ひときわ冷たい風と雨。
今期いちばんの寒さを感じた。
昔の雑誌を眺めていたら、
かつて魅かれたヴィジュアルと香り。
この香りを思い浮かべるだけで身体があたたかくなる。
忘れもしないゲランのシャリマー。
シャリマーとはサンスクリット語で「愛の殿堂」を意味する。
あたたかく、なめらかで、魅惑的。
場所も時間も超越するかのような陶酔感をおぼえた一瞬。
そんな印象をこの広告はよく表現していると思う。
(上記広告ページは"VOTRE BEAUTÉ / novembre 1991"より)
シャリマーは1925年のパリでの装飾美術工芸展(アールデコ展)において、レイモンド・ゲランによるデザインのバカラクリスタル製ボトルにてデビュー。そのかたちはまるでコウモリのよう。アンティークの銀食器から思いついたという蓋がついた、噴水を模したボトルデザインは展覧会で1位を獲得。
(フォトグラフィー 香水の歴史/ 著者 ロジャ・ダブ/原書房 より)
迷える20代の頃、香りを試した直後に私が迷わず入手したのは、ゲランの数ある名香の中でもサムサラとシャリマーのみ。いずれも冬の始まりを感じた日のことだった。
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