2016年12月28日水曜日

『パフューム』 (The Perfume Collector / Kathleen Tessaro)・香りに描 か れた物語


人生は香水のようなものだ。そして

この小説は忘れ難い香水のようだ。


La vie est comme un parfum.

Je pense que ce roman est 

comme un parfum inoubliable.



『パフューム』 

(原題: The Perfume Collector)

著者: キャスリーン・テッサロ

訳者: 新井 ひろみ

株式会社 ハーパーコリンズ・ジャパン

http://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail.php?product_id=10529


https://m.harpercollins.com/9780062257857/the-perfume-collector


1920年代ニューヨーク~

1950年代パリ、ロンドン、モンテカルロ。シーンが自由な記憶の流れで追われていく。


一気に一読したのは、ミステリーを追い求める好奇心からであり、文章描写から香りを想像する快感に浸りたかったから。


一読してからも最初にもどり、再読しないではいられなかった。ラストノートまで知ってから改めてトップノートを確認したくなる魅力的な香りさながらに。


香りは、記憶の積み重ねが育む感受性によって評価される。人生はまさに記憶が育まれる時間であり舞台である。


生まれてから死ぬまでの人生。

立ち昇ってから消えるまでの香り。

時間の経過によって描かれる。


人と場面と時間。


最初があるから最後もある。

出会いがあるから別れもある。

その一瞬一瞬にどれだけ煌めいたか?それが人の魅力であり香りの魅力でもある。


よく知る名香の名前や

ペンハリガン、ゲラン、バレンシアガといった名称が登場する。

…20世紀前半という時代背景と女性の生き方の変換期。


あえてストーリーについて私は触れない。余計な先入観は要らない。

この表紙からミステリーへの好奇心を抑えられなかったとしたら、それからの楽しみはその人だけのものだから。


東京にて、『SAWAROMA』より


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