パリ在住の調香師、新間美也さんの新しい著書が今春発刊されました。
数年前から
時々お会いし楽しくお話させていただいている新間さんの
その繊細でやわらかな語り口が聴こえてくるような文章です。
『アロマ調香レッスン』新間美也 著 原書房
アロマテラピーで用いられる素材は
そもそも香水の素材でもあるということ。
素晴らしい、かけがえのない表現素材です。
このシンプルな事実を受け入れ
広い視野と柔軟な精神で「香り」そのものを愛する人ならば
初心にかえって楽しく読める本であると思います。
基礎、初級、中級、…という順で素直に読んでもわかりやすいですが
香水愛好者であればいきなり上級編から読まれても面白いはず。
あの数々の名香の基本構造が天然香料でこんなふうに置き換えられ
表現され得るのかと、新たな感慨をおぼえることでしょう。
精油という天然香料は
様々な美的イメージを表現する香水の原材料の一種ですが
この豊かな素材はかつて
人がその心地良い芳香や
さまざまな問題から人の生命活動をまもる薬効、治療特性から
発見され貴重なものとしてその存在が現代に引き継がれてきたもの。
確かに薬効や治療特性も重要かもしれませんが
においの感覚というものは
そもそもその人の身体が嫌がるものは受けつけません。
においは心地よいものであって初めて人体に受け入れられ
それでこそ、その香りも効力を発揮するはずです。
ゆえに…
たとえ各精油の伝統的効能を学んだからといって、最終的に、感受する人に心地よい香りを提供できる表現力がなければリラクセーションを目的とするアロマテラピーは成立しない。
それが、アロマテラピーよりもずっと前から香水の素晴らしさを知っていた私の考え方でもありました。そんな考え方を著者の新間さんと改めて共有できたような嬉しさとともに、これからこの本を、初めてアロマテラピーを学ぶ香水経験者にも是非勧めていきたいと感じています。
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