青を引きたてる周囲の色彩の素晴らしさ、
精巧なモチーフの組合せに目を奪われました。
実物を鑑賞できる貴重な機会が訪れました。
魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展/国立新美術館
Ballets Russes: The Art of Costumeへ。
黒の背景に仕切りなく、バレエ・リュスの歴史に沿って演目毎に衣裳が等身大で展示されています。まずはこの雰囲気に引き込まれ、衣装ひとつひとつが語りかけるダンサーの演技に秘められた心情や華麗なその動き、流れる音楽を想像。
衣装そのものの他に、貴重なモノクロ写真やスケッチの展示、演目ビデオ上映もありました。途中、誘惑的な恐ろしさを香らせる「タマール」の衣装に一瞬凍りつき、「青神」、「オーロラ姫」、「青い鳥」の繊細な美しさに魅かれつつも、マティスによる大胆なデザインに足を留め……ガブリエル・シャネルが衣装を担当した「青列車」(1993年公演)は面白くて2回も鑑賞。
2時間は滞在したでしょうか。
ふと気がつくと長袖ブラウス着用の私でさえ身体が冷えていました。
衣装のために展示会場はかなり強く冷房がきかされているようです。
とはいえ、鑑賞内容の素晴らしさがすぐに心から身体へと伝わり
いつもの体温にもどりました。
会場出口のショップでは
『薔薇の精』を踊るニジンスキーのフォトカードとともに
6月に発刊されたばかりのこちらの本を購入。
ビジュアル版バレエ・ヒストリー バレエ誕生からバレエ・リュスまで
芳賀直子 (著)/世界文化社はページをめくるたびに貴重な写真の数々に見入ってしまいます。
私と芳賀直子さんとの出会いは
『ディアギレフとバレエ・リュスの世界』・芳賀直子氏講演録〜記憶に刻まれた『薔薇の精』に始まり、以来ディアギレフは私にとって芸術やファッションを語るには欠かせない人物として記憶に刻まれていたのでした。
20世紀初頭、フランスで衰退しかけていたバレエを、芸術を妥協なく追求する進取のディアギレフが、当時芽生えていた類稀なる美の表現者を発掘しながら総合芸術へと発展させたのです。
広く世に芸術の価値を伝える…こうした情熱の軌跡は、ヨーロッパの先人に多くを学ばなければならないと改めて実感します。
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