今は亡き祖母が私の20才の祝いにと「びんがた」の振袖をあつらえてくれたとき、その華やかな多色の文様と「びんがた」という言葉の響きが印象的でした。
当時はよくわからなかったことが今になってわかる喜びは深く温かいものです。文化学園服飾博物館での展示「日本の型染」を見て、自分が生まれた国でかつて素晴らしい衣装文化が培われていたこと、そしてその価値を、明治生まれの祖母が愛情をもって私に伝えたかったのだと知りました。
琉球衣装の伝統的な型染、「紅型(びんがた)」。この紅とは、単なる紅色を示すのではなく、華やかな多色を示して呼ばれたそうです。…文様を彫り透かした型紙を用い、防染のための糊を置く…文様の部分に手で色を挿し、糊で伏せた後で地を染める…(文化学園服飾博物館資料より)手間のかかる技法です。小紋をはじめとするさまざまな型染の見本の中でもひときわ華やかです。
和服のテキスタイルの魅力は、遠くから眺めて感じられるニュアンスと、近くで眺めて感じ入る細やかな描写です。
小紋などは、遠くからは、それを身につけていた人の簡素な生活の中で誇り高く生きる気概のような引き締まった空気が漂い、近くで細かな文様に見入ると
日々彼らが感じ取っていた自然の中の美の形に改めて気づかされます。
この展示は今週12/18までですが、新年1/27からは「アンデスの染織」の展示が始まります。ペルーからボリビア北部に栄えたアンデス文明がテキスタイルにどのように反映されたのか、こちらも楽しみです。
文化学園服飾博物館
東京都渋谷区代々木3-22-7新宿文化クイントビルTEL.03-3299-2387
開館時間/10:00~16:30(2/4,18は19時まで開館、入館は閉館30分前まで)
休館日/日曜日・祝日(2/27は開館)
入館料/一般500(400)円、大高生300(200)円、小中生200(100)円 ()内は20名以上の団体料金、障害者とその付添者1名は無料
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