日本が創り出した約1500年間の香文化。それは、昨今ますます海外から大いに注目されているそうです。6世紀末に仏教と共に伝えられた香木「沈香」。当初は「祈り」のために用いられ、平安時代には、貴族がこうした香素材を調合して生活の中で薫香としてふんだんに用い、武家社会ではこうした文化が「香道」として進化を遂げたのでした。
こうした歴史と共に日本の香文化の独創性として、「香りを抽象・心象でとらえる精神性」や「季節感や文学と結びつけて表現する」を挙げて解説しているのがこの本です。著者は、稲坂良弘氏。(現在、株式会社日本香堂ホールディングス特別顧問)
La culture de l'encens de 1500 ans créé par le Japon. J’entends dire qu’aujourd’hui, elle suscite de plus en plus d’attention de l’étranger. Un bois parfumé, le "Jinkō", qui a été transmis au Japon avec le bouddhisme à la fin du sixième siècle . À l'origine, il était utilisé pour la "prière". À l'époque de Heian, la noblesse utilisait abondamment ces ingrédients d'encens comme parfum dans leur vie et, dans la société des samouraïs, ces cultures évoluaient sous le nom de "Kōdō".
Parallèlement à cette histoire, ce livre est décrit sur la créativité de la culture de l'encens japonais en mentionnant "une spiritualité qui capture le parfum avec l'abstraction et l'esprit" et "l'exprimant conjointement avec le sentiment saisonnier et la littérature". L'auteur est M. Yoshihiro Inazaka (À présent, conseiller spécial de
Nippon Kōdō Holdings).
先週末、12月8日午後、
日本調香技術普及協会(JSPT)
主催の講演会「香と日本人」にて、講師の稲坂氏によるお話を堪能した直後、好奇心を触発されて上記の本も入手しました。演劇の脚本家やCMディレクターとしての経歴をお持ちである著者の語り口は実に明快、聴きながらすぐに映像が目に浮かぶ立体感に満ちています。お話とともに実際に塗香を体験させていただいたり、源氏物語で藤壺と光源氏の別れのシーンで登場する「黒方(くろぼう)」の薫香や貴重な伽羅の香りも聞かせていただき、本当に楽しい時間でした。
数年前に、歌人である尾崎左永子氏の著書『平安時代の薫香』
http://sawaroma.blogspot.com/2014/02/blog-post_5.html?m=0
を味わい深く読んでいたので、冬の日の黒方の香体験は心に沁み入りましたし、稲坂氏の著書にも尾崎氏の著書にも、私の大好きな枕草子の一節「心ときめきするもの」が紹介されていたのは印象深いことでした。自分だけの優雅な時間のために香りというものがいかに大切であるかを実感している私にとって、平安時代に薫香を嗜んで生きた清少納言に共感できたのですから。
西洋から伝えられたアルコールベースの香水に幼少期から魅かれていた私は、広く香りの素晴らしさを知り伝えるために、人との関わりの深かった香料素材を探求するアロマテラピーも学びました。その過程で香道という日本ならではの進化を遂げて今に生きる香りの文化があったことも知り、香りというもののとらえ方にこの国の風土ならではの感性を再認識していたところです。上記2冊の本は、香水をはじめとするフレグランス類を優雅に楽しみたい人にとって、得難い先人からの教訓を共感とともに読み取ることができると感じます。
東京にて、sawaroma より。
…écrit par 《SAWAROMA 》à Tokyo.
0 件のコメント:
コメントを投稿