2012年8月9日木曜日

パリに学んだ二人の日本人画家

昨夕のこと。
コチラ にてご紹介の展覧会へ。

ついうっかり、出口から逆に作品を見る。歴代の東京美術学校卒業生による自画像から鑑賞してしまった。自画像は深い。たたみかけてくるように響くものが多く感じられ、このフロアだけでかなり長い時間過ごし、一巡したあとに再び見入ってしまった。特に印象に残ったのが、下のチラシ写真向かって右側の、青みがかった服を着た自画像を描いた佐伯祐三である。


この人の自画像は実際にはもう一点展示されている。どちらにもしばらく足を停められた。隣に彼が描いた雪景色にも。複雑な線と色との繋がりが、生きることの厳しさを象徴するかのような空や土、建物の表情となって映る。20世紀前半のフランスの空気が静かに伝わってくるようでしばらく耳をすませた。パリの街、パリの人、画家たちから様々な影響を受けながら描き続けたと想像。
彼は30才の若さでパリで亡くなっていた。

もう一人、その色彩のタッチで印象に残ったのは、下の絵葉書にもなっている作品「カンヌ」の梅原龍三郎。パリでルノワールに指導を受けたということを知り、その影響を感じるとともに、この人の自由な筆致に魅かれた。


東京藝術大学の前身は、東京美術学校であった。1887年設立、1889年開校、1949年に東京音楽学校と合併して東京藝術大学として再発足。今回の展覧会場となったホテルオークラ東京は今年開業50周年。ー(展覧会チラシより)

美術史には詳しくはないが、この二名の画家の名前と印象は私の記憶に刻まれたと思う。人生は長いようで短い。できるものならば、限られた時間はこのような出逢いで満たしたい。

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