を手に、ハムレットにこんな言葉をかけるシーンがあります。
「これがローズマリー、ものを忘れないようにする花…」
文献で調べた結果、このシソ科のハーブは薬用植物として古代のエジプト~ギリシャ・ローマ時代から活用されてきたようですが、集中力や記憶力との関連性も見出されてきたようです。確かに、物忘れが多くなった…としょげていた人に朝室内に焚く香りとして勧めたところ、まず気分が良くなりシャキシャキ行動できるようになったと喜ばれたこともありました。
ローズマリーは、その芳香成分のみを水蒸気蒸留法で抽出した精油の価値はもちろん、葉そのものの存在も素敵。濃い緑の細い葉がフッサリと密集した小枝は見た目もすがすがしく、こんなふうに一輪挿しにして飾りながら育てるのも楽しいのです。
料理用に販売されているローズマリーの小枝を、毎日水を取りかえ、適度に日光にあてて(高温多湿の場所は避ける)置くと白い根が出てくることがあります。ある程度出てきたらハーブ用の土に植え替えて増やすことができそうです。
肉料理としては、例えばチキンやポークにオリーブオイル、塩とこの葉を少々散らし焼いたり煮たりすれば、肉独特の臭みが消えるばかりかフレッシュで食欲をそそる香りも楽しめます。
私のアロマトリートメントのお客様には施術前の足浴湯に、よくこのローズマリーの小枝を1本入れていました。清々しい香りとともにひときわ温まったと喜ばれたものです。中世ヨーロッパの僧院医学のエピソードとして、後に「若返りの水」と呼ばれたローズマリー主成分のハンガリアンウォーターが伝えられていますが、これが老いた王妃の手足の痛みばかりか皮膚の状態も改善させたということから、ローズマリーのお風呂も疲労回復と美容に良さそうです。
精油は強くてインパクトのある香りです。適量で香らせれば森林浴のような清々しさを提供してくれるでしょう。ですがフランスの医師兼アロマテラピー研究家であったジャン・バルネ氏によるとてんかん症の人には大量使用しないようにとのこと。極少量用いると痙攣を鎮め、多すぎると刺激が強すぎて発作を引き起こす可能性もあるそうです。程よく香らせて、日々若々しい気分で過ごしたいものです。
参考文献:
「スピリットとアロマテラピー」
ガブリエル・モージェイ 著/前田久仁子 訳
フレグランスジャーナル社 発行
「アロマテラピー検定テキスト2級」
社団法人 日本アロマ環境協会 発行
「アロマテラピー実践辞典」
モニカ・ヴェルナー 著/林真一郎 監修
畑澤裕子 訳/(株)東京堂出版 発行
0 件のコメント:
コメントを投稿