セザンヌ パリとプロヴァンス を観てきた。
木漏れ陽がゆるやかな曲線によって陰翳を描く昼下がり。
国立新美術館の展示室の横に拡がるカフェ。
絵から感じられるのは、彼が選んだアングルの面白さ、湿度や光、柔らかさ、硬さ、匂い。そして描く対象への彼の記憶と愛着の変遷。
油彩でありながら透明感あふれるサント=ヴィクトワール山。きらめくような緑への彼の想いを感じて遠くから何度も見入っていたら、展示室でセザール自身が知人あての書簡で書いたというこんなフレーズを見つけた。
"Le vert étant une couleur des plus gaies et qui fait le plus de bien aux yeux."
(緑はもっとも快活な色のひとつであり、人の眼に良い。)
ピンクのポスターに使われている『りんごとオレンジ』。
甘酸っぱい香りが、湿った空気となって絵から漂う。
セザンヌは人の肖像も多く描いている。
その描き方の変遷が興味深い。
初期は人も風景の一部ととらえていたというが、年月を経て、妻や彼の晩年の身の回りの世話をしてくれたという庭師への心の距離感が絵に表れている。
晩年、死の直前まで絵筆を持っていたというセザンヌ。
その絶筆のパレットが展示されていた。
白の絵の具が最も多く残っていた。
6/11まで。
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