たとえばどんなに名曲であっても、その演奏がよくなければ音楽としての素晴らしさが伝わらないように、香りも、程よく「聞ける」香らせ方でプレイしないと伝わらないなと常々実感しています。
具体的にいうと例えば強さ。
ついつい感覚的に近いと思っているせいか音楽に例えてしまうのですが、好きな曲でも大音量で聞きたいときとほのかにBGMで聞きたいときがあるでしょう。さらに素晴らしい曲とわかっていても音量次第では邪魔になってしまう…香りは特に強弱によって全く感受のされ方が変わり、香料原液では強すぎてとても良い香りと思えなくても、かなり薄められていくと好感をもたれるようになることが多々あります。
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清々しいベルガモットの香りを閉じこめた小箱。
香りの栞をつくるために美篶堂で入手した上質な紙片を入れておいた。ほのかな香りがフェイドアウトしていく流れがよい。2日目の夜、小箱を開けると、かつて感動して味わった英国製アールグレイを思い起こす。
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上記は昨秋ツイッターで私がつぶやいた内容です。ベルガモット精油原液を紙片に直接滴下した状態では強すぎて、という方もいらっしゃるので、原液を染み込ませたコットンから揮発する香りをその上に並べた紙片に移らせるようにしたものでした。この方法は昨春薔薇の香りをジャズピアニストに音楽表現頂いたコンサートでも行い、ほのかな香りのカードに一般の(香りを専門とする職業ではない)方にも心地よく感受されたようでした。非常に好評をいただき、このカードの作り方を何人もの方から問われましたので、連載中のパレチカWeb上のブログ「カードに薔薇の香りを」で詳しく方法を記しました。
かつて日本の平安時代の貴族社会において、すれ違うときにフワリと雅びな香りが立つ「追い風」が用意されたように、いかにさりげなく優雅に香りを演出(プレイ)するか。これからも考えていきたいと思います。
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