2023年12月27日水曜日

『匂いが命を決める』を読み、香水との関係を振り返る




今年も様々な書物に出逢えたが、中でも11月に一読したこの本は最も印象深い。


『匂いが命を決める  ヒト・昆虫・動植物を誘う嗅覚』 







昆虫と植物の相互作用についての神経行動学研究で知られ、特に昆虫の嗅覚研究で名高いという著書の経歴に惹かれて一読。何となく漠然とわかっていたような認識が、本書の具体的な生物の事例を読むにつれ、痛烈な実感を伴っていく。


環境を瞬時に分析し、命を守りつなぐために働く嗅覚、そのために人の鼻は顔の中央,先端についているのかもしれない。原題(DIE NASE VORN)の意味は「前にある鼻」とのこと。自身の嗅覚と向き合い研ぎ澄ます時間を増やしたいと思う。


ヒトは犬,魚,昆虫その他より圧倒的に嗅覚は鈍いとよく言われる。しかし、ほとんどの生物が生存と生殖のために嗅覚を駆使しているのであれば、同じく生物であるヒトが嗅覚を利用していないはずはない。視覚聴覚からの情報が多いだけに意識されることが少なかったかもしれないが。


ヒトは他の生物のように裸ではいられないし頻繁に身体を洗うため、本来の体臭だけでコミュニケーションすることは不可能である。しかし、自身の生存に有利となる嗅覚の使い方を考える際、自身から発する香りは厳選し,繊細な嗅覚を疲弊させない距離感を保つ必要があると感じる。


今年、自身のために新たに入手したフレグランスは,最小サイズで1本、フルボトルで1本のみだった。まずは自身が快適でいられることは大前提であり、その上で第三者からみた自身の存在感とその場の状況に好ましくない要素が発信されないためにも、まとう香りは厳選していきたい。





…écrit par 《SAWAROMA》








2023年12月12日火曜日

白・赤・黒・金の香りで過ごす12月




今年の12月の装いに

4色を香らせてみたいと思った


柔らかな白

スパイシーな深い赤

奥ゆかしく謎めいた黒

人肌を照らす繊細な光のような金





白のボトルは

2023年10月20日発売

ELLA K のMUSK K


雲のように形があるようでないような

グレイッシュで静謐な白の柔らかさ



赤のボトルは

2020年12月12日の記事 

COMME des GARÇONSのROUGE

エッジの効いた辛口なトップノートが

体温でしなやかな華やかさへと変身



黒のボトルは

2023年10月7日の記事 

Mame Kurogouchi 初の

EAU DE PARFUM



天然の藤袴の香りの素晴らしさを

発見できた翌年にこの香りに出逢う

肌にのせてこそ体感できる

涼やかさがいつしか奥ゆかしく

優雅な温もりへと移ろう

黒蝶を惹きつける花の謎



金色の液体が輝くのは

2017年10月30日の記事 

Guelain のShalimar  Parfum


肌を明るく見せる

ゴールドベージュの装いと共に

お祝いのような気持ちで

ふんわりほのかに纏う



今日は射手座の新月

私自身の感覚が

今求める香りと共に





…écrit par 《SAWAROMA》









2023年11月24日金曜日

11月の空気に・フレグランス3種の魅力




晩秋から冬へ。空気の変化とともに、装う服も香りもその日の気分にぴったりと合わせたい季節です。今月私が纏い,特に楽しめたフレグランス3種の魅力を再考しました。



ジュニパーベリーのクールなトーンから始まる深みのあるウッディなイントロが,次第にパウダリーなフローラル感とスモーキーな余韻へと流れ、乾いた空気に華やぎを。いつの間にか忘れ難い音楽のように心に染み込んでいく香り。



ORPHÉON/ diptyque



コクのあるフルーティーなオープニングに実りの予感。ベリーやプラム,ジンジャーといった比類なき個性たちが花々やシトラスと共に甘さを超えた清涼な印象へ変身。いつしかアンバーに包まれたラストの愛らしいぬくもりへ。



Une Nuit Magnétique / The Different Company



濃厚ではなく濃密な余韻。なめらかで神秘的。

アトラスシダーの木肌のぬくもりが,秋の実りのごとき果実やスパイス、そして花々の芳醇さに包まれて麗しく肌を香らせる。いつの間にか

安らぎとともに幸せな一体感。



Féminine du Bois / Serge Lutens





…écrit par 《SAWAROMA》







2023年11月3日金曜日

秋の午後,アートとワインと香水と




11月に入り、久しぶりの自由な平日。

まずは国立新美術館へ。


Une partie de l'exposition de

« Homage to Artists » dans

« Yves Saint Laurent ,

 Across the Style

2023.9.20-12.11


イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル


にて唯一撮影可能の会場

「アーティストへのオマージュ」

でのシーンより。






立体として

人と一体となる服というもの、

その造形完成度が

細部まで素晴らしい。

考案スケッチ、イラストに

描かれた線にもメモにも無駄はない。

その審美眼に改めて驚かされた。


1990年秋、池袋のセゾン美術館で

鑑賞時もこのデザイナーの

造形美に圧倒されたが、

その後ドキュメンタリー含む

イヴ・サンローラン映画3作鑑賞を

経て眺める今回の展覧会は

ひときわ味わい深い。



この国立新美術館2階では

大巻伸嗣氏による

Interface of Being 真空のゆらぎ

の迫力にしばし圧倒される。



この美術館で最大の、展示高8m

2000㎥にも及ぶ展示室空間でなければ

体感できない貴重なインスタレーション。



さて、二つの展覧会の余韻を

一人静かに楽しむために

久しぶりに訪れたのが

ニューヨークワイン専門店の

go-to wine shop &bar

Instagram :  @gotowine.kyodo



透明感のあるロゼの香りが

歩き回った疲れを一掃。

NY州を代表するワイナリー、

ハーマン・J・ウィーマー

による2021年ドライロゼ。

ベリー系の爽やかな酸味が

ひんやりとエレガントに香り、

ふと気がつくと

この日私が纏っていた

ローズモヒートの香り 


にも共鳴している。

思いがけない調和が嬉しい。

ローズという優雅な差し色で

絶妙な透明感を帯びた

この香り、やはり私にとっては

なくてはならない貴重なものだと気付く。





…écrit par SAWAROMA