ファッション。装う表現。この言葉の意味を改めて考える機会を持った。
思い起こしたのは、こんなフレーズ。
「私(あなた)は誰?鏡で見えるその姿はこれから一生私の想われ人。」
「今日の私は昨日の私とは違う。会う人も行く場所も違うのだから。」
こんな頭の中での問いかけを、私は香水と出逢った6才の頃から続けているような気がする。現実の鏡で見えた姿に、香水の香りから想像した未来の姿を重ねた懐かしい回想。
鏡で見える人物を最初から自分、と幼少期の私に当たり前には思えなかった。「私は誰?」ではなく、「あなたは誰?」というのが正直な第一印象。
想われ人。Lover、恋人と言ってしまってもよいけれど、もっと本質的な意味を伝えたいのであえてこう呼ぶ。想わずには生きられない。
そして、鏡で見える顔の表情が毎日違うのだからいつも同じわけがない。
鏡は見えているものから色々なことを教えてくれる。そして鏡では見えない未来の自分の姿を喚起させるために香りを第一の衣服として身につける。
…こんなことをあえて文字にしたくなったきっかけは、ファッションとは、飾ることではなく、そぎ落としていくこと(中野香織オフィシャルブログ/2011,12,6)にてご紹介のトークイベント特別講義。
デザイナーからテーラーとなられた信國太志さんのこれまでの歩みや考え方に聴き入り、信國さんがかつてタケオ キクチで手がけられたショーの動画を観客になったつもりでイマジネーションを膨らませながら鑑賞。…これも絶妙な質問とフォローで繋ぐ中野さんの采配のおかげ。改めて感謝。
強烈に魅かれるものとの、本音本気の対峙を経てからでないとわからないことはたくさんある。これこそ宝。本能を駆使しない時間から何かを得ようと思っても無理…。信國さんのこれまでのヒストリーを聴き、自分の回想と参照してもこれは真実であると確信した。
鏡と香水は、「見えているもの」とこれから「見たいもの」を私に気づかせてくれた。特に香水は大人になってからの私の仕事の重要なテーマ。本音本気の対峙の繰り返し。香水を深く知りたいがためにアロマテラピーまで学んでしまった私は、確かに魅かれるものに導かれている。
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