一度聴いただけで忘れられない音楽と、鮮やかな色彩と陰影による映像との連携。映画の素晴らしさの一つはここにある。ひときわ音楽が印象的、かつ登場人物の衣装が際立った効果を感じさせる映画はどうしても記憶に残ってしまう。だからこそ魅力的である。
ドキュメンタリーというジャンルもあるが、映画は現実とは違うのだから、見せ方は未知数にある。妄想の中、空想の世界で見えるかもしれない夢やイリュージョンが視覚化されてこそ面白い。見えないもの、見えていないもの、聴こえないが流れているかもしれない音楽、空気のふるえを感覚に届けてくれるのが映画なのである。まるで香りさながらに。
今年の春、改めて鑑賞してその素晴らしさを実感した映画は50年前のものだった。
『ロシュフォールの恋人たち』と『シェルブールの雨傘』 /《Les Demoiselles de Rochefort》et《Les parapluies de Cherbourg 》
2017,4,12 sawaroma
http://sawaroma.blogspot.jp/2017/04/les-demoiselles-de-rochefortetles.html
Françoise Dorléacを偲ぶ・« Les Demoiselles de Rochefort » と共に
2017, 6, 21 sawaroma
http://sawaroma.blogspot.jp/2017/06/francoise-dorleac-les-demoiselles-de.html
そして50周年を記念して貴重な本が作られた。映画評論家の山田 宏一氏とアンソロジストの濱田 高志氏の共著。
『ジャック・ドゥミ + ミシェル・ルグラン シネマ・アンシャンテ』
山田 宏一・濱田 高志 著 / 立東舎
http://rittorsha.jp/items/16317441.html
実際に映画の撮影現場に同行した山田氏による貴重な写真の数々、監督へはもちろんのこと、女優カトリーヌ・ドヌーヴへの長いインタビューも読み応え十分。姉のフランソワーズの私服姿もなんと素敵なことか。
さらに目を奪われるのが濱田氏のコレクションによる「アートギャラリー」。
映画ポスターのグラフィックデザインが上映される国によって全く違う。この価値の置き方の違いは圧巻である。
CINÉMA ENCHANTÉ /シネマ アンシャンテ。これは、ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランの二人が自分たちの映画を指して作った造語だという。cinéma(映画)とchanter(歌う)をかけ「映像と音楽の分かち難い関係」を表しているのだとか。
フランス語の「はじめまして」を意味する音も「アンシャンテ(enchanté )」。改めてこの単語を辞書で調べるとなるほどと思うことを発見できる。
50周年を記念してこの秋にはいくつかの映画館でなつかしい4作が上映される。
シネマ アンシャンテ
http://cinema-enchante.com/#intro
東京にて、sawaroma より。
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