2013年9月1日日曜日

Aroma Space Design ・嗅覚から空間美を求める試み

Aroma(アロマ)、という言葉の使われ方は多様。

本来は「芳香」を意味していたのに
20世紀半ばにフランス人化学者が、強い芳香を持つラベンダー精油の治癒特性の再研究を通じて「アロマテラピー」という言葉を造語してからというもの、アロマは治療のイメージと結びつけられることが多くなった。しかし、香り成分の薬理効果だけでなく、嗅覚による感じ方やイメージの受け方による個人差が微妙に絡み合う香りに対する人の反応は、西洋医学の薬効の捉え方だけでは把握できない問題もあり、日本では必ずしも治療の概念に直結させず、リラクセーションや心地よいライフスタイルの手段として非医療従事者が手がける分野として発達してきている。

幼少時からフレグランス(香水)が好きであった私は、他人にわかるかわからないか程度に香りを身につけ、常には鏡で見ることのできない自分を快い香りを漂わせる存在として感じる楽しさを知っていた。香水愛好者だったからこそ、後にアロマテラピーを学んだときに様々な天然香料の素晴らしさを感じ取れたのではないかとすら思っている。ゆえにフレグランス(香水)もアロマも人の嗅覚に良い香りと訴える存在、という意味では「根」は同じと考える。天然由来の香料があってこそ合成香料も生まれたのだ。

それでは…フレグランスとアロマの違いは何か。
フレグランス(香水)は人にとって化粧や衣服のような存在であり
その動作とともに漂う、パーソナリティーの表現に直結するもの。
アロマはもっと広い対象、食事に代表される人の活動時間の快感を
増幅させるものであったり、人が存在する建築空間のイメージを
決定するもの。

このあたりのことは
"aroma"という言葉を再考する好機となった、MFU第44回ファッションマーケティング研究会 でも記しており、
『アロマ空間デザイン』の事例から~MFU主催第44回ファッションマーケティング研究会 でご紹介した株式会社アットアロマでは、広義としてのアロマを活かす
アロマ空間デザインを実践している。

まさにこうした考え方が
一人のアーティストの作品写真とともに綴られた英文記事を発見。

Aroma Space
04/23/12 12:10:56
By: Naheed Shoukat Ali


記事中の作品はオランダ生まれのクリエイター、
Maurice Joosten によるもの。

彼はアロマ空間デザイナーとして株式会社アットアロマの依頼も受けていたようだ。空間アロマはその空間のヴィジュアルデザインに結びつけやすいということで
あたかも香り物質が空間を漂う軌跡を描いたようなオブジェが印象的。
素焼きの陶器でできた石のようなオブジュも実は香りの拡散器である。

人を意味づけるだけでなく
環境までをも意味づける香り、アロマの魅力は
これからも多くのクリエイターの心を捉えていくものだと想像する。
その魅力の根底には、治療的効果などという以前に
人の潜在意識をくすぐる想像力の源泉が溢れている。


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