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2014年10月16日木曜日

『名作家具のヒミツ』/ジョー・スズキ著で楽しむヒミツ

『名作家具のヒミツ』。ジョー・スズキさんの最新著書です。

『名作家具のヒミツ(Ça vous dire, Secrets de meubles classiques)》.
C'est le dernier livre de Joe Suzuki.



ジョー・スズキさんはライターであり写真家。
彼の記事は国内外のメディアに掲載されています。
記事のテーマは例えば
インテリアデザインや海外のライフスタイルなど。

Monsieur Joe Suzuki est écrivain et photographe.
Ses articles sont présentés dans les médias internationaux.
Son thème dans les articles est par exemple,
design d'intérieur ou le mode de vie outre-mer,etc.

読みながら秘密に驚かされることをお勧めします。
家具とデサイナー、
歴史背景、
素材とかたち、などなど…

Il est préférable de s'étonner des secrets tout en lisant ce livre.
Relation entre mobilier et designer.
Historial fond.
Matériel et forme,etc….






2014年10月7日火曜日

《THE GRAND BUDAPEST HOTEL》・謎めいた架空の場所から


いかにも謎めいた場所を想像させるタイトル。
『グランド・ブダベスト・ホテル』

Titre d'imaginer un endroit vraiment énigmatique.
《THE GRAND BUDAPEST HOTEL》




「この物語の主人公は誰?」
この問いからしておそらく、既に謎。

〈Qui est le protagoniste de cette histoire ?〉,
La question est peut-être déjà dans le mystère.

いくつもの秘密を両立させながら生きる人。
それぞれの秘密に対して純粋に誠実。
だからこそ、
いかなる視点からとらえても、
その生きる姿は魅力的。

Les gens vivent sur le secret de l'équilibre.
Pour chaque secret véritablement sincère.
Par conséquent,
capture de n'importe quel point de vue,
apparence encore vivant est séduisante.

登場人物の感情を反映する色彩、
そして複数の言語とともにエキゾティックに響く音楽。
すべてが秀逸。

架空の場所には、 架空の香水とケーキもあります。

Les couleurs reflétant les sentiments
qui sont dans les personnages ,
et la musique exotique avec plusieurs langues.
Ils sont tous excellents.

À l'endroit fictif, il y a un parfum fictif et un gâteau fictif aussi.

現在、下高井戸シネマ にて、10月17日まで上映中。

Maintenant, on peut voir ce film
ici , jusqu' au 17 octobre .






2014年8月3日日曜日

旅する気持ちで ・ 広山 均著『グラース慕情』

夏の休日。
旅する気持ちで読んだ一冊。
かつて愛用したフレグランスへ想いをめぐらす記憶の旅、
そして南仏グラースの四季を香りとともに想像する旅。



『グラース慕情』広山 均著 /フレグランスジャーナル社

著者の広山氏によるご講演を、「国際香りと文化の会」や「香りの図書館」主催のテーマで少なくとも3回は拝聴したことがある。私が天然・合成ともに香料の知識を深める機会を得られたのはこの方の恩恵に依るところが大きい。真摯で張りのある落ち着いた語り口が印象的で、何よりも実際にグラースで学ばれた日々で感じられた想いをいきいきと語られた表情は今もよく憶えている。今年80歳を迎えられる広山氏にとって今も慕情として忘れ難い香りへの想いは、多くの読者に香りの魅力の再発見を導く貴重なメッセージとなっている。

慕情。
ゆえに穏やかな語り口が聴こえてくるようであり
ふと開いたどのページから読み始めても香りのタイムスリップができる。
ときにフランス語読みの音のままカタカナになっている言葉に微笑む。

名香を生み出した調香師の創造性について
語られているくだりは特に興味深い。
これといった方法論があるわけではない。
確かなことは
グラースの地に実際に咲く生きた花々の香り、
歴史に残る名香…
こうした本物のお手本を感受できたからこそ
新しい香りのカタチへのインスピレーションから創造へのプロセスが生まれた。
かつてご講演の中でも仰っていたがこうした広山氏の見解には
私も深く同意したい。

2014年7月11日金曜日

札幌にて講演いたします(AEAJ 地区イベント AROMA SEMINAR)

来る7月13日午後。
私は札幌にて
『多分野に活かす「香り」の価値を伝える』
をテーマに講演いたします。

これは
公益社団法人 日本アロマ環境協会が主催する地区イベントアロマセミナー今年度春夏期イベントのセミナーテーマの一つでもあります。

昨年6月には金沢にて薔薇の季節にちなみ、コチラの記事にてお伝えした内容の講演をいたしました。

今回は、国際的にも観光地として名高い北海道の皆様に
「香り」という一つのテーマが
人の文化活動における様々なジャンルに活用し得る可能性を
私が実践してまいりました事例からお伝えできればと考えています。

コチラがそのご案内リーフレットの全内容です。


上の写真はその一部、札幌セミナーのご案内ページです。

リーフレットでも記している
『自然科学概論』からの事例では
香りの記憶がくれた贈り物に書いているように、人間という自然が、植物という自然にその香りを感覚を通して対面し学び得ることの一端をお伝えできればと思います。
2013年度まで9期に渡り実践した大学講義『ファッションとアロマ』からの事例では、18 visual works from 12 kinds of aromaー 文化学園大学 けやき祭にてでご紹介した香りによるヴィジュアル表現へのクリエイション導入の成果についてお話するつもりです。

多分野に活かす「香り」の価値を伝える。
キーワードは可能性と価値。
このどちらにも直結する人間の感覚が嗅覚です。
価値。何に価値があるのか見えにくい時代です。
多くの方々に今あらためて
嗅覚情報の大切さを感じていただけますように。

2014年4月15日火曜日

『シャネル 、革命の秘密』読後の余韻・「ありたい」への徹底

520ページ。
2日で読んでしまった背景のひとつには
かつての大学時代の恩師、フランス人教授の言葉があった。
「歴史は、今が当たり前のものではないことを知るために学ぶもの。
私は特に現代の女性に伝えたい。今の女性のライフスタイル、社会的立場が当たり前ではなかったということを。」

黒の表紙。
白の文字は
監訳者である中野香織さんの明瞭な日本語により
この本が何を語るものであるかを伝えている。
そして小口のきらびやかな金色。


第 19 回 Discover Book Bar ~ 『シャネル 革命の秘密』刊行記念 ―仕事と恋とファッションと ~へ、今週中頃に発売予定の本をひと足先に入手するべく参加した週末。トークショー冒頭で監訳者であり服飾史家の中野香織さんはこの本のことを端的にこうおっしゃった。

ーこれは
シャネルが見た
20世紀の芸術史、文化史でもあります。ー

まさにそのとおりで、
シャネルという一人の人間の
一生87年間に関わった人物、現象の多様ぶりが
ここまで豊富な資料に基づいて詳しく綴られた本は初めてであると感じた。
どんな人の生涯も、全て順調ではないように
彼女の生涯も明暗の繰り返しだったこともわかる。

一読したくらいでは
到底おびただしい数の登場人物の名前を記憶できてもおらず
読了という表現で言い切りたいと思えない。

一読目、読後の深い余韻として翌日まで響いているのは

ーシャネルは、自分ではないものに「なりたい」とは決して思わず
あるがままの自分で「ありたい」と死の淵まで願い続けた女性だった。ー

そんな「ありたい」への徹底。

男性に「なりたい」とは思わない、
だが人間であるという意味で、男性と対等で「ありたい」。
生きるために男性と同じく職業を持ち働く、
働かなければ何者にもなれない。
そのためにはそれにふさわしい服装のスタイルが必要だ。
女性のデリケートな身体にとって動きやすく
かつ女性として防御するべき要素を忘れず
女性そのものが本来
誰もが生まれながらにもつはずの美しさを引き出すために。
シャネルがその生涯をかけて挑んだことの大きさに
改めて敬意をおぼえる。

紙の上ではなく
生身の女性をモデルにしか服のデザインをしなかったという姿勢。
徹底して清潔を求めたシャネルだからこそ
不衛生をごまかすための香りではなく
女性そのものを輝かせる香りをつくったという
その根底に流れるエレガンス。

それらの事実は、現実の女性の一人として
私も深く共感できる。

3年前に78歳のシャネルの生き生きとした写真集を
『ココ・シャネル 1962』ダグラス・カークランド写真展で眺めた。そのスタイルが今でもなんら古くないと思わせること自体に驚き、同時にこの女性の深く知性に満ちた強い眼差しにエネルギーをもらったことを思い起こす。

ココ・シャネルの言葉より・" COCO NOIR " に寄せての中でも引用したが、

" Il n' y a pas plus joli qu' une topaze, cette eau dorée "
Gabrielle Chanel
(トパーズほど美しいものはない。まるで金色の水のよう。)
ガブリエル シャネル

その言葉をこの本で再び回想。

そして
この本を世に送ることに携わられた全ての方々へ
しみじみと感謝をおぼえずにはいられません。
有難うございました。

2014年1月24日金曜日

「香り」の未来を考える〜 Michel Roudnitska 氏の言葉より


未来のことを考えるとき
原点を見つめ直すために時折読み返す本の一つが
『香りの創造』エドモン・ルドニツカ著 /曽田 幸雄訳 (白水社)。
4年前、香りの音楽表現をテーマとする論文を執筆したときも
この本を参考文献としていた。

エドモン・ルドニッカ(Edmon Rondnitska)。1905~1996。
20世紀に活躍した偉大な調香師の一人。

ちょうど今月読みなおしていた矢先。

マグノリアに魅かれてチェックした記事
Magnolia Grandiflora – Michel
01/21/14 18:08:43
By: Jordan River
の中で
ルドニツカ氏のご子息であるミシェルさんも
現在調香師として香りを創造していることを知った。
彼は最初は写真家として、ビジュアルアーティストとしての
表現活動を積み上げた後
40才になって本格的に調香の仕事に取り組んだという。

そんな彼への貴重なインタビュー記事も発見。
彼は過去の人ではない。
父親譲りの繊細な感性、観察力、洞察力をもって
現代に生きるデザイナー、表現者である。
ゆえにこのインタビューでは過去の功績話で終わってはいない。
21世紀の現代
「香り」のマーケットが置かれている深刻な現状を
鋭く簡潔に指摘し、これから成すべき歩みに言及している。
Exclusive Interview with Michel Roudnitska
07/24/09 15:34:05
By: Michelyn Camen

この記事が書かれた2009年は私にとって忘れ難い年。
文化としての香りの価値を伝えるべく
稀少な天然香料の一つであるダマスクローズ香料のブランド、
パレチカの監修をはじめた年でもあった。素材あってのクリエイションの発達、その可能性を現代の解釈で再構成できる感性こそがこの先求められるはずであるし、前世紀に使い放題で枯渇しつつある天然資源と自然環境のサステナビリティを考える上で重要なアプローチになればと考えていた背景があった。

この長い記事の前半、父エドモンさんの弟子でもあったジャン=クロード・エレナ氏(現在エルメスの専属調香師)とミシェルさんとのエピソードも実に興味深い。
調香の修行を積んできたエレナ氏。
一方で幼い頃から父と暮らし様々な香りに触れてきたとはいえ
20代以降写真家や視覚表現におけるキャリアを積んできたミシェルさん。
二人が同時に別々の考え方で調香した香りのクオリティレベルが
二人で互角と認め合えたらしい。
表現者としてのキャリアが確実に活きていたと言えるだろう。

視覚表現、音楽表現それぞれでキャリアを積んだ経験が
調香のクリエイションに活きた例は他にもいくつか知っている。

人は、生きるために呼吸を止めることはできない。
何かを視ているときも周囲の匂いを同時に感じ
耳栓をしていない限り音も感じている。
見えないものを同時に「視て」いる。そして感じる。
三つの感覚が響きあってこそ感じられる。

2年前に書いた記事。
見えなくても確かに存在するもの
この記事後半に記した大学でのアプローチを
今年度まで9期にわたって実験的に行ってきた。
結果、クリエイターを目指す若い彼らによって
未来へと開かれていく「香り」活用の可能性を
私自身が期待しているところでもある。

2013年8月3日土曜日

調香師の言葉より・アクア アレゴリアに込められた想い

2003年3月、
フランスの老舗香水ブランド「ゲラン」の4代目調香師である
ジャン-ポール・ゲラン氏来日講演のメモを記録した手帳は
私の宝物の一つ。

彼によるアクア・アレゴリアシリーズは1999年から発売されており
このシリーズに込めた想いを彼自身が語った時の私メモには
* 〜*のように記されています。
話されるフランス語を断片的に聴き取ったので
今読むと詩のよう。


アクア アレゴリアム
好きな花
好きな庭

に敬意を表して調香
1999年
5つの香り
天然の素材への情熱、庭への想いを込めて
美しい自然
ほんとうの美



さて、アクア アレゴリアム。
「アクア」は水。
どうもラテン語が語源のよう。
「アレゴリアム」とは実はギリシャ語。
現代美術用語辞典で見つけました。
抽象的な概念や思想を、具体的形象によって暗示する表現方法である、というような解釈が長々と記されています。

1999年発売の5作のうち2作をご紹介します。

まず
Pamplelune(パンプルリューヌ)は
グレープフルーツをはじめとするみずみずしいシトラスの明るさが
ネロリやカシス、ベースのパチュリやバニラとともに柔らかく表現され
初めてフレグランスを手にする年頃はもちろん
幅広い年代に愛される普遍性を持っていると感じます。
昨日ちょうど16才の女性に進呈。
気に入って頂けたようで嬉しく思います。

もうひとつ、
Herba Fresca(エルバ フレスカ)は
ベストセラーになったそうですが
フレッシュな活力漲る青葉の中にひんやりと香るミントが
まさにアロマティックなハーブの息吹そのもの。
そのような第一印象から
時間とともに拡がるロマンティックなニュアンスには
性別年齢に関係なく魅きつけられそう。

2作とも、時を選ばない香りではありますが
特に今の季節、日本の方にも喜ばれそうなタイプです。


2013年8月1日木曜日

調香師の言葉より・香りとの出逢いは恋に落ちるような感覚


写真家から転身、調香師となられた
カミーユ・グダールさんへのインタビュー記事を発見。
ELLE オンライン 2013,7,24
カミーユに質問! フランス流香りの楽しみ方


6月の新作発表会のために来日されたときの
気さくで柔らかな笑顔が印象的でした。

カミーユさんの母、アニック・グダールさんも
ピアニストから調香師になられた方ですが
いずれにしても五感を研ぎ澄ませて表現に没頭されたご経験は
五感すべてを刺激して楽しめるフレグランスの魅力を創出するために
十分活かされているように感じます。

五感を刺激する素敵なものと出会うためには
既成概念・先入観に縛られないオープンマインドで。

感覚に訴えてくるインパクトを察知したら
それをどう感じたのかをまずは自分が正直に受け止め
その意味を探りつつ
まだ誰も知らない宝物のようなイメージを
さまざまな方法、たとえば言葉で記録していくことが
必要と私はいつも思っています。
ですから、私が行う香りの講義でもこのプロセスを
大切にしています。

たとえば香料素材。
素材そのものから調香師自身が
まるで恋に落ちるかのように
感覚のアンテナがピンと立つような
「美」を感じとっていなければ
その香料を表現に活かすことはできないでしょう。

フレグランスの選び方としてカミーユさんは
「なによりも直感! 肌につけたとき、ふと香るフレグランスに恋に落ちるような感覚につきます。」
とおっしゃっていますが同感。この感じ方がすべてです。
本人が気に入り、それを適度な香り方を工夫して身につけて初めて
「香りを着こなす」と言えるのでしょう。



白い花の香りが大好きというカミーユさん。
そういえばコチラ の発表会のときも、会場に飾ってあったカミーユさんのフォトの近くには白い花がありました。

「美」とは既に有るものではなく
感じて、発見して、創るもの。
香りを創造する人たちも
そんなふうに考えているのではないかと思います。

2013年7月20日土曜日

香る心・手で書く文字から


書家 前田遥水さんのWebサイト を訪ねました。

ちょうど暑中御見舞のご挨拶をと
かれこれ10年以上のご縁をいただいている前田さんへ
葉書に私の自筆で言葉をと思っているところでした。

トップページの前田さんのお言葉が何度読んでも印象に残ります。
「」に引用させていただきます。

「長い年月をかけて培われた日本の伝統芸術である、書道の表現を学ぶことは、ただ単に美しい字が書けるようになるだけではなく、人間関係の信頼性を築いてくれる糧となり、人生を豊かにすることにもつながっていくと言えるでしょう。」

ちょうど
大切に築いてきたご縁のある方々に
一枚一枚
手書きで夏のご挨拶を書いていた私には
響きます。

どんなにメールやSNSが主流になっても
手書きの文字で伝えたい気持ちは
私には子供の頃から変わらずあります。
その手書きの手紙だけで
長い期間ご縁をいただいている方々も
いらっしゃいます。

最近では
香りやフランス語の講義で学生に毎回配布するプリントも
あえて私の手書きでつくるようになりました。
デジタルにはできない有機的な行間、文字のかたち、大小…
これらから少しでも読む人に、文字から感じてもらうことを
多くしたいという思いからそうしました。

私にとって、文字は記号であり、暗号であり、絵でもあります。
一つひとつは決まった音を示す記号でしかないかもしれません。
でもどんなペンを使い
どんな線で書くか
どんな紙に書くかによって
私の気持ちの香り方は違います。
全体として書かれた文字が、一つの絵のように見えます。
その「絵」の記憶を心に刻みながら
伝えたい人へ。

これからも
文字を書くよろこびを
大切にしたいと思います。


2013年6月30日日曜日

『知っていそうで知らない、すみれの話』・日本調香技術普及協会講演にて

4つの花の物語・LES SOLIFLORES par ANNICK GOUTALで改めてスミレをテーマにしたフレグランスに触れ
ちょうど知りたいと思っていたことを
絶妙のタイミングで知る機会に恵まれました。

日本調香技術普及協会
の6月29日講演会のテーマは二つ。

1.『知っていそうで知らない、すみれの話』
田淵誠也氏(日本すみれ研究会 事務局長)
2.『トゥーレットのニオイスミレ』
佐野孝太氏(曽田香料株式会社フレグランス開発部長)

すみれ。菫。ヴァイオレット。
この、鮮やかな濃い紫色の、楚々とした可憐な花について
私が知っていたことなどほんの僅かでした。
程良くお化粧をした大人の上品な女性を思わせる粉っぽい香り…
どこか懐かしく奥深い香りを醸し出すその花の天然香料は
かつては作られていたものの
今や香料として市場に流通するような作られ方はされておらず
合成で表現されている…その葉も貴重な香料原料のはず…。

植物としてのすみれの専門家である田淵先生のお話を聴講し
この花の秘密をいくつも知りました。
・種類が多い。スミレ科スミレ属で世界に約500種、日本には55種ある。
・においのあるものもあればほとんど無いものある。
・いわゆる花びらが開かない状態でも種を作ることができる。
・蟻の好むものを提供するかわりに蟻に種を運ばせる。

そして、調香師である佐野先生からは
香料抽出に用いられるニオイスミレ(学名 viola odorata) の
代表的栽培地である南フランス、トゥーレットでの
花からのアブソリュート抽出体験のお話を聴きました。
昔は花から温浸法で香料を抽出していたそうですが
現在では行われなくなり
栽培されたニオイスミレの花はブーケ用、砂糖菓子用となります。
香料は葉からアブソリュートが抽出されているそうで
その収率も0.04%と低く価格はかなり高価とのこと。

このヴァイオレットリーフアブソリュート。
10%希釈で鑑賞いたしました。
確かにパワフルなグリーン。どこなく和を感じさせる滑らかな奥深さ。
これはかつて私が好きになった
幾つかのフレグランスの余韻の中にもありました。

毎年3月第2日曜日には
スミレの町トゥーレットでは
スミレ祭り(FETE DES VIOLETTES)が行われているのだとか。
素敵です。
もし私が地中海沿岸に住んでいたら
3月は南仏へスミレ祭り、
6月はブルガリアへバラ祭りへと旅をすることでしょう。

さて
帰宅後、コチラ でご紹介した本を開きました。
「ヴァイオレット」のページには
紀元前4世紀に植物学の祖であるテオフラストスによる
この植物への言及があったと記されていました。
そして
フレグランス「パリジェンヌ(2009)/イヴ・サンローラン」を
調香したソフィー・ラベによる香料ヴァイオレットの魅力が綴られています。

今回のように
スミレを植物として専門に研究されている職業の方と
香りの専門家である調香師の方のお話を続けて聴くことで
有機体としての香りの知識を立体的に深めるきっかけになったと
思います。


2013年6月16日日曜日

父の日 ・『日本野 必要だけど足りない、これからの日本の緑』の言葉から


父の日。
数ヶ月前に他界した父が生前密やかに書きためていたという短歌を
母が編集し、一冊の歌集にしたものが届く日でもありました。

その前日に手にした一冊の本。
『日本野 必要だけど足りない、これからの日本の緑』/発行 日経BP社

この本に寄稿されている方々の職業を目にし
たとえば、茶人、酒蔵の主、歌人、…
こうした方々の「言葉を聴いてみたい」と感じました。

記憶に残る言葉を
本に付箋をするのではなく
コチラに抜き書きしておこうと思います。

1.
茶人 裏千家家元 千 宗室さんのお言葉より

「…いま見たこと、いま感じたことを深く考えもせず、安易に言葉や行動で表現しようとするから収拾がつかなくなってしまうし、それがトラブルの種にもなっているように見えます。」(p47)

2.
清酒「月の桂」酒蔵、増田徳兵衛商店代表取締役
増田 徳兵衛さんのお言葉より

「創業から三百年以上、十四代もやっていると、いつも新しいことに挑戦し続ける必要があります。新しいことに挑むからこそ、守っていけるものもあります。」
(p74)

3.
歌人  冷泉家時雨亭文庫常務理事・事務局長
冷泉 貴実子さんのお言葉より

「四季の美は日本の美の基本です。その美が、長い時間をかけて文化として熟成され、私たちは共有できる自然観をつかんだのではないでしょうか。そのなかには、実際にはない自然もあるでしょう。でも、それこそが日本文化であり、日本人ならではの美意識だと思います」
(p85)

いまの私になぜこれらの言葉が響いたのかを考えてみると
そこには父との思い出がありました。

たとえば1。父は言葉をたいせつにする人でした。
その父である祖父も、他人宛の手紙を書く際、何度も下書きをする人でした。
2の言葉には長い年月を生きる人間の静かな挑戦と試行錯誤の重みを感じます。
父は49才の働き盛りに病に倒れ、それまでの生活が一変したにもかかわらず
新たな生きる糧を探し、30年以上生き続けました。
そして3。本日届いた父の歌集には
四季を感じる心から、見えなくても細やかに振舞われた人の思い遣りへの
深い感謝が、みじかい語句によって淡々と綴られていました。

日本という国が
これまでのような明瞭な四季を感じられる場所であり続けられるか
それはわかりませんし
世界にはこのような四季のない地域に暮らす人もいます。
そうした方々との関わりの中で
微細な変化を感じ楽しむ感覚をいかに活かすか。
香りへの感受性の違いを考える上でも再考したいテーマです。

日を改めて違うタイミングでこの本を読んだ時
そのときの私の琴線に触れる言葉と新たな出逢いができますように。


2013年6月7日金曜日

『調香師が語る 香料植物の図鑑』(原書房)と過ごす午後

…とある書店内カフェにて。
この本『調香師が語る 香料植物の図鑑』(原書房)と1時間ばかり共に過ごす。



5月末に発刊されたばかりの新刊。鮮やかな植物フォト満載。

著者3名が紹介されている。
フレディ・ゴズラン氏は物理科学博士であり、
香水に関する約40種の出版物を刊行。
グザビエ・フェルナンデス氏は化学博士であり、
ニース ソフィアアンティスポリス大学大学院にて研究所長、
植物研究に関する60冊以上の科学的出版物を刊行。
ベルナール・ガロタン氏は
パリで考古学を学んだ後、情熱に導かれ8年間料理を多方面から研究、
レストランシェフとして経験を積み、最近は音楽、現代美術などと味覚をフュージョンさせることに喜びを見いだしているとのこと。

翻訳は前田久仁子氏。東洋医学、アロマテラピーを学び現在はグラースの植物療法専門薬局にてフランシス・アジミナグロウ氏に師事し、フィトテラピーを研究。
10年以上前、来日講演されたアジミナグロウ氏の通訳をされていた前田氏にお目にかかったことを思い起こした。

原題は " L'Herbier Parfumé : Histoires humaines des plantes à parfum"。
この中に並ぶフランス語から
香水を愛する人にはもちろんのこと
人と芳香植物との関わりの歴史に興味のある人には楽しめる内容と想像。

序文の最後のページに、レオナルド・ダ・ヴィンチの言葉が引用されていた。
「真の科学は、においを嗅いで生じる結果から生まれる」

先月私も講演の中で、「嗅覚は人の文化の入口」と冒頭で語った。
香りあるものを感受する感覚を活かすことの重要性を改めて実感。

2013年1月5日土曜日

気晴らしは、空と猫。


職業柄
年末年始だからといってホリデーモードにはならず
仕事納めもないまま新年へ。
そして元旦初詣に行った翌日から
少しずつ仕事をしている。
それが当たり前のような生活。

気晴らしはいくつかあるが
ここ1週間では
良く晴れた日の正午頃
いちばん太陽の光の恵みを受けそうな時間帯の散歩。

まず空を見上げる。


こんなに高く成長し長生きしている木にはかなわない。
空の色に吸い込まれそうな気分でリフレッシュ。

そして地上では
あの愛すべき動物と出逢えないかをいつもおもう。



この寒い中、ゆうゆうと歩き
しなやかにゆっくり動いていると思いきや
一定の距離より内側に近づくと
素晴らしいスピードで走り去る機敏さ。

まだまだ私には生きものとしての修行が足りない。

デスクの手元にはいつも私の好きな薔薇の香りが
静かなBGMとして励ましてくれている。

2012年11月15日木曜日

"Every Bottle of Perfume Contains a World," IFF主催展覧会と香りのディナー


"Every Bottle of Perfume Contains a World,"
「すべての香水ボトルには世界がふくまれている、」

これは、本日私が一気に読んでしまった記事中の言葉であり、日頃から実感していることでもある。様々な地域から産出される数多くの香料を体感し、これらについて学ぶと世界中の文化と歴史に興味を持たざるを得なくなるのだから。

文化学園大学現代文化学部・国際ファッション文化学科において「ファッションとアロマ」という講義を提供する中、毎年学生にいわれるコメントも
「未知の香料に触れて、行ったことのない世界の様々な地に魅かれた」。

さてその記事とは、アメリカのフレグランス情報サイト、FRAGRANTICAより。
A Presentation of Natural Materials by IFF-LMR Naturals(11/14/12 19:19:54. By: Serguey Borisov)
展覧会も香りのディナーも、写真からおよその雰囲気は伝わると思う。
現代に至るまで、人間がいかに香料を文化の重要なファクターとして捉えているかがよくわかる。

天然香料の産地は世界中に拡がっている。
地域ごとに違う文化があり、違う衣服があり、違う習慣がある。
それが一つの香水ボトルから実感できるという。

ハイチのベチバー、
エジプトのジャスミン、
コートジボワールのジンジャー、
エチオピアのミルラ、
チュニジアのネロリ、
マダガスカルのヴァニラ、
コモロのイランイラン
中国のチュベローズ、マグノリア、
インドネシアのパチュリ、
ヨーロッパのフレンチラベンダー、クラリセージ……。

記事後半には
薔薇の写真。広く長く愛される稀少香料の筆頭。

…とある香水を身につけると
まだ訪れたことのない地域の
出会ったこともないような人になれるような気がする。
「私」なんていうものは
勝手に頭の中でつくりあげた概念にしか過ぎず
実は誰でもなく何にでもなれる。
その感覚を揺さぶるのが
場所を超え時を超えて本能に響く香りである。
…そんなことを改めて感じさせられた記事だった。

2012年9月6日木曜日

「香水の名前を当てる」から蘇った記憶の中の香り

久しぶりに、「国際香りと文化の会」のサイトをチェックしたところ、会長で長年調香師としての実績をお持ちである中村祥二氏による興味深い連載「香り×つながる」(COMZINE by NTT コムウェア)を発見しました。

この連載第1回目の内容「香水の名前を当てる」を拝読し、改めて人肌が纏った香水の名前まで当てられる調香師の方の感覚精度に感銘を受けました。

とはいえ、かなりの量をつけていらした場合はよりわかりやすいのかもしれない、とも感じました。以前、中村氏の著書の中で、全く異なる香り方を感じた二人の女性が同じ香水をつけていたことを知り驚いたという記述があったからです。

その香水とは、あのシャネルNo.5でした。纏う人によって香り方が異なるというのも香水の魅力かもしれません。肌につけられたことによってその人特有の匂いと混じりあい、体温によって揮発し拡がる、その香り方の妙の美…

そんなことを考えていたら、私が25才の秋に体験したことをありありと思い起こしました。カットソーとスカート上下ともにボルドーカラー。紫と茶を基調にオレンジ、グリーンなど細かく複雑な色柄が織り込まれたペイズリーの大きめショールをまとめ髪の首元から肩、背中にかけて羽織っていました。
こんなことを憶えているのも、この姿で駅のホームを歩いていた私に

「あの、とても素敵な香りを感じるのですが…
なんていう香水をお使いでしょうか。
お差し支えなければ教えてください。」

と実に綺麗な女性の声がかけられたからです。振り返るとそのひとはマダムと呼ぶにふさわしい大人の美しい女性でした。

私はとっさに迷いました。足元素肌とショールのフリンジに香りをふきつけていましたが、その名前を告げてよいものかと…。でも結局はっきりと伝えました。

TEA ROSEという香水の名前を。

私に声をかけた女性も、調香師だったのかもしれません。


2012年7月8日日曜日

職業名をふりかえる

思いついた問題を記録する意味で始めたブログでもあるので
ここ数日特に強く実感することをメモしておこうと思う。

「職業」の表現を大別すると3種類。

1,属する組織名を挙げ、その中での役割を示す。
2,産業名を挙げ、その従事者とする。
2,職能そのものを示す。

1は第三者にはわかりやすい。殊に知名度のある組織であればなおのこと。
2は例えば農業、漁業…現代は非常に細分化されている。
3は例えば医師、弁護士、建築家、教師、調理師など資格や免許を要するものに始ま り、アーティスト、画家、音楽家、著述業、音楽家、デザイナー、プランナー、コーディネーター 、コンサルタント…

1は仕事の場所、2は仕事のジャンル、3は仕事のスキルを主に示す。

本来職業は1~3それぞれの視点から説明されて初めて理解が得られるように思う。
特に2は時代の変遷とともにめまぐるしく変化している。

私は12年前に自ら取得した民間資格の「アロマセラピスト」という名称を名乗る前は複数の企業に属し、その中での役割は「プランナー」「ライター」「編集者」「広報担当者」であった。

現在私が携わる複数種の仕事は確かにこれらのスキルを活かしており、特にプランニングと著述にかける比重が高い。これらは仕事を通じて得たスキルかもしれないし、もともと仕組みや方式を考えることが好きであり大切だと思うから。

では大学や学校で学んだことは活かしているかといえば、卒業後20年も経ってから本格的に生きてきたというのが面白い。一方、資格取得の学校を卒業後は、一見すぐにその関連職に携わっていたように見えるが、それは社会人として得た仕事経験や、社会人になってから通信制の大学で学んだ成果も生きていたからかもしれない。そういう流れの延長上で現在は大学講師もつとめている。様々なスキルを統合し、講師の仕事がつとまっているように思う。

さて、もはや現在の状況では「アロマセラピスト」ひと言で自分の職業を言い表すことは無理。数年前からそのように感じ、実験的にブログを書き始め、自分の仕事が関わるジャンルや使用してきたスキルを振り返ってみた。

ブログカテゴリーを見るとズバリ、「フレグランス」が圧倒的に多い。

結局幼少時からの興味と、20代以降ずっとコツコツと学び続けているフレグランスを中心とした香りの文化(人の生活の上での)価値やその伝え方に私の仕事のテーマがある。最初の大学で専攻したフランス語の国はまさにフレグランスの国でもある。アロマテラピーを学んだのは、天然香料の科学的背景を知りたかったからである。香料として天然も合成ともにその価値と役割を学んだおかげでフレグランスのことをより深く理解できたし、この価値やファッションとのつながりについての見識がふえた。

「アロマセラピスト」というと、単に天然精油しか扱わないアロマテラピートリートメント施術ができる、ということだけではなく、自分の中では、
「人を心地よい状態にする香りで、その人の問題解決のお手伝いをする」
と定義づけてはきたが、やはり世の中一般にはそうは伝わりにくい。

上記1~3でいうと私の場合
1は、フリーランスではあるが、必要な時のみ連携する複数の組織と関わる。
2は、フレグランス、アロマテラピーを中心とした現代の香り文化普及、啓蒙とともに、これらの市場を活性化させること。
3は…今後、より適した表現を模索して行きたいと思う。

2012年6月6日水曜日

ベスト・ファーザー「イエローリボン賞」オリジナルアロマ

本日夕刻。先月オープンしたばかりのコチラ にて。


日本メンズファッション協会 主催の2012年度 ベストファーザー 第31回「イエローリボン賞」発表・授賞式が開催されました。

今年の受賞者はこちらの方々。
政治部門: 達増 拓也さん (岩手県知事)
経済部門: 喜田 哲弘さん (大同生命保険株式会社 代表取締役社長)
学術・文化部門: 中村 勘九郎さん (歌舞伎役者)
芸能部門: 田辺 誠一さん (俳優)
恵 俊影さん (タレント)
スポーツ部門: 中村 俊輔さん(プロサッカー 選手 横浜F・マリノス所属)
みなさま職業人としてはもちろん、お父様として、その生き方が笑顔にもファッションにもさりげなく表れていて素敵でした。

さて、受賞者の方々に副賞として贈呈されたのが天然の香りでブレンドされたオリジナルアロマ。公益社団法人 日本アロマ環境協会 認定アロマセラピストの佐佐木景子さんがブレンド制作・監修されたそうです。清々しいベルガモット、頭をスッキリとさせるローズマリー、天高く真っ直ぐに空にのびる潔いサイプレスの香りをメインに、スパイシーなブラックペッパー、元気が漲るレモングラス…まさにこの季節、そして溌剌とした男性のイメージにも重なる香りの精油がブレンドされていて、会場で私も体感。スッキリ爽やかな香りに、夕刻なのに軽やかな気分になりました。

イエローリボンというのは国際的なシンボル。イギリスでは古来、黄色は身を守るための色とされ、アメリカに渡って「黄色いリボン」となり、「愛する人の無事を願うもの」の象徴となったそうです。ー "BEST FATHER BOOK"より。

授賞式出席者のドレスコードも、イエローのワンポイント。
仕事のご縁で出席させていただいた私は、白のブラウスにイエロースカーフをネクタイ風にゆるく結んで。こんなイベントをきっかけに日本の父親世代がますますおしゃれに素敵な人生を…願います。



2012年4月28日土曜日

『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』から回想した二つの物語

もしかして元祖「ファッションデザイナー」のこと?
とタイトルを見て思い、18世紀後半服飾史の資料になるかもと購入しておいた本。
今日ようやく一読することができた。

『ローズ・ベルタン マリー=アントワネットのモード大臣』の表紙は、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランによる、フランス王妃マリー=アントワネットの肖像画(ウィーン美術史美術館蔵)。

ただ単に衣装づくりの職人だったのではなく
その時代に生きている人に、その場所の空気にふさわしく
頭の先から足もとまでの装いを誂えることによって美を描いた人物。

ローズ・ベルタンは、自らのそうした美的センス自体を商品と考えた初めての人物だった。その格好のモデルとなった王妃マリー=アントワネットとともに、当時のフランス貴族社会の「景色」を作り出したといってもよいだろう。そしてその需要はベルタンに一つの産業を組織化させ、多くの雇用を発掘させ、フランス国外へもビジネスを展開する必要性と手本を示させることになる。

「ローズ」という名前は本名ではない。
ベルタンの功績に対して後世のひとたちが名付けたという。
その影響力のほどは、一冊を読みながら感じられる。

あらためて感じるのは
人の欲望、美への憧れというエネルギーの果てしないパワーである。
これにより、アントワネットは世の羨望とは裏腹の退屈かつ窮屈な生活から我が身を守ったのかもしれない。
アントワネットのファッションへの浪費が革命を招いたとする批判も多いが、確実にファッションという文化はここで大きく開花し、後世に影響を与えている。

資料として読んでいたはずのこの本から、私は二つの物語を回想した。
一つは小学生の頃に読んだ漫画『ベルサイユのばら』。
もう一つは、ソフィア・コッポラ監督、キルスティン・ダンスト主演による2007年の映画『マリー=アントワネット』。
どちらもきらびやかで匂い立つような衣装の描写がストーリー全体を彩っていた。
この背景に、実はもう一人のベルサイユの「薔薇」がいたこと、おぼえておこう。


2012年3月25日日曜日

チュベローズ(月下香)と "Valentina"(Valentino)

昨日午後。
2010年秋にコチラ
でもご紹介の日本調香技術普及協会主催のフレグランスセミナーに参加。

新作フレグランスの香りと、それぞれに特徴的に使用された香料とを嗅ぎくらべながらベテラン調香師の先生方のお話を聴く。

単なる香料という素材が、調香技術によって、こうも豊かにイメージを拡げるフレグランスに生まれ変わるものだと、改めて感心する。

調香師とは…
自然界から香りの原石ともいうような香料を探り出し
その香りが発するメッセージを理解し、役割を生かし、
さらに自然素材からヒントを得て創り出した合成香料とともに
繊細な表現を補いながら普遍的な美のイメージを追求する。
… "ARTIST" そのもの。

日本では3月14日に発売されたフレグランス "Valentina"に感じられる、クラシックかつ多面的魅力を秘めた女性像は、ミドルノートに使用されているチュベローズ(月下香)の余韻効果も大きいとみた。香料原液は、パウダリーで妖しい。媚薬的。ミステリアスな香気を放ち、一度嗅ぐと何度も嗅ぎたくなってしまう。

チュベローズ。
薔薇ではない。メキシコが原産であるという説が有力。
学名は、Polianthes tuberosa Linne。
単子葉綱ユリ目のリュウゼツラン科、月下香属に分類される半耐寒性の多年生球根植物で、かつてはスイセンやハマユウなどと同じヒガンバナ科に分類されていたという。
花は特有の甘美な芳香を発し、その強い香気は日没とともに一段と高まる。
バラやオレンジの花のように花弁の中に香気成分がすでに存在しているのではなく、ジャスミンと同じく開花しながら徐々に香りを発するため、水蒸気蒸留法では本来の匂いを抽出できず、アンフルラージュと呼ばれる吸着法で長年製産されてきたという…
(以上は
国際香りと文化の会・会報誌 "VENUS" Vol.17 中「神秘的な香料素材 チュベローズ」の文章を参考にまとめた。この冊子表紙はチュベローズの写真。)


2012年1月10日火曜日

チョコレートの調香師・ジョエル デュラン

ふと目にとまった横顔が知的で穏やか。パッケージカラーはダークブラウンに涼やかな青紫。そんな視覚情報が導いてくれたのがコチラ

「あなたのチョコレートを食べると、世界中を旅したような気持ちになれる。」 そう言われたというこの方、Joel Durand はまさにチョコレートの調香師。

圧巻なのが "Chocolate A to Z" 。 ハーブ、スパイス、フルーツ、ナッツ。 様々な香りの宝庫が4つの地域カテゴリーごとにアルファベの数だけならぶ。

これは少しずつでも味わっていきたい。 シンプルでありながら、組み合わせのバリエーションは豊富。 26種類の香りの文字で、どんな文章を綴ろうか。