2013年7月11日木曜日

香コンサート(国際香りと文化の会 主催)


国際香りと文化の会 主催の「香コンサート」を鑑賞いたしました。




会の会報誌『VENUS』にて特集テーマとされた
薔薇(2010年)、樹木・森林(2011年)、庭園(2012年)にちなむ
名曲の数々が、ピアノ、チェロ、声楽家によるソプラノ
によって奏でられた夏の午後。

豊かに鳴るやわらかなピアノの音色、
深い余韻の連続が繊細な音となって流れるチェロの響き、
明るく軽やかに厳かにとびかうソプラノヴォイス。
素晴らしいトリオの共鳴が今も耳に残っています。

演奏終了後
" STEINWAY & SONS "
と記されたピアノの姿にしばらく観入ってしまいました。



プログラムより…

グリーグの『ばらの季節に』からは
北欧の厳しい冬から春を迎える厳かな空気感。
シューマンの『私のばら』からは
希望と喜びで迎え入れられた薔薇の輝くような存在感。
ロッシーニの『フィレンツェの花売り娘』からは
明るい陽射しの中で花とともにある人の屈託のない笑顔を想像。
薔薇の躍動感あふれる命の輝きを
香りを想像しながら聴くことができました。

世界各地、
さまざまな感受性の人間が
それぞれの場所の空気感から感じ取ったイメージが
こうして素晴らしい音楽となり
時代を超えて伝わる喜びを実感します。

音楽は
『日本の名随筆 48 香』再読から感じた香りと音楽の関係でも記したように
香りと同じく
空気中に伝わるものであり、強弱、調和、残響(残香)があるものです。
このコンサートを鑑賞された方々は
思い思いの記憶の中の薔薇や樹々、植物の香りを
奏でられた音の流れから
自由に感じられたことと想像します。

『国際香りと文化の会』は
創立25周年の本年を一区切りとされ
一旦休会されるということですが
このような趣旨の会の存在はきわめて貴重であったと思います。
香りあるすべてのものを
人の文化として国際的視野からとらえ
その価値を時代とともに発展させて
後世に伝えていこうと信念を持ち続ける人がいる限り
このような会の存在は忘れられることはないでしょう。

現在の『国際香りと文化の会』Webサイトの継続は
2014年6月までとのことです。

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