昨年末。あまりに多忙で体調を崩した。普通にものが食べられない日をすごしたとき、過重なタスクの見直しとともに、休息の必要性をその都度感じられる鋭敏な五感をもっと鍛えたいと感じた。
ちょうど昨春、震災直後の体調不良を改善に向かわせてくれた薔薇の香りを、変動めまぐるしいこの春の多忙期も使いたいと思っていた。
2月。
大切に選んだ花をいけるような気持ちで、私はひとつのルームフレグランスを作った。フレッシュなダマスクローズのローズオットーをメインに、ラベンダーなどを合わせながらトップノートにと鮮烈な印象のユズ精油を加えた。
ひと吹きすると、周囲の空気が洗われたように清々しい。
柚子で引き立つ薔薇のクールなみずみずしさは、静かな空間と穏やかな精神によく調和する。もはや柚子の香りの片鱗も、薔薇の甘さもそれほど表面には感じられない。音楽で例えるならば荘厳なピアノの響き。情報量が許容オーバーになる手前で気分をリフレッシュさせながら先のことを冷静に考える状態になれるから有難い。
4月。
夜遅く帰宅するとこの香りが部屋に漂っている。いつのまにか気に入った家人がせっせと使っているらしく、もはやボトルには液体残りわずか。
5月。
同じブレンドで二本目をつくる。希釈ベースのアルコールが落ち着くまで一日は寝かせておく。
これからもしばらくはこの家でこの香りに助けられながら、元気に夏を迎えたい。
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