今春、今夏、今秋。
私を笑顔にしてくれた三つの方法。
春。
まだ寒い日曜日の朝。新幹線に乗り込む。
遅れた電車の影響で走ってホームへ。
息切れしそうになるくらい走った。
やっと席に座ったとき。
バッグから薔薇の香り。
ブルガリアのダマスクローズ。
香りを1滴含ませたコットンをバッグの内ポケットに
昨夜入れておいたことを忘れていた…
同時に自分の身体から体温ととも立ち上がる香水の香り。
夏。
盛夏でも正装。
ブラウスにスカート。
打ち合わせの場所に行くまでの電車。
乗り換える前にすでに汗。
次の電車を待つホームで折りたたんだハンカチを襟元へ。
ちょうどブラウスの襟に隠れるサイズと厚み。
ハンカチの真ん中に予め吹き付けられたフレグランスは
汗を吸いながら体温であたためられたハンカチの中を
ユックリとふんわりと通り過ぎ
清々しい風になった。
秋。
明日は初コートの日と決めた。
一度風に通す。
そして
フレグランスを吹き付けたコットンのセーターに
そのコートを羽織らせてハンガーに掛ける。
コートに裏地はないけれど
目に見えない暖かな香りのヴェール。
…この冬。
何度か素肌に着用した香水の香りが
いつのまにか
素肌からは遠いジャケットにうっすらと移っている。
忙しかった仕事の時間に着ていたはずなのに
残り香が華やかであることは嬉しかった。
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