セザンヌの絵が好きで、その、光と匂いを感じさせる描き方の背景を知りたかったのが一番の動機ではあったが、自然主義文学の担い手であるゾラもどんな人生を送ったのか興味はあった。
映画『セザンヌと過ごした時間』オフィシャルサイト
http://www.cetera.co.jp/cezanne/
映画のプロローグ。印象的な音と共に始まる。その音は深く心に沁みた。
さらに静かに物語る映像の連続。プロローグを眺めながら、この映画を映画館で観ることにして良かったと感じた。そして、いつ終わるのだろうかと一度も時間を気にすることがなかった。いつの間にか静かに終わった。印象的な映像の変化でエピローグが訪れる。
予告篇にもあるが、セザンヌは「花には香り、…木には風…」と戸外で太陽の光の中で描くことを好んだ。刻々と変わる見え方を描いた。時にはりんご、山、そして人を。
ゾラは人間というものを文章で書いた。その表現にはゾラの、匂いに対する類い稀なる感覚を筆頭に鋭い五感が駆使されているのだと、あるフランス人歴史学者が著書の中で指摘していたことを回想する。私自身も、改めて彼の代表作を読み直してそう思う。
映画の中では二人の会話シーンが何度も登場する。どのシーンにも深い言葉が交わされる。
ゾラが「書く」というフランス語の動詞を使った直後にセザンヌは「描く」という意味の動詞を強調するように言い直したり、「ゾラのように描きたい」と語ったりする。
絵を描いたポール・セザンヌと、文章を書いたエミール・ゾラ。
セザンヌが感じたイメージは絵となり、ゾラのそれは文学となった。
改めて二人の作品を鑑賞したい。
5年前にセザンヌの展覧会を観た時の記録を読み返すと、(記事に貼った写真はもう見られなくなっているが、気になって購入した肖像画の絵葉書があったと記憶)どうやら肖像画と、絶筆時のパレットに心ひかれたようである。
セザンヌのパレットー セザンヌ パリとプロヴァンス展より
2012,6,9 /sawaroma
http://sawaroma.blogspot.jp/2012/06/blog-post_09.html?m=0
パリのオルセー美術館では今月後半まで、肖像画にフォーカスしたセザンヌ展が開催中とのこと。説明によると、セザンヌは自画像、妻の肖像画をはじめかなりの作品を描いていた。
公開初日 Bunkamura LE CINEMAにて。
東京にて、sawaroma より。
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