2013年5月21日火曜日

"aroma"という言葉を再考する好機となった、MFU第44回ファッションマーケティング研究会

一つの言葉には
一対一対応でのみ意味が存在するかというと
答えは否。

その語源をたどると、本来の意味がわかります。
その面白さを実感できたのは
私が外国語学部で「言語」を学んだことからの
一つの収穫でもありました。

言語の語源を辿ることは
人の歴史を辿ることにも重なります。

しかし、言葉というものは
生きた人間が使うものですから
時代によって、場所によって、人によって
使われ方が異なるため
それぞれの文脈の中での意味は一つではなくなります。

ですから私は
大学での講義でも、講演会でお話するときも
テーマとされた言葉を、これから話す内容ではどのように定義するかを
最初にお伝えすることにしています。

このたび
コチラ でご紹介し、
受講者としての立場から記したコチラのレポートで記した研究会について
主催のMFU(日本メンズファッション協会)ブログ上
第44回ファッションマーケティング研究会を開催いたしました
テーマ「ファッション業界におけるアロマの活用と可能性~五感に訴える売り場づくりとアロマの歴史・文化を学ぶ~」
がアップされました。

「アロマの歴史」
このようにひとことで言うのは簡単ですが
この「アロマ」がここ20年ほどの日本で解釈されているような
リラクセーション目的のアロマテラピーを示す言葉なのか?
もしくは
アロマ本来の意味「芳香」を示すのか?
非常に曖昧です。

ですから私は最初に
"aroma"「アロマ」を
本来の意味「芳香・人にとってポジティブに用いられる香り」
として用いることをお伝えし、その定義上ようやく
「ファッションと同じくライフスタイルを豊かにするもの」と
お伝えできましたし
人と香料との紀元前からの歴史を語ることができました。
その歴史の中で生まれ、特に20世紀以降ファッションと密接に
結びついた香水(フレグランス)の話題にも触れることができたのです。

研究会で触れた歴史のトピックスでは
20世紀前半フランス人化学者によって
「アロマ+テラピー(芳香治療)」という造語が誕生するまでを
お伝えしました。
ここから「アロマ」という言葉の
使われ方が国によって違ってきます。

造語されてからまだ100年も経っていませんが
主にアロマテラピーがその言葉通り医療として発達したフランスでは
つい近年まではフランス語の辞書にすらこの言葉は載っていません
でしたし、一般の人が日常生活で使う概念ではなかったようです。
しかし、日本では薬事法や医師法などの関連から医療としては認められず
天然精油の安全な使用法のもとで心地よいリラクセーションのために
一般の人も日常生活で実践できる香り活用として定着したのです。

日本語の「アロマ」は必ずしも他の文化圏では
アロマテラピーのことを示しません。
ましてや「治療」とイコールではありません。
ワインや珈琲などの
心地よい味わい深い芳香を表現するときにも使われますし
「パルファン」も
日本では分類上最も香料濃度の高い香水を示しますが
フランスでは、例えばアイスクリームのフレーバーを示したり
純粋に芳香を示す言葉として広く使われているのです。

このような考え方をもっと大切にし
広くこれからの
人のライフスタイルを豊かにするキーワードの一つとして
さまざまな分野との相乗効果を創っていきたいと
改めて感じる機会となりました。

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