訪れた目的をこの記事のタイトルに記しました。
まずは展覧会鑑賞です。
『香りとファッションの美学展』開催中・とちぎ蔵の街美術館でご紹介の美術館は、蔵の街大通り沿いの『とちぎ山車会館』の奥にありました。
フランスではかつての城や駅を改修した美術館がありますが、これは200年前に建てられた土蔵3棟が改修され、平成15年(2003年)に開館した美術館です。
漆喰でできた重厚な壁や天井を走る巨大な梁が織りなす空間は
見慣れていたはずのいくつかの香水瓶の新たな魅力を感じさせ
静かに豊かな時間を楽しむことができました。
18世紀から21世紀まで。その社会背景を映す服飾文化やアートが
香水瓶のヴィジュアルからも思い浮かべることができます。
改めてこれだけの香水瓶を眺めつつ、当時のファッション画を
参照すると、そのときごとの時代が求めてきたものがよく感じ
とれるのです。
香水に興味のある人は、そもそも「自分が他人にどう見られるか」
に興味のある人であると思われますが、そうした方々にはもちろん、
人間文化という大きな範囲でとらえた近現代の歴史に興味をもつ
方々にもこの展覧会をお勧めしたいと思います。
さて、栃木を訪れたもう一つの目的はこちらの講演会。
美術館から徒歩2分。道路を渡って斜め右。
小山高専サテライトキャンパスのスタジオ1には
午前中から講演会案内が掲示されていました。
展覧会の監修者でもあり、創刊41年目の "PARFUM" 編集長である
平田幸子氏による講演会。
14:00からの講演会はスタジオ2にて。
蔵の佇まいが生かされた素敵な建物。
講演会はほぼ満席。蔵の街美術館館長も同席されました。
人が紀元前の昔から香りを必要とした歴史背景にはじまり
18世紀のフランス革命後のモードの大衆化にともなう
香水文化の拡がりと変遷が
平田氏の柔かな語りで紡がれていきました。
平田氏によるお話から
人がなぜ香水を必要とするのかを
考えるヒントを得た方も多いのではないでしょうか。
それは服と同じように
防御のためだけではなくコミュニケーションのためでもあること。
他の人とは違う自分を意識することの大切さの現れであること。
そして何よりも
人が心地良く美しくありたいと願う気持ちに
昔も今も、年齢も、性別もなく
これが人にとっての永遠のテーマであることを
改めて思い起こすひとときとなったことでしょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿